学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

番外編 ⑫ ~星くんの恋愛相談~

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 番外編  ⑫




 四時間目が終わるチャイムが鳴り響く。
 俺は雫から作って貰ってある弁当を持って席を立つ。

「じゃあ俺は生徒会室で星くんと話をしてくるよ」

「うん。休み時間にメッセージで美月ちゃんを呼んであるから、私たちと一緒に食べることにするよ」
「私はこれから永瀬先輩の所へ向かう予定です。お昼も先輩たちと食べてきます」

 朱里と詩織さんから返事を貰い、

「ありがとう。よろしくね、二人とも」

 俺はそう言葉を返して教室を後にした。


『生徒会室』


 自動販売機でお茶を買ったあと、俺は目的の生徒会室へと辿り着く。

 星くんはお弁当を買ってから来る。との事なので、まだ来ていない。

 俺は副会長権限で所持している、生徒会室の鍵で扉を解錠する。

 ガラリと扉を開けて中に入る。

 少しだけひんやりとした生徒会室。
 俺は『副会長』と書かれた席に座る。

「さて、先に弁当を開いておくかな」

 俺はそう呟いて、堤の布を解いていく。

 今日は唐揚げと玉子焼きとポテトサラダだと聞いている。あはは。ご馳走だな。

 なんて思っていると、

 コンコン

 と扉がノックされる。

「星くんかな?入ってくれ」

 俺がそう言うと、ガラリと扉が開かれる。

「やぁ、桐崎くん。待たせてしまったね」
「気にすることはないよ。そんなに待ってない」

 少しだけ申し訳なさそうな表情の星くんに、俺はそう言って笑いかける。

「さて、星くん。時間は限られてるからね。ご飯を食べながら話をしよう」
「そうだね。じゃあ食べようか」

 星くんは俺の対面。書記の席に座る。
 そして、俺たちは「いただきます」と声を揃えてから食事を始める。

「星くんが首藤さんにデートの誘いをして断られた。その理由について、君は知ってるのかな?」
「いや、知らないんだ。理由を聞いたら『ごめん。話せないの』と言われてしまってね」

「理由もわからずに断られる。嫌われてるから。では無いと確信出来るくらいには、俺は彼女から好感度を得てると思ってる。きっと俺には言えない理由があるんだろう。そのことを君に相談したくて、朝は教室を訪ねたんだ」

「なるほどね。ちなみに星くん。俺は君がデートを断られて理由を知ってる。これは俺の彼女の朱里から聞いた話だよ」
「あはは。なるほどね、あの二人は仲が良いからね。それで、その理由は俺に教えてくれるのかな?」

「もちろん。そして、その理由を知った時に俺は思ったよ。これは『チャンス』だってね」
「チャンス?一体なんだって言うんだい」

 首を傾げる星くんに俺は言う。

「首藤さんに言い寄る他校の生徒がね、一日デートをさせて欲しい。それで君の気持ちが変わらなければ諦める。そう話してきたらしい」
「へぇ……それで?」

 スっと目を細める星くん。

「首藤さんは返事はしてないが悩んでいるようでね。それが君のデートの誘いを断った理由だよ。そして、他校の生徒は今日の放課後に返事を聞きにここに来る」
「そうか。君がチャンスと言った意味がわかったよ」

「首藤さんとのデートの権利をかけて、君がその他校の生徒と勝負をする。勝った方がデートをして、負けた方は諦める。それでどうだい?」
「全くもって問題ないな。俺がそいつに勝てば良いだけだ」

 自信を持って首を縦に振る星くん。
 いやぁ……かっこいいなぁ……

「ちなみに、勝算はあるのかな?」
「おいおい、桐崎くん。君は俺を疑ってるのかな?」

「いや、その他校の生徒もそれなりのプレイヤーなんだろ?」
「まぁそうだね。同年代としては悪くない。でも正直な話。敵じゃない。ただ、一つだけ気を付けなければならない点はあるかな?」

 星くんはそう言うと、少しだけ表情を曇らせる。

「かなり悪質なラフプレーをする。そういう話が出てるプレイヤーなんだよね。そして、審判にバレないようにやるのが非常に上手い。その点だけは超一流と言えるだろうね」
「やっかいな超一流だな……」

「まぁどういう勝負をするか。いつするか。その辺りを当人と話しをしようかな。今日の今日という事は無いだろうからね」
「やる日が決まったら教えてくれ。その日は人を集めて証人にするからな」

「あぁ、それで構わないよ。負けるつもりは微塵も無いからね」

 ようやく敵を叩き潰せるんだ。この機会は逃さないよ。

 彼はそう言うと、ニヤリと笑っていた。

「ちなみに、今は朱里が首藤さんと話をしてる。君と他校の生徒が勝負をする流れの話をしてるはずだ」
「ありがとう、助かるよ」

「まぁ、俺が言えることは一つだけだな」

 俺はそう言うと、食べ終わった弁当を布で包む。

「絶対に負けるなよ。星明」
「あぁ、もちろんだよ。桐崎くん」

 彼は自信満々にそう言葉を返した。
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