学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第十話 ~狂乱の体育祭~ ⑩

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 第十話  ⑩



 昼休みも終わり、体育祭も後半へ。
 午後の部が開始となった。

 午後には男女混合系の競技が多く組み込まれている。
 男女混合二人三脚。男女混合リレー。大縄跳び。

 そして、目玉種目は綱引きだ。

『さぁ!!お昼ご飯を食べて気分もリフレッシュ!!海皇高校体育祭もいよいよ後半戦!!午後の部へと入ります!!午前に引き続き、放送はこの三輪怜音が行います!!』

 そんな怜音先輩のマイク放送を、やはり俺は放送席で聞いていた。

 いやー!!男子生徒の視線が痛えなぁ!!!!
 あはは!!!!

『そして、私の隣には!!午前に引き続きこの人が居ます!!『二股ハーレムクソ野郎』の桐崎悠斗さんです!!』

 二股ハーレムクソ野郎はなかなか酷いと思うけど、まぁ仕方ない。それを利用して行くことにしよう。

『皆さん、お昼ご飯も食べて元気いっぱいだと思います!!俺も朱里と詩織さんとご飯を一緒に食べたので元気いっぱいです!!』

 男子生徒から、とんでもない罵詈雑言が聞こえてきた。
 あはは!!楽しいなぁ!!

『それにしても、怜音先輩。二股ハーレムクソ野郎は間違いですよ?』
『なんだい、悠斗くん?黒瀬詩織さんとは遊びだから二股では無い。なんてことを言うつもりかい?』

 ニタニタ笑いながら言う怜音先輩。
 部外者の余裕ってやつを感じている。

 あはは。貴女もすぐに『渦中』に入れてやりますからね?

『違いますよ。詩織さんには本気の愛を与えています。遊びなんてそんな不誠実なことはしてませんよ?俺が言いたいのは、二股どころではない。って事ですね』
『……悠斗くん。君はなかなかとんでもないことを言ってきたね?』

『怜音先輩。何をそんな他人面してるんですか?体育祭が終わったら俺とデートしてくれって言ってたじゃないですか!!??』

 グラウンドは騒然。
 怜音先輩は顔面蒼白。
 俺は心の中では大爆笑。

 やってやったぜ!!という気持ちでいっぱいだ。


『ちょっと!!悠斗くん!!その話をここでするのはナンセンスだろ!!』

 怜音先輩。焦ってマイクで話してますよ?しかもその発言はより深みに嵌るやつですよ?

『あ、すみません。『内緒』の話でしたね!!失礼しました』
『ゆ、悠斗くん!!君ってやつは!!』

 かなり焦っている怜音先輩。
 うん。これで貴女も『当事者』の仲間入りですよ?

『さて、『怜音』そろそろ真面目に仕事をしようか?』

 意図的に呼び捨てで呼ぶ俺。
 グラウンドは阿鼻叫喚の渦に包まれている。

「…………はぁ。もう私は諦めたよ。君と付き合いを持った時点で色々と覚悟をするべきだったね」

 マイクを通さずに、怜音先輩はそう呟いた。
 そして、吹っ切れたかのようにまたマイクで話を始めた。

『もう!!悠斗くん!!話を脱線させたのは君じゃないか!!でもそうだね、そろそろ二人三脚の準備が出来た頃だね』
『そうですね。ここでは男女の息の合ったところを見せてもらいたいと思ってます!!』

『そう言えば悠斗くん。君は藤崎朱里さんと出ると思っていたけど、出なかったね?』
『はい。自分は男女混合リレーに出ますので、二人三脚に関しては『他のカップル』に譲りました』

 グラウンドの視線が二人三脚の方へと向いた。

 俺はニヤリと笑って自分のクラスの『カップル』に声援を送る!!

『頑張れよ!!俺は応援してるからな!!』

 俺のクラスの参加者は笑いながら手を振っていた。

『いいですね、初々しくて』
『いや、あれが普通なんだよ。君が異常なだけだよ……』

 怜音先輩のその言葉に、グラウンドの全員が首を縦に振った。

 うん。まぁ……そうだよね。

 そして、二人三脚はうちのクラスの二つのペアはどちらも一位になってくれた。

『さて!!次は男女混合リレーになります!!悠斗くん、君はこれに出るんだよね?』
『はい!!そうです。ちなみに怜音先輩も出場するんですよね?』

『そうだね。お互いに頑張るとしようじゃないか!!』

 なんて話をしたあと、俺はグラウンドへと入る。

 そして、男女混合リレーのメンバーの元へと向かう。

 そこには朱里と斉藤さん。それと健が既に居た。

 俺の姿を見た朱里は微笑みながら俺に近寄ってきた。

 あ……これはやばいやつだ……

『悠斗……あとでおしおきだからね。詩織ちゃんも怒ってるから、二人でね?』

 怜音先輩とのアレのせいだな……あはは……また寝れないや



 そして、男女混合リレーはスタートした。


 第一走者は健。第二走者は斉藤さん。第三走者が朱里でアンカーが俺だ。

 エース級が集う第一走者で、陸上部の短距離走をしている生徒とほぼ同じ速度で走る健。
 ほぼ同着の一位でバトンを斉藤さんに渡す。

 第二走者の斉藤さんは帰宅部だけど中学時代は陸上部だった。
 結構有力な選手だったらしいけど、やはりブランクはあるようだ。一位に少し遅れての二位でバトンを朱里に渡した。

「ごめん!!あかりん、頼んだ!!」
「任せろあやちゃん!!」

 第三走者の朱里はバスケ部でレギュラーを張る。そしてそのスピードは全国レベル。
 短距離を走るその姿はまるでコートに降り立った妖精(フェアリー)

 あんな女神が俺の彼女って幸せ過ぎる。マジで美しい。この世に降り立った奇跡。

 しかし、そんな朱里も陸上部の短距離エースを抜くまでには至らない。

「桐崎。お前には負けないからな」

 俺の隣に居る、名前も知らない男子生徒から宣戦布告を受ける。
 ……誰だかわからないモブに、負ける気はしないな。

「ごめん!!悠斗、抜けなかった!!」
「俺に見せ場をくれてありがとう!!最高にかっこいいところを見せてやるぜ!!」

 朱里からバトンを受け取ると、俺は僅かに先を走るモブを追い掛ける。

 身体が軽い!!今の俺に不可能なんか無い!!

 俺は一気にモブに追い付くと、その顔を見てこう言った。

「先に行くぜ、じゃあな」
「く、くそぉ!!」

 健のトレーニングをしていて本当に良かった。




 俺はアンカーの役割を果たし、一位でゴールテープを切った。
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