254 / 292
第2章
第十話 ~狂乱の体育祭~ ④
しおりを挟む
第十話 ④
生徒会としての確認業務。体育祭実行委員としての確認業務。朱里からの『おしおき』
それらを終えた俺はぐったりとしていた。
朱里には色々と搾り取られた……
『ふふふ……ごちそうさま、悠斗』
『お粗末様でした……』
これから頑張らなきゃならないのに……
グラウンドには続々と生徒たちが集まってきている。
開会式の時間はもうすぐだ。
「……悠斗くん。なんだかやつれてますね。実行委員の仕事はやはり大変でしたか?」
「……あはは。そうだね、ちょっと『色々』あったからさ」
生徒会側に居る俺の隣に立つ詩織さんが心配そうに聞いてきた。
「色々……なるほど。朱里さんですね」
「あはは……まぁ、わかるよね」
スっと目を細くした詩織さんに俺は苦笑いで答える。
「ズルいです。私も参加したかったです」
「……体育祭の前に体力が無くなっちゃうよ」
そんな会話をしていると、開会式の時間になったようだ。
校長先生が壇上に上がってありがたいお話をしている。
それを聞き流しながら隣を向くと、視界には空さんが入る。
視線が合うと、彼女はニコリと笑ってくれた。
あはは。緊張とかは無さそうだ。
そんなことを思っていると、校長先生の話が終わった。
そして、生徒会長の空さんが壇上に上がる。
「皆さんおはようございます!!とうとう待ちに待った体育祭の当日になりました!!」
「三年生にとっては最後になります。気合いが入りますね!!二年生にとっては去年の経験を活かして活躍してください!!一年生にとっては初めての体育祭、存分に楽しんでください!!誰にとっても大切な一日になることは間違いありません!!」
蒼井さんの言葉をみんながしっかりと聞いていた。
先程の校長よりも真剣に聞いてる。
彼女の人気の高さが良くわかるな。
俺はそんなことを考えていた。
「そして、皆さんにはこの体育祭を怪我なく終えてもらいたい。そう思っています。この日を迎えるためにたくさんの人が頑張って来ました。体育祭実行委員を始め、先生方、各委員の協力がありました!!しかし、今日一日は保健委員だけは暇にさせてあげてください!!」
あはは。
みんなが笑っていた。
俺が言っていた『少しだけユーモアが欲しい』を取り入れてくれたみたいだ。
「最後になりますが、この体育祭が皆の最高の思い出になるものにしていきましょう!!」
空さんがそう締めると、生徒からは拍手喝采が起きた。
それを見ながら、空さんは少しだけ恥ずかしそうに壇上を後にした。
「お疲れ様です。とても良いスピーチでした」
「あはは。ありがとう、悠斗くん。君にそう言って貰えて安心したよ」
生徒会側に戻って来た空さんに俺は労いの言葉をかける。
「空さんはこの後50m走ですよね?」
「そうだね。元バスケ部だからね。短距離を走るのは自信があるんだ」
ふふん。と胸を張る彼女に俺は年上なのに可愛いな。と思ってしまう。
「俺はメインイベントの男女混合のリレーに出るので出番は午後ですね」
「午前のメインイベントは借り物競争だね。毎年ここでは色々な珍事が起きるんだよね。今年も何か起きそうな気配がするよ」
空さんはそう言うと、詩織さんに視線を向けた。
「ふふふ。さぁ……どうでしょうかね?」
詩織さんはその視線をしっかりと受け止めた上で、笑って見せた。
『今日。悠斗はみんなの前で詩織ちゃんからキスをされる』
朱里のその言葉を思い出す。
きっと、借り物競争で呼び出させるのは俺だろう。
そして、彼女から『キスをしてください』と言われるだろう。
俺はそれを『断れない』
ははは。今からどうなるか考えると頭が痛くなる。
でも仕方ない。俺が選んだのはこういう道だ。
二人の女性と関係を深めると言うのはこういうこと。
覚悟を決めろよ桐崎悠斗。絶対にお前は地獄に堕ちる。
その地獄を……楽しんで見せろ!!
生徒会としての確認業務。体育祭実行委員としての確認業務。朱里からの『おしおき』
それらを終えた俺はぐったりとしていた。
朱里には色々と搾り取られた……
『ふふふ……ごちそうさま、悠斗』
『お粗末様でした……』
これから頑張らなきゃならないのに……
グラウンドには続々と生徒たちが集まってきている。
開会式の時間はもうすぐだ。
「……悠斗くん。なんだかやつれてますね。実行委員の仕事はやはり大変でしたか?」
「……あはは。そうだね、ちょっと『色々』あったからさ」
生徒会側に居る俺の隣に立つ詩織さんが心配そうに聞いてきた。
「色々……なるほど。朱里さんですね」
「あはは……まぁ、わかるよね」
スっと目を細くした詩織さんに俺は苦笑いで答える。
「ズルいです。私も参加したかったです」
「……体育祭の前に体力が無くなっちゃうよ」
そんな会話をしていると、開会式の時間になったようだ。
校長先生が壇上に上がってありがたいお話をしている。
それを聞き流しながら隣を向くと、視界には空さんが入る。
視線が合うと、彼女はニコリと笑ってくれた。
あはは。緊張とかは無さそうだ。
そんなことを思っていると、校長先生の話が終わった。
そして、生徒会長の空さんが壇上に上がる。
「皆さんおはようございます!!とうとう待ちに待った体育祭の当日になりました!!」
「三年生にとっては最後になります。気合いが入りますね!!二年生にとっては去年の経験を活かして活躍してください!!一年生にとっては初めての体育祭、存分に楽しんでください!!誰にとっても大切な一日になることは間違いありません!!」
蒼井さんの言葉をみんながしっかりと聞いていた。
先程の校長よりも真剣に聞いてる。
彼女の人気の高さが良くわかるな。
俺はそんなことを考えていた。
「そして、皆さんにはこの体育祭を怪我なく終えてもらいたい。そう思っています。この日を迎えるためにたくさんの人が頑張って来ました。体育祭実行委員を始め、先生方、各委員の協力がありました!!しかし、今日一日は保健委員だけは暇にさせてあげてください!!」
あはは。
みんなが笑っていた。
俺が言っていた『少しだけユーモアが欲しい』を取り入れてくれたみたいだ。
「最後になりますが、この体育祭が皆の最高の思い出になるものにしていきましょう!!」
空さんがそう締めると、生徒からは拍手喝采が起きた。
それを見ながら、空さんは少しだけ恥ずかしそうに壇上を後にした。
「お疲れ様です。とても良いスピーチでした」
「あはは。ありがとう、悠斗くん。君にそう言って貰えて安心したよ」
生徒会側に戻って来た空さんに俺は労いの言葉をかける。
「空さんはこの後50m走ですよね?」
「そうだね。元バスケ部だからね。短距離を走るのは自信があるんだ」
ふふん。と胸を張る彼女に俺は年上なのに可愛いな。と思ってしまう。
「俺はメインイベントの男女混合のリレーに出るので出番は午後ですね」
「午前のメインイベントは借り物競争だね。毎年ここでは色々な珍事が起きるんだよね。今年も何か起きそうな気配がするよ」
空さんはそう言うと、詩織さんに視線を向けた。
「ふふふ。さぁ……どうでしょうかね?」
詩織さんはその視線をしっかりと受け止めた上で、笑って見せた。
『今日。悠斗はみんなの前で詩織ちゃんからキスをされる』
朱里のその言葉を思い出す。
きっと、借り物競争で呼び出させるのは俺だろう。
そして、彼女から『キスをしてください』と言われるだろう。
俺はそれを『断れない』
ははは。今からどうなるか考えると頭が痛くなる。
でも仕方ない。俺が選んだのはこういう道だ。
二人の女性と関係を深めると言うのはこういうこと。
覚悟を決めろよ桐崎悠斗。絶対にお前は地獄に堕ちる。
その地獄を……楽しんで見せろ!!
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説


十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~
味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」
春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。
そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか)
今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。
「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」
そう言う俺に、
「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」
と笑顔で言い返して来た。
「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」
「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」
パタン
俺は玄関の扉を閉めた。
すると直ぐに
バンバンバン!!!!
と扉を叩く音
『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』
そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。
はぁ……勘弁してくれよ……
近所の人に誤解されるだろ……
俺はため息をつきながら玄関を開ける。
そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。
腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる