学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

文字の大きさ
上 下
250 / 292
第2章

第九話 ~蒼井さんとの初めてのお出掛け~ ⑩

しおりを挟む
 第九話  ⑩



 蒼井視点


「ふふふ。今日はなかなか収穫の多い日だったと思う」

 バフンと僕はベッドの上にダイブしてそう呟いた。

 悠斗くんの『時間』を手に入れることが出来たのは予定通りだ、罪悪感を刺激して、と言う想定では無かったが、まぁ結果的には満足が行っている。

 悠斗くんの『予定』と言うのは十中八九『本命』と『即席』絡みのことだと思う。

 今日のデートについて根掘り葉掘りきかれてるんだろうね。まあ、あのキスプリクラは確実に二人の目には晒されているはずだ。

 身体の関係に近いことをしている二人にとっては、児戯に等しい行為かもしれないけど、自分の所有物に唾を付けられるのは気分が良くないだろうね?

 ふふふ。僕は気分が良いけど。

「さて、次のデートはいつにしようかな?」

 タイミングは考えなければならない。

 彼は言っていた。僕の優先順位は二人に劣る。と。

 ならばそこに被らないようにしなければならない。

 体育祭が終わってから。と言うのは危険だな。

 きっとその辺の予定は埋まってるはずだ。

 中間テストの前や後も難しいはず。

 となるとやっぱり……夏休みまで……

 いや、考え方を変えて、

「彼に誘わせるか」

 そうだ。僕から誘うからタイミングを考えなければならなくなるんだ。悠斗くんから誘わせればOKのはずだ。

 問題は、彼が僕をデートに誘う理由が必要になること……

 色仕掛け?いやいや……それは『まだ早い』

『本命』と『側室』が終えてから出ないと彼は乗って来ないだろう。それまでは彼の『身体』はお預けと思っていた方が良い。

 とするならば……

「怜音を使おう」

 そうだ。『生徒会長と副会長の対談』と言う内容の新聞記事を作る。その流れで彼をアプローチを掛けよう。
 時期は……中間テストの前辺りにするか。

 そして、対談が終わった時に『夏休みの一日デート』の話をして、日程と時間を決める。

 この時に注意しなければならないのは、夏休みの『後半』にしなければならない点だ。

 理想は花火大会が終わったあとだな。

 きっと彼は夏休みの前半に『本命』と、中盤に『側室』と、関係を深めるはずだ。
 だとするならば狙うは『後半』しかない。

「まったく。悠斗くんの今年の夏休みはとんでもない事になってるな」

 僕はそう言うと、ベッドから起き上がり、机の上に飾ってあるプリクラを眺める。

 彼の『時間』は手に入れた。そして次は『身体』を手に入れに行く。

 そして最後は『心』を手に入れに行く。

「あはは。今はあの二人にリードを許しているけど、最後に勝つのはこの僕だ」

 プリクラに一つ口付けをして、僕はお風呂に入るために部屋を後にした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。 十分以上に勝算がある。と思っていたが、 「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」 と完膚なきまでに振られた俺。 失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。 彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。 そして、 「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」 と、告白をされ、抱きしめられる。 突然の出来事に困惑する俺。 そんな俺を追撃するように、 「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」 「………………凛音、なんでここに」 その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~

味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」 春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。 そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか) 今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。 「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」 そう言う俺に、 「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」 と笑顔で言い返して来た。 「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」 「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」 パタン 俺は玄関の扉を閉めた。 すると直ぐに バンバンバン!!!! と扉を叩く音 『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』 そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。 はぁ……勘弁してくれよ…… 近所の人に誤解されるだろ…… 俺はため息をつきながら玄関を開ける。 そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。 腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

パパのお嫁さん

詩織
恋愛
幼い時に両親は離婚し、新しいお父さんは私の13歳上。 決して嫌いではないが、父として思えなくって。

処理中です...