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第2章
第九話 ~蒼井さんとの初めてのお出掛け~ ④
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第九話 ④
パスンッ
というボールがリングを通る乾いた音が、俺の耳に届いてくる。
空さん八点。俺二点。
今の得点で空さんが九点だ。十点先取の勝負をしてる。
かなり点差が開いている。絶望的だ。本当ならもう少し善戦できるはずだった。朱里とも何度も1on1はしてる。
そんな彼女相手でも、それなりには戦えるが、今回の空さんには手も足も出ていない。
「どうしたんだい?悠斗くん。動きが固いぞ」
「い、いえ。勝負はこれからですよ!!」
俺はそう言うと、ボールを弾ませながら空さんに近づく。
フェイントをひとつ入れて、ドライブで右から抜く。
俺は体格差を活かして抜こうとするが、
「行かせないよ!!」
と、空さんがディフェンスで接近する。
ふよん
「……っ!!」
朱里より圧倒的に大きいそれが俺に当たる。
そう、これのせいだ。
オフェンスでは揺れるし、ディフェンスでは当たるし、こっちの動きがそのせいで悪くなる。
「いただきだよ!!」
「……あ」
動きの悪くなった俺からボールが奪われ、空さんが十点目のゴールを決めた。
シュートを打つ時も揺れていた。
目が離せない。
しょ、しょうがないだろ!!男なんだから!!
「ふふふーん。僕の勝ちだね悠斗くん!!」
「はい。完敗です……」
いや、でも良いものが見れたし、いい感触だった。
勝負は負けたが、実質勝ちみたいなもんだろ。
なんて、スポーツドリンクを口にしながら思ってると、
「君が僕の『おっぱいに夢中』になってるのはわかってたよ?」
「ぶふぅ!!」
飲み物を吹き出してしまった。
そ、空さんにかからないで良かった。
「……い、いや、悠斗くん。あんなにガン見されて気が付かない女子は居ないよ?」
「……そ、その。俺も男なので……」
少しだけ視線を逸らした俺を、空さんはからかうように言ってくる。
「ふふーん?でも悪い気分じゃないね。他の男ならともかく、君からそういう目を向けられることは少ないからね。僕もしっかりと女性として見てもらえてる。そういう自信が持てるよ」
「あはは……」
苦笑いを浮かべる俺に、空さんは耳打ちする。
君さえ求めてくれるなら、僕はどこまでだって許してあげるんだよ?
「そ、空さん!?」
「あはは!!冗談だよ!!」
彼女はそう言うと、俺から離れていった。
「さて、悠斗くん。僕は君のバッティングがみたいな」
野球部の武藤くんと良い勝負をしたと聞いてるよ?
なるほど。俺に汚名返上のチャンスをくれているんだな。
「わかりました。バスケではかなり情けない姿でしたが、こちらではかっこいいところをお見せしますよ」
「あはは。期待してるよ」
俺はそう言うと、ピッチングマシンのあるゲージへと進む。
80キロから130キロまであり、左右どちらでも対応出来るようなゲージもある。
俺は右打ち110キロのゲージに入る。
あんまり遅いと格好が付かないし、速すぎると空振りが目立ってしまう。
この辺りの球速がベストな感じだ。
以前。130キロにチャレンジした時は、金を無駄にしただけだった。かすりもしなかったよ。
それを軽々弾き返す健や野球部の人はやはりすごいと思う。
お金を入れる必要が無いので、備え付けのヘルメットを被り、使い込またバットを握りしめ、一回振る。
ブンッ!!と言う音が耳に届く。
よし、これなら大丈夫かな。
俺は赤いスタートボタンを押して、20球の勝負を挑む。
「頑張ってね、悠斗くん!!」
「はい!!ホームランでも打ってやりますよ!!」
と、意気込んでバッティングを披露した結果。
空振りすること無く、全ての球を弾き返し、一発ほどホームランボードにぶつけてやることが出来た。
汚名返上が出来た形だ。
ヘルメットを脱いで、バットを所定の位置に戻し、俺はゲージから出る。
「いやぁ!!かっこよかったよ、悠斗くん!!さっきまでのえっちな君とは別人だね?」
「あはは……汚名返上出来た形ですかね」
俺は少しだけホッとしながらそう言った。
そして、俺たちは和気あいあいと身体を動かしながら、親睦を深めて行った。
そうしていると、お昼を食べるような時間となった。
パスンッ
というボールがリングを通る乾いた音が、俺の耳に届いてくる。
空さん八点。俺二点。
今の得点で空さんが九点だ。十点先取の勝負をしてる。
かなり点差が開いている。絶望的だ。本当ならもう少し善戦できるはずだった。朱里とも何度も1on1はしてる。
そんな彼女相手でも、それなりには戦えるが、今回の空さんには手も足も出ていない。
「どうしたんだい?悠斗くん。動きが固いぞ」
「い、いえ。勝負はこれからですよ!!」
俺はそう言うと、ボールを弾ませながら空さんに近づく。
フェイントをひとつ入れて、ドライブで右から抜く。
俺は体格差を活かして抜こうとするが、
「行かせないよ!!」
と、空さんがディフェンスで接近する。
ふよん
「……っ!!」
朱里より圧倒的に大きいそれが俺に当たる。
そう、これのせいだ。
オフェンスでは揺れるし、ディフェンスでは当たるし、こっちの動きがそのせいで悪くなる。
「いただきだよ!!」
「……あ」
動きの悪くなった俺からボールが奪われ、空さんが十点目のゴールを決めた。
シュートを打つ時も揺れていた。
目が離せない。
しょ、しょうがないだろ!!男なんだから!!
「ふふふーん。僕の勝ちだね悠斗くん!!」
「はい。完敗です……」
いや、でも良いものが見れたし、いい感触だった。
勝負は負けたが、実質勝ちみたいなもんだろ。
なんて、スポーツドリンクを口にしながら思ってると、
「君が僕の『おっぱいに夢中』になってるのはわかってたよ?」
「ぶふぅ!!」
飲み物を吹き出してしまった。
そ、空さんにかからないで良かった。
「……い、いや、悠斗くん。あんなにガン見されて気が付かない女子は居ないよ?」
「……そ、その。俺も男なので……」
少しだけ視線を逸らした俺を、空さんはからかうように言ってくる。
「ふふーん?でも悪い気分じゃないね。他の男ならともかく、君からそういう目を向けられることは少ないからね。僕もしっかりと女性として見てもらえてる。そういう自信が持てるよ」
「あはは……」
苦笑いを浮かべる俺に、空さんは耳打ちする。
君さえ求めてくれるなら、僕はどこまでだって許してあげるんだよ?
「そ、空さん!?」
「あはは!!冗談だよ!!」
彼女はそう言うと、俺から離れていった。
「さて、悠斗くん。僕は君のバッティングがみたいな」
野球部の武藤くんと良い勝負をしたと聞いてるよ?
なるほど。俺に汚名返上のチャンスをくれているんだな。
「わかりました。バスケではかなり情けない姿でしたが、こちらではかっこいいところをお見せしますよ」
「あはは。期待してるよ」
俺はそう言うと、ピッチングマシンのあるゲージへと進む。
80キロから130キロまであり、左右どちらでも対応出来るようなゲージもある。
俺は右打ち110キロのゲージに入る。
あんまり遅いと格好が付かないし、速すぎると空振りが目立ってしまう。
この辺りの球速がベストな感じだ。
以前。130キロにチャレンジした時は、金を無駄にしただけだった。かすりもしなかったよ。
それを軽々弾き返す健や野球部の人はやはりすごいと思う。
お金を入れる必要が無いので、備え付けのヘルメットを被り、使い込またバットを握りしめ、一回振る。
ブンッ!!と言う音が耳に届く。
よし、これなら大丈夫かな。
俺は赤いスタートボタンを押して、20球の勝負を挑む。
「頑張ってね、悠斗くん!!」
「はい!!ホームランでも打ってやりますよ!!」
と、意気込んでバッティングを披露した結果。
空振りすること無く、全ての球を弾き返し、一発ほどホームランボードにぶつけてやることが出来た。
汚名返上が出来た形だ。
ヘルメットを脱いで、バットを所定の位置に戻し、俺はゲージから出る。
「いやぁ!!かっこよかったよ、悠斗くん!!さっきまでのえっちな君とは別人だね?」
「あはは……汚名返上出来た形ですかね」
俺は少しだけホッとしながらそう言った。
そして、俺たちは和気あいあいと身体を動かしながら、親睦を深めて行った。
そうしていると、お昼を食べるような時間となった。
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