学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

文字の大きさ
上 下
241 / 292
第2章

第九話 ~蒼井さんとの初めてのお出掛け~ ①

しおりを挟む
 第九話  ①




 日曜日。朝。俺は洗面台の前で自分の身だしなみを確認していた。
 髪型はいつも通りだが、コンタクトレンズにしている。

 理由としては、髪型に拘っても今日は身体を動かすのが主になっている。なのですぐに乱れてしまうだろうから、整えてあまり意味は無いと思った。

 メガネではなくコンタクトレンズにしたのもそのためだ。
 メガネで運動するのは流石にメガネが破損するリスクが大きい。

 そうして身だしなみを整えていると、後ろから雫がやってきた。

「おはようございます。お兄さん。また『朝帰り』ですね?」
「…………はい」


 そう。これは朝帰りした帰りの朝。昨夜はかなり不道徳な夜を過ごしてきたと言える。

「どなたと過ごされたのですか?」
「朱里と詩織さんです……」
「二人と!?」
「はい……」

 その言葉に、雫は頭を抱えた。

「私は朱里ちゃんが何を考えているのかがわからない……」
「あはは……俺もわからない……」

 そう言う俺を雫が睨みつける。

「ちょっと待って、昨日は二人と過ごしたってことは、今こうして身だしなみを整えてるのは……」
「そう。蒼井さんと出掛ける予定だよ」

 その言葉に、雫が膝を着いた。

「どうなってるのよ……」
「うん。もうなるようになれーって思ってる」

 なんか、寝てないせいで思考回路がちょっとバグってる気がする……

「はぁ……それで、今日はどこに行くの?」

「駅前にあるラウンズに行ってくる。そこで一日身体を動かしてくる予定だよ」

「ふーん。なんでそうなったの?」

「予算会議の時に、蒼井さんを『悲劇のヒロインとして祭り上げる』そんなことをしてしまったからね。やっぱりどうしても、俺の中に罪悪感みたいなのがあったんだよね」

「まぁ、おにぃの性格ならそうだろうね」

「それのせいで、俺と蒼井さんは少しギクシャクしててね。好意を寄せられてるとか関係無く、少し身体を動かすことでそう言うのを忘れてこよう。そんな話になったんだよ」

「あーなるほどね。つまり朱里ちゃんは、『おにぃがそういうことをするような危険があっても、出来ないようにする為』に、わざわざ敵と手を組んででもおにぃを枯らしに行ったのか……」

「か、枯らすって……」

「昨日は何回されたのですか?お兄さん」

「な、七回です……」

「まぁ、新記録ですね」

 おめでとうございます。

 お、男としては夢のような時間だったけど、やっぱり適度という物があると思うんだ……


「とりあえず、帰りはそんなに遅くはならないと思う」
「そうだね。朝帰りなんてなったら私はおにぃをアンタって呼ぶから」
「は、はい……」

 俺は荷物が入ったバックを手にして玄関へと向かう。

 そんな俺の後ろを雫が着いてきてくれる。

 よ、良かった……見送ってくれるんだ…… 

「行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい、おにぃ」

 俺は雫に見送られ、玄関への扉を開ける。

 外は少しだけ曇っていたが雨は降っていない。

 カッパを持っておこうかな。

 俺は玄関に置いてあるカッパ手にして、愛車のポチの座席の下に入れた。

「よし、行くか」

 目的地までは電車ではなく、バイクで行こうと思ってる。

 俺はカバンを肩にかけ、愛車を目的地まで走らせた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。 十分以上に勝算がある。と思っていたが、 「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」 と完膚なきまでに振られた俺。 失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。 彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。 そして、 「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」 と、告白をされ、抱きしめられる。 突然の出来事に困惑する俺。 そんな俺を追撃するように、 「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」 「………………凛音、なんでここに」 その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~

味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」 春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。 そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか) 今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。 「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」 そう言う俺に、 「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」 と笑顔で言い返して来た。 「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」 「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」 パタン 俺は玄関の扉を閉めた。 すると直ぐに バンバンバン!!!! と扉を叩く音 『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』 そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。 はぁ……勘弁してくれよ…… 近所の人に誤解されるだろ…… 俺はため息をつきながら玄関を開ける。 そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。 腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

偶然PTAのママと

Rollman
恋愛
偶然PTAのママ友を見てしまった。

処理中です...