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第2章
第八話 ⑬ ~俺が持ってるコネ。と言ったらこの人しか居ないよな~
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第八話 ⑬
五時間目の授業を終え、俺はあらかじめ昼休みの内にメッセージを送っていた『あの人』へ会いに行った。
『三年三組』
俺は目的の場所へと辿り着くと中の先輩たちに声を掛ける。
「皆さんすみません!!二年一組、生徒会の副会長の桐崎悠斗です。三輪怜音先輩はいらっしゃいますか?」
俺のその声に、中の先輩たちが一斉にこっちを見る。
うわ、こえー
その光景に心臓が縮みそうになるが我慢する。
「やぁ、悠斗くん。どうしたんだよ、私の教室に来て」
ニマニマと笑いながら、怜音先輩が俺の元へと歩いてくる。
「怜音先輩。俺の名前呼びを許したつもりはありませんが?」
半眼で睨む俺に、怜音先輩は笑う。
「王子様くんの一件が解決したら名前で呼んでいいって言ったじゃないか?」
「いや、まだ解決してませんよね?」
あの記事一枚で解決した。なんて言ったらちょっと強引すぎるだろ……
「ちぇーマイダーリンはケチだねぇ……」
なんて言う怜音先輩。いや、ダーリンでも無いんですが……
「はぁ……話が進まないんで、もう良いです。あのですね、ここに来たのには理由があるんですよ」
「綱引きの綱と大縄跳びの縄。今日の六時間目のLHRで三年が確保しそうな部分を君に融通して欲しい。その事だろ?」
怜音先輩はそう言うとニヤリと笑う。
「はぁ、最初からわかってるなら俺で遊ばないでください」
「良いじゃないか。君と私のコミュニケーションだよ」
バンバンと肩を叩く怜音先輩。
そんな先輩が続ける。
「で、君に縄を融通する手筈を整えてあげてる。既に私が君のために『力を貸している』状態だ。この状況下で、君は私に何を提示してくれるのかな?」
怜音先輩にはあらかじめこうメッセージを送ってある。
『六時間目のLHRで大縄跳びと綱引き用の縄をうちのクラスに融通してください。怜音先輩が喜ぶ手土産を持っていくことを約束します』と。
こちらの力が弱い状況での交渉になる。
だが、こちらが持っているカードが強いと踏んでいるので、賭けの要素は低いと判断した。
それよりも、確実に縄の確保に動いた方が良いと思ったからだ。
「今日のLHRでの体育祭の練習で、俺のクラスと星くんのクラスは『合同練習』をする手筈になってます」
「……へぇ、それで?」
ニヤリと笑う怜音先輩。よし、興味を引き出せた。
「本来なら俺のクラスと星くんのクラスは味方同士です。ですが、俺は彼に提案しました。『綱引きの練習として、君のクラスと戦おう』と」
「なるほどね。つまり、君は私に新聞記事のネタを提供する。と言いたいんだね?」
「はい。『女たらしのハーレム王』VS『学園の王子様』綱引きで雌雄を決する!! なかなか面白そうな見出しだと思いませんか?」
そう、これが怜音先輩に俺が提示するカード。
きっと食いついてくれるはずだと思っている。
「ふむ。なかなか面白いカードだね。これなら君に『縄を融通する』と言う行為に対しての対価としては申し分無い」
「ありがとうございます」
そして、怜音先輩は俺に聞いてきた。
「だが、これなら君は『メッセージで済ませるだけ』でも良かったはずだ。わざわざこのに来たのには『理由』があるんじゃないか?」
ははは。やはりこの人は頭がキレる。
『縄を貸出す対価』として、俺の出したカードが、怜音先輩の『お気に召さなかった』場合の手立てを持ってきていた。
「怜音先輩と俺のクラスは体育祭では味方ですよね?」
「そうだね。同じ奇数のクラスだ」
その言葉に俺はニヤリと笑う。
「俺たちと合同練習をしませんか?」
「……くく……ははははは!!!!」
怜音先輩は俺の提案に笑った。
「なるほどね、それが君の『本命』なんじゃないか!!」
そう、三年生は格上の相手だ。その相手と戦えるのなら、練習としては申し分ない。
「それに、これなら生徒会長VS副会長というカードも作れますよ?」
俺はそう言うと、教室の中からこちらを伺っている蒼井さんに視線を飛ばす。
少しだけ驚いた彼女に、俺は頭を下げる。
「はぁ、全く。やってくれたよね桐崎副会長」
怜音先輩はそう言うと、軽くため息を吐いた。
「これじゃあこっち側のカードの方が弱い。君には『ひとつ貸し』にしてあげるよ」
「良いんですか?」
俺がそう言うと、怜音先輩は笑う。
「君に融通するはずの縄を、こちらも使えることになるんだ。実質的には私は何もしていないのと一緒だ」
君と私はあくまでも対等の関係だ。そうだろ、桐崎悠斗生徒会副会長?
怜音先輩はそう言うと、俺に背中を向ける。
「私のクラスには合同練習の話は通しておく。なに、空を使えば楽勝だ」
「ありがとうございます」
俺はそう言って頭を下げる。
そんな俺に怜音先輩言った。
「本当に、君と言う男と居ると楽しいね。だが、男女の中になるよりは、こうした関係の方が、やはり良いのかもしれないね」
そんな捨て台詞を残して、怜音先輩は蒼井さんの元へと向かった。
とりあえず、俺の目的は達成出来た。
はぁ……本当に、あの人と話すと疲れるんだ……
次の時間の練習の前から、俺はヘトヘトになってしまったのだった。
五時間目の授業を終え、俺はあらかじめ昼休みの内にメッセージを送っていた『あの人』へ会いに行った。
『三年三組』
俺は目的の場所へと辿り着くと中の先輩たちに声を掛ける。
「皆さんすみません!!二年一組、生徒会の副会長の桐崎悠斗です。三輪怜音先輩はいらっしゃいますか?」
俺のその声に、中の先輩たちが一斉にこっちを見る。
うわ、こえー
その光景に心臓が縮みそうになるが我慢する。
「やぁ、悠斗くん。どうしたんだよ、私の教室に来て」
ニマニマと笑いながら、怜音先輩が俺の元へと歩いてくる。
「怜音先輩。俺の名前呼びを許したつもりはありませんが?」
半眼で睨む俺に、怜音先輩は笑う。
「王子様くんの一件が解決したら名前で呼んでいいって言ったじゃないか?」
「いや、まだ解決してませんよね?」
あの記事一枚で解決した。なんて言ったらちょっと強引すぎるだろ……
「ちぇーマイダーリンはケチだねぇ……」
なんて言う怜音先輩。いや、ダーリンでも無いんですが……
「はぁ……話が進まないんで、もう良いです。あのですね、ここに来たのには理由があるんですよ」
「綱引きの綱と大縄跳びの縄。今日の六時間目のLHRで三年が確保しそうな部分を君に融通して欲しい。その事だろ?」
怜音先輩はそう言うとニヤリと笑う。
「はぁ、最初からわかってるなら俺で遊ばないでください」
「良いじゃないか。君と私のコミュニケーションだよ」
バンバンと肩を叩く怜音先輩。
そんな先輩が続ける。
「で、君に縄を融通する手筈を整えてあげてる。既に私が君のために『力を貸している』状態だ。この状況下で、君は私に何を提示してくれるのかな?」
怜音先輩にはあらかじめこうメッセージを送ってある。
『六時間目のLHRで大縄跳びと綱引き用の縄をうちのクラスに融通してください。怜音先輩が喜ぶ手土産を持っていくことを約束します』と。
こちらの力が弱い状況での交渉になる。
だが、こちらが持っているカードが強いと踏んでいるので、賭けの要素は低いと判断した。
それよりも、確実に縄の確保に動いた方が良いと思ったからだ。
「今日のLHRでの体育祭の練習で、俺のクラスと星くんのクラスは『合同練習』をする手筈になってます」
「……へぇ、それで?」
ニヤリと笑う怜音先輩。よし、興味を引き出せた。
「本来なら俺のクラスと星くんのクラスは味方同士です。ですが、俺は彼に提案しました。『綱引きの練習として、君のクラスと戦おう』と」
「なるほどね。つまり、君は私に新聞記事のネタを提供する。と言いたいんだね?」
「はい。『女たらしのハーレム王』VS『学園の王子様』綱引きで雌雄を決する!! なかなか面白そうな見出しだと思いませんか?」
そう、これが怜音先輩に俺が提示するカード。
きっと食いついてくれるはずだと思っている。
「ふむ。なかなか面白いカードだね。これなら君に『縄を融通する』と言う行為に対しての対価としては申し分無い」
「ありがとうございます」
そして、怜音先輩は俺に聞いてきた。
「だが、これなら君は『メッセージで済ませるだけ』でも良かったはずだ。わざわざこのに来たのには『理由』があるんじゃないか?」
ははは。やはりこの人は頭がキレる。
『縄を貸出す対価』として、俺の出したカードが、怜音先輩の『お気に召さなかった』場合の手立てを持ってきていた。
「怜音先輩と俺のクラスは体育祭では味方ですよね?」
「そうだね。同じ奇数のクラスだ」
その言葉に俺はニヤリと笑う。
「俺たちと合同練習をしませんか?」
「……くく……ははははは!!!!」
怜音先輩は俺の提案に笑った。
「なるほどね、それが君の『本命』なんじゃないか!!」
そう、三年生は格上の相手だ。その相手と戦えるのなら、練習としては申し分ない。
「それに、これなら生徒会長VS副会長というカードも作れますよ?」
俺はそう言うと、教室の中からこちらを伺っている蒼井さんに視線を飛ばす。
少しだけ驚いた彼女に、俺は頭を下げる。
「はぁ、全く。やってくれたよね桐崎副会長」
怜音先輩はそう言うと、軽くため息を吐いた。
「これじゃあこっち側のカードの方が弱い。君には『ひとつ貸し』にしてあげるよ」
「良いんですか?」
俺がそう言うと、怜音先輩は笑う。
「君に融通するはずの縄を、こちらも使えることになるんだ。実質的には私は何もしていないのと一緒だ」
君と私はあくまでも対等の関係だ。そうだろ、桐崎悠斗生徒会副会長?
怜音先輩はそう言うと、俺に背中を向ける。
「私のクラスには合同練習の話は通しておく。なに、空を使えば楽勝だ」
「ありがとうございます」
俺はそう言って頭を下げる。
そんな俺に怜音先輩言った。
「本当に、君と言う男と居ると楽しいね。だが、男女の中になるよりは、こうした関係の方が、やはり良いのかもしれないね」
そんな捨て台詞を残して、怜音先輩は蒼井さんの元へと向かった。
とりあえず、俺の目的は達成出来た。
はぁ……本当に、あの人と話すと疲れるんだ……
次の時間の練習の前から、俺はヘトヘトになってしまったのだった。
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