220 / 292
第2章
番外編 ⑧ ~星くんの恋愛相談~
しおりを挟む
番外編 ⑧
聖女様視点
パチパチパチ……
夕刻。私は自室でノートパソコンを起動させ、悠斗くんから依頼された『脚本』の執筆をしていました。
『学園の王子様が深緑の令嬢を救い出す』
ふふふ……こういう甘々のラブストーリーと言うのは元々はそこまで造詣(ぞうけい)が深い訳では無いですが、悠斗くんの影響で、ライトノベルを嗜む様になってからというもの、そういうのも好きになってきました。
彼の色に染められてしまっていますね。
なんてことを思いながら、私は執筆を続けます。
話の内容としてはこうです。
思慮深く、他者への主やりに溢れる一方で、自分の気持ちを表に出すことが苦手な女の子。緑を愛する彼女は深緑の令嬢と呼ばれていました。
そんな彼女に、密かに思いを寄せていた王子様でしたが、彼には親が決めた許嫁が居ました。
見ているだけでいい。そう思っていた王子ですが、事情が変わりました。
深緑の令嬢に手を出そうとする他国の王子が現れたのです。
敵対関係にある国。ですが、深緑の令嬢はその王子の誘いをなかなか断りきれません。
そう。令嬢は自分の気持ちを表に出すのが苦手なのです。
その様子を見た王子は立ち上がりました。
彼女の危機は自分が救う。親が決めた許嫁の存在など関係ない。自分が真に愛するのは彼女だ。
王子はその令嬢の元へと走り出しました。
「……ふぅ」
私はノートパソコンを閉じて一つ息を吐きだしました。
物語の出足としてはこのような感じで良いでしょう。
ミステリー小説しか読んでない頃の私では、こんな話は書けなかったでしょうね。
ちなみに、個人的な執筆活動で書いているのは、私と悠斗くんが甘々でラブラブな夢小説と言うものです。
こ、こんなものは彼に見せる訳には行きませんっ!!
チラリとスマホを見ると、メッセージが届いていました。
内容を確認すると、悠斗くんからで、新聞部の協力を取り付けることが出来た。
そういう内容でした。
ふふふ。流石は悠斗くん。新聞部の三輪先輩はかなりのやり手です。そんな彼女をやり込めるのは相当大変だったと思います。それをしっかりやり遂げるとは、予算会議の時も思いましたが、やはり彼は凄いです。
そして、私はふと思いました。
「演劇部にも協力を取り付けることが出来ないですかね?」
先日。彼の元に演劇部の部長さんが来ていました。
……女たらしのハーレム王の悠斗くんは彼女をしっかりと堕としていましたね。
「この一連の一幕を『演劇部の出し物の一環とする』そうすれば作戦の成功率はかなり上がるのでは?」
そうすればこの脚本の使い道も出来ますし。
せっかく書くのですから、今後も有効活用してもらいたいです。
そう考えた私は早速悠斗くんにメッセージを送りました。
すると、すぐに既読が着き、彼から返信が来ました。
『ありがとう、詩織さん!!そのアイディアはすごく良いと思う!!今日はもう遅いからアレだけど、明日にでも演劇部の永瀬先輩に話をしに行ってくるよ!!』
ふふふ。彼の役に立つことが出来ました。
私は満足感を胸に抱いて、笑いました。
『お役に立てて光栄です。……あ、悠斗くん。この件にかこつけて、演劇部の永瀬先輩を口説いてはいけませんよ?』
と、少しだけ冗談ぽく注意をしておきました。
彼は無自覚に女の子を堕としてしまいますからね。
……全く。仕方の無い人です!!
『口説かないから!!』
そんな返信がすぐに来ました。
ふふふ。楽しいですね。一年前では考えられないような関係性の変化です。
私はそう考えながら外を見ました。
高層マンションから見る景色は、とても綺麗です。
そう、これはまではそんなことを気にすることすら無かったです。
今度の日曜日は悠斗くんとデートです。
この部屋に彼を呼んで……告白をします。
正攻法で彼にアプローチをかけましょう。
「……デートと言うのはどうしたら良いのでしょうか」
私はスマホを掴んで、彩さんにメッセージを送りました。
『デートについて教えてください!!!!』
そして私は、友人の彩さんと遅くまでメッセージのやり取りをしていました。
聖女様視点
パチパチパチ……
夕刻。私は自室でノートパソコンを起動させ、悠斗くんから依頼された『脚本』の執筆をしていました。
『学園の王子様が深緑の令嬢を救い出す』
ふふふ……こういう甘々のラブストーリーと言うのは元々はそこまで造詣(ぞうけい)が深い訳では無いですが、悠斗くんの影響で、ライトノベルを嗜む様になってからというもの、そういうのも好きになってきました。
彼の色に染められてしまっていますね。
なんてことを思いながら、私は執筆を続けます。
話の内容としてはこうです。
思慮深く、他者への主やりに溢れる一方で、自分の気持ちを表に出すことが苦手な女の子。緑を愛する彼女は深緑の令嬢と呼ばれていました。
そんな彼女に、密かに思いを寄せていた王子様でしたが、彼には親が決めた許嫁が居ました。
見ているだけでいい。そう思っていた王子ですが、事情が変わりました。
深緑の令嬢に手を出そうとする他国の王子が現れたのです。
敵対関係にある国。ですが、深緑の令嬢はその王子の誘いをなかなか断りきれません。
そう。令嬢は自分の気持ちを表に出すのが苦手なのです。
その様子を見た王子は立ち上がりました。
彼女の危機は自分が救う。親が決めた許嫁の存在など関係ない。自分が真に愛するのは彼女だ。
王子はその令嬢の元へと走り出しました。
「……ふぅ」
私はノートパソコンを閉じて一つ息を吐きだしました。
物語の出足としてはこのような感じで良いでしょう。
ミステリー小説しか読んでない頃の私では、こんな話は書けなかったでしょうね。
ちなみに、個人的な執筆活動で書いているのは、私と悠斗くんが甘々でラブラブな夢小説と言うものです。
こ、こんなものは彼に見せる訳には行きませんっ!!
チラリとスマホを見ると、メッセージが届いていました。
内容を確認すると、悠斗くんからで、新聞部の協力を取り付けることが出来た。
そういう内容でした。
ふふふ。流石は悠斗くん。新聞部の三輪先輩はかなりのやり手です。そんな彼女をやり込めるのは相当大変だったと思います。それをしっかりやり遂げるとは、予算会議の時も思いましたが、やはり彼は凄いです。
そして、私はふと思いました。
「演劇部にも協力を取り付けることが出来ないですかね?」
先日。彼の元に演劇部の部長さんが来ていました。
……女たらしのハーレム王の悠斗くんは彼女をしっかりと堕としていましたね。
「この一連の一幕を『演劇部の出し物の一環とする』そうすれば作戦の成功率はかなり上がるのでは?」
そうすればこの脚本の使い道も出来ますし。
せっかく書くのですから、今後も有効活用してもらいたいです。
そう考えた私は早速悠斗くんにメッセージを送りました。
すると、すぐに既読が着き、彼から返信が来ました。
『ありがとう、詩織さん!!そのアイディアはすごく良いと思う!!今日はもう遅いからアレだけど、明日にでも演劇部の永瀬先輩に話をしに行ってくるよ!!』
ふふふ。彼の役に立つことが出来ました。
私は満足感を胸に抱いて、笑いました。
『お役に立てて光栄です。……あ、悠斗くん。この件にかこつけて、演劇部の永瀬先輩を口説いてはいけませんよ?』
と、少しだけ冗談ぽく注意をしておきました。
彼は無自覚に女の子を堕としてしまいますからね。
……全く。仕方の無い人です!!
『口説かないから!!』
そんな返信がすぐに来ました。
ふふふ。楽しいですね。一年前では考えられないような関係性の変化です。
私はそう考えながら外を見ました。
高層マンションから見る景色は、とても綺麗です。
そう、これはまではそんなことを気にすることすら無かったです。
今度の日曜日は悠斗くんとデートです。
この部屋に彼を呼んで……告白をします。
正攻法で彼にアプローチをかけましょう。
「……デートと言うのはどうしたら良いのでしょうか」
私はスマホを掴んで、彩さんにメッセージを送りました。
『デートについて教えてください!!!!』
そして私は、友人の彩さんと遅くまでメッセージのやり取りをしていました。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説


十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~
味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」
春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。
そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか)
今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。
「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」
そう言う俺に、
「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」
と笑顔で言い返して来た。
「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」
「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」
パタン
俺は玄関の扉を閉めた。
すると直ぐに
バンバンバン!!!!
と扉を叩く音
『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』
そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。
はぁ……勘弁してくれよ……
近所の人に誤解されるだろ……
俺はため息をつきながら玄関を開ける。
そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。
腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる