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第2章
第七話 ⑩ ~悠斗くんとの初めてのデート~ 詩織視点
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第七話 ⑩
「こんばんは、彩さん。夜分に電話して申し訳ありません」
『こんばんは、しおりん!!全然平気だよ!!』
悠斗くんが居なくなった私の部屋。
私は今日のことを話すために、彩さんに電話をしました。
『今日は桐崎くんとデートだったんだよね?どうだった!!??』
「はい。とても楽しかったです。それに、目的の告白もすることが出来ました」
私は電話越しで彩さんに報告をしました。
今日のデートのことは、彩さんにも相談をしてました。
服装や行く時間。食べ物の指南も受けています。
……ガーリックライスを頼まなかったのは、彼女の注意のお陰でもあります。
『告白も出来たんだね!!その様子だと……なにか進展があったように思えるけど』
「はい。私としてはとても満足が行く結果を得ることが出来ました」
流石は彩さん。私の声色だけで何かがあったと察して頂いたようです。
『……ただ振られただけじゃないね?何があったか話してくれるの?』
「はい。そのために電話をしましたので」
私はそう言うと、彩さんにこの部屋での出来事を話しました。
『そろそろ帰ろうかと思うんだ』
衣類の乱れを直しながら、悠斗くんが私にそう言いました。
『そうですか。……あら、もうこんな時間だったんですね』
時計の針は二十時を差していました。
あらあら……じっくりと三時間は彼を堪能してしまったようです。
悠斗くんの味が残る口の中。私は幸せを嚥下しました。
『あまり遅いと雫が心配するからね』
……雫。妹さんの名前でしたね。
まぁ、許しても良いと思いましたが、少しだけイジワルをしても良いと思いました。
『……私の前でほかの女の名前を出さない。まだ悠斗くんはわかってないみたいですね?』
『……ごめん』
ふふふ。申し訳なさそうに言う悠斗くんに私はそっと近寄りました。
『これはおしおきです』
『……っ!!』
私はそう言うと、悠斗くんの首筋に唇を押し当てました。
キスマーク。彼が私のものだと言う証を刻みつけます。
悠斗くんから嫌がる素振りは見えません。
寧ろ、悦んでいるようにも思えました。
そして、私は彼の首筋から唇を離しました。
そこにはくっきりと紅い印が着いています。
ふふふ……やりました。
『悠斗くんの身体は私のものです』
『そうだね。心以外は君にあげたからね』
彼はそう言うと帰り支度を始めました。
私がお貸しした小説は、紙袋に入れてあります。
『じゃあまた明日。教室で会おうか』
そう言う悠斗くんに、私は笑います。
『そのうち。心も全て私のものにしてみせます』
部屋を出ていく彼の背中に、私はそう言ってさよならをしました。
「……ということがありました」
『……マジで』
私が説明を終えると、彩さんは驚いて言葉を失って居ました。
『正直な話。しおりんがそこまで桐崎くんの心の中に踏み込めたってのはすごいと思う』
「……偶然。彼のお母様が書いていた小説を、私が大切に思っていた。これが大きかったと思います」
そう。あの一件が無ければ、こんなことにはなってないなかった。そう思います。
『だよね。桐崎くんが片親だって話は知ってたけど。お母さんがもう他界してて、ミステリー作家だったなんてのは知らなかったし。それを聞いて私も驚いたけど。あ、しおりんから聞いたってのは言わないよ?てか、しおりんと桐崎くんのツーショット写真でみんな盛り上がってたけど、それ以上のことが起きてたなんて、私はびっくりだよ!!』
「……え?あの写真が出回ってるんですか」
私は言葉を失いました。
…………え?…………あの私がすごく変な顔をしてる…………あの写真が!!??
『うん。桐崎くんのSNSを経由して、うちのクラスのグループで共有してる。それをあかりんも見てるよ。『随分と楽しそうにしてるみたいだね、悠斗』ってメッセージ流してたよ』
「……あぁ」
あ、朱里さんに多少なりともダメージを与えたことは良しとしましょう。
ですが、こちらが負ったダメージも甚大です……
『……ねぇ、しおりん。明日からはどうするつもりなの?』
「はい。いつも通りで行こうかと思います」
彩さんの問に、私はそう答えます。
悠斗くんの『身体』は手に入りました。
ですが、私が欲しいのは彼の『心』です。
ここで変な行動を取ってしまっては、それが叶わなくなってしまいます。
『うん。それがいいと思う。ここでみんなの前でキスするとかしたらダメだよ?』
「そ、そんな事しません!!」
そ、そういうことは二人きりの時とかにしようと思っています。
さっきまで自室でやっていた行為も、今思えばかなり理性が飛んでいたと思います……
『あはは。なんかしおりん見てたら私も彼氏が欲しくなっちゃったなぁ』
そんなことを言う彩さん。
彩さんのように、美人で明るい人柄なら、すぐに彼氏なんて出来そうですが……
……そうです。彼女が好きだった人は、悠斗くんでした。
「……彩さんに、良い出会いがある事を祈ってます」
『あはは。ありがとう、しおりん!!』
私は時計を見ました。
たっぷりと話していたようで、時刻は二十三時でした。
『あちゃー。かなり話しちゃってたね』
「そうですね。私も驚きました」
私たちは二人で笑いました。
『それじゃあしおりん。私は寝るね』
「はい。私も寝ます」
『おやすみなさい、しおりん』
「はい。おやすみなさい、彩さん」
私はそう言って通話を閉めました。
「……ふう」
私は息を一つ吐き出しました。
目を閉じると、悠斗くんの暖かさと味が蘇ります。
あぁ……思い出すともう恋しくなりました。
明日の教室が待ち遠しいです。
そう、二人きりなら彼と蜜な時間を過ごしても許されます。
悠斗くんも受け入れてくれると思います。
ふふふ……あぁ……早く明日になって欲しいです……
「早く……悠斗くんが欲しいです」
私はそう呟いて、眠りにつきました。
「こんばんは、彩さん。夜分に電話して申し訳ありません」
『こんばんは、しおりん!!全然平気だよ!!』
悠斗くんが居なくなった私の部屋。
私は今日のことを話すために、彩さんに電話をしました。
『今日は桐崎くんとデートだったんだよね?どうだった!!??』
「はい。とても楽しかったです。それに、目的の告白もすることが出来ました」
私は電話越しで彩さんに報告をしました。
今日のデートのことは、彩さんにも相談をしてました。
服装や行く時間。食べ物の指南も受けています。
……ガーリックライスを頼まなかったのは、彼女の注意のお陰でもあります。
『告白も出来たんだね!!その様子だと……なにか進展があったように思えるけど』
「はい。私としてはとても満足が行く結果を得ることが出来ました」
流石は彩さん。私の声色だけで何かがあったと察して頂いたようです。
『……ただ振られただけじゃないね?何があったか話してくれるの?』
「はい。そのために電話をしましたので」
私はそう言うと、彩さんにこの部屋での出来事を話しました。
『そろそろ帰ろうかと思うんだ』
衣類の乱れを直しながら、悠斗くんが私にそう言いました。
『そうですか。……あら、もうこんな時間だったんですね』
時計の針は二十時を差していました。
あらあら……じっくりと三時間は彼を堪能してしまったようです。
悠斗くんの味が残る口の中。私は幸せを嚥下しました。
『あまり遅いと雫が心配するからね』
……雫。妹さんの名前でしたね。
まぁ、許しても良いと思いましたが、少しだけイジワルをしても良いと思いました。
『……私の前でほかの女の名前を出さない。まだ悠斗くんはわかってないみたいですね?』
『……ごめん』
ふふふ。申し訳なさそうに言う悠斗くんに私はそっと近寄りました。
『これはおしおきです』
『……っ!!』
私はそう言うと、悠斗くんの首筋に唇を押し当てました。
キスマーク。彼が私のものだと言う証を刻みつけます。
悠斗くんから嫌がる素振りは見えません。
寧ろ、悦んでいるようにも思えました。
そして、私は彼の首筋から唇を離しました。
そこにはくっきりと紅い印が着いています。
ふふふ……やりました。
『悠斗くんの身体は私のものです』
『そうだね。心以外は君にあげたからね』
彼はそう言うと帰り支度を始めました。
私がお貸しした小説は、紙袋に入れてあります。
『じゃあまた明日。教室で会おうか』
そう言う悠斗くんに、私は笑います。
『そのうち。心も全て私のものにしてみせます』
部屋を出ていく彼の背中に、私はそう言ってさよならをしました。
「……ということがありました」
『……マジで』
私が説明を終えると、彩さんは驚いて言葉を失って居ました。
『正直な話。しおりんがそこまで桐崎くんの心の中に踏み込めたってのはすごいと思う』
「……偶然。彼のお母様が書いていた小説を、私が大切に思っていた。これが大きかったと思います」
そう。あの一件が無ければ、こんなことにはなってないなかった。そう思います。
『だよね。桐崎くんが片親だって話は知ってたけど。お母さんがもう他界してて、ミステリー作家だったなんてのは知らなかったし。それを聞いて私も驚いたけど。あ、しおりんから聞いたってのは言わないよ?てか、しおりんと桐崎くんのツーショット写真でみんな盛り上がってたけど、それ以上のことが起きてたなんて、私はびっくりだよ!!』
「……え?あの写真が出回ってるんですか」
私は言葉を失いました。
…………え?…………あの私がすごく変な顔をしてる…………あの写真が!!??
『うん。桐崎くんのSNSを経由して、うちのクラスのグループで共有してる。それをあかりんも見てるよ。『随分と楽しそうにしてるみたいだね、悠斗』ってメッセージ流してたよ』
「……あぁ」
あ、朱里さんに多少なりともダメージを与えたことは良しとしましょう。
ですが、こちらが負ったダメージも甚大です……
『……ねぇ、しおりん。明日からはどうするつもりなの?』
「はい。いつも通りで行こうかと思います」
彩さんの問に、私はそう答えます。
悠斗くんの『身体』は手に入りました。
ですが、私が欲しいのは彼の『心』です。
ここで変な行動を取ってしまっては、それが叶わなくなってしまいます。
『うん。それがいいと思う。ここでみんなの前でキスするとかしたらダメだよ?』
「そ、そんな事しません!!」
そ、そういうことは二人きりの時とかにしようと思っています。
さっきまで自室でやっていた行為も、今思えばかなり理性が飛んでいたと思います……
『あはは。なんかしおりん見てたら私も彼氏が欲しくなっちゃったなぁ』
そんなことを言う彩さん。
彩さんのように、美人で明るい人柄なら、すぐに彼氏なんて出来そうですが……
……そうです。彼女が好きだった人は、悠斗くんでした。
「……彩さんに、良い出会いがある事を祈ってます」
『あはは。ありがとう、しおりん!!』
私は時計を見ました。
たっぷりと話していたようで、時刻は二十三時でした。
『あちゃー。かなり話しちゃってたね』
「そうですね。私も驚きました」
私たちは二人で笑いました。
『それじゃあしおりん。私は寝るね』
「はい。私も寝ます」
『おやすみなさい、しおりん』
「はい。おやすみなさい、彩さん」
私はそう言って通話を閉めました。
「……ふう」
私は息を一つ吐き出しました。
目を閉じると、悠斗くんの暖かさと味が蘇ります。
あぁ……思い出すともう恋しくなりました。
明日の教室が待ち遠しいです。
そう、二人きりなら彼と蜜な時間を過ごしても許されます。
悠斗くんも受け入れてくれると思います。
ふふふ……あぁ……早く明日になって欲しいです……
「早く……悠斗くんが欲しいです」
私はそう呟いて、眠りにつきました。
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