学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第七話 ② ~悠斗くんとの初めてのデート~ 聖女様視点

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 第七話  ②





 私は自宅を後にすると、駅へと向かって歩いて行きました。
 自転車に乗ることも考えましたが、スカートですので辞めました。
 歩いて十分も掛からない程度の距離ですのでそこまで苦ではありません。

 悠斗くん以外の人間に、中を見せるつもりは毛頭ありませんし、吐き気がします。

 そんなことを考えていると、駅へとたどり着きました。

 電車の時刻を確認すると、そこまで待たずに乗れそうでした。

 私は構内を歩き、そして電車を待ちます。

「.....っくし」

 小さくくしゃみが出ました。
 嫌ですね。花粉症ではありませんが、あれは突然なると聞いたことがあります。
 鼻が垂れてる姿を悠斗くんに見られたくありません。マスクをつけてる姿も同様です。
 彼にはいつだって、最高に可愛い私を見てもらいたい。そう思ってますから。

 ふふふ。自分の見た目に感謝したことは今まであまりありませんでしたが、少なくとも朱里さんに見劣りするような見た目ではありません。
 十分以上に戦えると思っています。
 見目よく産んでくれた親に、初めて感謝しました。

 そうこうしていると、電車がやって来ました。

 休日のそれなりに早い時間の電車は空いていました。ですが、スカートがシワになると嫌なので、立っていることにしました。

 私はまだ体験がありませんし、そんなことをされたくないので、満員電車と言うのは避けるようにしています。

 自分の身体を、好きな人以外に触らせたくはありません。

 私が彼以外の男を嫌悪する理由の一つでもありますね。まったく。汚らわしい。女性の敵です。

 そんなことを考えながら、私は少しだけ外を眺て、流れていく景色を楽しみます。
 本は読みません。万が一にも乗り過ごしなどしたくありませんから。
 悠斗くんとのデート。と頭の中が全て彼でいっぱいなので、乗り過ごしは無い。と考えていますが、念には念を入れます。

 そうしていると、悠斗くんが住んでいる場所の最寄り駅に到着しました。

 その駅で、彼が電車に乗ってくることはありませんでした。

 なるほど。そうすると、悠斗くんの方がこの電車より前のものに乗っていた可能性が高そうです。

 流石にこの電車より後。ということは無いでしょう。遅刻してしまいますからね。
 彼に限って、そういうことは無いと思っていますので。

 .....無いですよね?


 なんてことを考えていると、目的地の駅へと到着しました。
 大丈夫です。キチンと降りられますよ。

 私は開いた扉から電車を降りて、バスターミナルのある駅口へと向かいます。

 今日の目的地はあのショッピングモールです。

 以前、そこの本屋さんで買い物をした際に、品揃えがとても良かったのを覚えています。
 それに、イートインも充実していましたので、一日を過しても楽しめる。そう考えました。

 ですので、この後は二人でバスに乗って、ショッピングモールへと向かう予定です。

 そして、私がバスターミナルの方へ歩いて行くと、悠斗くんの後ろ姿が見えました。

 やはり彼の方が先に来ていたようです。

 そして、悠斗くんはとてもオシャレな格好と、拘った髪型をしています。
 私は嬉しさが込み上げてきました。

『悠斗くんも私とのお出掛けを楽しみにしてくれている』

 その事がわかり、私の心が弾みました。

「おや.....誰かと話しているのでしょうか?」

 悠斗くんはスーツ姿の男性と話しているようです。
 少しだけ親しげに見えます。どうやら、完全な初対面。ではなさそうです。

 二人の邪魔にならないように、少し離れたところでその様子を眺めていました。

 すると、スーツ姿の男性と目が合いました。

 少しだけ私を品定めするような目をしてます。
 ·····不愉快ですね。

 しかし、その男性は直ぐに私から視線を外しました。どうやら、そこまで失礼な男性ではなさそうです。

 そして、その男性は悠斗くんに何かを告げたように見えました。

 その声に反応した彼は、少し驚いたように「.....え?」と言ってこちらを向きました。

 眼鏡姿の悠斗くんです!!カッコイイ!!

 なんて言葉を飲み込みながら、

「あ、すみません。お二人のお邪魔をしてしまいましたか?」
「し、詩織さん……」

 悠斗くんの視線が私に向きました。私の姿を見て、かなり驚いている様子です。

「彼女にモデルの依頼をしたい。と思うくらいだけど、そう言うのが好きそうなタイプじゃなさそうだ。むしろ嫌いなくらいだろう」

 スーツ姿の男性が私を見てそう言いました。

 当然です。何度かそういう話を頂いたことはありますが、すべて断ってます。
 その程度の分別はあるようですね。

「そうですね。だと思います」

 悠斗くんもそれはわかっていたのでしょう。そう答えてくれました。

「じゃあ、気が向いたら妹の店に行って見てくれ。では、桐崎くん、さようなら」

 妹の店?なんでしょうか。少しだけ気になる言葉を残して、スーツ姿の男性は去って行きました。
 私は悠斗くんと向き合い、彼をからかうことにしました。


「……妹のお店。悠斗くん。えっちなお店ですか?」
「違うから!!」

 半眼で見つめる私に、悠斗くんが焦ったような声で否定しました。
 ふふふ。わかってますよ?

「ふふふ。わかってますよ。からかっただけです」

 と、私は彼に微笑みを向けました。

「……っ!!」

 それを見た悠斗くんは、すごく驚いた表情をした後、顔を赤く染めました。

 ふふふ。意識していただけてるようです。


 私は悠斗くんのその反応に、手応えを感じました。

 この調子で今日は一日頑張って行きましょう。

 幸先の良いスタートをきれた私はとても良い気持ちでいました。
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