学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第七話 ① ~詩織さんとの初めてのデート~ 悠斗視点

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 第七話  ①





 日曜日の朝。俺は洗面台の前で身だしなみを整えていた。

 今日の朱里はバスケ部の試合がある日だった。

 怪我が無ければレギュラーの彼女はスタメンで活躍していたが、まだ無理は出来ないので、ベンチで待機だ。

『試合に出ないのに応援はいいよ』

 と、言われていたので今日の俺に予定は無かった。

 そういうこともあり、詩織さんを買い物に誘った訳だ。

 一応。朱里には今日詩織さんと買い物に出掛けることは言ってある。

『別にいいよ。予算会議を見たらわかるよ。詩織ちゃんが居なかったら無理だったと思うし』
『それに、昔よりは私。詩織ちゃんのこと嫌いじゃないんだ』

 さらに昔は敬愛していたくらいだけど。

 と、笑っていたが。

『今では良いライバルだと思ってるくらいだしね』

 そう言って、俺を送り出してくれた。


 そんな彼女を裏切る訳には行かない。

 とは言っても、全く楽しみじゃない。という訳でも無い。

 趣味の合う友達と買い物に出かける。普通に楽しみなイベントだ。まぁ……その相手がとんでもない美少女で、尚且つ俺に恋愛的な好意を持ってるってのがアレなんだが……

「おはようおにぃ。……あれ、どうしたの?、今日は朱里ちゃんは試合だし、予定無かったよね?」

 と、起きていた雫から後ろから声を掛けてくる。

「あぁ、そう言えば話してなかったね。今日は詩織さんと買い物に出掛けるんだ」

 朱里も了承してる。

 俺がそう言うと、雫は少しだけ目を細める。

「ふーん。で、それがその格好と」
「うん」


 俺は鏡の前に映った自分の姿を見る。

 オシャレを意識した服装。自分をカッコよく見せられるデート用の髪型。そこに『眼鏡』を着けている。

 学園の聖女様。なんて言われているくらいのとんでもない美少女の隣を歩くんだ。それなりの格好をしないと恥ずかしい。
 ただ、朱里とのデートとは違うんだ。

 なので、今日はコンタクトレンズでは無く、眼鏡にしてある。

「はぁ……朱里ちゃんが良いって言ってるなら別にいいよ。側室にも時間を作ってあげる余裕が本妻には必要だからね」
「あはは……」

 ため息混じりにそんなことを言う雫に、俺は苦笑いを浮かべる。

 そして、俺はいつものデートで用意している物が入ったカバンを手にする。

 お金は買い物をする予定なので、いつもより多めに入れてある。

 最近はソシャゲを引退(無課金ログイン勢になった)したので、それなりに余裕がある。ただ、夏休みのことも考えると、あまり無駄遣いはしたくない。

 まぁ、今日は初めて二人で出掛けるんだ。せっかくの機会だ。お金のこととか気にしないで楽しもう。

 時計を見ると、八時半を指していた。

 集合は十時に駅前。

 今から出れば九時半には着ける予想だ。

 彼女を待たせると、悪い虫が寄ってくるのが容易に想像出来る。
 朝から不愉快な気分なんかさせたくないからな。早めに行こう。
 俺が待つ分にはなんの問題も無いわけだし。

 俺はそう結論付けると、玄関へと向かう。

 その後ろを雫が着いてきてくれる。

 見送ってくれるんだな。

 俺は少しだけ嬉しくなった。

「それじゃあ、行ってくるよ」
「うん。『節度を持って』楽しんで来てね」
「それはわかってる。朱里を裏切ることはしない。約束するよ」

 真剣な表情で俺は言葉を返した。

「はぁ……行ってらっしゃい、おにぃ」
「うん。行ってきます」




 俺はそう言うと、玄関の扉を開ける。

 外は快晴。雨が降らなくて良かった。

 俺はそう思いながら、愛車のポチに跨り、駅へと向かった。


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