学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第六話 ⑨ ~反省を活かして応対の仕方を変えました……~

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 第六話  ⑨



「……ねぇ悠斗。良かったの?」
「え……何が?」

 怜音先輩が去った後、朱里が俺に聞いてくる。

「え……もしかして悠斗。わかってない?」
「……また、俺何かやらかしたんですか?」

 どっかの異世界転生主人公みたいな発言をする俺。

「多分だけど、悠斗が予想した順位じゃないと思う……」
「……え?だったら……健かな?」

 悪いことしたなぁ……

 なんて思ってると、

「いや……武藤くんでもないよ。多分」
「……え?じゃあ誰?」

 なんて言う俺に、佐藤さんが笑いながら言う。

「ぶっちぎりで爆発して欲しいリア充はいーんちょーになるに決まってるじゃん!!」
「そうですね。多分ですが、悠斗くんだと思いますよ」
「あぁ、俺も悠斗だと思うぞ」

 全員から言われる俺。
 そ、そんな馬鹿な……
 いや、だからさっき怜音先輩はあんな目をしてたのか?

「ま、まぁ……結果が出るまで分からないから……」

 なんてことを言いながら、俺はコップの水を飲み干した。

 喉の乾きは全然癒せなかった……





 五時間目が終わった休み時間。

 ガラリ

 と教室の扉が開く。


「桐崎副会長は居ますかー」

 そう言って、チア部の部長の七瀬(ななせ)先輩がやって来た。

「はい。居ますよ」

 俺はそう言って七瀬先輩に歩み寄る。

 そして、

「えー……お名前と所属する部活とご要件をお願いします」

 そういう俺に、七瀬先輩は首を傾げる。

「あれ?なんか聞いてた話と応対が違くない?」

 そんなことを言う七瀬先輩。

「…………はい。午前中の応対は不適切でしたので、適切なものに変更しました」

 俺の後ろからの二人の視線がかなり痛い。

「そ、そうなんだ……」

 と、苦笑いを浮かべる七瀬先輩。そして、俺が最初に言ったように自己紹介と要件を話し始めた。

「チア部の部長の七瀬です。要件は体育祭での要望と出来高についてです」
「はい。かしこまりました。では要望をどうぞ」

 俺がそう言うと、七瀬先輩は話し始める。

「もうすぐ体育祭だけど、チア部が出来たのは最近だから、体育祭でチアリーリングを見せる時間って確保されてないんだよね」
「そうですね。たしかチア部は七瀬先輩が作った部活ですよね。自分でそうして部活動を作る積極的な姿勢は見習いたいです」

「悠斗!!」「悠斗くん!!」

 う、後ろから『指導』が入る……

「あはは。君も苦労してるね……」
「いえ……すみません」

 苦笑いを浮かべながら、七瀬先輩は続ける。

「生徒会として体育祭の中身に交渉して貰って、チア部のチアリーリングの時間を体育祭に設けて欲しいってのが依頼。そして、良ければそれに出来高を付けてもらいたいな。ってね」
「なるほど……」

 俺は少し思案して、提案する。

「チアリーリングの時間を取るのは可能です。お昼休憩の時間を少し使って、エンターテインメントの一環として皆さんに見てもらう。と言うのが現実的かと。チア部の方々のお昼の時間が少なくなってしまうのが難点ですが。あとはそれに付随して、各種目の応援をチア部が受け持つのはどうでしょうか?」
「どういう意味?」

 首を傾げる七瀬先輩に説明する。

「特定の個人やチームを応援するのではなく、競技者を応援すると言うの名目で、各種目に数名単位で応援を受け持つ感じですね。チア部は12名居ますので4人1組とかでやってみてはどうでしょうか?」
「それは面白そうだね!!」

「そうすれば常にチアリーリングを見れる状態になりますので、七瀬先輩たちのアピールの場にもなりますからね。ちなみに出来高も前向きに検討させてもらいます」

 と、俺はそうして七瀬先輩に提案を終える。

「こんな感じでどうでしょうか?」
「うん。とても参考になったよ!!ありがとう副会長!!」

 そう言うと七瀬先輩は手を振って教室を去っていった。


 それを見送った俺は、ビクビクしながら自分の席へと戻る。

「…………」
「…………」

 無言の圧力が俺を襲う。

「ど、どうでしたか?」

 俺の質問に二人は目を合わせる。
 そして、小さく頷きあった。

 す、すごく仲良くなりましたね……

「30点」
「赤点ギリギリですね」

 チア部を作った七瀬先輩を的確に褒めるような発言はかなり危険だったよね。
 あれを無意識にやってしまうのが悠斗くんの危ないところです。

 なんてことを言い合う二人。


 あ、あれくらい普通……

「あれくらい普通だよね。とか思ってない?悠斗」
「悠斗くんの普通は普通では無いと認識してください」

 悠斗は『その人が言われたら喜ぶこと』ってのを的確にその人に言っちゃうんだよ。

 そう言う朱里。

 だ、ダメなのか……?

「ダメです」

 さ、さっきから心を読まれてないか!?

「女の子ってのは褒めてもらいたいの。認めてもらいたいの。そう言う欲求を的確に満たしてくれる男の子なんて、好きになっちゃうに決まってるじゃん」
「…………はい。気をつけます」

「あ、でも悠斗くん。私にはそう言うのを言っていいですからね?」
「え?なんで」

 そう言う俺に、詩織さんは微笑む。

「もう私は悠斗くんに惚れてしまって居ますので、何を言われても変わりはないですので」
「あ!!ずるい!!詩織ちゃん!!悠斗!!私にも言って良いんだからね!!」

「ふ、二人以外には言わないようにするよ……」


 ずいぶんと仲良くなった……ように見える二人にタジタジになりながら、きっとこういう関係は、ずっと続いていくのかもしれない。と思ったひと幕だった。



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