学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第六話 ⑧ ~お昼ご飯を食べながら、怜音先輩と今後の話をしました~

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 第六話  ⑧




 朱里と詩織さんからこってりと絞られ、クラスメイトからも白い目で見られ、頼みの綱の健にも

「……わりぃ悠斗。あれは俺でも擁護出来ねぇわ」

 とハシゴを外された……

 うん。猛省して気を付けよう……

 お、俺としては『普通』の対応をしたつもりなんだけどなぁ

「おや、悠斗くん。まだ反省が足りてないような顔をしてませんか?」
「……い、いえ!!反省してます!!」
「……悠斗。四番目位までは許せるけど、十とかは無理だよ?」

 わかってる……よね?

「は、はい!!大変申し訳ございません!!」


 そんな会話をしていると、食堂へと到着する。

「お、俺は先に行ってテーブルを確保してくるよ!!」

 俺はそう言うと、いつもの丸テーブルに向けて走り出した。

「あ、悠斗」
「行ってしまいましたね」

 食堂を走るのはマナー違反とはいえ、背に腹はかえられない。

 俺はいつものように空いていたテーブルを確保する。

 雫から貰ったお弁当箱をテーブルに乗せ、水をひとつ取ってきて用意する。

 少しだけ乱れた息を整えていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「やぁ、女たらしのハーレム王……おっと、桐崎副会長殿?」
「……怜音先輩。なんですか?」

 俺はそう言って振り返り、後ろに居た怜音先輩を半眼で睨む。

「いやいや。休み時間の度に、私の同級生を手篭めにしていく桐崎副会長の話はもうかなり出回ってるよ」

 いやぁ、流石はハーレム王。手が早いね。

 なんて言う怜音先輩。

「…………その件に関しましては、多くの人から白い目で見られましたので……今後は気をつけます」
「あはは。その様子だとこってりと絞られたみたいだね?」

 と、怜音先輩は楽しそうに笑っていた。

「それで、一体何の用ですか?まさか、俺をからかいに来ただけでは無いでしょう?」

 俺がそう言うと、怜音先輩は昼ご飯を買って戻って来た面々を見て言う。

「桐崎副会長と少しお話がしたくてね。もし良ければお昼を一緒してもいいかな?」

 その懇願に、朱里と佐藤さん、詩織さんに、健も了承の言葉で返した。

「ありがとう。それじゃあ座らせてもらおうかな」

 と、言って怜音先輩が座ったのは『俺の右隣』だった。

「…………先輩?」
「ん?なんだい、悠斗くん?」

 何しれっと隣を確保してるんですか……
 てか、勝手に人を名前で呼ばないでください……

「え!!悠斗、まさか怜音先輩まで手を出したの!!??」
「悠斗くん!!流石にそれは看過できません!!」

 その様子を見て、ニヤニヤと笑う怜音先輩。

 あーこれが見たくてやったんだな……

「いや、怜音先輩は俺たちをからかって遊んでるだけだよ……」

 俺はそう言うと、怜音先輩に、

「ほら、先輩。そこは朱里の場所なんでどいてください」
「ちぇーわかったよー」

 と言って怜音先輩は俺と正面へと移動して行った。

 そして、俺の両隣には朱里と詩織さんが当然のように座った。

「……では、みんな席に座ったと思うので、食べようか」

 俺がいただきます。と音頭を取り、昼ご飯を食べ始めた。




「で、怜音先輩。俺に何を聞きたいんですか?」

 食事がある程度進んできた頃。俺は怜音先輩にそう切り出した。

「それなんだけどさ。もうすぐ体育祭が始まる訳じゃない?それに向けて記事を書いていこうと思うんだけど、どう言うのがいいかなと思ってね」

 と、怜音先輩は日替わり定食の白身魚のフライを齧りながら言う。

「赤組と白組に別れて戦うので、各チームのリーダーと注目選手のコメントとかを載せたらどうですか?体育祭に向けての意気込みとか」

 と、俺が言うと、怜音先輩は少しだけつまんなそうな顔をする。

「君らしくない面白みの無い意見だねー。そう言うのはさ、もう既にやろうとしてる事だからさ、それとは別のアプローチが良いよね」

「別のアプローチ……」

 少し思案して、俺は言う。

「面白いかはわかりませんが。怜音先輩が喜びそうな案は浮かびましたよ」

 俺がそう言うと、先輩はニヤッと笑う。

「いいね。君のそういう所、私は好きだよ」
「辞めてください。そういうのはほんと困るので……」

 両隣からの視線が痛いんだから、本当に……

「で?どんなアイディアが浮かんだんだい?」

 と、興味深そうに聞いてくる怜音先輩に、俺は話す。

「まずは女性目線で『応援したい異性』というコメントを求めていきましょう。得票数に応じた順位付けなどをしても面白いと思います。あとは完全な匿名ではなく、少し自身を匂わせるような感じで名前を出しても良いと思います」
「ふーん。……で?それだけじゃないんだろ?」

 そう言う怜音先輩に、俺は続ける。

「はい。次は男性目線で『応援したくない同性』まぁ『爆発して欲しいリア充』のコメントを集めましょう」
「……ぶふ!!」

 と、俺の言葉に怜音先輩が吹き出す。

「……まぁ俺の予想ですが、応援したい異性の順位と爆発して欲しいリア充の順位は同じになると思いますが。それが面白いかと思います」

「確かにね」

「まぁ、俺の予想だと、応援したい異性は『サッカー部の星くん』で爆発して欲しいリア充も『サッカー部の星くん』だと思いますが」
「…………へぇ」

 少しだけ目を細める怜音先輩。
 なんだろうか?
 だがすぐに先輩はニヤリと笑みを浮かべた。

「うん。順位予想は私とは違うけど、その案はなかなか面白いね。応援コメントはよく見るけど、応援したくないコメントはなかなかみないからね。そう言うアプローチは嫌いじゃない」

 そう言うと、怜音先輩は空になった食器を持って立ち上がる。

「ありがとう、桐崎副会長。君の意見を取り入れて、早速コメントを求めて取材に行ってくるよ!!」
「はい。お役に立てて光栄です」

 俺はそう言って先輩に頭を下げた。




 だが、後に発行された新聞の内容を見た俺は、頭を下げたことを後悔したのだった……


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