178 / 292
第2章
第五話 ㉚ ~激戦の予算会議~ エピローグ 聖女様視点
しおりを挟む
第五話 ㉚
~エピローグ~
聖女様視点
「さて、皆さん。『裏の予算会議』を始めましょう」
その一言から始まった『裏』の予算会議。
ひと言で現すなら、
『悠斗くんの独壇場だった』
でしょうね。
はぁ……あんなにもかっこいい悠斗くんを間近で見ることが出来たのです。しかもあの悠斗くんの勇姿を、朱里さんは見ることが出来ないのです。私はとても幸せな気持ちでいました。
『生徒会室』
予算会議を無事に終え、会議室の掃除もこなした私たちは生徒会に集まっていました。
疲れきった表情でパイプ椅子の背もたれに体重を預けている悠斗くんと蒼井さん、そんな蒼井さんを心配そうに見ている三輪先輩。
私は座っていた椅子から立ち上がり、悠斗くんの元に歩いて行きます。
「悠斗くん、お疲れ様でした」
「あはは、ありがとう詩織さん。とても疲れたよ」
そう言う悠斗くんは、二ヘラと力なく笑いました。
か、可愛い……っ!!
私は初めて見る彼のその無防備な表情に、トキメキを隠しきれません。
さっきまではあんなにも凛々しい表情をしてたのに、今ではこうして力の抜けた表情をしています。
私はそのギャップにやられてしまいました。
「そ、その……悠斗くん。もし良ければ、なんですが……」
「……ん?何かあるの?」
疑問符を浮かべる悠斗くんに、私は言います。
「ちょ、ちょっとだけ……立って貰えますか?」
と、私は言いました。
「え?うん。わかったよ」
悠斗くんは、そう言うと、私の前に立ち上がりました。
180cm近くある大きな身体。私より20cmくらい大きいです。
そして、私はその悠斗くんの身体を、ぎゅっと抱き締めました。
トレーニングの成果が出ている彼の身体は、とても帰宅部とは思えない、がっしりとしたものでした。
「し、詩織さん……つ!!??」
「え!?黒瀬さんなにしてるの!!??」
私のその行動に、悠斗くんとボーッとしていた蒼井さんが声を上げました。
私は当然。その言葉は無視します。
「私ごときの抱擁では祝福には足りないかも知れませんが、受け取って貰えませんか?」
「……い、いや足りないだなんてそんな……う、うん。ありがとう詩織さん」
そう言う悠斗くんは、少しだけ顔を赤くしてます。
ふふふ。朱里さんより大きい私のが当たってますからね。
……当ててるんですよ?
「悠斗くんが討論をしている姿はとてもかっこよくて、恥ずかしながらこの黒瀬詩織、惚れ直してしまいました」
「そ、そうか……」
「そして、その悠斗くんのために、私も微力ながら役に立てたことがすごく誇らしい気持ちです」
「……微力だなんてそんなことは無いよ。詩織さんが居なかったらと思うと、ゾッとする」
そう言う悠斗くん。
ふふふ。でしたら少しだけ『おねだり』をしてもいいですかね?
「でしたら、その……悠斗くんにお願いがあります」
「……な、なにかな?」
私は真っ赤に染った顔を隠すように、彼の胸に顔を埋めます。
悠斗くんの匂いがいっぱいに広がり、とても幸せな気持ちになります。ですが、私の目的はそこではありません。
「頭を……撫でて貰えませんか?」
私は勇気を出して言いました。
悠斗くんが悩んでるのが伝わってきます。
そして、悩み抜いた上で彼は言ってくれました。
「…………わかった」
「ありがとうございますっ!!」
そして、悠斗くんは、私の頭を優しく撫でてくれます
ゆっくりと、私の事を労るように、撫でてくれました。
好き、好き、好き……悠斗くんが、大好きです……
たっぷりと私の頭を撫でてくれた悠斗くんが、
「そ、そろそろ良いかな?」
と言ってきたので。
「はい。とても満足です。ありがとうございます」
と言って私は離れました。
見上げた悠斗くんの顔は真っ赤でした。
ふふふ……とても、意識していただけたようです。
私は確かな満足を得ることが出来ました。
「それでは、悠斗くん。私はそろそろ自宅に帰ろうかと思います」
私はそう言うと、カバンを手に取りました。
「悠斗くんは朱里さんとお帰りになるでしょうからね、ここでお別れです」
「う、うん」
私はそんな悠斗くんに微笑みを向けます。
「それでは悠斗くん、また明日。教室でお会いしましょう」
私はそう言って、生徒会室を後にしました。
パタンと閉まる扉。
廊下を歩きながら私は思います。
今日は色々なことがありました。
ですが、たいへん多くの収穫が出来ました。
「ふふふ。悠斗くんと一緒に生徒会に入って良かったです」
私はそう呟きながら、晴れやかな気分で帰路へと着きました。
~エピローグ~
聖女様視点
「さて、皆さん。『裏の予算会議』を始めましょう」
その一言から始まった『裏』の予算会議。
ひと言で現すなら、
『悠斗くんの独壇場だった』
でしょうね。
はぁ……あんなにもかっこいい悠斗くんを間近で見ることが出来たのです。しかもあの悠斗くんの勇姿を、朱里さんは見ることが出来ないのです。私はとても幸せな気持ちでいました。
『生徒会室』
予算会議を無事に終え、会議室の掃除もこなした私たちは生徒会に集まっていました。
疲れきった表情でパイプ椅子の背もたれに体重を預けている悠斗くんと蒼井さん、そんな蒼井さんを心配そうに見ている三輪先輩。
私は座っていた椅子から立ち上がり、悠斗くんの元に歩いて行きます。
「悠斗くん、お疲れ様でした」
「あはは、ありがとう詩織さん。とても疲れたよ」
そう言う悠斗くんは、二ヘラと力なく笑いました。
か、可愛い……っ!!
私は初めて見る彼のその無防備な表情に、トキメキを隠しきれません。
さっきまではあんなにも凛々しい表情をしてたのに、今ではこうして力の抜けた表情をしています。
私はそのギャップにやられてしまいました。
「そ、その……悠斗くん。もし良ければ、なんですが……」
「……ん?何かあるの?」
疑問符を浮かべる悠斗くんに、私は言います。
「ちょ、ちょっとだけ……立って貰えますか?」
と、私は言いました。
「え?うん。わかったよ」
悠斗くんは、そう言うと、私の前に立ち上がりました。
180cm近くある大きな身体。私より20cmくらい大きいです。
そして、私はその悠斗くんの身体を、ぎゅっと抱き締めました。
トレーニングの成果が出ている彼の身体は、とても帰宅部とは思えない、がっしりとしたものでした。
「し、詩織さん……つ!!??」
「え!?黒瀬さんなにしてるの!!??」
私のその行動に、悠斗くんとボーッとしていた蒼井さんが声を上げました。
私は当然。その言葉は無視します。
「私ごときの抱擁では祝福には足りないかも知れませんが、受け取って貰えませんか?」
「……い、いや足りないだなんてそんな……う、うん。ありがとう詩織さん」
そう言う悠斗くんは、少しだけ顔を赤くしてます。
ふふふ。朱里さんより大きい私のが当たってますからね。
……当ててるんですよ?
「悠斗くんが討論をしている姿はとてもかっこよくて、恥ずかしながらこの黒瀬詩織、惚れ直してしまいました」
「そ、そうか……」
「そして、その悠斗くんのために、私も微力ながら役に立てたことがすごく誇らしい気持ちです」
「……微力だなんてそんなことは無いよ。詩織さんが居なかったらと思うと、ゾッとする」
そう言う悠斗くん。
ふふふ。でしたら少しだけ『おねだり』をしてもいいですかね?
「でしたら、その……悠斗くんにお願いがあります」
「……な、なにかな?」
私は真っ赤に染った顔を隠すように、彼の胸に顔を埋めます。
悠斗くんの匂いがいっぱいに広がり、とても幸せな気持ちになります。ですが、私の目的はそこではありません。
「頭を……撫でて貰えませんか?」
私は勇気を出して言いました。
悠斗くんが悩んでるのが伝わってきます。
そして、悩み抜いた上で彼は言ってくれました。
「…………わかった」
「ありがとうございますっ!!」
そして、悠斗くんは、私の頭を優しく撫でてくれます
ゆっくりと、私の事を労るように、撫でてくれました。
好き、好き、好き……悠斗くんが、大好きです……
たっぷりと私の頭を撫でてくれた悠斗くんが、
「そ、そろそろ良いかな?」
と言ってきたので。
「はい。とても満足です。ありがとうございます」
と言って私は離れました。
見上げた悠斗くんの顔は真っ赤でした。
ふふふ……とても、意識していただけたようです。
私は確かな満足を得ることが出来ました。
「それでは、悠斗くん。私はそろそろ自宅に帰ろうかと思います」
私はそう言うと、カバンを手に取りました。
「悠斗くんは朱里さんとお帰りになるでしょうからね、ここでお別れです」
「う、うん」
私はそんな悠斗くんに微笑みを向けます。
「それでは悠斗くん、また明日。教室でお会いしましょう」
私はそう言って、生徒会室を後にしました。
パタンと閉まる扉。
廊下を歩きながら私は思います。
今日は色々なことがありました。
ですが、たいへん多くの収穫が出来ました。
「ふふふ。悠斗くんと一緒に生徒会に入って良かったです」
私はそう呟きながら、晴れやかな気分で帰路へと着きました。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説


十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~
味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」
春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。
そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか)
今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。
「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」
そう言う俺に、
「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」
と笑顔で言い返して来た。
「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」
「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」
パタン
俺は玄関の扉を閉めた。
すると直ぐに
バンバンバン!!!!
と扉を叩く音
『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』
そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。
はぁ……勘弁してくれよ……
近所の人に誤解されるだろ……
俺はため息をつきながら玄関を開ける。
そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。
腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる