175 / 292
第2章
第五話 ㉗ ~激戦の予算会議~ 放課後 聖女様視点 その④
しおりを挟む
第五話 ㉗
聖女様視点
悠斗くんは蒼井生徒会長とは違い、須藤さんとしっかりと討論をしていました。
そして、その内容は事前に打ち合わせをしていた内容をなぞるかのような展開で進んでいきました。
ふふふ……流石は悠斗くんですね。
私はある種の安心感を持って彼を見ていました。
そして、悠斗くんが一番不安視していた箇所。『ここが賭けになる』と話していた部分に差し掛かりました。
ここまでは、順調。しかし、ここを乗りきらなければ『戦うことすら出来ない』そんな私たちの分水嶺です。
「どうか皆さん、お願いします!!学園の生徒の為に、身体を捧げる覚悟すら決めている。そんな、心優しい蒼井生徒会長を、皆さんの手で!!支えてくれませんか!!よろしくお願いします!!」
悠斗くんの懇願の言葉。
この言葉が動画を見てる生徒に響かなければ……私たちは負けます……
そして、永遠にも近いような一瞬を経て、動画にひとつのコメントが流れました。
『俺、生徒会に募金するよ』
と。そして、それを皮切りに、一気に蒼井さんを庇護するコメントが動画に溢れだしました。
『俺、生徒会に募金するよ』『私もするよ!!』『みんなでお金集めようぜ!!』『蒼井生徒会長を助けようぜ!!』『そこまで悲壮な覚悟してたなんて知らなかった……』『俺たちで蒼井生徒会長を支えるんだ!!』
ふふふ……良かったですね、蒼井さん。
もしかしたら、情けない姿を晒していたのも効果的だったのかもしれませんね。
私は悠斗くんを見ました。彼はそのコメントを見て、気を引き締めたように感じます。
ふふふ。さあ、ここからが私たちの反撃の時間です。
「須藤部長。このコメントを見て、まだ『くだらない妄想』と言えますか?」
「……なるほどな。確かに動画のコメントを見ると、貴様たち生徒会を支えようと考える生徒が多くいることがわかるな」
「いえ、須藤部長。そのお言葉は少しだけ違います」
「……なに?」
悠斗くんの言葉に須藤さんは目を細めました。
少しずつ、感情が出てきましたね。
「みんなが支えたいと思ったのは生徒会と言う組織では無く、蒼井生徒会長です。全ては彼女の献身の姿勢のおかげです。俺はその姿をみんなに教えただけです」
そして、この教える。という行為が大切なんです。
諭すような悠斗くんの言い方。
これはきっとコンビニでのバイトで、クレーマーを相手にした時とかに身につけた技術でしょうか。
「蒼井生徒会長の見目の麗しさは皆の知るところでした。しかし、その内面。人間性の素晴らしさを生徒の皆様は知りませんでした。しかし、こうして動画を配信することで、教えることが出来、その姿に感銘を受ける生徒が多数いた。そしてこれは皆様にも言えることでは無いのでしょうか?」
見目のの麗しさ。の言葉で、蒼井さんが顔を赤くするのが見えました。
ふふふ……わかりますよ。私たちは嫌と言うほど外見に対して賞賛を受けてきました。でも、彼にそれを言われると照れてしまうんですよね。
そう、それが『恋心』というものなんですよね。
私は先ほどの恋する乙女のような表情と、今のその反応を見て、ライバルがひとり増えたことを確信しました。
「広報を通じて皆様の目に見える活躍だけでなく、その内面。部活動の素晴らしさを伝えることが出来れば、お金以上のものが手に入るかも知れません」
「お金以上のもの。ペテン師が良く言う、好きそうなセリフだな。一体それはなんだと言うんだ?」
本当に悠斗くんはすごいです。この会話の流れは全て、彼が話していた通りの内容です。
「たくさんの部員を抱える、野球部の須藤さんには分からないかも知れません。そしてそれは会話には参加してませんが、サッカー部の館山さん、バスケ部の堀内さんにも言えるかもしれません」
悠斗くんその言葉に、運動部のトップ3が目を細めました。
彼が、敵になるかも知れない。必ず説得しなければならない3人。と言っていた人でした。
「部員が増える。その可能性が大きくなります」
悠斗くんのその言葉に、中小の部活の部長たちが色めき立ちました。
「新聞の一角を彩る小説を読んで、文芸部に入るかもしれません。広報の魅力を通じて新聞部や放送部に入るかもしれません。山登りの達成感や美しさを知り山岳部に入るかもしれません。演劇の素晴らしさを見て演劇部に入るかも知れません。これはほんの一例ですが、部員の数は中小の部活動にとっては死活問題です」
中小の部活の部長たちは首を縦に振りました。
お仲間が増えましたね。
「そして、部員の増加は皆様に副次的な効果ももたらします」
「副次的な効果?」
「はい。来年以降の話になりますが、部員が増えれば基本となる予算が増えます。基本の予算は部員数に比例しますからね。そして部員が増えれば出来高の達成も容易になります」
「……なるほど」
「そして、広報は学園内で留めるつもりはありません」
そう言うと悠斗くんは新聞部の三輪部長を見ました。
そうです。朝に彼が新聞部に出向いたのはこの交渉をするためです。
「新聞部の三輪部長とも話をしてあります。これまでは学内だけだった公報を、学外にも広げます。新聞部の皆様には仕事が増えてしまいますが、了承を得ています。そうすることによって得られることもあります」
「……持って回した言い方を好む奴だな。早く結論を言え」
ようやくです。ようやく須藤さんが少しだけ感情を表に出しました。
こちらの言い分を求めてくる。会話の主導権が悠斗くんに来た瞬間でした。
そして、その主導権を離さないように、彼は畳み掛けます。
「生徒数が増える可能性があります」
ざわり……
ふふふ……もうみんな彼の言葉の虜です。そして、悠斗くんの案の隠されていた部分がどんどん明らかになっていきます。
「皆様の活躍や部活の素晴らしさを知り、この学園の魅力を学外にも伝えることが出来れば、志望校に悩む中学生、そしてその親御さんにも響く可能性もあります。そうすれば、来年以降の新規入学生徒が増えます。生徒数が増えれば、会費も増えますので、予算の底上げにも繋がります」
「……なるほどな」
あの須藤さんが納得する言葉しか言わなくなってきています。
それを見た悠斗くんは、軽く頬を緩ませました。
「そして、自分にはふたつ下の可愛い妹が居ます」
「……それがどうした?」
「その妹は来年。うちの学園に入るそうです。手前味噌ですが、とてもとてもとても可愛い妹です。あ、手を出したらいくらみなさんでも許しませんよ?まぁその頃にはみなさんは卒業してるでしょうけど」
こうして自分の身内の話をすることで、話に緩急をつける。
真面目一辺倒では話に飽きられてしまいます。
こういうやり方。悠斗くんは本当にお上手ですね。
動画のコメントには、彼をからかうコメントが並んでいました。ふふふ。これも計算通り。ですか。
「その妹がこの学園に入学した時に、今でも良い学園ですが、さらに良い学園にしたいと思っています。俺の言う良い学園と言うのは、『各部活動が活発に活動している』という事です」
「自分は生徒会に入会する時に、蒼井生徒会長に言いました。『広報の活性化は学園全体の活性化に繋がる』と。ですので、今後も生徒会は新聞部と連携をしながら、色々なことをしていこうと考えています」
悠斗くんはそこまで話すと、再び新聞部の三輪部長に視線を向けました。
そして、やれやれと首を横に振ります。
「まぁ、流石に『ペテン師』という記事は今後は勘弁していただきたいところですがね」
その言葉に、みんなが笑いました。
自身に着いた『ペテン師』という悪評すら、彼にとっては冗談のネタに過ぎません。
和やかな空気が会議室に満ちたように思えました。
それを感じ取った悠斗くんは『表向きの予算会議』を締めにかかりました。
「さて、以上がこの予算会議における自分の案に対しての補足事項になります。ご理解いだけたでしょうか?」
彼のその言葉に、各部長は渋々と言った感じに首を縦に振りました。
あの須藤さんですら、頷いています。
しかし、本当の意味での『納得』は得られていません。
そう、『今は』その反応でしょう。
それは、彼もわかっているところです。
そして、悠斗くんはその空気を無視して言葉を発します。
「それでは、今年の予算会議はこれにて終幕とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました!!」
彼はそう言うと、新聞部の三輪部長に視線を送りました。
そして、回っていたカメラが止まり、動画の配信が終わりました。
ふぅ……さぁ、ここからが私たちの『本当の戦い』が始まります。
『裏の予算会議』を始めましょう。
聖女様視点
悠斗くんは蒼井生徒会長とは違い、須藤さんとしっかりと討論をしていました。
そして、その内容は事前に打ち合わせをしていた内容をなぞるかのような展開で進んでいきました。
ふふふ……流石は悠斗くんですね。
私はある種の安心感を持って彼を見ていました。
そして、悠斗くんが一番不安視していた箇所。『ここが賭けになる』と話していた部分に差し掛かりました。
ここまでは、順調。しかし、ここを乗りきらなければ『戦うことすら出来ない』そんな私たちの分水嶺です。
「どうか皆さん、お願いします!!学園の生徒の為に、身体を捧げる覚悟すら決めている。そんな、心優しい蒼井生徒会長を、皆さんの手で!!支えてくれませんか!!よろしくお願いします!!」
悠斗くんの懇願の言葉。
この言葉が動画を見てる生徒に響かなければ……私たちは負けます……
そして、永遠にも近いような一瞬を経て、動画にひとつのコメントが流れました。
『俺、生徒会に募金するよ』
と。そして、それを皮切りに、一気に蒼井さんを庇護するコメントが動画に溢れだしました。
『俺、生徒会に募金するよ』『私もするよ!!』『みんなでお金集めようぜ!!』『蒼井生徒会長を助けようぜ!!』『そこまで悲壮な覚悟してたなんて知らなかった……』『俺たちで蒼井生徒会長を支えるんだ!!』
ふふふ……良かったですね、蒼井さん。
もしかしたら、情けない姿を晒していたのも効果的だったのかもしれませんね。
私は悠斗くんを見ました。彼はそのコメントを見て、気を引き締めたように感じます。
ふふふ。さあ、ここからが私たちの反撃の時間です。
「須藤部長。このコメントを見て、まだ『くだらない妄想』と言えますか?」
「……なるほどな。確かに動画のコメントを見ると、貴様たち生徒会を支えようと考える生徒が多くいることがわかるな」
「いえ、須藤部長。そのお言葉は少しだけ違います」
「……なに?」
悠斗くんの言葉に須藤さんは目を細めました。
少しずつ、感情が出てきましたね。
「みんなが支えたいと思ったのは生徒会と言う組織では無く、蒼井生徒会長です。全ては彼女の献身の姿勢のおかげです。俺はその姿をみんなに教えただけです」
そして、この教える。という行為が大切なんです。
諭すような悠斗くんの言い方。
これはきっとコンビニでのバイトで、クレーマーを相手にした時とかに身につけた技術でしょうか。
「蒼井生徒会長の見目の麗しさは皆の知るところでした。しかし、その内面。人間性の素晴らしさを生徒の皆様は知りませんでした。しかし、こうして動画を配信することで、教えることが出来、その姿に感銘を受ける生徒が多数いた。そしてこれは皆様にも言えることでは無いのでしょうか?」
見目のの麗しさ。の言葉で、蒼井さんが顔を赤くするのが見えました。
ふふふ……わかりますよ。私たちは嫌と言うほど外見に対して賞賛を受けてきました。でも、彼にそれを言われると照れてしまうんですよね。
そう、それが『恋心』というものなんですよね。
私は先ほどの恋する乙女のような表情と、今のその反応を見て、ライバルがひとり増えたことを確信しました。
「広報を通じて皆様の目に見える活躍だけでなく、その内面。部活動の素晴らしさを伝えることが出来れば、お金以上のものが手に入るかも知れません」
「お金以上のもの。ペテン師が良く言う、好きそうなセリフだな。一体それはなんだと言うんだ?」
本当に悠斗くんはすごいです。この会話の流れは全て、彼が話していた通りの内容です。
「たくさんの部員を抱える、野球部の須藤さんには分からないかも知れません。そしてそれは会話には参加してませんが、サッカー部の館山さん、バスケ部の堀内さんにも言えるかもしれません」
悠斗くんその言葉に、運動部のトップ3が目を細めました。
彼が、敵になるかも知れない。必ず説得しなければならない3人。と言っていた人でした。
「部員が増える。その可能性が大きくなります」
悠斗くんのその言葉に、中小の部活の部長たちが色めき立ちました。
「新聞の一角を彩る小説を読んで、文芸部に入るかもしれません。広報の魅力を通じて新聞部や放送部に入るかもしれません。山登りの達成感や美しさを知り山岳部に入るかもしれません。演劇の素晴らしさを見て演劇部に入るかも知れません。これはほんの一例ですが、部員の数は中小の部活動にとっては死活問題です」
中小の部活の部長たちは首を縦に振りました。
お仲間が増えましたね。
「そして、部員の増加は皆様に副次的な効果ももたらします」
「副次的な効果?」
「はい。来年以降の話になりますが、部員が増えれば基本となる予算が増えます。基本の予算は部員数に比例しますからね。そして部員が増えれば出来高の達成も容易になります」
「……なるほど」
「そして、広報は学園内で留めるつもりはありません」
そう言うと悠斗くんは新聞部の三輪部長を見ました。
そうです。朝に彼が新聞部に出向いたのはこの交渉をするためです。
「新聞部の三輪部長とも話をしてあります。これまでは学内だけだった公報を、学外にも広げます。新聞部の皆様には仕事が増えてしまいますが、了承を得ています。そうすることによって得られることもあります」
「……持って回した言い方を好む奴だな。早く結論を言え」
ようやくです。ようやく須藤さんが少しだけ感情を表に出しました。
こちらの言い分を求めてくる。会話の主導権が悠斗くんに来た瞬間でした。
そして、その主導権を離さないように、彼は畳み掛けます。
「生徒数が増える可能性があります」
ざわり……
ふふふ……もうみんな彼の言葉の虜です。そして、悠斗くんの案の隠されていた部分がどんどん明らかになっていきます。
「皆様の活躍や部活の素晴らしさを知り、この学園の魅力を学外にも伝えることが出来れば、志望校に悩む中学生、そしてその親御さんにも響く可能性もあります。そうすれば、来年以降の新規入学生徒が増えます。生徒数が増えれば、会費も増えますので、予算の底上げにも繋がります」
「……なるほどな」
あの須藤さんが納得する言葉しか言わなくなってきています。
それを見た悠斗くんは、軽く頬を緩ませました。
「そして、自分にはふたつ下の可愛い妹が居ます」
「……それがどうした?」
「その妹は来年。うちの学園に入るそうです。手前味噌ですが、とてもとてもとても可愛い妹です。あ、手を出したらいくらみなさんでも許しませんよ?まぁその頃にはみなさんは卒業してるでしょうけど」
こうして自分の身内の話をすることで、話に緩急をつける。
真面目一辺倒では話に飽きられてしまいます。
こういうやり方。悠斗くんは本当にお上手ですね。
動画のコメントには、彼をからかうコメントが並んでいました。ふふふ。これも計算通り。ですか。
「その妹がこの学園に入学した時に、今でも良い学園ですが、さらに良い学園にしたいと思っています。俺の言う良い学園と言うのは、『各部活動が活発に活動している』という事です」
「自分は生徒会に入会する時に、蒼井生徒会長に言いました。『広報の活性化は学園全体の活性化に繋がる』と。ですので、今後も生徒会は新聞部と連携をしながら、色々なことをしていこうと考えています」
悠斗くんはそこまで話すと、再び新聞部の三輪部長に視線を向けました。
そして、やれやれと首を横に振ります。
「まぁ、流石に『ペテン師』という記事は今後は勘弁していただきたいところですがね」
その言葉に、みんなが笑いました。
自身に着いた『ペテン師』という悪評すら、彼にとっては冗談のネタに過ぎません。
和やかな空気が会議室に満ちたように思えました。
それを感じ取った悠斗くんは『表向きの予算会議』を締めにかかりました。
「さて、以上がこの予算会議における自分の案に対しての補足事項になります。ご理解いだけたでしょうか?」
彼のその言葉に、各部長は渋々と言った感じに首を縦に振りました。
あの須藤さんですら、頷いています。
しかし、本当の意味での『納得』は得られていません。
そう、『今は』その反応でしょう。
それは、彼もわかっているところです。
そして、悠斗くんはその空気を無視して言葉を発します。
「それでは、今年の予算会議はこれにて終幕とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました!!」
彼はそう言うと、新聞部の三輪部長に視線を送りました。
そして、回っていたカメラが止まり、動画の配信が終わりました。
ふぅ……さぁ、ここからが私たちの『本当の戦い』が始まります。
『裏の予算会議』を始めましょう。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説

十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。


腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~
味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」
春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。
そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか)
今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。
「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」
そう言う俺に、
「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」
と笑顔で言い返して来た。
「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」
「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」
パタン
俺は玄関の扉を閉めた。
すると直ぐに
バンバンバン!!!!
と扉を叩く音
『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』
そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。
はぁ……勘弁してくれよ……
近所の人に誤解されるだろ……
俺はため息をつきながら玄関を開ける。
そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。
腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる