学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

文字の大きさ
上 下
157 / 292
第2章

第五話 ⑨ ~激戦の予算会議~ 昼 悠斗視点 前編

しおりを挟む
 第五話  ⑨




『お昼の放送枠は生徒会が貰えることになった。放送部と当初の予定だった漫画部には話をつけてきたよ』

『悠斗くんに頼まれていた書類は完成致しました。何部かプリントアウトしてますので大丈夫です』

 怜音先輩に『依頼』を済ませ、新聞部を後にした俺のスマホに、二つのメッセージが届いた。

 良かった。どっちも上手くいってるみたいだ。

 俺の方も問題なく怜音先輩にお願いすることが出来た。

 俺の話を聞いた怜音先輩は、楽しそうにゲラゲラ笑った後に、その依頼をやってくれることを約束してくれた。

 まぁ、上手く行く、行かないは運次第。みたいな所はあるけど、やらないよりはマシだろう。




 そして、俺の格好を見たクラスメイトにからかわれたりしたりしたけど、それ以外には特に問題もなく、四時間目の授業を終えるチャイムが鳴った。



「それじゃあ放送室に行ってくるよ」

 俺はいつもの昼飯メンバーにそう言って席を立つ。

「はい。悠斗くん、頑張ってください」
「悠斗頑張ってね!!こっちのことはきちんとやっとくからね」
「悠斗……また俺を一人残すんだな……」
「いーんちょー。かいちょーが可愛いからって放送室で口説いたらダメだかんね?」

 各々に色々言われながら送り出された。

 佐藤さん……口説かないから……

 そして、俺は雫の作ってくれたおにぎりを頬張りながら放送室を目指す。



『放送室』



 おにぎりを途中の自動販売機で買ったお茶で流し込んだ辺りで、目的の場所へと辿り着く。

 俺は部屋の扉をノックする。

「生徒会副会長、桐崎悠斗。入ります」

 俺はそう言って中に入る。

「やぁ、桐崎くん。待っていたよ」

 中には既に蒼井さんがスタンバイしていた。

 そして、その隣には放送部の部長。牧野先輩が座っていた。

 俺は牧野先輩に向けて頭を下げる。

「牧野先輩。無理を聞いていただいてありがとうございます!!先輩の好意を無為にしないことを約束します!!」
「あはは。頭を上げなよ桐崎くん」

 人の良さそうな声の牧野先輩。そんな先輩の恋心を利用したのはちょっと申し訳なかったなぁと思っていた。

 俺は牧野先輩の言葉で頭を上げる。

「さて、それじゃあ昼の放送を始めようか。最初の挨拶は部長の僕がやるから、そしたら二人が話し始めてくれればいいよ」

 牧野先輩はそう言うと、マイクの前に行き、ボリュームを上げた。

『皆さんこんにちは。お昼の放送の時間です。本日は漫画部によるアニソンメドレーの予定でしたが、急遽変更になりました』

『その内容は、本日開催予定の学園予算会議についての説明を生徒会のお二人にお話いただけることになりました』

『生徒会長の蒼井空さんと副会長の桐崎悠斗さんに起こしいただいています。それではお二方、よろしくお願いします』

 そこまで言うと、牧野先輩はボリュームを下げて席を離れる。

「見てたと思うけど、ここのボリュームで操作するから。話してる間は最大で大丈夫だよ。聞かれたくない会話の時はゼロにしてくれれば聞こえなくなる」

「了解しました」
「うん。わかったよ」

 俺たちは説明に理解を示し、席に座る。

「よし。行くよ、桐崎くん!!」
「はい。蒼井さん、頑張りましょう!!」

 俺たちは気合いを入れると、ボリュームをMAXに上げた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~

味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」 春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。 そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか) 今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。 「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」 そう言う俺に、 「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」 と笑顔で言い返して来た。 「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」 「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」 パタン 俺は玄関の扉を閉めた。 すると直ぐに バンバンバン!!!! と扉を叩く音 『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』 そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。 はぁ……勘弁してくれよ…… 近所の人に誤解されるだろ…… 俺はため息をつきながら玄関を開ける。 そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。 腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。 十分以上に勝算がある。と思っていたが、 「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」 と完膚なきまでに振られた俺。 失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。 彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。 そして、 「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」 と、告白をされ、抱きしめられる。 突然の出来事に困惑する俺。 そんな俺を追撃するように、 「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」 「………………凛音、なんでここに」 その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

ヤクザの娘の本心を俺だけは知っている

青井風太
恋愛
赤城遥の通う高校には有名人がいた。 容姿端麗で成績優秀、ドラマでしか聞かなそうな才を持ち合わせた青崎楓は学校中から注目を集めていた。 しかし彼女を有名人たらしめる理由は他にある。 彼女は関東最大規模のヤクザ組織【青龍会】会長の愛娘であった。 『一人で暴走族を壊滅させた』『睨みつけるだけで不良が逃げ出した』などの噂が学校中に広まっていた。 ある日の放課後、忘れ物を取りに教室に戻ると遥は目撃してしまう。 ぬいぐるみに話しかけているヤクザの娘の姿を・・・

処理中です...