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第2章
第五話 ⑥ ~激戦の予算会議~ 朝 聖女様視点
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第五話 ⑥
聖女様視点
パチパチパチ……
蒼井さんの掛け声のあと、生徒会室には静けさがやって来ていました。
部屋に一人だけ残った私が、ノートパソコンを叩く音だけが響いています。
別に一人部屋に残されたことによる寂しさはありません。
私の中にあるのは、悠斗くんに頼られたことによる満足感でした。
そして、十分もしない内に、彼から頼まれていた書類が完成しました。
「ふふふ。少し時間が余ってしまいましたね」
私はそう呟くと、カバンの中から一冊のライトノベルを取り出します。
昨日買った、新刊のライトノベルです。
私は花柄の栞をその本に挟み、読もうとしました。
その時でした。
コンコン……
と、生徒会室の扉がノックされました。
はて、どなたでしょうか?
悠斗くんが戻ってきた?違いますね。蒼井さんや三輪先輩にしては早いです。山野先生ならノックなんてしません。
私は首を傾げながら「どうぞ、空いてますよ」と言いました。
「入るよ、詩織ちゃん」
「……朱里さん」
入ってきたのは、悠斗くんの彼女で私のライバル。藤崎朱里さんでした。
「……朝練は良いのですか?」
私は制服姿の彼女にそう問い掛けました。
「うん。今日は咲ちゃん先生に頭を下げてきて休ませてもらったよ。それに、詩織ちゃんと話したかったからね」
「なるほど……この時間に私がここに居ると、よくわかりましたね?」
私のその言葉に、朱里さんはニンマリと笑いました。
「うん。『悠斗から予算会議のプランは全部聞いてるから』ね」
「……へぇ。そうですか」
つまり、悠斗くんが私に書類の作成を依頼することも知っていて、この時間にここで作業をしていると踏んだ訳ですか。
「それで、朱里さんは私と何を話すつもりですか?」
悠斗くんから手を引けと?
そう言う私に朱里さんは笑いました。
……イラッとしました。
何ですか、その余裕の笑みは……
「悠斗から聞いたよ?『友達としての外出がしたい』って詩織ちゃんから言われたって」
「……それで、断るように言った。という事ですか?」
私の言葉に朱里さんは首を横に振りました。
「違うよ。私は悠斗に、出掛けてもいいよ?って言った」
「……へぇ。そうですか。意外ですね」
あなたの事です。絶対に許さないと思っていましたが?
と、言う私に、彼女はまた笑います。
「……っ!!何がそんなにおかしいんですか!!」
私はつい、感情的な言葉を発してしまいました。
「あはは。やっと感情を出してくれたね。嬉しいよ」
「…………性格が悪いですね」
「詩織ちゃん程じゃないよ?」
そう言うと、朱里さんは私に続けました。
「私は悠斗を信じてる。詩織ちゃんと仮にどっかに出掛けたり、デートしたり、キスしたり、えっちな事をしたり、もし仮にそういう事をする事態になったとしても、彼の中の『一番』は私」
そして、彼女は私を指さして言いました。
「あなたは何をしても彼の中では『二番目の女』」
「……っ!!」
私は怒りに震えました。
「あなたに敗北を教えるためにも、悠斗には詩織ちゃんの誘惑には全部乗ってもらう。そして、頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って……詩織ちゃんがもうこれ以上無いってくらいに頑張っても、悠斗が私のことを一番だって言うなら」
あなたは諦めるでしょ?
そう言うと、朱里さんはくるりと踵を返しました。
「私が言いたいのはそれだけ。いっぱい悠斗を誘惑していいよ?詩織ちゃんがしたいことを全部悠斗にしても構わない。そして、私はあなたに教えてあげるよ」
絶対にあなたは私に勝てない。ってことをね。
そう言い残し、彼女は生徒会室を出て行きました。
バン!!!!
誰も居なくなった生徒会室で、私は机を叩きました。
何かに当たるなんて初めてのことでした。
そう、それほどまでに私は怒りに震えていました。
「……私は、何をひよっていたのでしょうか」
彼の隣に居られればいい?
二番目でも構わない?
何を馬鹿なことを言っていたのでしょうか!!
私が欲しいのは彼の一番!!全てを捨ててでも彼を手に入れると決めていたじゃないですか!!
そんな腑抜けた私の心を、彼女はきっと見抜いていたのでしょう。
この程度の女。敵では無い。と。
「……思い知らせてあげましょう」
そう。あの女は言いました。
私がしたいことは何でもさせてあげる。と。
女としての武器は負けていません。勝っている部分すらあるでしょう!!
そして、私の誘惑に負けた悠斗くんが、彼女に別れを突きつける。その時の彼女の表情を思い浮かべましょう。
「最後に勝つのは……この私ですっ!!」
誰も居ない生徒会室に、私の声が響きました。
聖女様視点
パチパチパチ……
蒼井さんの掛け声のあと、生徒会室には静けさがやって来ていました。
部屋に一人だけ残った私が、ノートパソコンを叩く音だけが響いています。
別に一人部屋に残されたことによる寂しさはありません。
私の中にあるのは、悠斗くんに頼られたことによる満足感でした。
そして、十分もしない内に、彼から頼まれていた書類が完成しました。
「ふふふ。少し時間が余ってしまいましたね」
私はそう呟くと、カバンの中から一冊のライトノベルを取り出します。
昨日買った、新刊のライトノベルです。
私は花柄の栞をその本に挟み、読もうとしました。
その時でした。
コンコン……
と、生徒会室の扉がノックされました。
はて、どなたでしょうか?
悠斗くんが戻ってきた?違いますね。蒼井さんや三輪先輩にしては早いです。山野先生ならノックなんてしません。
私は首を傾げながら「どうぞ、空いてますよ」と言いました。
「入るよ、詩織ちゃん」
「……朱里さん」
入ってきたのは、悠斗くんの彼女で私のライバル。藤崎朱里さんでした。
「……朝練は良いのですか?」
私は制服姿の彼女にそう問い掛けました。
「うん。今日は咲ちゃん先生に頭を下げてきて休ませてもらったよ。それに、詩織ちゃんと話したかったからね」
「なるほど……この時間に私がここに居ると、よくわかりましたね?」
私のその言葉に、朱里さんはニンマリと笑いました。
「うん。『悠斗から予算会議のプランは全部聞いてるから』ね」
「……へぇ。そうですか」
つまり、悠斗くんが私に書類の作成を依頼することも知っていて、この時間にここで作業をしていると踏んだ訳ですか。
「それで、朱里さんは私と何を話すつもりですか?」
悠斗くんから手を引けと?
そう言う私に朱里さんは笑いました。
……イラッとしました。
何ですか、その余裕の笑みは……
「悠斗から聞いたよ?『友達としての外出がしたい』って詩織ちゃんから言われたって」
「……それで、断るように言った。という事ですか?」
私の言葉に朱里さんは首を横に振りました。
「違うよ。私は悠斗に、出掛けてもいいよ?って言った」
「……へぇ。そうですか。意外ですね」
あなたの事です。絶対に許さないと思っていましたが?
と、言う私に、彼女はまた笑います。
「……っ!!何がそんなにおかしいんですか!!」
私はつい、感情的な言葉を発してしまいました。
「あはは。やっと感情を出してくれたね。嬉しいよ」
「…………性格が悪いですね」
「詩織ちゃん程じゃないよ?」
そう言うと、朱里さんは私に続けました。
「私は悠斗を信じてる。詩織ちゃんと仮にどっかに出掛けたり、デートしたり、キスしたり、えっちな事をしたり、もし仮にそういう事をする事態になったとしても、彼の中の『一番』は私」
そして、彼女は私を指さして言いました。
「あなたは何をしても彼の中では『二番目の女』」
「……っ!!」
私は怒りに震えました。
「あなたに敗北を教えるためにも、悠斗には詩織ちゃんの誘惑には全部乗ってもらう。そして、頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って……詩織ちゃんがもうこれ以上無いってくらいに頑張っても、悠斗が私のことを一番だって言うなら」
あなたは諦めるでしょ?
そう言うと、朱里さんはくるりと踵を返しました。
「私が言いたいのはそれだけ。いっぱい悠斗を誘惑していいよ?詩織ちゃんがしたいことを全部悠斗にしても構わない。そして、私はあなたに教えてあげるよ」
絶対にあなたは私に勝てない。ってことをね。
そう言い残し、彼女は生徒会室を出て行きました。
バン!!!!
誰も居なくなった生徒会室で、私は机を叩きました。
何かに当たるなんて初めてのことでした。
そう、それほどまでに私は怒りに震えていました。
「……私は、何をひよっていたのでしょうか」
彼の隣に居られればいい?
二番目でも構わない?
何を馬鹿なことを言っていたのでしょうか!!
私が欲しいのは彼の一番!!全てを捨ててでも彼を手に入れると決めていたじゃないですか!!
そんな腑抜けた私の心を、彼女はきっと見抜いていたのでしょう。
この程度の女。敵では無い。と。
「……思い知らせてあげましょう」
そう。あの女は言いました。
私がしたいことは何でもさせてあげる。と。
女としての武器は負けていません。勝っている部分すらあるでしょう!!
そして、私の誘惑に負けた悠斗くんが、彼女に別れを突きつける。その時の彼女の表情を思い浮かべましょう。
「最後に勝つのは……この私ですっ!!」
誰も居ない生徒会室に、私の声が響きました。
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