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第2章
蒼井side ② 生徒会長の一日 その⑤ ~親友の双子の家でする恋愛話~
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蒼井side ②
「まだ時間的に余裕があるから私たちの家でゲームでもしようよ!!」
買い物を終えた僕たち三人。
まだ時間は十五時だ。サヨナラするには早すぎる時間だと思った。
「大乱闘なアレかな?」
「そうそう!!」
「くくく。私のプリンが火を噴くよ!!」
「あはは。琴音のプリンは強いよね」
私たち三人は今後の予定を決めると、ショッピングモールを後にした。
なんだか今日は桐崎くん関係の知り合いにたくさん会う日だな。
まぁでも黒瀬さんに会った。これで最後だろう。
なんてことを考えていたんだけど、最後の桐崎くん関係者があとひとり残っていて、まさか夜にあんな場面に遭遇するだなんて、その時は思いもしていなかったんだ。
ショッピングモールを出て、バスに乗って駅へと戻る。
僕は通学に使っている自転車を取りに行く。怜音と琴音は無料の駐輪場に停めていた自転車を取りに行った。
「去年は結構二人の家でゲームして遊んだよね」
僕は自転車を漕ぎながら、そう切り出した。
「そうだねー。女三人で熱い戦いを繰り広げてたよね」
「でも、今年からは受験もあるし。ゲームする時間は減るかもしれないよね」
琴音の言葉に、僕と怜音が反応する。
「受験かー。空は何か考えてる?」
「三人で同じ大学に行きたいな」
「……学力は空が頭一つ抜けてるから、私たちに合わせるのは忍びない」
「あはは。でもね、琴音、僕は思うんだよね」
勉強ってのはどこで学ぶか。では無くて、誰と学ぶか。だってさ。
「はい。空の名言入りました!!」
僕の言葉に怜音が反応する。
「あはは。でも、いずれは就職とかで離れてしまうけど、僕はもう少しこの三人で居たい」
「空……」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん!!」
なんて会話をしながら、僕たちは二人の家に到着した。
「あー!!空が笑顔ではめ技してくる!!」
「あはは!!コンボははめ技とは違うぞ!!」
「やっぱり三人で遊ぶのは楽しいね!!」
二人の部屋でゲームをしながら、僕たちはワイワイと騒いでいた。
時刻は十八時。
共働きの二人の両親。母親がもうそろそろ帰ってくる時間だった。
「あまり騒ぎ過ぎるとお母さんに怒られるからこのくらいにしておこうか」
「そうだねー。この間も怒られたし」
「あはは。じゃあ少し話しでもしようか」
僕はそう言うと、コップに注がれ、少しだけ炭酸の抜けたコーラをひと口飲む。
「何の話する?恋バナ?」
いきなり突っ込んでくる怜音に、私は吹き出しそうになる。
「怜音は好きな人とか居るのか?」
「んー。今は居ないかなぁ……琴音は?」
「私は恋多き女の子。いつだって彼氏は次元の向こう側。空は?」
「……僕も居ないかな」
ふと。桐崎くんの顔が思い浮かぶが、頭を振ってそれを消す。
「……ふーん」
僕のその様子に、怜音が疑わしそうな目を向ける。
「彼がフリーだったら良かったのにね?」
「誰も桐崎くんとは言ってないだろ!!??」
「……空。怜音は『彼』としか言ってない」
「……あ」
軽く目眩がする僕。
「えぇ……こんなわかりやすい引っ掛けに引っ掛かる?」
困惑する怜音。
「いや、別に僕は……桐崎くんが好きとかそう言うのは無いから……」
「ふーん。まぁでも、彼がフリーだったら結構いい男だよね」
「……ハーレム王が怜音まで篭絡してる……っ!!」
「二人で話す機会があったから彼のひととなりは少しはわかったけど、なかなか面白い男だと思ったよ」
と、怜音はニヤリと笑う。
「そう言えば新聞部の記事ではなかなか面白いことを書いていたな」
『ペテン師』だったな。
「くくく。そうだよね。桐崎くんは本当に面白い男だと思ったよ。だからこそ、あぁ書くことで彼がどう言う対応をするか見たいと思ったんだよね」
「怜音が意地悪をする男。結構お気に入りの証……」
「はぁ……明日の予算会議は一筋縄では行かないな」
僕がそう呟くと、怜音が笑う。
「まぁでも、新聞部は生徒会のバックには付くよ。ただ、バックに付くだけだ。表には出ない」
「うん。わかってる」
「あとはそれをどう空や桐崎くんが利用するか。だよ」
そう言って怜音がコーラ飲む。
「ねぇ、怜音。やっぱり予算会議は荒れるかな?」
僕のその言葉に、怜音が笑う。
「荒れないはずが無い。まぁでも空は安心していいよ」
「……え?」
キョトンとする僕に、怜音が言う。
「困った時には、きっと桐崎くんが何とかしてくれる」
「……随分と買っているんだな」
「そうだね。『予算会議』に関して言えば何の心配もしていないよ」
「……どういう意味だい?」
僕の問いかけに、怜音は少しだけ言いにくそうにしながらも、話を続ける。
「……私たちの親友が、無謀な恋愛に身を投じないかどうか。それだけが心配だよ」
と。
「それは、僕が桐崎くんに惚れないかどうか。って事かな?」
「……端的に言えばそうだよ」
怜音の言葉を僕は一笑する。
「彼はいい男だと思ってる。でも僕は彼女が居る男に惚れるようなことは無いよ」
と言う。
……空が『いい男』なんて評価をすること自体が緊急事態だってことに、気がついてないんだろうな。
怜音が何かを呟いた気がしたが、僕には聞き取れなかった。
「まだ時間的に余裕があるから私たちの家でゲームでもしようよ!!」
買い物を終えた僕たち三人。
まだ時間は十五時だ。サヨナラするには早すぎる時間だと思った。
「大乱闘なアレかな?」
「そうそう!!」
「くくく。私のプリンが火を噴くよ!!」
「あはは。琴音のプリンは強いよね」
私たち三人は今後の予定を決めると、ショッピングモールを後にした。
なんだか今日は桐崎くん関係の知り合いにたくさん会う日だな。
まぁでも黒瀬さんに会った。これで最後だろう。
なんてことを考えていたんだけど、最後の桐崎くん関係者があとひとり残っていて、まさか夜にあんな場面に遭遇するだなんて、その時は思いもしていなかったんだ。
ショッピングモールを出て、バスに乗って駅へと戻る。
僕は通学に使っている自転車を取りに行く。怜音と琴音は無料の駐輪場に停めていた自転車を取りに行った。
「去年は結構二人の家でゲームして遊んだよね」
僕は自転車を漕ぎながら、そう切り出した。
「そうだねー。女三人で熱い戦いを繰り広げてたよね」
「でも、今年からは受験もあるし。ゲームする時間は減るかもしれないよね」
琴音の言葉に、僕と怜音が反応する。
「受験かー。空は何か考えてる?」
「三人で同じ大学に行きたいな」
「……学力は空が頭一つ抜けてるから、私たちに合わせるのは忍びない」
「あはは。でもね、琴音、僕は思うんだよね」
勉強ってのはどこで学ぶか。では無くて、誰と学ぶか。だってさ。
「はい。空の名言入りました!!」
僕の言葉に怜音が反応する。
「あはは。でも、いずれは就職とかで離れてしまうけど、僕はもう少しこの三人で居たい」
「空……」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん!!」
なんて会話をしながら、僕たちは二人の家に到着した。
「あー!!空が笑顔ではめ技してくる!!」
「あはは!!コンボははめ技とは違うぞ!!」
「やっぱり三人で遊ぶのは楽しいね!!」
二人の部屋でゲームをしながら、僕たちはワイワイと騒いでいた。
時刻は十八時。
共働きの二人の両親。母親がもうそろそろ帰ってくる時間だった。
「あまり騒ぎ過ぎるとお母さんに怒られるからこのくらいにしておこうか」
「そうだねー。この間も怒られたし」
「あはは。じゃあ少し話しでもしようか」
僕はそう言うと、コップに注がれ、少しだけ炭酸の抜けたコーラをひと口飲む。
「何の話する?恋バナ?」
いきなり突っ込んでくる怜音に、私は吹き出しそうになる。
「怜音は好きな人とか居るのか?」
「んー。今は居ないかなぁ……琴音は?」
「私は恋多き女の子。いつだって彼氏は次元の向こう側。空は?」
「……僕も居ないかな」
ふと。桐崎くんの顔が思い浮かぶが、頭を振ってそれを消す。
「……ふーん」
僕のその様子に、怜音が疑わしそうな目を向ける。
「彼がフリーだったら良かったのにね?」
「誰も桐崎くんとは言ってないだろ!!??」
「……空。怜音は『彼』としか言ってない」
「……あ」
軽く目眩がする僕。
「えぇ……こんなわかりやすい引っ掛けに引っ掛かる?」
困惑する怜音。
「いや、別に僕は……桐崎くんが好きとかそう言うのは無いから……」
「ふーん。まぁでも、彼がフリーだったら結構いい男だよね」
「……ハーレム王が怜音まで篭絡してる……っ!!」
「二人で話す機会があったから彼のひととなりは少しはわかったけど、なかなか面白い男だと思ったよ」
と、怜音はニヤリと笑う。
「そう言えば新聞部の記事ではなかなか面白いことを書いていたな」
『ペテン師』だったな。
「くくく。そうだよね。桐崎くんは本当に面白い男だと思ったよ。だからこそ、あぁ書くことで彼がどう言う対応をするか見たいと思ったんだよね」
「怜音が意地悪をする男。結構お気に入りの証……」
「はぁ……明日の予算会議は一筋縄では行かないな」
僕がそう呟くと、怜音が笑う。
「まぁでも、新聞部は生徒会のバックには付くよ。ただ、バックに付くだけだ。表には出ない」
「うん。わかってる」
「あとはそれをどう空や桐崎くんが利用するか。だよ」
そう言って怜音がコーラ飲む。
「ねぇ、怜音。やっぱり予算会議は荒れるかな?」
僕のその言葉に、怜音が笑う。
「荒れないはずが無い。まぁでも空は安心していいよ」
「……え?」
キョトンとする僕に、怜音が言う。
「困った時には、きっと桐崎くんが何とかしてくれる」
「……随分と買っているんだな」
「そうだね。『予算会議』に関して言えば何の心配もしていないよ」
「……どういう意味だい?」
僕の問いかけに、怜音は少しだけ言いにくそうにしながらも、話を続ける。
「……私たちの親友が、無謀な恋愛に身を投じないかどうか。それだけが心配だよ」
と。
「それは、僕が桐崎くんに惚れないかどうか。って事かな?」
「……端的に言えばそうだよ」
怜音の言葉を僕は一笑する。
「彼はいい男だと思ってる。でも僕は彼女が居る男に惚れるようなことは無いよ」
と言う。
……空が『いい男』なんて評価をすること自体が緊急事態だってことに、気がついてないんだろうな。
怜音が何かを呟いた気がしたが、僕には聞き取れなかった。
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