130 / 292
第2章
第四話 ① ~三回目のデート・ケーキバイキングと司さんのライブを観る予定です~
しおりを挟む
第四話 ①
日曜日の朝。
俺は洗面台の前でデートに向けて身だしなみを整えていた。
新聞部が発行した新聞はもう読んだ。
はぁ……まぁ聞かれたこと、答えたことは事実だし、あれ以上の事も聞かれてたし、答えてたから、ある程度は添削してくれていたんだろうな。
てか、今後も見据えて、ペテン師って呼び名は辞めて欲しかったなぁ……
まぁ、怜音先輩のことだ。
『このくらいのことは越えてこいよ』
というメッセージだろうな。
「あ、おにぃ!!今日はデートだね!!」
俺を洗面台で見かけた雫が、この姿を見て察したように声をかけてくる。
「そうだよ。今日は朱里が楽しみにしていたケーキバイキングと、俺がバイト先でお世話になってる先輩のバンドのライブに行く予定だよ」
と、俺が言うと雫が少しだけ興味を持ったようで、
「バイト先の先輩のバンドのライブ?」
「うん。司さんって人でね。『コンパス』って名前のガールズバンドでさ」
ボーカルの『北』原司さん。
それ以外にも名前は苗字に東西南北が入ったメンバーが三人いた事から、コンパスって名前にしたそうだ。
「コンパスのボーカルで『North』のTSUKASAさんが、おにぃのバイト先の先輩!!??」
「……佐藤さんと同じ反応だな」
そう、この話を教室で朱里にした時、全く同じ反応を近くで聞いていた佐藤さんがしていた。
『今度の日曜日なんだけどさ、バイト先でお世話になってる先輩のバンドのライブに朱里も誘おうと思ってるんだよね』
金曜日の昼休み。俺はご飯を食べ終わった頃にそう切り出した。
健は野球部の先輩に呼ばれ、詩織さんは予算の細かいことを蒼井さんに聞きに行っていた。
ここには俺と、朱里と佐藤さんだけが残っていた。
『え!?バンドのライブ!!私行ったこと無いんだけど、どういう服装とかあるのかな?』
『うーん。俺も無いからわからないけど……あまりヒラヒラしたのとかは場違いな気もするんだよね。ただ、ガールズバンドだって言うから、普通の格好でも良いかなって?』
俺たちが首を傾げていると、佐藤さんが声を挟んで来た。
『ねーねーいーんちょー?』
『ん?何。佐藤さん』
『ガールズバンドってことは、またいーんちょーの女?』
『いや、違うって!!司さんはそう言うのじゃないから』
『え?司さん??』
『どうしたの、佐藤さん?』
『ガールズバンドの司って。もしかしてそのバンド名ってコンパスだったりしない?』
なんだか少しだけ焦った様子の佐藤さんに、俺は訝しげな表情で答える。
『え……あぁ、うん。そうだね。本人から買ったチケットにはそう書いてあるよ』
『コンパスのボーカルでNorthのTSUKASAがいーんちょーのバイト先で働いてるの!!!???』
『ゆ、ゆーこちゃん……落ち着いて』
いきなり大きく取り乱した佐藤さんを、朱里が窘める。
『さ、佐藤さん……そんなに有名なの?』
良く分からない俺は、とりあえず佐藤さんに聞いてみた。
『有名も何も、今はインディーズだけど、来年にはメジャーデビューするだろうって言われてる、今1番ホットなガールズバンドだよ!!そのライブチケットなんか、下手したら万とか行くんだから!!』
あぁ、なんか本人がそんなことを言ってた気がする。
転売とかされてるみたいだよね。
だけど、俺は違うので入手経路を話すことにした。
『その……一枚千円で本人から買ったんだよね……』
『い、一枚千円で本人から買った……?』
『うん……』
俺のその言葉に、佐藤さんが頭を抱える。
『はぁ……マジかぁ……本当なら私が行きたいくらいだけど、買ったのはいーんちょーだし、誘われたのは朱里だし、仕方ないか』
『そ、そうだね。司さんからは、彼女と来てくれって言われてるし』
俺のその言葉に、朱里が反応する。
『その司さんって人は、悠斗が私と付き合ってるの知ってるの?』
『うん。だって、朱里とのことを付き合う前からいろいろと相談してきたから。交際の報告をしたら喜んでくれてたよ。そのくらいにはお世話になってる人だよ』
『そうなんだ』
……なら、安心かな
『ん?朱里、今何か言った?』
『ううん!!何でもないよ!!』
『それで、この間なんだけど。司さんにバイトのシフトを融通してもらったから、その時に『少年の差し入れを期待している』って言われてるんだよね。そこで、ケーキバイキングのお店って結構有名店みたいだからそこのケーキをいくつか見繕って渡そうと思ってるんだ』
『いーんちょー!!それは良いアイディアだよ!!』
『う、うお!!佐藤さん』
『TSUKASAさんのインスタで、いーんちょーの行くお店のケーキが美味しいって聞いたから、いつか行きたいって言ってたからね!!』
『そ、そうなんだ……』
『ねぇゆーこちゃん。そのコンパスのライブってなんかドレスコードとかあるの?』
それは俺も知りたかったことだ。
佐藤さんなら参加したことがありそうだし、経験者の知識は何よりも大切だ。
『あ、それは知りたいな。俺も何着てこうとかあったし』
『朱里は普通の服装で平気だよ。てか問題はいーんちょーなんだよね……』
少しだけ困ったような表情に、俺は不安に襲われる。
『……え?なんで??』
『コンパスのライブは、基本男子禁制なんだよね……』
だ、男子禁制……
ら、ライトノベルとかなら、女装してそういう所に行ったりするシーンもあるけど、俺にはそんな趣味は無い……
というか、そこまでして行きたくない。
『う、嘘だろ……』
『不当な手段でチケットを手にする男もいるみたいだけど、入場で拒否されてるし』
『……じゃあ、俺は入れないの?』
『わ、わかんない。でも、そのチケットって本人から買ったんでしょ?』
その言葉に俺は首を縦に振る。
『うん。そうだよ』
『だったら、大丈夫だと思うけど……』
『い、一応本人に確認してみようかな』
俺はスマホを取り出して、司さんに電話しようとする。
『TSUKASAさんのプライベートの連絡先知ってるの!!??』
『え……そりゃあ、バイト先の先輩で、シフトのこととかも聞くことあるし。向こうからかかって来ることもあるよ』
『そ、そうだよね……』
俺は取り乱す佐藤さんを尻目に司さんに電話をした。
『……もしもし。どうしたんだ少年?』
TSUKASAさんの声だ!!
……佐藤さんの声が隣から聞こえる。
『あ、司さん。いきなりすみません。ちょっと聞きたいことがありまして』
『聞きたいこと?なんだい』
『あの、司さんのガールズバンドのライブが男子禁制だって今知りまして。俺が行っても平気なのかなって?』
『あはははは!!!!何を言ってるんだ少年。君は正当な手段でそのチケットを買ったんだ。きちんと入場出来るに決まってるじゃないか。まぁでもあれだね。受付の人には君のことをきちんと話しておくことにしよう』
『ありがとうございます。それなら安心です』
『話はそれだけかい?』
『はい。そうです』
『そうか、なら名残惜しいがここまでにしよう。私も大学の授業があるからね』
『あ、忙しいのにすみません』
『なに、構わないさ。少年の電話ならいつだって大歓迎さ』
『そう言って貰えると助かります』
『あぁ。では、ライブで君と彼女を待ってるよ』
『その前に、今日のバイトではシフトが同じなので会えますね』
『おぉ、そうだったね。いやー先日少年のシフトを変わった疲れがまだ抜けてなくてね』
『はぁ……わかりました。トイレ掃除は俺がやります』
『おぉ!!それは助かるね!!ありがとう少年』
『いえ、このくらいならお易い御用ですよ。では、失礼します』
ピッ
俺は電話を切った。
『うん。大丈夫みた……』
『いーんちょー!!!!!』
『うお!!なに、佐藤さん』
『あんなにフレンドリーなTSUKASAさんの声を聞いたの初めてなんだけど!!』
『初めても何も、だいたいいつもあんな感じだよ。司さんは』
『……ねぇいーんちょー?』
『俺の店は教えないよ?』
朱里には話してあるし、詩織さんはたまたま来たから知ってるけど。
今の佐藤さんには教えたくない……
『はぁ……だよねぇ。押しかけられたら迷惑だと思うし』
『理解して貰えて嬉しいよ』
俺は安堵の息を吐いた。
『でも、悠斗の周りって結構女の子が多いよね』
『あ、朱里!!??』
『……女たらしのハーレム王』
『お、俺は朱里一筋だから!!』
『ふふふ。大丈夫だよ?私は悠斗を信じてるし』
中間テストでも負けないでね?
『それはもちろん』
『はぁ、黒瀬さんもなかなかやるなぁとは思ったよね』
『まぁでも、変な策略とかされるよりは、こっちの方が断然楽だよ』
俺が勝てば良いだけだし。
『まぁそうだね。黒瀬さんにどんな心境の変化があったのかは知らないけどさ』
そういう佐藤さん。
詩織さんの変化は十中八九、斉藤さんの影響だろうな。
あの二人が最近一緒にいるのを見かけたことがある。
俺としてはそれなりに仲が良いと思っている彼女は、俺の事を結構知ってると思われる。
今回の正攻法の一件も、斉藤さんの入れ知恵かも知れないな。
なかなか手強いバックがついたものだ。
生徒会の予算だけでも大変なのに、考えることが多いよな……
俺は少しだけ大きなため息を吐いた。
日曜日の朝。
俺は洗面台の前でデートに向けて身だしなみを整えていた。
新聞部が発行した新聞はもう読んだ。
はぁ……まぁ聞かれたこと、答えたことは事実だし、あれ以上の事も聞かれてたし、答えてたから、ある程度は添削してくれていたんだろうな。
てか、今後も見据えて、ペテン師って呼び名は辞めて欲しかったなぁ……
まぁ、怜音先輩のことだ。
『このくらいのことは越えてこいよ』
というメッセージだろうな。
「あ、おにぃ!!今日はデートだね!!」
俺を洗面台で見かけた雫が、この姿を見て察したように声をかけてくる。
「そうだよ。今日は朱里が楽しみにしていたケーキバイキングと、俺がバイト先でお世話になってる先輩のバンドのライブに行く予定だよ」
と、俺が言うと雫が少しだけ興味を持ったようで、
「バイト先の先輩のバンドのライブ?」
「うん。司さんって人でね。『コンパス』って名前のガールズバンドでさ」
ボーカルの『北』原司さん。
それ以外にも名前は苗字に東西南北が入ったメンバーが三人いた事から、コンパスって名前にしたそうだ。
「コンパスのボーカルで『North』のTSUKASAさんが、おにぃのバイト先の先輩!!??」
「……佐藤さんと同じ反応だな」
そう、この話を教室で朱里にした時、全く同じ反応を近くで聞いていた佐藤さんがしていた。
『今度の日曜日なんだけどさ、バイト先でお世話になってる先輩のバンドのライブに朱里も誘おうと思ってるんだよね』
金曜日の昼休み。俺はご飯を食べ終わった頃にそう切り出した。
健は野球部の先輩に呼ばれ、詩織さんは予算の細かいことを蒼井さんに聞きに行っていた。
ここには俺と、朱里と佐藤さんだけが残っていた。
『え!?バンドのライブ!!私行ったこと無いんだけど、どういう服装とかあるのかな?』
『うーん。俺も無いからわからないけど……あまりヒラヒラしたのとかは場違いな気もするんだよね。ただ、ガールズバンドだって言うから、普通の格好でも良いかなって?』
俺たちが首を傾げていると、佐藤さんが声を挟んで来た。
『ねーねーいーんちょー?』
『ん?何。佐藤さん』
『ガールズバンドってことは、またいーんちょーの女?』
『いや、違うって!!司さんはそう言うのじゃないから』
『え?司さん??』
『どうしたの、佐藤さん?』
『ガールズバンドの司って。もしかしてそのバンド名ってコンパスだったりしない?』
なんだか少しだけ焦った様子の佐藤さんに、俺は訝しげな表情で答える。
『え……あぁ、うん。そうだね。本人から買ったチケットにはそう書いてあるよ』
『コンパスのボーカルでNorthのTSUKASAがいーんちょーのバイト先で働いてるの!!!???』
『ゆ、ゆーこちゃん……落ち着いて』
いきなり大きく取り乱した佐藤さんを、朱里が窘める。
『さ、佐藤さん……そんなに有名なの?』
良く分からない俺は、とりあえず佐藤さんに聞いてみた。
『有名も何も、今はインディーズだけど、来年にはメジャーデビューするだろうって言われてる、今1番ホットなガールズバンドだよ!!そのライブチケットなんか、下手したら万とか行くんだから!!』
あぁ、なんか本人がそんなことを言ってた気がする。
転売とかされてるみたいだよね。
だけど、俺は違うので入手経路を話すことにした。
『その……一枚千円で本人から買ったんだよね……』
『い、一枚千円で本人から買った……?』
『うん……』
俺のその言葉に、佐藤さんが頭を抱える。
『はぁ……マジかぁ……本当なら私が行きたいくらいだけど、買ったのはいーんちょーだし、誘われたのは朱里だし、仕方ないか』
『そ、そうだね。司さんからは、彼女と来てくれって言われてるし』
俺のその言葉に、朱里が反応する。
『その司さんって人は、悠斗が私と付き合ってるの知ってるの?』
『うん。だって、朱里とのことを付き合う前からいろいろと相談してきたから。交際の報告をしたら喜んでくれてたよ。そのくらいにはお世話になってる人だよ』
『そうなんだ』
……なら、安心かな
『ん?朱里、今何か言った?』
『ううん!!何でもないよ!!』
『それで、この間なんだけど。司さんにバイトのシフトを融通してもらったから、その時に『少年の差し入れを期待している』って言われてるんだよね。そこで、ケーキバイキングのお店って結構有名店みたいだからそこのケーキをいくつか見繕って渡そうと思ってるんだ』
『いーんちょー!!それは良いアイディアだよ!!』
『う、うお!!佐藤さん』
『TSUKASAさんのインスタで、いーんちょーの行くお店のケーキが美味しいって聞いたから、いつか行きたいって言ってたからね!!』
『そ、そうなんだ……』
『ねぇゆーこちゃん。そのコンパスのライブってなんかドレスコードとかあるの?』
それは俺も知りたかったことだ。
佐藤さんなら参加したことがありそうだし、経験者の知識は何よりも大切だ。
『あ、それは知りたいな。俺も何着てこうとかあったし』
『朱里は普通の服装で平気だよ。てか問題はいーんちょーなんだよね……』
少しだけ困ったような表情に、俺は不安に襲われる。
『……え?なんで??』
『コンパスのライブは、基本男子禁制なんだよね……』
だ、男子禁制……
ら、ライトノベルとかなら、女装してそういう所に行ったりするシーンもあるけど、俺にはそんな趣味は無い……
というか、そこまでして行きたくない。
『う、嘘だろ……』
『不当な手段でチケットを手にする男もいるみたいだけど、入場で拒否されてるし』
『……じゃあ、俺は入れないの?』
『わ、わかんない。でも、そのチケットって本人から買ったんでしょ?』
その言葉に俺は首を縦に振る。
『うん。そうだよ』
『だったら、大丈夫だと思うけど……』
『い、一応本人に確認してみようかな』
俺はスマホを取り出して、司さんに電話しようとする。
『TSUKASAさんのプライベートの連絡先知ってるの!!??』
『え……そりゃあ、バイト先の先輩で、シフトのこととかも聞くことあるし。向こうからかかって来ることもあるよ』
『そ、そうだよね……』
俺は取り乱す佐藤さんを尻目に司さんに電話をした。
『……もしもし。どうしたんだ少年?』
TSUKASAさんの声だ!!
……佐藤さんの声が隣から聞こえる。
『あ、司さん。いきなりすみません。ちょっと聞きたいことがありまして』
『聞きたいこと?なんだい』
『あの、司さんのガールズバンドのライブが男子禁制だって今知りまして。俺が行っても平気なのかなって?』
『あはははは!!!!何を言ってるんだ少年。君は正当な手段でそのチケットを買ったんだ。きちんと入場出来るに決まってるじゃないか。まぁでもあれだね。受付の人には君のことをきちんと話しておくことにしよう』
『ありがとうございます。それなら安心です』
『話はそれだけかい?』
『はい。そうです』
『そうか、なら名残惜しいがここまでにしよう。私も大学の授業があるからね』
『あ、忙しいのにすみません』
『なに、構わないさ。少年の電話ならいつだって大歓迎さ』
『そう言って貰えると助かります』
『あぁ。では、ライブで君と彼女を待ってるよ』
『その前に、今日のバイトではシフトが同じなので会えますね』
『おぉ、そうだったね。いやー先日少年のシフトを変わった疲れがまだ抜けてなくてね』
『はぁ……わかりました。トイレ掃除は俺がやります』
『おぉ!!それは助かるね!!ありがとう少年』
『いえ、このくらいならお易い御用ですよ。では、失礼します』
ピッ
俺は電話を切った。
『うん。大丈夫みた……』
『いーんちょー!!!!!』
『うお!!なに、佐藤さん』
『あんなにフレンドリーなTSUKASAさんの声を聞いたの初めてなんだけど!!』
『初めても何も、だいたいいつもあんな感じだよ。司さんは』
『……ねぇいーんちょー?』
『俺の店は教えないよ?』
朱里には話してあるし、詩織さんはたまたま来たから知ってるけど。
今の佐藤さんには教えたくない……
『はぁ……だよねぇ。押しかけられたら迷惑だと思うし』
『理解して貰えて嬉しいよ』
俺は安堵の息を吐いた。
『でも、悠斗の周りって結構女の子が多いよね』
『あ、朱里!!??』
『……女たらしのハーレム王』
『お、俺は朱里一筋だから!!』
『ふふふ。大丈夫だよ?私は悠斗を信じてるし』
中間テストでも負けないでね?
『それはもちろん』
『はぁ、黒瀬さんもなかなかやるなぁとは思ったよね』
『まぁでも、変な策略とかされるよりは、こっちの方が断然楽だよ』
俺が勝てば良いだけだし。
『まぁそうだね。黒瀬さんにどんな心境の変化があったのかは知らないけどさ』
そういう佐藤さん。
詩織さんの変化は十中八九、斉藤さんの影響だろうな。
あの二人が最近一緒にいるのを見かけたことがある。
俺としてはそれなりに仲が良いと思っている彼女は、俺の事を結構知ってると思われる。
今回の正攻法の一件も、斉藤さんの入れ知恵かも知れないな。
なかなか手強いバックがついたものだ。
生徒会の予算だけでも大変なのに、考えることが多いよな……
俺は少しだけ大きなため息を吐いた。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説


十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~
味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」
春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。
そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか)
今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。
「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」
そう言う俺に、
「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」
と笑顔で言い返して来た。
「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」
「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」
パタン
俺は玄関の扉を閉めた。
すると直ぐに
バンバンバン!!!!
と扉を叩く音
『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』
そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。
はぁ……勘弁してくれよ……
近所の人に誤解されるだろ……
俺はため息をつきながら玄関を開ける。
そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。
腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる