学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

朱里side ① ~ふたりきりの夜~

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 朱里side  ①



 朱里視点



 お父さんとお母さんが悠斗のお父さんの誘いに乗って、下の部屋ではお酒を飲んでる。
 どうやら本気で泊まるみたい……
 悠斗の家にはお母さんが居ないのは知ってる。
 だから、その部屋を使えば夫婦で泊まることも可能だろうって思う。
 でも、年頃の娘を、彼氏の家に、しかも同じ部屋で寝かせるって、なかなか居ないよね!?

「ふぅ。もう朝か……一睡も出来なかったけど、俺は手を出さないで我慢できたぞ……まったく、無防備な顔で寝やがって……」

 悠斗が遠い目をしながら、まだ暗い外を眺めて、そんなことを言ってる。

「ねぇ、悠斗。まだ夜だよ?」

 私は何故か車の中に予備があったパジャマに身を包み、悠斗のベッドに腰を下ろしている。
 なんて言うか、現実逃避したくなるような気持ちはわかるけど……


「……だよねぇ」

 悠斗が諦めたように肩を落とす。

 部屋の下で三人の大人が楽しそうに飲んでる声が聞こえてくる。
 隣の部屋では雫ちゃんが音楽を聴きながら受験に向けた勉強をしてるみたい。
 来年はうちの高校に来るって言ってたよね。

 悠人を見るとなんだかソワソワしてる。

 春休みに、悠斗の部屋に来たことはあった。

 でもそれは昼間だったし、雫ちゃんも一緒だった。
 こんな夜中に二人きりで、しかも一緒に寝るなんてのは初めてだ。

「なぁ、朱里。その俺は……」

 意を決したように、悠斗が口を開く。
 あはは。何を言うかなんてわかってるよ?

「俺は床で寝るから、朱里はベッドで寝てくれ。なんて言われても断るからね?」
「うぐ……」

 私は悠斗を半眼で睨む。
 こう言われるのなんてわかってるでしょ?
 だから私は悠斗に催促する。

「もー悠斗?ラブコメラノベの主人公はみんな同じこといってるよ?そして断られてるんだよ。ほら、一緒に寝るよ?」

 明日も早いんだし。

「あ、朱里は……その、平気なのか?」

 平気なのか?って平気なわけないじゃん!!
 でも、自分よりテンパってる人を見ると落ち着くってあるんだなぁ……って
 だから、私は言う。

「平気だよ。だって悠斗だもん。私が嫌がることはしないって信じてるし」
「まぁ……」
「それに、好きな人と一緒に寝られるとか、幸せだよね。悠斗は違うの?」
「いや、違わないけど……」
「それにね、悠斗。聞いてほしいんだけどさ」

 私は息を吸う。そして吐く。
 自分の気持ちを、言う。

「もし、本当に、悠斗が、いろいろと我慢出来なくて、そういうことになったとしても、私は嬉しいよ?」
「……っ!!」




「好きな人に求められて、嫌な女の子はいないよ」




 そう。そうなんだ。
 私は悠斗に求められたい。
 好きな人に求められて、抱かれて、欲望のままに、……されたい。
 そういう思いも、あるんだ。

 でも、悠斗は言ってくれた。

「……それでも、俺は朱里との初めては、もう少しこだわりたい」

「初めてのキスは0点だったから、こっちの初めては100点にしたい」

 あはは。ちょっと気にしてるのかな?
 まぁ、でもそう言ってくれるのは、嬉しい。

「ふふふ。そっか。じゃあ、期待してようかな?」

 私はそう言うと、ベッドに寝転ぶ。
 掛け布団を身体に巻き付けると、悠斗に包まれてるような感じがした。

「えへへ。悠斗の匂いがする。悠斗には悪いけど、良く寝れそうな気がする」

「ほら、悠斗。おいで」

 ボーッとこっちを見てる悠斗を、私は誘う。

「あ、はい」

 悠斗はそう言うと、フラフラとこっちに来て、私に背中を向けて布団に入る。

「お邪魔します」

 自分の部屋のベッドなのに、なにそれ。

「ふふふ。なにそれ面白い」

 そんな可愛い悠斗を私は抱きしめる。
 あぁ、幸せ……

「悠斗の背中。大きいね」
「ねぇ!!朱里!!誘ってるよね!?」

 困ったような悠斗の声。
 えへへ、もっと困らせてやれ。

「えへへ。誘ってる」
「…………」

 悠斗は何かを決心したのか。くるりとこちらを向いて、私を抱きしめる。

「……電気。消すよ」

 真剣な表情。悠斗の目には私しか映っていない。

「……うん」

 パチ、パチ

 悠斗は玉電で寝るんだ。私と同じだね。
 真っ暗だとなんか怖くて寝れないんだ。

 なんて思ってると、オレンジ色に染まる悠斗の顔が、私に近づいてくる。

「キスしたい」

 ふふふ……
 余裕が無い顔してる


「いいよ」

 私がそう言うと、悠斗は私にキスをする。

 悠斗を感じる。

 もっと、もっと……

 私は悠斗を強く抱きしめる。
 悠斗も私を抱きしめてくれる。

「……悠斗、好き」
「うん。俺も好きだよ……朱里」

 嬉しい……

 舌を入れる

 悠斗と私の舌を絡め合う音が、部屋に響く

 理性が溶けていく……




 すき、すき、すき、だいすき……

 そして私は、溶けるように意識を失って行った。
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