学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第二話 ② ~昼休みに生徒会長がやって来ました~

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 第二話  ②




 昨夜のニュースのことで、クラスメイトからいじられながら、四時間目まで過ごした。
 まあ、まさか全国に放送されるとは思ってもいなかったが……

 俺がしていた原付ニケツよりも、放映された愛を叫んだ動画の方が反響が大きかったらしく、学校にはニケツを避難する電話が無くなり、変わりに面白い生徒がいますね。的な電話が増えたようだった。


「よし。久しぶりに五人で飯食い行こうか」

 と、俺は隣の詩織さん、朱里。近くに来ていた健と佐藤さんに声を掛ける。

「ふふふ。なんだか悠斗くんとお昼を共にするのは久しぶりの気がします」
「確かに。最近は咲ちゃん先生とご飯食べてたよね」
「おーい。いーんちょー。今度は先生にまで手を出したのかよー?」
「……いや。山野先生は……」
「確かにあの先生は綺麗な大人の女性だとは思うけど、婚期が遅れそうな美人の筆頭だよな」

 と、言う健の言葉に、

「「「「「確かに」」」」」

 ははは!!

 とみんなで笑い合う。

 そんな他愛ない会話をしながら、俺たちは食堂へと向かった。






 俺たちがいつも使っている丸テーブルは本日も空いていた。

 俺は雫のお手製弁当を置いて、席を確保する。

「朱里はここに座って待ってていいよ。俺が昼ご飯を代わりに買ってくるから」

 と、俺は捻挫してる彼女を席へ促す。

「ありがとう悠斗。昨日はゆーこちゃんにお願いしてたけど、今日からは悠斗にお願いしようかな」
「佐藤さん。昨日はありがとう。今日からは俺が引き継ぐよ」
「いーよいーよ。二人分持って来るのも大変だったしね」
「それで、朱里は何食べる?」
「私は日替わり定食かな」
「おっけー」

 俺は彼女から五百円を受け取り、券売機に向かう。

 そして、日替わり定食の券を買い、『お姉さん』に渡す。

「お、桐崎じゃないか!!ニュース見たよ!!」

 と、ニュース大好きのお姉さんが俺に笑いかけてくる。

「あはは。結構有名人になっちゃいました」

 と、俺は苦笑いを浮かべる。

「今までは学校の中だけの有名人だったけど、今や全国の有名人だからね!!大変だと思うけど頑張んな!!ほら、これをあげよう」

 彼女と食べな!!

 と、お姉さんはプリンをふたつくれた。

「わあ!!良いんですか?ありがとうございます!!」

 学校の中だけの有名人。という言葉が引っかかったが、
 俺は思わぬプレゼントに心が躍る。

 お姉さんから、日替わり定食とプリンを受け取り、丸テーブルへと戻る。

「おかえり悠斗。あれ?何そのプリン」
「ただいま朱里。学食のお姉さんにもらった。昨日のニュースを見てたみたいで、朱里と食べなって」
「あはは……。こんな所まで。でも、ありがたく貰おうか」

 俺と同じように苦笑いを浮かべる朱里。

 俺が席に座ると同時くらいに、昼ご飯を買ってきたみんなが戻ってくる。

 健はカツ丼。佐藤さんは朱里と同じ日替わり定食。そして、詩織さんはいつもの肉増し焼肉だ。

 俺は雫のお手製の弁当を開く。

 中には白米と卵焼きとウインナーとポテトサラダに雫にしては珍しく、冷凍の骨付きチキンが入っていた。
 雫には悪いけど、俺は結構この冷凍のチキンが好きなんだ。

 俺は周りを見て、みんなが席に座ったことを確認する。

「じゃあ、そろそろ食べようか」

 俺はそう言って、

 いただきます。

 と、音頭を取ろうとした。

 その時だった。


「その。昼ご飯を食べようとしてる所、申し訳ないね。ちょっと良いかい?」
「……え?」

 後ろから聞こえた澄んだ女性の声に、一時中断して俺は振り返る。

「もし良ければ、僕も昼ご飯に同席させてもらってもいいかい?」

 そう言ってきたのは、この学園の

「……生徒会長さんがなぜ俺たちと?」

 生徒会長。蒼井空(あおいそら)さんだった。

「あはは。桐崎くんには一応山野先生から軽く話は行ってると思うけど、少しその件で話がしたくてね」

 こうしてお昼ご飯を食べながら、お話でもどうかな?と伺った次第さ。

 という生徒会の蒼井さん。

「俺は構わないですけど、みんなはどう?」

 と、みんなに意見を聞くと、

「俺は別にいいぜ。席も余ってるしな」
「私もいいよ!!会長とは話してみたかったし!!」
「いーんちょーの新しい女かぁ……」

 おい、佐藤さん……

「私も構いませんよ?権力者とは仲良くしておこうと思うので」

「あはは。生徒会長なんて言っても、アニメや漫画みたいな権限とか裏の支配者とかそんなのないけどね」
「そ、そんな……っ!!」

 詩織さん……ライトノベルに染ってきてるなぁ

「会長。みんな良いという事なので、ご一緒しませんか?」
「あはは。ありがとうね桐崎くん。あと、僕のことは会長じゃなくて、蒼井って呼んでくれるかな?」

 会長って呼ばれ方。好きじゃないんだ。

「わかります。私も『聖女様』なんて言われるのは嫌ですので」
「あはは……」

 同意を示す詩織さんに、苦笑いを浮かべる朱里。

「では、蒼井さん。そちらに」

 と、俺は蒼井さんを、朱里と詩織さんの間の席を勧める。

「おっけー。じゃあ失礼するよ」

 日替わり定食を買っていた蒼井さんは、定食をテーブルに乗せ、席に着く。

「じゃあ今度こそ、昼ご飯を食べようか」

 俺たちは、頷いて、いただきます。と声を揃える。




 さて、蒼井さんから何を話されるか。

 まぁ十中八九、……生徒会への勧誘だろうな。

 そんなことを考えながら、俺はまずは雫お手製の卵焼きを口に入れた。
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