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第2章
第一話 ⑨ ~バイト先で司さんに仲直りの報告をしました~
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第一話 ⑨
「それじゃあまた明日。気をつけて帰れよ」
SHRを終え、俺たちは帰宅の準備をする。
健や佐藤さん、朱里は部活へ。
俺は今日はバイトのシフトが入っている。
すると、詩織さんから声が掛る。
「すみません、悠斗くん。本日の学級日誌をお願いしても良いですか?」
「え?大丈夫だよ。どうかした?」
俺の質問に詩織さんはこう答えた。
「はい。本日は放課後に友人と少しお話をする予定でして。お待たせするのも悪いと思ったので、悠斗君にお願いした次第です」
と、教室の扉を見ると、斉藤さんが手を振っていた。
ははは。仲良くなったんだな。
まぁ紆余曲折はあったけど、詩織さんに友達が増えるのは良い事だ。
「うん。大丈夫だよ、詩織さん。今日は原付で来てるから多少遅くなってもバイトには間に合うからね。それに、昨日はお願いしちゃったからさ」
と返した。
「ありがとうございます。では、お互い様という事で。これからも助け合いで行きましょう」
お仕事頑張ってくださいね。
そう言って詩織さんは、ペコりとお辞儀をして斉藤さんの所へ歩いて行った。
詩織さんと斉藤さん。意外な組み合わせだと思うけど、仲良くなったんだなぁ……
「やべやべ。早く書かないと、いくらバイクで来てるって言っても遅刻しちゃうぞ」
俺はそう呟いて、学級日誌をさっさと仕上げて、職員室へと提出した。
「さて、少年。件の話はしてくれるのかな?」
ピークの時間が終わり、少しだけ客足が少なくなる、俗に言うアイドルタイムに司さんが切り出してくる。
「そうですね。司さんのお掛けで彼女とは仲直り出来ました。あと、詩織さんとの関係も、自分なりに解決出来たと思ってます」
「ほぅ……『詩織さん』ね」
と、俺の名前呼びに、司さんは目を光らせた。
「ははは。自分の置かれた状況の中で、詩織さんを自分とは無関係と言うのは無理があると思ったんで、彼女を自分の『大切な友人』とすることで、彼女ではなく友達なんだぞって周りに示しました。名前呼びはその一環です」
「なるほどね。ちなみに、少年。通学路の中心で愛を叫ぶ動画がバズってるのは知ってるか?」
ぶふっ!!!???
「いやー何か見覚えのある少年が、早朝の通学路で愛を叫んで彼女にキスをする動画が私のとぅいったーに流れてきてね」
と、俺に見せてきたのは、今朝の俺の一幕だった。
「ふふふ……少年もなかなかやるな」
「あぁ……」
こうして外から見るとかなり恥ずかしい……
ま、まぁ!!いいか!!
だって、嘘じゃないし!!
なんて考えていると、自動ドアが開く。
「いらしゃいませー」
「ふふふ、悠斗くん。今日も来てしまいました」
と、入って来たのは詩織さんだった。
「やぁやぁ『詩織さん』いらっしゃい」
と、司さんがフレンドリーに話しかける。
「あら、本日も働いていたのですね。『司さん』」
と、詩織さんも名前呼びで返す。
「へぇ、私の名前を知っていたのかい?」
「えぇ、悠斗くんが名前で呼んでるのを聞いてましたので」
「あぁ、確かにそうだったね」
「そちらこそ、なぜ私の名前を?」
「ふふふ、私は少年から、今聞いたところだよ」
「なるほど、そうでしたか」
にこやかに話しているように見えるが、何かが渦巻いているような気配もする……
なんだろう……近づいては行けない雰囲気だ。
「ちなみに、司さん」
「なんだい?」
「司さんは悠斗くんのことをどう思ってますか?」
んん!!???
詩織さんの質問に俺は驚きを隠せない。
しかし、彼女のそんな質問に、司さんは
「うーん。それは少年を異性としてどう思っているか?という意味かい?」
「はい。そうです」
ふむ……と言いながら軽く思案する司さん。
そして、
「うん。もし彼がフリーなら彼氏の候補としては、最有力になるくらいには魅力的な男だと思っている」
ええ!!??
「なるほど。そうですか……」
詩織さんの目が細くなる。
「君も知っているだろうが、少年は非常に男としてのレベルが高い。それ以上を探すとなるとなかなか居ないだろうねぇ」
「そうですね。悠斗くんはとても魅力的な男性です」
あの、本人がここに居ますが……
そう言うのは普通、本人が居ないところでするものでは……?
「だが、私は詩織さんとは違うからねぇ」
「違う。とは?」
「わかってるだろう?」
私は彼女が居る男に手を出すような人間では無いんでね。
と、司さんは言った。
「諦めろ。と言うのですか?」
「いや、違うよ。大変な道だとは思うけどね」
ただ、君は少年に感謝した方が良いよ。
と、続ける。
「感謝ならいつでもしてます」
「ふふふ、そうじゃない。彼女が居るのに、君を傍においてくれる少年の懐の深さにだよ」
まぁ、『甘い』とも言えるがね。
「君の横恋慕を許してくれているのは、ひとえに少年の甘さゆえだ。だからお願いだよ」
その少年の『甘さ』につけ込むようなマネはしないで欲しい。
「……なるほど。わかりました。既にもう一度それをしていますが、今後は控えると約束します」
「ふふふ。ありがとう。この少年の甘さは彼の良いところでもあるんだ。それを無くしてしまうのは、私は嫌なんだ」
「そうですね。それはわかります」
詩織さんはそう言うと、司さんに頭を下げる。
「お話が出来て良かったです。ありがとうございます」
「いやいや。こっちも君と話せて良かったよ」
二人は笑い合うと、そのまま離れて言った。
俺のところに来た司さんに言う
「あの、俺が居ない時にしてくれません?」
「ははは。今の会話は『君が聞いている』と言うのが大切だったんだよ」
「え?」
疑問符を浮かべる俺に、司さんが言う。
「君が聴いていなかったら、彼女はあんな約束はしないさ。それくらいには、彼女は本気だった」
「……そうですか」
「女はずるい生き物だからね」
「お願いします」
そんな会話をしていると、詩織さんがカルビ弁当を持ってくる。
本当にお肉好きだなぁ……
「お弁当の温めは大丈夫です。ですが、私の心と身体を悠斗くんに温めて欲しいです」
「そういうサービスは行っておりません」
と返す俺に、詩織さんが笑う。
「ふふふ。そうですか、それは残念です」
そう言う表情は、本当に可愛いと思う。
はぁ……打算的で、策略を巡らせたような行動で来られた方がまだ楽だったなぁ……
なんて思ってしまうくらいには、自然体の詩織さんは非常に魅力的な女の子に見えてしまっていた。
「それじゃあまた明日。気をつけて帰れよ」
SHRを終え、俺たちは帰宅の準備をする。
健や佐藤さん、朱里は部活へ。
俺は今日はバイトのシフトが入っている。
すると、詩織さんから声が掛る。
「すみません、悠斗くん。本日の学級日誌をお願いしても良いですか?」
「え?大丈夫だよ。どうかした?」
俺の質問に詩織さんはこう答えた。
「はい。本日は放課後に友人と少しお話をする予定でして。お待たせするのも悪いと思ったので、悠斗君にお願いした次第です」
と、教室の扉を見ると、斉藤さんが手を振っていた。
ははは。仲良くなったんだな。
まぁ紆余曲折はあったけど、詩織さんに友達が増えるのは良い事だ。
「うん。大丈夫だよ、詩織さん。今日は原付で来てるから多少遅くなってもバイトには間に合うからね。それに、昨日はお願いしちゃったからさ」
と返した。
「ありがとうございます。では、お互い様という事で。これからも助け合いで行きましょう」
お仕事頑張ってくださいね。
そう言って詩織さんは、ペコりとお辞儀をして斉藤さんの所へ歩いて行った。
詩織さんと斉藤さん。意外な組み合わせだと思うけど、仲良くなったんだなぁ……
「やべやべ。早く書かないと、いくらバイクで来てるって言っても遅刻しちゃうぞ」
俺はそう呟いて、学級日誌をさっさと仕上げて、職員室へと提出した。
「さて、少年。件の話はしてくれるのかな?」
ピークの時間が終わり、少しだけ客足が少なくなる、俗に言うアイドルタイムに司さんが切り出してくる。
「そうですね。司さんのお掛けで彼女とは仲直り出来ました。あと、詩織さんとの関係も、自分なりに解決出来たと思ってます」
「ほぅ……『詩織さん』ね」
と、俺の名前呼びに、司さんは目を光らせた。
「ははは。自分の置かれた状況の中で、詩織さんを自分とは無関係と言うのは無理があると思ったんで、彼女を自分の『大切な友人』とすることで、彼女ではなく友達なんだぞって周りに示しました。名前呼びはその一環です」
「なるほどね。ちなみに、少年。通学路の中心で愛を叫ぶ動画がバズってるのは知ってるか?」
ぶふっ!!!???
「いやー何か見覚えのある少年が、早朝の通学路で愛を叫んで彼女にキスをする動画が私のとぅいったーに流れてきてね」
と、俺に見せてきたのは、今朝の俺の一幕だった。
「ふふふ……少年もなかなかやるな」
「あぁ……」
こうして外から見るとかなり恥ずかしい……
ま、まぁ!!いいか!!
だって、嘘じゃないし!!
なんて考えていると、自動ドアが開く。
「いらしゃいませー」
「ふふふ、悠斗くん。今日も来てしまいました」
と、入って来たのは詩織さんだった。
「やぁやぁ『詩織さん』いらっしゃい」
と、司さんがフレンドリーに話しかける。
「あら、本日も働いていたのですね。『司さん』」
と、詩織さんも名前呼びで返す。
「へぇ、私の名前を知っていたのかい?」
「えぇ、悠斗くんが名前で呼んでるのを聞いてましたので」
「あぁ、確かにそうだったね」
「そちらこそ、なぜ私の名前を?」
「ふふふ、私は少年から、今聞いたところだよ」
「なるほど、そうでしたか」
にこやかに話しているように見えるが、何かが渦巻いているような気配もする……
なんだろう……近づいては行けない雰囲気だ。
「ちなみに、司さん」
「なんだい?」
「司さんは悠斗くんのことをどう思ってますか?」
んん!!???
詩織さんの質問に俺は驚きを隠せない。
しかし、彼女のそんな質問に、司さんは
「うーん。それは少年を異性としてどう思っているか?という意味かい?」
「はい。そうです」
ふむ……と言いながら軽く思案する司さん。
そして、
「うん。もし彼がフリーなら彼氏の候補としては、最有力になるくらいには魅力的な男だと思っている」
ええ!!??
「なるほど。そうですか……」
詩織さんの目が細くなる。
「君も知っているだろうが、少年は非常に男としてのレベルが高い。それ以上を探すとなるとなかなか居ないだろうねぇ」
「そうですね。悠斗くんはとても魅力的な男性です」
あの、本人がここに居ますが……
そう言うのは普通、本人が居ないところでするものでは……?
「だが、私は詩織さんとは違うからねぇ」
「違う。とは?」
「わかってるだろう?」
私は彼女が居る男に手を出すような人間では無いんでね。
と、司さんは言った。
「諦めろ。と言うのですか?」
「いや、違うよ。大変な道だとは思うけどね」
ただ、君は少年に感謝した方が良いよ。
と、続ける。
「感謝ならいつでもしてます」
「ふふふ、そうじゃない。彼女が居るのに、君を傍においてくれる少年の懐の深さにだよ」
まぁ、『甘い』とも言えるがね。
「君の横恋慕を許してくれているのは、ひとえに少年の甘さゆえだ。だからお願いだよ」
その少年の『甘さ』につけ込むようなマネはしないで欲しい。
「……なるほど。わかりました。既にもう一度それをしていますが、今後は控えると約束します」
「ふふふ。ありがとう。この少年の甘さは彼の良いところでもあるんだ。それを無くしてしまうのは、私は嫌なんだ」
「そうですね。それはわかります」
詩織さんはそう言うと、司さんに頭を下げる。
「お話が出来て良かったです。ありがとうございます」
「いやいや。こっちも君と話せて良かったよ」
二人は笑い合うと、そのまま離れて言った。
俺のところに来た司さんに言う
「あの、俺が居ない時にしてくれません?」
「ははは。今の会話は『君が聞いている』と言うのが大切だったんだよ」
「え?」
疑問符を浮かべる俺に、司さんが言う。
「君が聴いていなかったら、彼女はあんな約束はしないさ。それくらいには、彼女は本気だった」
「……そうですか」
「女はずるい生き物だからね」
「お願いします」
そんな会話をしていると、詩織さんがカルビ弁当を持ってくる。
本当にお肉好きだなぁ……
「お弁当の温めは大丈夫です。ですが、私の心と身体を悠斗くんに温めて欲しいです」
「そういうサービスは行っておりません」
と返す俺に、詩織さんが笑う。
「ふふふ。そうですか、それは残念です」
そう言う表情は、本当に可愛いと思う。
はぁ……打算的で、策略を巡らせたような行動で来られた方がまだ楽だったなぁ……
なんて思ってしまうくらいには、自然体の詩織さんは非常に魅力的な女の子に見えてしまっていた。
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