学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第一話 ④ ~たくさんの先生から祝福の言葉をいただきました!!~

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 第一話  ④


 さて、SHRが終わり、授業が始まる。

 一時間目は物理の授業だった。

 三十代前半位の男性の先生。中根(なかね)先生が教室に入ってくる。
 手には教科書の他に、何やらプリントのようなものを持っている。

 そして、中根先生は俺を見ると、ニヤッと笑っていた。

 授業開始のチャイムがなった。

 俺は号令を掛け、礼をする。


「はい。おはよう。今日は『仕事と運動エネルギー』についての勉強だ。正確には、移動する物体が衝突した時に発生するエネルギーについて学んでもらう」

 ほうほう。

「この授業では、よく野球のボールとミットに例えることが多いが、君たちにはより身近な教材があると判断したので、こちらを使うことにした」

 と、言って先生は、『俺と朱里が原付バイクでニケツしながら走る写真』を拡大コピーしたものを黒板に張りつけた。

 クラスメイトは笑っていた。

 朱里は真っ赤になってうつ伏せになっている。

「えー。85kgの原付バイクに75kgの桐崎と45kgの藤崎が乗り、20kmで人に衝突した場合の仕事と運動エネルギーを求めていこう」

「先生!!俺の体重はもう少しあります!!筋肉がついて増えました!!」

「なるほど。では自己申告により、桐崎の体重は80kgにしよう」

 では先ず、運動エネルギーの求め方からのおさらいだ。

 運動エネルギーは1/2の質量×速さの二乗だ。

 つまり、ここでの質量とはバイクと桐崎と藤崎の重さの合計になる。

「はい!!先生!!」
「どうした、桐崎?」

 俺は立ち上がり、先生に物申す。

「そこの重さに俺たちの愛の重さが入っていません!!」

「何言ってるのかな!!悠斗!!??」

 隣の朱里がツッコミを入れてくる。

「それに、俺の愛は半分になんかなりません!!」

 またしてもクラスメイトに笑われる。

「ふぅ……桐崎。公式に愛やロマンを求めるのは、数学の根岸先生くらいなものだから、そう言うのは次の時間で言いなさい」

 では、授業をつづけるぞ。

 そう言って先生は授業を続けて行った。

 こうして、一時間目は『特に問題もなく』終わった。



 そして、二時間目は数学だった。



 数学は根岸先生で少し意地悪だが良い先生だ。


 根岸先生が教室に入ってくる。

 そして、先生はやはり一時間目の中根先生同様に俺を見てニヤッと笑っていた。

 授業開始のチャイムがなったので、俺は号令を掛けた。

「よし。では授業を始める。だがその前に、ひとつ話しておこう」

 根岸先生はそう言うと、黒板にいくつかの公式を書いていく。

 習った公式。これから習う公式。訳わかんない公式。

「物理の中根先生は、公式に愛やロマンを求めるな。と言うが、私は違う。公式とは生み出した人間の愛やロマンが詰まっている。つまり公式を生み出し、公表するという行為は、自分の愛を撒く行為でもあるわけだ」

 そこまで言って、先生 は俺を見る。

「さて。愛を撒くことに定評のある桐崎なら、この公式を使ってこの問題が解けるだろう?」

 と言って先生が指さしたのは訳わかんない公式と理解不能な問題だった。

 俺は前回の反省を活かして言う。

「先生!!まだ習ってないのでわかりません!!」

 俺がそう言うと先生はニヤリと笑う。


「そうだな。これは東大生が習う問題だ。だが、桐崎ならきっと解いてくれると信じてるので、これはお前の宿題とする。他の生徒には違う宿題を出すのでそのつもりで」
「……ま、マジすか」
「おぉマジだぞ桐崎。通学路で愛を叫ぶほどに愛に溢れたお前なら、もっとも美しい愛に溢れた公式を使い、この問題をきっと解けるだろう」

 教室に笑いが生まれていた。

 と、『少しだけ』問題があったけど、二時間目が終わった。

 そして、三時間目は公民。

「今日は法律の話を先にしよう。桐崎。道路交通法57条2項はなんだか知ってるか?」

「はい!!定員を超える人員や重量制限を超える荷物を車両に乗せて運転しては行けません!!」

「良く知ってるな!!知ってるのにやりやがったなこのやろう!!」

「しかし、先生!!これに当てはまらない場合があります!!」

「ほぅ、桐崎。面白い。言ってみろ!!」

「はい!!パトカーや消防車、救急車など緊急車両においては超法規的措置が取られます!!自分の車両は『愛の緊急車両』なので許されると思いました!!」

「ねぇ!!悠斗!!馬鹿なのかな!!??」

 教室は再び笑いに包まれる。

「なんでお前は頭がいいのに馬鹿なんだ……」


 こうして三時間目も『つつがなく』終わった。


 そして四時間目は国語の時間だった。



『早朝の通学路。多数の生徒が登校する中、俺は彼女をバイクの後ろに乗せて走っていた。冷やかしの声に笑顔で手を振る俺と恥ずかしそうに顔を赤く染める彼女。俺はそんな彼女をバイクから下ろし、皆が見ている前でキスをした』


「さて、桐崎。この登場人物の『俺』と『彼女』の気持ちを答えよ」

「はい!!とても幸せでした!!」
「私はとっても恥ずかしいよ!!」

「先生。こういうラブコメ大好きなんだよね」


 と、四時間目は『特に何も無く』終わった。




 いやーたくさんの先生に祝福されてしまったな!!
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