学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第一話 ② ~俺の可愛い彼女を登校中の生徒に見せびらかしました~

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 第一話  ②



「ねぇ、悠斗。これってやっぱりダメだよね!?」
「うん。明確な道路交通法違反だけど、たまに漫画とかでやってるの見るし!!」



 愛車のポチのハンドルを握りながら、俺は通学路を走る。
 そして、その後ろには朱里を乗せている。

 原付バイクのニケツは法律違反だ。
 減点一点だな。
 まぁ、今まで無事故無違反だから一点くらい別にいいけどな!!

「あと、これの他にも黒瀬さんに対抗する方法があってね、そのためには朱里にも協力して欲しいことがあって……」
「いいよ!!私に出来ることならなんでもする!!」

 頼もしい返事を受けて、俺はその方法を説明する。

「……という感じなんだけどどうかな?」

 俺の話を聞いた朱里はニンマリと笑う。

「とてもいいと思う!!多分、昨日までの私だったら許さなかったけど、今の私ならそれも大丈夫だよ!!」

 と言う返事。

「よし、じゃあそれで行こう!!そろそろ一番目立つところにたどり着くからね!!」
「う、うん!!」

 俺はそう言うと、スロットルを全開にして愛車を加速させた。








『お、おい……!!アレ見ろよ!!』
『二年の桐崎が後ろに女乗せて原付でニケツしてるぞ!!』
『バイクの通学って校則違反だし、原付バイクのニケツは法律違反だぞ!!』
『桐崎のやつめっちゃ笑顔で手を振ってるぞ!!』
『後ろに乗ってるのバスケ部の藤崎さんじゃね?』
『藤崎さんめっちゃ顔赤くしてるんだけど!?』
『え!?あの二人付き合ってんの!?』
『情報量多すぎて何がなんだかわかんない!!』
『とりあえず写真撮ろうぜ!!』




「ね、ねぇ!!悠斗!!めっちゃ恥ずかしい!!」
「あはは!!見てよ朱里!!みんなめっちゃ写真撮ってる!!」

 自転車通学してる人や徒歩で通学してる人の間を、低速で追い抜いていく。

 俺は朱里を見せびらかすように笑顔で手を振る。

「桐崎ー!!お前何してんだよ!?」

 一年の時のクラスメイトで二年では別れた奴から声がかかった。

「俺の可愛い彼女を自慢したくなった!!」
「えぇ!!??悠斗!!何言ってるの!!」

 俺のその声に朱里が恥ずかしそうに声を上げる。

「羨ましすぎるぞこのやろー!!」

 なんて言う元クラスメイトを追い抜いていく。

「桐崎くーん!!写真撮っていー?」

 同じように元クラスメイトの女の子が声を掛けてきた。

「好きに撮って拡散してくれ!!俺の可愛い彼女の朱里だ!!」
「ちょ、ちょっと!!悠斗!!??」

 手を振りながら大声で許可をする。

 それを皮切りに、みんなが写真を撮る。

「やっべぇ!!すげぇ楽しい!!」
「私はめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!!!!」
 あははははは!!!!なにも聞こえなーい。

 校門が少しづつ近づいてくる。

「お、おい!!桐崎!!お前って黒瀬さんと付き合ってたんじゃないのかよ!!??」

 と、ようやく俺のクラスメイトに見つかった。

「ごめんな!!俺は黒瀬さんじゃなくて藤崎朱里と付き合ってるんだ!!」

 俺はクラスメイトにそう言うと、

「詳しくは教室でなー!!」

 と、捨て台詞を残して追い抜いて行った。

「これが、悠斗がしたかった事?」
「そうだよ。黒瀬さんはクラスの中の空気を変えて行ったからね。俺はもう全校生徒の空気を変えに行ったんだ」

 みんなが見てる前で、こうして注目を浴びれば、きっとものすごい勢いで拡散されるだろう。

「で、でもこれ!!めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!?」

 と、後ろで朱里が顔を隠すように俺に抱きついてくる。

 その姿に周りが沸き立つ。

『羨ましすぎるぞ桐崎ー!!』
『あとで山野先生にめちゃくちゃ怒られるぞ!!』
『お前勉強は出来るのにバカだったんだな!!』

 なんてことを言われている。

 ははは……やべ、確かに山野先生は怖いな。

 絶対にこれ、耳に入るだろうし。

 まぁ、いいか!!
 楽しいし!!

 黒瀬さんと付き合ってると誤解されてた時と違い、本当に付き合ってる朱里とこうして付き合ってると言って回れることに俺は心から開放感を得ていた。

「なぁ、朱里」
「なに……悠斗……え?なんか嫌な予感がするんだけど」

 怪訝な顔をする朱里に言う。

「キスしたい」
「え、えぇ!?こんな人が居る前で!!!???」

 今の俺はめっちゃテンション高かった。

「うぅ……」

 悩む朱里

「キスしたい」
「悠斗が……壊れてる」

 朱里は諦めたようにため息をひとつ吐く。

「ほっぺなら」
「やったぜ!!」

 俺は愛車を停車させると、ヘルメットを脱ぐ。
 朱里のヘルメットも外す。
 恥ずかしそうに頬を染める彼女が顔を出す。
 可愛い。もうすごい可愛い。
 理性的な思考回路など、もうどこにも残ってなかった。

 俺たちの周りを囲むように、人が集まる。


「俺は!!二年一組の桐崎悠斗は!!二年一組の藤崎朱里を!!世界で一番!!愛してまーす!!!!!!」


 と、叫んで

 チュッ

 朱里の『唇』にキスをした。


 真っ赤に顔を染めながら、驚愕に目を開く朱里。

 みんながその瞬間を動画や写真に収めた。



 さぁ!!お前ら!!拡散しろ!!




「ゆ、悠斗のバカぁ!!!!!!!!」

 朱里に本日二度目のビンタを受けて吹っ飛びながら、俺は勝利を確信していた。
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