学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第1章

~エピローグ~ 朱里視点

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 ~エピローグ~


 朱里視点


 悠斗との二度目のキス。

 最低のファーストキスだった。と、彼に怒りをぶつけた時とは違い、私は幸せな気持ちに包まれていた。

 好き……大好き……愛してる……

 昨日は本当に嫌な気持ちになった。

 悲しかった。辛かった。

 悠斗を信じられなくなって、でも嫌いにはなれなくて、嫌われたくなくて、彼の優しさを、私のわがままで無くしたくなくて、私が我慢すればいいって、そう思って、だけど、だけど、だけど、悠斗が私にしてきた最初のキスは、彼からは愛も感じたが、謝罪の気持ちも流れてきた。

 嫌だった。

 大切な最初のキスを、謝罪に使って欲しくなかった。

 だから、私は怒った。

 だけど、それと同じくらいには、嬉しかった。

 この、二度目のキスは、100%、愛を込めて。

「……」
「……」

 どちらともなく唇を離した。

 少しだけ、名残惜しかった。

 ちょっとだけ、お互いに恥ずかしげな沈黙。

 でもそれは、さっきとは違う沈黙。

 私は、自分から切り出した。

「……名前。朱里って呼んでくれたね」

 ふふ、びっくりしたけど、嬉しかった。

「うん。朱里も、俺の事、悠斗って呼んでくれたね」
「うん。呼び捨てにしてくれたの、嬉しかったから」
「俺も、朱里から呼び捨てにされたのは嬉しかった」

 二人で、笑い合った。

 随分と久しぶりに、こんな時間が過ごせたと思う。

 そして、私は悠斗に聞く。

「ねぇ、悠斗?」
「なに、朱里」
「……責任、取ってくれるんだよね?」

 ほら、言って。

 私が求めてる言葉を。

「勿論。俺の一生をかけて、朱里を幸せにする」

 言ってくれた。

 嬉しい。

 幸せ。

 私は彼を抱きしめる。

「幸せにしてね、悠斗。信じてる」
「あぁ、絶対に。約束するよ」

 私が幸せを噛み締め、身体を離して、ふと、彼の後ろを見た。

『…………』

 そこには、悔しげな顔をした、黒瀬さんが居た。

 何故そこに?なんて思ったけど、何らかの手段でこの逢瀬の時間と場所を知ったのだろう。
 悠斗が話したとは思えない。
 きっと、何か……良くない手段で。


「……え?どうしたの。もしかして後ろにお父さん?」

 悠斗が私のただならぬ雰囲気を察したのか、後ろを振り向こうとする。
 私は、それを止めた。

「見ちゃダメ!!」
「え?」

 私は悠斗の頭を掴み、抱き寄せる。
 そして、その唇に私の唇を重ね合わせる。
 三度目のキス……

「……ん」
「…………」

 彼の意識を後ろから無くそうと、強く、強く、強く、唇を押し当てる。
 足りない……これだけじゃ……足りない……
 もっと、もっと、もっと深く、悠斗と繋がりたい。

「…………っ」
「…………んぅ」

 私は彼の口の中に舌を入れる。

 私のビンタで口の中が切れていたのか、少しだけ、血の味がした。

 私は薄く目を開ける。

『…………っ』

 黒瀬さんと目が合った。

 私はニヤリと目だけで笑う。

 悠斗は……私のモノだ。

 あなたの好きにはさせない。

 私はどうして、あの女に憧れていたのだろうか?

 好きだったのだろうか?

 あいつはもう『聖女様』なんかでは無い。

 私の……『敵』だ。


 ザッザッ……

 黒瀬さんは憎々しげに表情を歪ませると、踵を返して立ち去る。

 敵が立ち去った。

 私が勝った!!

 私は勝ちを噛み締める様に、彼の身体を強く抱きしめる。

 すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、、、だいすきだよ、、、ゆうと、、、だいすき

 理性が溶けていく。私の頭の中が悠斗で満たされていく。

 唇を離すと、赤みがかった唾液が糸を引いた。

 悠斗の血……もったいない……

 もっと、欲しかった……

 あの女がなにをしてこようともう関係ない。

 私は、決めた。

 ……悠斗は、渡さない……

「………え?、今、なんて?」

 あはは、口に出てたみたい。

「うぅん。何でもないよ」

 私はキョトンとする悠斗に笑顔でそう返した。


 悠斗の隣は、絶対に渡さない。

 私はそう誓った。

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