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第1章
第九話 ① ~波乱の一日・早朝~ 悠斗視点
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第九話 ①
「…………」
早朝の教室で、俺はひとりでライトノベルノベルを読んでいる。
朱里さんの朝練に付き添い、この時間に学校へと来るのにももう慣れた。
俺の足元にあるカバンには、今日黒瀬さんに貸そうと思っていたライトノベルが何冊か入っている。
ちょっとしたイタズラごころを仕込んたチョイスにしてある。
そして、しばらくすると、
ガラリ
という音と共に、教室の扉が開く。
俺は本を閉じ、扉の方へ顔を向ける。
「おはよう、黒瀬さん」
「……おはようございます、桐崎くん」
ん、どうしたのだろうか。黒瀬さんの顔が少し赤い。
「どうしたの、黒瀬さん。少し顔が赤い気がするけど……」
と、聞いてみると。
「……っ!!いえ、大丈夫です」
彼女はそう言うと俺の隣に座る。
「あぁ、そうだ。黒瀬さん、はいこれ」
俺はその言葉と共に、ライトノベルが何冊か入った紙袋を渡す。
「そろそろ読み終わった頃かなーって」
「ありがとうございます。ちょうど読み終わっていたので、続きは無いかなと思っていたところです」
そう言うと黒瀬さんは、カバンから俺が貸したライトノベルが入った紙袋を渡してきた。
「非常に楽しく読ませていただきました」
「いえいえ、俺も楽しんでもらえたなら嬉しいよ」
俺はそう言うと、黒瀬さんから受け取った紙袋をカバンに入れる。
黒瀬さんは、俺から受けとった紙袋を開くと、表情を輝かせる。
「わぁ……またこんなに……」
まるで宝石でも見たかのようなリアクションに俺も嬉しくなる。
「今貸してたライトノベルの続きなんだ。一巻でのまとまりもあったけど、二巻以降もすごく面白いから期待して欲しい」
「嬉しいです……ありがとうございます……」
黒瀬さんはそう言うと、紙袋をギュッと抱きしめる。
この姿は本当に可愛いと思ってしまった。
そして、黒瀬さんが少しだけ意を決したように口を開く。
「あ、あの!!桐崎くん!!」
「な、なにかな?」
両手を握り、少し強めに声を出す黒瀬さんに、少しだけたじろぐ。
「そ、その……私たち、仲良くなったと思いませんか!!??」
「そ、そうだね。全く話してなかった去年より、全然話すようになったし」
「ですよね!!仲良しですよね!!」
「う、うん?な、仲良し……」
「仲良しですよね!!」
「はい。仲良しです……」
そこまで言うと、黒瀬さんは顔を真っ赤にして続ける
「そ、その……仲良しなので、桐崎くんのことを名前で呼んでもいいですか……?」
「……え?」
「で、ですから!!」
ゆ、悠斗くん……と、呼んでもいいですか……?
ま、マジか……
「武藤くんも、藤崎さんも、その、名前で呼んでますので……仲間はずれは嫌です……」
「わ、わかったよ……」
俺がそう言うと、黒瀬さんは表情を輝かせる。
「ありがとうございます。悠斗くん!!」
「……っ!!」
その笑顔は反則だ。
これ以上は朱里さんにも悪い。
俺は攻めてもの抵抗として、
「だけど、ごめんね。黒瀬さんのことは名前では呼べな……っん」
「わかってますよ?」
俺の唇を黒瀬さんの人差し指が押える。
「悠斗くんと名前呼ぶのは私だけでいいです」
「……そうか」
でも、
「そのうち『詩織』って呼ばせてみせます」
と、微笑んだ。
俺はその表情に撃ち抜かれた心を隠すように、一つ咳払いをする。
そして、読みかけのライトノベルにもう一度目を落とす。
「ふふ、悠斗くん。私も続きを読みますね」
そう言うと、黒瀬さんは俺が貸した本の一冊を取り出し、読み始めた。
静かなこの教室。
学年首席と次席の男女。
二人で隠れるようにして行ってたようにも見える逢瀬。
誰にも見つかって無かったこれまでが、
異常だったんだ。
「…………」
早朝の教室で、俺はひとりでライトノベルノベルを読んでいる。
朱里さんの朝練に付き添い、この時間に学校へと来るのにももう慣れた。
俺の足元にあるカバンには、今日黒瀬さんに貸そうと思っていたライトノベルが何冊か入っている。
ちょっとしたイタズラごころを仕込んたチョイスにしてある。
そして、しばらくすると、
ガラリ
という音と共に、教室の扉が開く。
俺は本を閉じ、扉の方へ顔を向ける。
「おはよう、黒瀬さん」
「……おはようございます、桐崎くん」
ん、どうしたのだろうか。黒瀬さんの顔が少し赤い。
「どうしたの、黒瀬さん。少し顔が赤い気がするけど……」
と、聞いてみると。
「……っ!!いえ、大丈夫です」
彼女はそう言うと俺の隣に座る。
「あぁ、そうだ。黒瀬さん、はいこれ」
俺はその言葉と共に、ライトノベルが何冊か入った紙袋を渡す。
「そろそろ読み終わった頃かなーって」
「ありがとうございます。ちょうど読み終わっていたので、続きは無いかなと思っていたところです」
そう言うと黒瀬さんは、カバンから俺が貸したライトノベルが入った紙袋を渡してきた。
「非常に楽しく読ませていただきました」
「いえいえ、俺も楽しんでもらえたなら嬉しいよ」
俺はそう言うと、黒瀬さんから受け取った紙袋をカバンに入れる。
黒瀬さんは、俺から受けとった紙袋を開くと、表情を輝かせる。
「わぁ……またこんなに……」
まるで宝石でも見たかのようなリアクションに俺も嬉しくなる。
「今貸してたライトノベルの続きなんだ。一巻でのまとまりもあったけど、二巻以降もすごく面白いから期待して欲しい」
「嬉しいです……ありがとうございます……」
黒瀬さんはそう言うと、紙袋をギュッと抱きしめる。
この姿は本当に可愛いと思ってしまった。
そして、黒瀬さんが少しだけ意を決したように口を開く。
「あ、あの!!桐崎くん!!」
「な、なにかな?」
両手を握り、少し強めに声を出す黒瀬さんに、少しだけたじろぐ。
「そ、その……私たち、仲良くなったと思いませんか!!??」
「そ、そうだね。全く話してなかった去年より、全然話すようになったし」
「ですよね!!仲良しですよね!!」
「う、うん?な、仲良し……」
「仲良しですよね!!」
「はい。仲良しです……」
そこまで言うと、黒瀬さんは顔を真っ赤にして続ける
「そ、その……仲良しなので、桐崎くんのことを名前で呼んでもいいですか……?」
「……え?」
「で、ですから!!」
ゆ、悠斗くん……と、呼んでもいいですか……?
ま、マジか……
「武藤くんも、藤崎さんも、その、名前で呼んでますので……仲間はずれは嫌です……」
「わ、わかったよ……」
俺がそう言うと、黒瀬さんは表情を輝かせる。
「ありがとうございます。悠斗くん!!」
「……っ!!」
その笑顔は反則だ。
これ以上は朱里さんにも悪い。
俺は攻めてもの抵抗として、
「だけど、ごめんね。黒瀬さんのことは名前では呼べな……っん」
「わかってますよ?」
俺の唇を黒瀬さんの人差し指が押える。
「悠斗くんと名前呼ぶのは私だけでいいです」
「……そうか」
でも、
「そのうち『詩織』って呼ばせてみせます」
と、微笑んだ。
俺はその表情に撃ち抜かれた心を隠すように、一つ咳払いをする。
そして、読みかけのライトノベルにもう一度目を落とす。
「ふふ、悠斗くん。私も続きを読みますね」
そう言うと、黒瀬さんは俺が貸した本の一冊を取り出し、読み始めた。
静かなこの教室。
学年首席と次席の男女。
二人で隠れるようにして行ってたようにも見える逢瀬。
誰にも見つかって無かったこれまでが、
異常だったんだ。
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