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第1章
朱里side ⑤ ~自分の彼氏が両親に認められるとこんなにも嬉しいんだ~
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朱里side ⑤
「あぁー悠斗くん……かっこよかったなぁ……」
夕飯を食べ終わったあと、お風呂に入り、今の私はベッドの上で足をパタパタしていた。
私の両親の前で話していた彼は本当に格好良くて、惚れ直してしまった。
あの後私たちが見た悠斗くんの行動は、私の両親に認められたのが嬉しかったのと、あの場は本当に緊張していたんだな。ってのが良くわかる感じだった。
あはは。ちょっと可愛いなって思ったのは内緒だけど。
悠斗くんが玄関を出たあと、お母さんがインターホンの前で手招きをしていた。
「なに、お母さん?」
「ほら、まだ悠斗くん居るわよ」
お母さんが指さす画面には、胸に手を当てて呼吸を整える悠斗くんが居た。
「あれだけ立派に話してはいたけど、やっぱり緊張してたのよねー」
「当たり前だろう。私だって君の両親と初めて話した時は緊張したものだ」
「そうよねーあなたったら、彼とは違って緊張してかみかみだったしー」
「そ、それはもう昔の話だろ……」
そんな、両親のイチャイチャに少しうんざりしてると、画面の悠斗くんが大きくガッツポーズをしてた。
「あらやだ本当に可愛いわね」
「いや、気持ちはわかるぞ。私も昔同じことをしていた」
「…………」
悠斗くん、本当に嬉しかったんだね。
「なんか覗き見てるのは悪いわね、このくらいにしておこうかしら」
「そうだな。ここで見た事は見なかったことにしよう」
「うん。わかった」
そう言って、みんなで画面から離れる。
私は、お父さんとお母さんに向き合って言う。
「お父さん、お母さん。私、悠斗くんが本当に好きなの」
「うん。わかってるわよ」
「そうだな、彼は今どき珍しいくらいの良く出来た男だと思ってる」
二人に認められた悠斗くんが本当に誇らしい。
だから、今度は私が言う番だ。
「悠斗くんは、遊びの付き合いじゃないって言ってるように、私も遊びじゃないの。キチンと将来のこととかも考えててね、その、悠斗くんなら……結婚とか……そう言うのもいいなって」
「うんうん」
「子供の戯言と言うつもりはない。真剣なら尚更好ましい」
「……っ!!ありがとう……お父さん、お母さん」
嬉しくて涙が出てきた。
でも、この後のお母さんの一言はいただけない。
「でも朱里。気をつけてよねぇ?」
「え?」
「私はまだ、『おばあちゃん』にはなりたくないわ」
「母さん!!??」
「お母さん!!??」
声を荒らげるお父さんと私。
「ま、まだチューもしてないのに!!」
「あらぁそうなの?」
「そうだよ!!だってしようと思ったら後ろからお父さんが!!」
「やっぱりあれはそういう寸前だったのか……」
「あら、あなた……それは……」
「い、いや……まだ彼を認めてない状況で、娘のそう言うのを見るのは……」
「お父さんのバカ!!」
「うぐぅ……」
「まぁまぁ、この話はこのくらいにして、ご飯にしましょう」
今日はシチューよ。
「か、母さんのシチューは美味しいからな!!冷めないうちに食べよう!!」
お父さんが話題を変えるように声を上げた。
まあ……良いんだけどね!!
「そんなこんなで色々あったけど、悠斗くんとの仲は絶対深まったと思ってる……」
二年連続で同じクラス。席は通路を挟んで隣。毎朝一緒に登校してる。
喧嘩なんか一回もしたことない。
「でも、何でだろう……」
なにか胸騒ぎがする。
順風満帆な筈なのに、嫌な予感がする。
その原因はきっと……
「黒瀬さん……」
私が去年一年間ずっと憧れていた女の子。
私がああなりたいと思っていた理想の女の子。
彼女を『聖女様』と呼び出したのは……私だ。
凛とした表情で、いつでもひとりで、孤高の美少女。
今年からは私の友達……
そんな彼女が悠斗くんの隣に……近づいている気がする
「はぁ……なんでこんなに気になるんだろう」
ゆーこちゃんが悠斗くんに近づいてもなんとも思わない。
彩ちゃんが悠斗くんに近づくとちょっとモヤモヤする。
でも、黒瀬さんが悠斗くんに近づいていくと、なんだかすごい不安になる……
「悠斗くん……」
スマホを見る。彼からのメッセージで、無事に家に着いたことと、雫ちゃんとご飯を食べたこと、今はお風呂に入ってること、そんなやり取りをしていた。
「大好きだよ……」
不安な理由は分からない。だけど、今はそんなことを考えても仕方ない。
私は悠斗くんに、今日は早めに寝るね。とメッセージをして、布団を被った。
「あぁー悠斗くん……かっこよかったなぁ……」
夕飯を食べ終わったあと、お風呂に入り、今の私はベッドの上で足をパタパタしていた。
私の両親の前で話していた彼は本当に格好良くて、惚れ直してしまった。
あの後私たちが見た悠斗くんの行動は、私の両親に認められたのが嬉しかったのと、あの場は本当に緊張していたんだな。ってのが良くわかる感じだった。
あはは。ちょっと可愛いなって思ったのは内緒だけど。
悠斗くんが玄関を出たあと、お母さんがインターホンの前で手招きをしていた。
「なに、お母さん?」
「ほら、まだ悠斗くん居るわよ」
お母さんが指さす画面には、胸に手を当てて呼吸を整える悠斗くんが居た。
「あれだけ立派に話してはいたけど、やっぱり緊張してたのよねー」
「当たり前だろう。私だって君の両親と初めて話した時は緊張したものだ」
「そうよねーあなたったら、彼とは違って緊張してかみかみだったしー」
「そ、それはもう昔の話だろ……」
そんな、両親のイチャイチャに少しうんざりしてると、画面の悠斗くんが大きくガッツポーズをしてた。
「あらやだ本当に可愛いわね」
「いや、気持ちはわかるぞ。私も昔同じことをしていた」
「…………」
悠斗くん、本当に嬉しかったんだね。
「なんか覗き見てるのは悪いわね、このくらいにしておこうかしら」
「そうだな。ここで見た事は見なかったことにしよう」
「うん。わかった」
そう言って、みんなで画面から離れる。
私は、お父さんとお母さんに向き合って言う。
「お父さん、お母さん。私、悠斗くんが本当に好きなの」
「うん。わかってるわよ」
「そうだな、彼は今どき珍しいくらいの良く出来た男だと思ってる」
二人に認められた悠斗くんが本当に誇らしい。
だから、今度は私が言う番だ。
「悠斗くんは、遊びの付き合いじゃないって言ってるように、私も遊びじゃないの。キチンと将来のこととかも考えててね、その、悠斗くんなら……結婚とか……そう言うのもいいなって」
「うんうん」
「子供の戯言と言うつもりはない。真剣なら尚更好ましい」
「……っ!!ありがとう……お父さん、お母さん」
嬉しくて涙が出てきた。
でも、この後のお母さんの一言はいただけない。
「でも朱里。気をつけてよねぇ?」
「え?」
「私はまだ、『おばあちゃん』にはなりたくないわ」
「母さん!!??」
「お母さん!!??」
声を荒らげるお父さんと私。
「ま、まだチューもしてないのに!!」
「あらぁそうなの?」
「そうだよ!!だってしようと思ったら後ろからお父さんが!!」
「やっぱりあれはそういう寸前だったのか……」
「あら、あなた……それは……」
「い、いや……まだ彼を認めてない状況で、娘のそう言うのを見るのは……」
「お父さんのバカ!!」
「うぐぅ……」
「まぁまぁ、この話はこのくらいにして、ご飯にしましょう」
今日はシチューよ。
「か、母さんのシチューは美味しいからな!!冷めないうちに食べよう!!」
お父さんが話題を変えるように声を上げた。
まあ……良いんだけどね!!
「そんなこんなで色々あったけど、悠斗くんとの仲は絶対深まったと思ってる……」
二年連続で同じクラス。席は通路を挟んで隣。毎朝一緒に登校してる。
喧嘩なんか一回もしたことない。
「でも、何でだろう……」
なにか胸騒ぎがする。
順風満帆な筈なのに、嫌な予感がする。
その原因はきっと……
「黒瀬さん……」
私が去年一年間ずっと憧れていた女の子。
私がああなりたいと思っていた理想の女の子。
彼女を『聖女様』と呼び出したのは……私だ。
凛とした表情で、いつでもひとりで、孤高の美少女。
今年からは私の友達……
そんな彼女が悠斗くんの隣に……近づいている気がする
「はぁ……なんでこんなに気になるんだろう」
ゆーこちゃんが悠斗くんに近づいてもなんとも思わない。
彩ちゃんが悠斗くんに近づくとちょっとモヤモヤする。
でも、黒瀬さんが悠斗くんに近づいていくと、なんだかすごい不安になる……
「悠斗くん……」
スマホを見る。彼からのメッセージで、無事に家に着いたことと、雫ちゃんとご飯を食べたこと、今はお風呂に入ってること、そんなやり取りをしていた。
「大好きだよ……」
不安な理由は分からない。だけど、今はそんなことを考えても仕方ない。
私は悠斗くんに、今日は早めに寝るね。とメッセージをして、布団を被った。
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