学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第1章

第八話 ① ~二回目のデート・装いは妹から『いい感じ』~

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 第八話  ①




 朝は朱里さんに付き添い通学し、早朝の教室では黒瀬さんと読書をする。

 授業では適度にからかわれながらもしっかりと勉強し、昼は黒瀬さんを含めた五人で学食でご飯を食べる。
 毎日焼肉セットを頼む黒瀬さんは、もう俺たちにとっては見慣れたいつもの光景になってきた。
 健たちが焼肉セットを頼んだのは二回連続が最高で、三回目はなかった。
 それ以上はさすがに……と。
 そう考えると、黒瀬さんの焼肉愛はなかなかだと思った。

 午後もしっかりと勉強し、体育の時間のソフトボールでは左打席の健に特大ホームランを浴びた。
 ちくしょう……

 放課後はバイトに勤しみ、俺がバイトの日は毎回夕飯のカルビ弁当を買いにやってくる黒瀬さん(とてもオシャレな私服だった)の接客をしたりして。

 トレーニングや勉強も日を決めてしっかりとこなしていった。


 さて、そうしてやってきた日曜日。

 遂に朱里さんと二回目のデートだ。


「よし……こんな感じだな……」

 俺は洗面台の前に立ち、髪型をしっかりと整える。

 前回の初デート同様に、自分を一番カッコよく魅せられる髪型をセットする。

 そして、未だに慣れないコンタクトレンズを目に着ける。

「お、いい感じだね。おにぃ、今日はデートだね!!」

 後ろに立った雫が、俺の格好に声を上げる。

『いい感じ』

 雫からしたらかなりの高評価だ。

 上はシンプルな白のTシャツに下はデニムのジーンズ。

 最近は筋トレの効果が出てきてるので、こういうシンプルな服装が似合う様になってきたと自負している。

 そして定番のGジャンを合わせれば完成だ。

 多分、朱里さんは前回買ったデニムのスカートを履いてくると思うから、お揃いにしたかった。

 自分の服装をしっかりと考えることが出来て二流。流行りや廃りに流されず、自分なりに解釈して服装に取り入れて一流。そして、相手のコーデも考えた服装を出来れば超一流だよ!!

 なんて事を雫は言っていた。

 オシャレって言うのはとても奥が深い……

 俺はお気に入りの安物のチョーカーを着ける。

 時刻を確認すると八時半。

 デート場所の水族館は十時開演だ。

 待ち合わせ場所はこの間のデートに使った駅にした。

 九時頃の電車に乗って、待ち合わせ場所の駅からバスが出てるのでそれに乗れば水族館に着ける。

 となると、そろそろ家を出る時間かな。

 俺はそう考えると、前回同様にしっかりと準備をしたカバンを肩にかける。

 スマホ、財布、ハンカチ、救護用品、イルカショーで使おうと思ってるカッパは現地で買えばいいな。

 忘れ物が無いか再度確認し、俺は玄関へと向かう。

「じゃあおにぃ、頑張ってね!!」

 後ろに着いてきた雫が激励してくれる。

「あぁ、今日も楽しんでくるよ」

 俺はそう言ってお気に入りのスニーカーを履く。

 そして、玄関の扉を開け、

 行ってきます。

 と言って家を出る。

 扉を閉めた中から、行ってらっしゃいおにぃ!!と聞こえてきた。

 今日は快晴。絶好のデート日和。

 屋外のショーが中止になるとかも無さそうだ。

 俺は気分良く愛車のポチに乗り、駅へと向かった。
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