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第1章
第七話 ④ ~元気の無い彼女のためにできることを考えました~
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第七話 ④
隣から伝わってくる楽しそうな雰囲気に、俺は貸したライトノベルへの手応えを感じていた。
そうやって二人きりの時間が過ぎていく。
そして、昨日同様に教室の中に少しづつ人が増えていく。
「おはよう、桐崎!!」
「おはよう、石崎」
「おはよう、桐崎くん。今日も早いね!!」
「おはよう、斉藤さん。ちょっと本を読みたくてね」
「誰も居ない教室なら、多少えっちな本でも平気だよなー」
「……山井……斉藤さんに誤解を与えるようなことは言うなよ」
と、俺は昨日同様にからかってくる山井を睨む。
「えー、桐崎くんのえっち!!」
「いや、斉藤さん。男はみんなえっちです。な?石崎、山井?」
「まぁな」
「否定はしないなー」
そんな会話をしていると、朝練を終えたクラスメイトが増えてくる。
「悠斗!!昨日のやつくれ!!」
「はいはい、わかってるよ。ほら、飲め」
騒々しく教室に入ってくる健。
俺はカバンから水筒と紙コップを取りだし、中身を注いで奴に渡す。
「彩ちゃんおはよー!!」
「あかりんおはようー!!朝練お疲れー」
斉藤さんと朝の挨拶をする朱里さんと、
「いーんちょー。私にも昨日のやつチョーだーい」
疲れた表情の佐藤さんがやってくる。
「はい。二人とも朝練お疲れ様。これ飲んで」
と、二人に紙コップに注いだドリンクを差し出す。
「わーいありがとう、悠斗くん」
「さんきゅーいーんちょー」
昨日同様におかわりをした三人にドリンクを振る舞い、
「黒瀬さんも飲む?」
「はい。いただきます」
隣に座る黒瀬さんにも渡す。
水筒に残ったドリンクを俺が口に流しこむ。
「ねぇねぇ彩ちゃん。さっきまで何話してたのー?」
「そうそうあかりん。桐崎くんがえっちだって話をしてたんだー」
「へぇ、いーんちょーえっちなんだ?」
クラスメイトの女子三人から、からかう様な視線が飛んでくる。
「ふぅ……何を言ってるんだ三人とも。この年頃の男なんてみんなえっちに決まってるだろ?」
「うわ、いーんちょー開き直ってる」
「まぁ、悠斗の性癖はパソコンの中……」
「おぃ、健黙れ?」
「はい。すませんでした!!」
「なるほど、パソコンの中。桐崎くん、私気になりますね」
「く、黒瀬さん!?」
前の三人だけでなく、後ろからも飛んでくる視線と声。
「同じクラスの学級委員として、知っておく必要が……」
「無いから!!」
「……そうですか」
そんな会話をしていると、朱里さんが少しだけ悲しそうな表情をしていた。
いけない。これ以上は辞めておこう。
「うーし、お前らそろそろ席につけー」
ちょうどいいタイミングで、山野先生が教室に入ってくる。
はーい。
という声と共に、クラスメイトが席に戻っていく。
全員が席に座ったあと、少しするとチャイムが鳴る。
山野先生の連絡事項を聞きながら、思案する。
やっぱり、朱里さんの前で学級委員の話をするのはタブーだ。
さっきの様子を見ても、まだまだ全然立ち直れてない。
どうしたら立ち直ってくれるだろうか……
少しだけ思案する俺に、ひとつの案が浮かぶ。
そうだ、デートに誘おう。
春休みの初デート以降、二人きりで何処かに出掛けたと言う事は無かった。
幸い、彼女のバスケ部は日曜日は休みだし、俺のバイトも日曜日は休みだ。
俺はそう結論付けると、デートのプランを考え……
「おい、桐崎。何ぼーっとしてるんだ?」
「は、はい!!」
突然山野先生から声が掛けられる。
「学級委員だろ?号令はどうした?」
「あ……」
やべ、考え事してたら忘れてた!!
「桐崎。えっちな妄想は程々にしておけよ?」
「……っ!!」
クラスに笑いが響く。
なんだよ。今日はからかわれてばっかりだぞ!!
俺は恥ずかしさを押し殺して、デカい声で号令をかけた。
隣から伝わってくる楽しそうな雰囲気に、俺は貸したライトノベルへの手応えを感じていた。
そうやって二人きりの時間が過ぎていく。
そして、昨日同様に教室の中に少しづつ人が増えていく。
「おはよう、桐崎!!」
「おはよう、石崎」
「おはよう、桐崎くん。今日も早いね!!」
「おはよう、斉藤さん。ちょっと本を読みたくてね」
「誰も居ない教室なら、多少えっちな本でも平気だよなー」
「……山井……斉藤さんに誤解を与えるようなことは言うなよ」
と、俺は昨日同様にからかってくる山井を睨む。
「えー、桐崎くんのえっち!!」
「いや、斉藤さん。男はみんなえっちです。な?石崎、山井?」
「まぁな」
「否定はしないなー」
そんな会話をしていると、朝練を終えたクラスメイトが増えてくる。
「悠斗!!昨日のやつくれ!!」
「はいはい、わかってるよ。ほら、飲め」
騒々しく教室に入ってくる健。
俺はカバンから水筒と紙コップを取りだし、中身を注いで奴に渡す。
「彩ちゃんおはよー!!」
「あかりんおはようー!!朝練お疲れー」
斉藤さんと朝の挨拶をする朱里さんと、
「いーんちょー。私にも昨日のやつチョーだーい」
疲れた表情の佐藤さんがやってくる。
「はい。二人とも朝練お疲れ様。これ飲んで」
と、二人に紙コップに注いだドリンクを差し出す。
「わーいありがとう、悠斗くん」
「さんきゅーいーんちょー」
昨日同様におかわりをした三人にドリンクを振る舞い、
「黒瀬さんも飲む?」
「はい。いただきます」
隣に座る黒瀬さんにも渡す。
水筒に残ったドリンクを俺が口に流しこむ。
「ねぇねぇ彩ちゃん。さっきまで何話してたのー?」
「そうそうあかりん。桐崎くんがえっちだって話をしてたんだー」
「へぇ、いーんちょーえっちなんだ?」
クラスメイトの女子三人から、からかう様な視線が飛んでくる。
「ふぅ……何を言ってるんだ三人とも。この年頃の男なんてみんなえっちに決まってるだろ?」
「うわ、いーんちょー開き直ってる」
「まぁ、悠斗の性癖はパソコンの中……」
「おぃ、健黙れ?」
「はい。すませんでした!!」
「なるほど、パソコンの中。桐崎くん、私気になりますね」
「く、黒瀬さん!?」
前の三人だけでなく、後ろからも飛んでくる視線と声。
「同じクラスの学級委員として、知っておく必要が……」
「無いから!!」
「……そうですか」
そんな会話をしていると、朱里さんが少しだけ悲しそうな表情をしていた。
いけない。これ以上は辞めておこう。
「うーし、お前らそろそろ席につけー」
ちょうどいいタイミングで、山野先生が教室に入ってくる。
はーい。
という声と共に、クラスメイトが席に戻っていく。
全員が席に座ったあと、少しするとチャイムが鳴る。
山野先生の連絡事項を聞きながら、思案する。
やっぱり、朱里さんの前で学級委員の話をするのはタブーだ。
さっきの様子を見ても、まだまだ全然立ち直れてない。
どうしたら立ち直ってくれるだろうか……
少しだけ思案する俺に、ひとつの案が浮かぶ。
そうだ、デートに誘おう。
春休みの初デート以降、二人きりで何処かに出掛けたと言う事は無かった。
幸い、彼女のバスケ部は日曜日は休みだし、俺のバイトも日曜日は休みだ。
俺はそう結論付けると、デートのプランを考え……
「おい、桐崎。何ぼーっとしてるんだ?」
「は、はい!!」
突然山野先生から声が掛けられる。
「学級委員だろ?号令はどうした?」
「あ……」
やべ、考え事してたら忘れてた!!
「桐崎。えっちな妄想は程々にしておけよ?」
「……っ!!」
クラスに笑いが響く。
なんだよ。今日はからかわれてばっかりだぞ!!
俺は恥ずかしさを押し殺して、デカい声で号令をかけた。
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