学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第1章

第七話 ① ~黒瀬さんへの布教活動と鋭すぎる妹の一言~

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 第七話  ①




『こんばんは。夜分遅くに失礼します。本日はホームルームの司会進行お疲れ様でした。私も初めての業務に多少緊張をしましたが、桐崎くんの堂々とした立ち振舞に勇気づけられました。ありがとうございます。今後とも同じ学級委員としてよろしくお願いします』

『さて、本日の朝。桐崎くんにお願いをしたらいとのべるの件ですが、恥ずかしながら非常に楽しみにしております。桐崎くんとは共通の話題を持ちたいと考えておりました。私たちの親交を深める一助になると思っております。では、失礼致します』

『こんばんは。黒瀬さん。学級委員は面倒なことをやることが多いから大変だけど、お互い助け合って頑張っていこう!!ライトノベルの件だけど、俺のオススメを明日持って行くよ。明日朝に会った時に手渡すよ。期待しててね!!』

『はい。ありがとうございます。では、私はこれから明日の授業の予習をしてから就寝します。桐崎くんもあまり夜更かしをしないように気をつけて。ではおやすみなさい』

『俺はこれから風呂だから、それが終わったら日課のトレーニングをして、予習して……そうだな、読みたい本があるからそれを読んでから寝るかな!!夜更かしは……善処します!!おやすみなさい黒瀬さん』



 昨晩。黒瀬さんとしたメッセージのやり取りを思い出しながら俺は洗面台の前で歯を磨きながら身だしなみを確認する。

 足元には黒瀬さんに貸す予定のライトノベルを五冊ほど、紙袋に入れてある。

 とりあえず、一巻だけ読んでもある程度完結してるタイプのラブコメライトノベルだ。
 ちなみに続刊も出てて、だいたい三巻から五巻位でしっかりと完結してる本を選んだ。
 投げっぱなしで終わってたり、打ち切られてたりするのもライトノベルだが、人に貸す以上はきちんとエンディングまで行ってるものを選びたい。

「おにぃ、お弁当出来たよー」
「ありがとう雫。早起きさせてごめんな」

 身だしなみを確認し終えた俺に、雫がお弁当箱を手にやってくる。

「全然平気だから大丈夫だよー。それにお弁当だって、夕ご飯の残りを上手く使うようにして行く予定だから、時間もそんなにかからないよ」
「それでも嬉しいよ、ありがとう」

 俺は雫からお弁当箱を受け取ると、カバンの中にライトノベルの紙袋と一緒にしまう。

 中には本日使う教科書とノート。
 あとは昨日好評だった飲み物も入れてある。

 そこそこ大きめのカバンを買っているので、それだけ入れてもまだ少しは容量には余裕がある。

「へぇ、おにぃ。布教活動をするんだ?」

 ラノベが入った紙袋を見た雫が興味深そうに言う。


「そうそう。読書が趣味の人がクラスメイトに居てね、その人からライトノベルを読んで見たいって言われたんだ」

「……ふーん。その人可愛い?」
「なんで女だって確定させてる?」
「あ、その表情。女なんだ。浮気?」
「違う違う。確かに貸すのは女性だけど、朱里さんも知ってる人だよ。黒瀬詩織さんって人」
「聖女様じゃん。おにぃの学校で一番美人だっていわれてる」
「一番美人は朱里さんだ」
「……あぁ、はいはい。これなら浮気ってことは無いね」

 雫はそこまで言うとふぅ……と息を吐き、

「でもさ、おにぃ」
「なんだよ」
「自分では浮気のつもりなんかなくても、他人から見たらそう見える。なんてざらだからね?」
「……わかった」
「私は朱里ちゃんがお義姉さんになってくれればって思ってるからね!!」

 雫はそう言うと俺の背中をバシンと叩く。

「朱里ちゃんを泣かせたら許さないからね!!」
「それは絶対にしない」

 俺はそう言うと、制服の上着を羽織り、カバンを背負い、玄関へと向かう。

 その俺を雫が着いてくる。

 時刻は五時少し過ぎ。
 今から出れば六時半頃に朱里さんの所につける計算だ。

「じゃあ雫。行ってきます」
「行ってらっしゃい、おにぃ」

 俺は革靴を履き、玄関の扉を開ける。

 本日は快晴。

 雨とか降ってたら本が濡れるから嫌だったけど、晴れてくれた。

 俺は玄関の扉を閉めると、愛車のポチへと向かった。
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