学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第1章

第六話 ⑤ ~黒瀬さんの意外な食事事情を知りました~

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 第六話  ⑤




 四時間目を終えるチャイムが鳴り響く。
 黒瀬さんが教科書を忘れたのは最初の数学だけで、それ以外の教科はきちんと持参していた。
 机をくっつけたのはあの時間だけだった。
 あの後は、お互いに少し意識してしまって、会話はほとんどなかった。

「悠斗!!飯食い行こうぜ!!」
「健はいつも元気だけど、飯の時間は本当に威勢がいいな」

 俺は呆れたようにそう言うと、朱里さんと佐藤さんの方へ振り向く。

「朱里さんと佐藤さん。どう、久しぶりに一緒に食べる?」

 俺がそう提案すると、

「いいね、悠斗くん!!一緒に学食に洒落こもうぜー」
「そうだね、たまには大勢で食べるのも悪くないね」

 と了承を得られる。

 その後で、俺は隣を振り向く。

「黒瀬さん」
「はい」

 席を立とうとしていた彼女に声を掛ける。

「もし良かったら一緒に昼ごはんどうかな?」

「……私がご一緒してもよろしいんですか?」

 黒瀬さんのその言葉に、

「せっかく二年連続で同じクラスなんだ、仲良くしようぜ!!」

 と、健。

「私、黒瀬さんとお話したいと思ってたんだよね。だから、私はオッケーだよー」

 と、朱里さん

「私はいーんちょーのナンパには口出ししない主義だから」

 と、佐藤さん

「佐藤さん、ナンパじゃないから。せっかくだからみんなで仲良くって思っただけだから」
「えーだって、いーんちょー。数学の時間に黒瀬さん口説いてたじゃん」
「口説いてないから!!」

 黒瀬さん、顔赤くしないで!!

「よ、よし!!みんな、学食に行こう!!」

 俺は空気を帰るようにパンパンと手を叩き、学食へと歩き出す。

「ほら、早く行かないと席が埋まっちゃうからね!!」

 はーい。と言いながらみんなが着いてくる。

 こうして五人で昼ごはんを食べることになった。

 しかし、俺を含めたこの五人がどれだけ他人から注目を受けるかなんて、俺は全く考えてなかった。





 学食へと着いた俺たちは、たまたま空いていた丸テーブルを確保する。
 ちょうど五人が座れるテーブルで、きっとデカすぎるから敬遠されていたんだろう。

 席を確保した俺たちは、食券を買いに行く。

「悠斗、お前はいつも雫ちゃんの愛妻弁当だけど、今日は何を食うんだ?」
「うーん。今日は汁物食べたい気分なんだよね。ほら?弁当だと汁物って基本無理じゃん?いや、雫なら保温できる水筒にラーメンのスープ入れたりしそうだが……いや、まぁ普通にラーメンにしようかな。大盛りで」
「あの、桐崎くん。雫さんとは一体?」
「あぁ、黒瀬さん。雫は俺の妹だよ。いつもはお弁当を作ってくれてるんだけど、今日は時間が無くてね」
「なるほど、妹さんでしたか」
「黒瀬さんは何を食べるの?」

 俺が興味本位でそう聞くと、

「私はいつも学食では肉増しの焼肉セットを食べます」

「肉増しの焼肉セット!!??」

 俺も、俺以外の三人もみんなびっくりしてた。
 いや、なんか天ぷらそばとか和食を食べるようなイメージだったのに、そんなガッツリ系。

「はい。お肉はいいですね。大好きです。あと、野菜は要らないです」
「野菜は要らない!!??」

 サラダとか好きそうなイメージだったのに!!

「焼肉のタレでしっかりと味のついたお肉をご飯の上に乗せて、タレの染みたご飯と一緒にお肉を食べる。読書と並んで私の幸せのひと時です」

 やべぇ、健みたいなこと言ってる……

 健がめっちゃ頷いてるし。

 てかなんだろう、その話を聞いてたら

「なぁ、悠斗」
「わかるよ、健」
「ねぇ、悠斗くん」
「朱里さんもだね」
「みんなそーなるよね」
「佐藤さんもそうくる?」
「どうしましたか、皆さん?」

 首を傾げる黒瀬さんに、

「黒瀬さんの話を聞いてたらみんな焼肉の口になっちゃったから、みんなで焼肉セット食べようか。って流れになった」

 と、伝える。

「そうですか、ではみんなでお肉を堪能しましょう」

 と、黒瀬さんは少しだけ嬉しそうに言ったのだった。
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