学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第1章

第三話 ⑥ ~新学期・新クラスの席順は学園の二大美少女に挟まれました~

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 第三話  ⑥





 教室の前まで来たところで、朱里さんの手を離した。
 流石に手をつないで教室に入るのは恥ずかしい。

 二年一組

 と書かれた教室に入る。教壇の上になんかの箱があった。どうやら席順を決めるクジのようだ。適当に一枚を引き抜き、周りを見渡すといくらか見知った顔が居た。

 良かった。去年のクラスメイトが結構居る。

「おはよう桐崎」
「ちーす桐崎、今年も学級委員よろしくな」
「桐崎くんおはよー」
「おはよう、みんな。また今年もよろしく。まぁ卒業までクラス変わんないけどな。てか学級委員かぁ.....」

 まぁ、誰もやるやつが居ないならやってもいいかな。
 あれがあったおかげで朱里さんと付き合えたわけだし。

 黒板に書かれたクジの番号の席に座る。
 窓際の一番後ろの席だった。
 通路を挟んだ隣の席には朱里さんが居た。
 もう片方の窓際の隣の席はまだ人が来ていないようで、空いていた。

「やったね悠斗くん。隣の席だ」

 少し身体を乗り出すように、朱里さんがひっそりと声をかけてきた。

「席が近くて俺も嬉しいよ。授業でわからない事があったらなんでも聞いてよ。朱里さんの隣に居るやつは当てになんないだろうからね」
「あはは、確かに武藤くんじゃ.....」

 苦笑いをうかべる彼女の隣には、健が椅子に狭苦しそうな感じで座っていた。

 ちなみに、朱里さんの前には佐藤さんが座っている。

 何だこの席配置。神か?

 そんなことを考えてると、それまでザワついていた教室が水を打ったように静かになる。

「聖女様だ.....」

 誰かがそんなことを呟いた。そんな小さな呟きすら俺の耳に届くくらい、教室は静けさに包まれていた。

 彼女は教壇の上にある箱を見ながら首を傾げる。

 どうやら意味がわかっていないようだ。

 誰も彼女に話しかけられない。そんな様子を見かねた俺がつい、声をかけてしまう。

「黒瀬さん」
「はい」

 席から立ち上がり、教壇まで歩いて行く。

「それは席順を決めるクジなんだ。その中から一枚引いてほしい。引いた番号を黒板で確認してその番号の席に座る感じだね」

 俺がそう説明すると、彼女は、なるほど。そういうことでしたか。と言って、くじを一枚引く。

 引いた番号を黒板で確認したところで俺に振り向く。

「ありがとうございます。桐崎くん。また助けてもらいましたね」
「いやいや、そんな。こんなの助けたうちに入んないって」

 お辞儀をする彼女に俺は慌てて首を振る。

「じゃ、じゃあ俺は自分の席に戻るから!!」

 慌てて自分の席に戻る俺。
 そんな俺に、朱里さんが微笑んでいた。

「やっぱり優しいね、悠斗くん」
「誰も声をかけてなかったからね」
「ちょっと緊張しちゃうんだよねみんな。私だって緊張して立ち上がれなかったもん」

 と、彼女が少しだけ申し訳なさそうに言う。

「まぁでもそう言う気持ちが大切だと思うから」
「えへへ、ありがとう悠斗くん」

 そんな会話をしていると、

「隣失礼します」
「え?」

 頭上から凛とした声が響く。

 黒瀬さんだった。

「黒板で確認したところ。桐崎くんの隣でした。今後ともよろしくお願いします」
「よ、よろしく.....」

 動揺を隠せない俺。
 しかし、黒瀬さんは何でもないかのように空いていた窓際の俺の隣の席へと座る。

 マジかよ.....なんだよこの席配置.....

 クラスの.....いや学園の二大美少女と言っても過言でも無い二人に挟まれて、俺の高校二年生の生活がスタートした。
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