学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第1章

第三話 ③ ~新学期・朝の通学路にアイドルが居ました~

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 第三話  ③




「おはよう、悠斗くん!!」

 聖女様と別れ、駅前の有料駐輪場から自転車を取り出すと、制服に身を包んだ朱里さんが居た。

「おはよう、朱里さん」

 俺はにこりと笑いながら挨拶を返す。

 あぁ、今日も可愛いな。
 聖女様も美少女だとは思うけど、俺はやっぱり彼女の笑顔が好きだ。

「今日から二年生だね。一緒のクラスになれるかなぁ.....」

 自転車を漕ぎながら学校へと向かう途中。彼女が不安そうに言う。

「まぁ、文系二クラス、理系二クラスの配分だから、単純に五割だね。五割なら引きたい所だよね」

「ゆーこちゃんとも一緒にはなりたいし、あーあ.....好きな人と自由にクラスを組めるようにしてくれないかなぁ.....」
「まぁでも聞いた話だし、信ぴょう性があるかは分からないけど、先生から見て仲の良い人とかはクラスを一緒にしたりするらしいから、完全にランダムではないみたいだよ」
「わー!!それなら少し期待持てそうかな!!」

 先程より少しだけ表情が明るくなった彼女を見て、俺は少しだけ安堵する。

「ねぇねぇ悠斗くん、私達が付き合ってることって誰かに話した?」

 もう少しで学校に着くかな?という所で彼女がそう聞いてきた。

「うん。友達の健(けん)には話したよ。あいつには色々と相談もしてたし」

「武藤(むとう)くんか!!悠斗くんとかなり仲良いもんね。良く勉強教えてたよね」
「うん。あいつ馬鹿だから.....」

 仲が良くなった一因でもあるが、健が赤点を連発した時には、留年を免れるために追試に向けた勉強を教えたり、授業中爆睡してるあいつにノート写させてやったりした記憶が蘇ってくる。

「あはは、まぁその分野球部で頑張ってるから.....」

 まぁそうだな。あいつ野球部のエースだし。

「朱里さんは誰かに話したの?」

 俺は彼女にそう切り出すと、

「うん。ゆーこちゃんには話したよー」

 と返事が。

 ゆーこちゃん。
 彼女がそう呼ぶのは佐藤優子(さとう ゆうこ)さん。
 朱里さんと同じバスケ部で身長が170より少し高いくらいの.....

「同じバスケ部だし、朱里さんと仲良いよね。もしかして格闘ゲームが好きってのも佐藤さん?」
「そうそう!!ゆーこちゃんにその話したら『絶対戦いたい!!』って言ってたよ」
「ははは、機会があったらお手柔らかに.....」

 そんな話をしてると、もう学校が見えてきた。

「別に付き合ってるのを隠すつもりは無いけど、あまりおおっぴろにするのもどうかなって思ってるんだ」
「それは同感かな」
「悠斗くんを自慢したい気持ちはあるけど、なんか騒ぎになりそうだし.....聞かれたら答える感じで行こうか!!」

 騒ぎになる。そうだよな。朱里さんめちゃくちゃ人気あるし、俺なんか.....なんて言うつもりはもう無いけど、そんな人に彼氏が出来たなんてなったら軽い騒ぎだよな。
 てか、俺を自慢したいとか嬉しいんだけど!!

「俺も朱里さんを自慢したいけど我慢するね」

 そう言いながら自転車を駐輪スペースに停め、鍵をかける。

 少しだけ恥ずかしそうに頬を染める彼女を見ながら、同じクラスになれたらいいなと本気で思った。
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