155 / 164
第2章 後編
最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ その⑩
しおりを挟む
最終話 その⑩
四教科目。中間テスト最終科目の国語のテストが終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
「そこまで。筆記用具を置いてください」
先生のその言葉を受けて、教室の全員が筆記用具を机の上に置いた。
俺もそれに漏れずにシャーペンを机の上に置いた。
そして、先生は生徒から答案用紙を回収して教室を後にした。
「はぁ……疲れた……」
「ふふふ。お疲れ様でした霧都」
全ての教科を終えた俺は、かなり大きく息を吐いたあとに机の上に突っ伏した。
その様子を見た永久が頬笑みを浮かべていた。
「ここまで本気で勉強をしたのは、受験の時以来だったからね。疲れたよ……」
「ですがやりきった感じがありますね。手応えも良かったのでは無いですか?」
「そうだね。目標にしていた一桁順位も見えそうな感じかな」
「私も取りこぼしたとは思えませんので、満点の確信がありますね」
「ははは。それは頼もしいな」
そして二人でそんな会話をしていると、教室の扉が開いて根岸先生がやって来た。
「皆。お疲れ。高校生活最初の中間テストはこれで終わりだ。毎年のことだが、この後開放感から放課後に問題行動を起こす人間が少なからず居る」
教壇に立った根岸先生は、クラスメイトにそう言葉を投げかけた。
確かに。今はテストから解放されて物凄い気持ちが昂っている。
「放課後に遊びに行くなとは言わない。だが、せっかく高得点をとっても、それを問題行動で台無しにしないように注意しなさい」
先生はそう言うと、教室の扉の方を見て言葉を続けた。
「それと、南野の家族の方が来ている。どうやら迎えに来たようだな」
「え?」
し、静流さんが来てるのか!?
少しだけざわつく教室。視線を向けると凛音も驚いたような表情をしている。
そこまでするとは思ってなかった。
そんな表情だ。
「静粛に」
先生がそう言うと、ざわついていた教室が静かになった。
「SHRはこれで終わりにする。南野の家族の方には教室の外でお待ちしてもらっている。失礼の無いようにしなさい」
「はい」
クラスメイトのその声に、先生は一つ首を縦に振ってから「では解散」と言って教室を後にした。
そして、先生の居なくなった教室の扉がガラリと開く。
「皆さんこんにちは。南野凛音の母親の静流と申します。突然こうしてやって来てしまい申し訳ございません」
スーツ姿の静流さんが教室の入り口で一礼をしながらそう言った。
『うわぁ……若けぇ……』
『めちゃくちゃ美人じゃん……』
『南野さんとは全く似てないけど、やべぇくらい綺麗だな……』
なんて声が聞こえてきた。
確かに凛音とは似ても似つかないけど、かなりの美人だからな……
「お母さん……なんでここに居るのよ……」
「凛音ちゃんが心配だったからに決まってるでしょ?さぁ帰りましょう」
「み、みんなの前で凛音ちゃんなんて言わないでよ……」
恥ずかしそうに顔を赤くする凛音。
静流さんは特に気にした様子もなく言葉を返す。
「歩くのも大変なのにだから無理しないの。あと、霧都くんも一緒に来て貰えないかしら?私一人だと凛音ちゃんを運ぶのが大変だわ」
「肩でも貸せば良いですか?」
俺が静流さんにそう言うと、彼女は少しだけ笑いながら返事をする。
「そうしてくれると嬉しいわ。それと霧都くん用のご飯も用意してるから、そのままうちで食べて行って貰って構わないわよ」
「そうですか。でしたらお言葉に甘えます」
ははは……全くもって『断れない雰囲気』だな。
ここまで外堀を固められると笑いたくもなる。
「それじゃあ永久。俺はちょっと凛音の家に行くことにするよ」
「えぇ構いませんよ。『体調不良の幼馴染をお見舞いに行くのは幼馴染として当然』ですからね」
永久はそう言うと、椅子から立ち上がって静流さんの所へと向かい一礼をした。
「霧都の彼女の北島永久と申します。彼が大切な幼馴染のお見舞いに向かうのは当然だと思いますので特に反対はしません」
「ふふふ。ありがとう北島さん。器の大きい彼女さんで良かったわ」
静流さんはそう言うと教室の外へと出て行った。
そして、帰りの支度を済ませた俺は凛音の元へ向かう。
凛音も同じように支度を済ませていた。
「ほら、帰るぞ凛音。肩くらいは貸してやるよ」
「ありがとう霧都。助かるわ」
俺と凛音はクラスメイトたちが見守る中、教室の外へと歩いて行った。
「お待たせしました静流さん」
「そんなに待ってないから平気よ霧都くん」
教室の外に出た俺は、待っていた静流さんに謝罪をいれた。
微笑みながらそう言葉を返した静流さんに俺は言う。
「凛音に『こんなことをさせた理由』車の中で聞かせてもらいますからね?」
俺の言葉に静流さんは、ニヤリと笑った。
そして、「そうね。車の中で話してあげるわよ」と言葉を返した。
四教科目。中間テスト最終科目の国語のテストが終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
「そこまで。筆記用具を置いてください」
先生のその言葉を受けて、教室の全員が筆記用具を机の上に置いた。
俺もそれに漏れずにシャーペンを机の上に置いた。
そして、先生は生徒から答案用紙を回収して教室を後にした。
「はぁ……疲れた……」
「ふふふ。お疲れ様でした霧都」
全ての教科を終えた俺は、かなり大きく息を吐いたあとに机の上に突っ伏した。
その様子を見た永久が頬笑みを浮かべていた。
「ここまで本気で勉強をしたのは、受験の時以来だったからね。疲れたよ……」
「ですがやりきった感じがありますね。手応えも良かったのでは無いですか?」
「そうだね。目標にしていた一桁順位も見えそうな感じかな」
「私も取りこぼしたとは思えませんので、満点の確信がありますね」
「ははは。それは頼もしいな」
そして二人でそんな会話をしていると、教室の扉が開いて根岸先生がやって来た。
「皆。お疲れ。高校生活最初の中間テストはこれで終わりだ。毎年のことだが、この後開放感から放課後に問題行動を起こす人間が少なからず居る」
教壇に立った根岸先生は、クラスメイトにそう言葉を投げかけた。
確かに。今はテストから解放されて物凄い気持ちが昂っている。
「放課後に遊びに行くなとは言わない。だが、せっかく高得点をとっても、それを問題行動で台無しにしないように注意しなさい」
先生はそう言うと、教室の扉の方を見て言葉を続けた。
「それと、南野の家族の方が来ている。どうやら迎えに来たようだな」
「え?」
し、静流さんが来てるのか!?
少しだけざわつく教室。視線を向けると凛音も驚いたような表情をしている。
そこまでするとは思ってなかった。
そんな表情だ。
「静粛に」
先生がそう言うと、ざわついていた教室が静かになった。
「SHRはこれで終わりにする。南野の家族の方には教室の外でお待ちしてもらっている。失礼の無いようにしなさい」
「はい」
クラスメイトのその声に、先生は一つ首を縦に振ってから「では解散」と言って教室を後にした。
そして、先生の居なくなった教室の扉がガラリと開く。
「皆さんこんにちは。南野凛音の母親の静流と申します。突然こうしてやって来てしまい申し訳ございません」
スーツ姿の静流さんが教室の入り口で一礼をしながらそう言った。
『うわぁ……若けぇ……』
『めちゃくちゃ美人じゃん……』
『南野さんとは全く似てないけど、やべぇくらい綺麗だな……』
なんて声が聞こえてきた。
確かに凛音とは似ても似つかないけど、かなりの美人だからな……
「お母さん……なんでここに居るのよ……」
「凛音ちゃんが心配だったからに決まってるでしょ?さぁ帰りましょう」
「み、みんなの前で凛音ちゃんなんて言わないでよ……」
恥ずかしそうに顔を赤くする凛音。
静流さんは特に気にした様子もなく言葉を返す。
「歩くのも大変なのにだから無理しないの。あと、霧都くんも一緒に来て貰えないかしら?私一人だと凛音ちゃんを運ぶのが大変だわ」
「肩でも貸せば良いですか?」
俺が静流さんにそう言うと、彼女は少しだけ笑いながら返事をする。
「そうしてくれると嬉しいわ。それと霧都くん用のご飯も用意してるから、そのままうちで食べて行って貰って構わないわよ」
「そうですか。でしたらお言葉に甘えます」
ははは……全くもって『断れない雰囲気』だな。
ここまで外堀を固められると笑いたくもなる。
「それじゃあ永久。俺はちょっと凛音の家に行くことにするよ」
「えぇ構いませんよ。『体調不良の幼馴染をお見舞いに行くのは幼馴染として当然』ですからね」
永久はそう言うと、椅子から立ち上がって静流さんの所へと向かい一礼をした。
「霧都の彼女の北島永久と申します。彼が大切な幼馴染のお見舞いに向かうのは当然だと思いますので特に反対はしません」
「ふふふ。ありがとう北島さん。器の大きい彼女さんで良かったわ」
静流さんはそう言うと教室の外へと出て行った。
そして、帰りの支度を済ませた俺は凛音の元へ向かう。
凛音も同じように支度を済ませていた。
「ほら、帰るぞ凛音。肩くらいは貸してやるよ」
「ありがとう霧都。助かるわ」
俺と凛音はクラスメイトたちが見守る中、教室の外へと歩いて行った。
「お待たせしました静流さん」
「そんなに待ってないから平気よ霧都くん」
教室の外に出た俺は、待っていた静流さんに謝罪をいれた。
微笑みながらそう言葉を返した静流さんに俺は言う。
「凛音に『こんなことをさせた理由』車の中で聞かせてもらいますからね?」
俺の言葉に静流さんは、ニヤリと笑った。
そして、「そうね。車の中で話してあげるわよ」と言葉を返した。
0
お気に入りに追加
186
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。


美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる