十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第2章 後編

最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ その④

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 最終話 その④



 中間テストの一日目を終えて、教室には根岸先生がやって来た。

「皆、お疲れ。高校生活最初の中間テストでかなり気疲れもあるだろう。帰宅の際には十分に気を付けるようにと、明日の勉強よりは今日は早めに風呂に入り、しっかりと睡眠時間をとることを勧める」

 教壇に立った根岸先生はクラスメイトにそう話をしていた。
 確かにそうだな。今更バタバタするよりは、お風呂に入って疲れをとって、しっかりと睡眠時間を確保する方が良いだろう。

「今日の連絡事項は特にない。ではこれでSHRを終わりにする。解散」

 根岸先生はそう言うと教室を後にした。

「それでは霧都。帰りましょうか」
「そうだね」

 俺と永久は帰りの支度をすると椅子から立ち上がる。

「バイバイ永久ちゃんに桜井くん。私は流くんと一緒に帰るね」
「さよなら桐崎さん。ではまた明日」
「さよなら桐崎さん。流にもお疲れって言っておいて」

 そう言い残して、俺たちは教室の外へと向かった。

 視界の隅では、気だるげな動きで帰り支度をしている凛音が映ったが、特に気にすることなく俺は教室の外に出た。

 そして、下駄箱へと歩いている間に、永久が俺に聞いてきた。

「凛音さんは……その、大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫……と言うと、体調のことかな?」
「はい。とても辛そうでしたので」

 そうか……永久には『凛音が本当に体調を崩しているように』
 見えていたのか。

 まぁ、十年も一緒にいれば嘘か本当かなんてすぐにわかるからな。

 そう考えながら俺は靴に履き替えて外に出る。

 そして、駐輪場へ歩いてる最中に永久に話をした。

「凛音が一体何を考えてるかは知らないけど、あいつの体調不良は『嘘』だよ」
「…………え?」

 俺がそう言うと、永久はとても意外だったのか口を丸くしながら声を上げた。

「こんな事言うのはあれかと思うけど、体調が悪い時との声が違う。まぁ十中八九仮病だろうな」
「そ、そうなんですか……」
「そもそもさ、体調が悪いのになんで自転車で来てるんだって話だよね」

 俺は軽く笑いながら凛音の自転車を指さした。

「まぁ、詳しい話は帰り道で話すよ」
「わ、わかりました……」

 自転車に乗り、永久の駅へと自転車を漕いでいく。
 その途中で俺は話を続ける。

「あんなのは十年も一緒にいればわかるよ。まぁ大っぴらに言うことじゃないと思ったから、永久以外には話してないけどね」
「その……いつから気がついたんですか?」

「朝さ、あいつが俺の手を払い除けたでしょ?その時にはおかしいと思ったんだよね。熱が無いことを知られたくなかったんだろうな。昼にあいつに話を聞きに行っただろ?その時には確信したかな」
「な、なるほど……だから少しだけ素っ気ないような対応だったんですね」

 永久はそう言うと、少しだけ不機嫌そうな目でを俺を見てきた。

「なんでしょうか……少しだけ悔しいような気持ちになってしまいます。そこまでわかってしまうってところが羨ましくも思えますから」
「ははは……永久に少しでも異変があればすぐに気がつけると思ってるよ」
「ふふふ。焼きもちを妬いてすみません。ですが、そう言ってくれて嬉しいです」

 そして、そんな話をしていると永久の最寄りの駅へとたどり着いた。

「あっとゆう間でしたね。残念です」
「そうだね、俺も残念だけど我慢するよ」
「ふふふ。そうですね。我慢も必要です。結婚するまでは」

 ……まぁ、ツッコミは入れないでおこうかな。

 別れ際に永久とキスをして、彼女を見送ったあと俺は自宅へと帰って行く。

「仮病を使って永久の油断を誘う……そんな姑息な手を使うような性格なんかしてないだろ……」

 自宅へと自転車を漕ぎながら俺は凛音の真意を測りかねていた。

「まぁ、永久も凛音も今日のテストは満点だったって話だし……勝負は明日になるだろうな」

 と言うか、あいつは明日もあんな仮病を使って来るのかな?

 良くわからないが、あまり考えすぎてもあれだな。俺は俺が出来ることをしっかりとやろう。

 そう結論付けた俺は家に帰ったあと、早めにお風呂に入ってしっかりと睡眠時間を確保して明日のテストに備えた。
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