十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第2章 後編

最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ その②

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 最終話  その②




 一時間目の数学から始まった高校生活最初の中間テスト。
 ここに至るまで真剣に勉強をしたかいもあって、かなり良い点数が取れる手応えを感じていた。

 そして、四時間目の国語のテストの終わりを告げるチャイムがなった。

 俺はペンを机の上に置いて答案用紙を提出する。

「お疲れ様でした、霧都。ここまではかなり順調に出来たと思ってます」
「お疲れ様、永久。俺もかなり手応えを感じてるよ。苦手の英語は明日だからまだ油断は出来ないけどね」
「私も自信あるかな!!ふふふ。テスト前の勉強会は今後も続けていきたいと思ったよ」

 永久と桐崎さんと話してると、少し離れた席から流がやって来た。

「お疲れ様皆。その表情だと手応えありって感じだね?」
「あぁ、勉強会の成果が出てると思うよ。流もそんな感じだろ?」
「うん。いつも以上の点数が取れそうだね。これならお小遣いアップも交渉に入れても良さそうかな?」

 なんて話をしていたが、凛音がこちらに来る事がなかった。
 様子を見ようとあいつの席に視線を送ると、机につっ伏すようにして目を閉じているのがわかった。

「おい、大丈夫かよ凛音」

 俺は凛音の席に行って声を掛ける。

「……大丈夫よ。午前の教科は全て完璧に解けたと自負してるわ」
「そ、そうか。これから食堂に行くけどどうする?」

 俺がそう聞くと凛音は首を横に振った。

「教室で寝てるわ。ゼリー飲料をいくつか家から持ってきてるから、それを飲むわよ」
「そうか……わかったよ」

 俺はそう言い残して凛音の席を後にした。

「凛音は教室で寝てるってさ。ゼリー飲料持って来てるから昼はそれで済ませるって話だよ」
「凛音ちゃん……本当に調子悪そうだね……」
「まぁ、午前中のテストは完璧に解いたって言ってたからな。それに情けをかけるってのは凛音が一番嫌うことだからな。冷たい言い方かも知れないけど、そっとしとこうぜ」

 俺はそう言うと教室の外に出る。
 すると、石崎と白雪さんが扉の前で待っていた。

「よう、桜井。一緒に飯食おうぜ」
「宜しければお昼をご一緒しても良いですか?」
「あぁ、俺は構わないよ。皆も大丈夫だよな?」

 俺がそう聞くと、永久も桐崎さんも流も首を縦に振った。

「じゃあテストの手応えでも話しながら食堂で飯にしようか」

 こうして俺たちは凛音を除いたメンバーで食堂へと向かった。




『食堂』



 食堂へとやって来た俺たちは、早速いつも使ってる長テーブルが空いてることを確認した。

「それじゃあいつものように私が席を確保してるからね」

 お弁当を持参してる桐崎さんがいつものように、長テーブルへと向かって行った。

 それを見た俺たちは券売機へと向かって歩く。

「今日は少なめにしようかなぁ……」
「だよな。いつもみたいに食べると眠くなりそうだ」

 俺の呟きに石崎が笑いながら相槌を打った。

「私はいつものように焼肉セットとを食べる予定です」
「俺は今日はからあげ定食にしようかな」
「私は日替わり定食にしようと思ってます」
「それじゃあ俺はラーメンの大盛りのみでにしようかな」

 いつもはチャーハンを付けるけど、今日は無しにしよう。

「俺はじゃあチャーハンの大盛りだけにするか」

「普通の人ならそれでおなかいっぱいだと思うけど、霧都や石崎くんにとっては『少なめ』なんだね」

 流の言葉に俺と石崎が笑いながら言葉を返す。

「あはは……まぁ、身体がデカいからな」
「星はもっと食べて肉付けた方が良いぞ?男にしてはヒョロ過ぎるからな」
「最近は少しプロテインを飲むようにはしてるんだよね。でもやっぱりご飯を食べないとだよね」

 そんな話をしていると、頼んでいた料理が出来たようなので取りに向かう。

「はい。霧都くん。ラーメン大盛りだよ」
「ありがとうございます『お姉さん』」

 食堂のお姉さんからラーメンを受け取ると、少しだけ違和感に気がつく。

「あれ?チャーシューが多くないですか?」
「ふふふ。サービスよ、霧都くん。テスト頑張ってね」
「あ、ありがとうございます!!頑張ります」

 少しだけ嬉しいサプライズを受けて、俺はみんなの待つテーブルへと向かう。

「お待たせ」
「これで全員揃いましたね。それでは食べ始めましょうか」

 そして、俺が椅子に座ったところで「いただきます」と声を揃えてから食べ始める。

「なぁ、桜井。お前が頼んだのはチャーシュー麺だったか?」
「いや、違うぞ。普通のラーメンだけど学食のお姉さんがサービスしてくれた」

 ラーメンを啜っていると、石崎がそう聞いてきたので事情を軽く説明した。

「本当に……霧都は『年上の女性』に好かれますね?」

 少しだけ冷たい永久の視線に、俺の背中に嫌な汗が流れる。

「お、俺は永久一筋だからさ」
「ふふふ。ありがとうございます」

 俺たちのそんなやり取りを見た石崎は少しだけ呆れたように言う。

「桜井の将来は嫁の尻に敷かれる未来しか見えないな」
「でもまぁ嫁の尻に敷かれるくらいが夫婦円満の秘訣ともいうからな」

 そんな話をしてると、少し大きな影が俺の後ろから現れる。

「どうしたんですか、桐崎先輩。二人の女性の尻に敷かれてる経験談でもしに来たんですか?」
「……桜井。お前だんだん俺に対して遠慮が無くなってきたな」

 そう言って振り返ると俺の後ろにいた桐崎先輩は、少しだけ悲しそうな表情をしながらそう返事をしていた。

「こういう対応の方が先輩は喜ぶかと思ってますので。ガチガチの関係は嫌では無いですか?」
「ははは。そうだな」
「それで、どんな用件があって来たんですか?」

 俺がそう問いかけると、桐崎先輩は少しだけ目を細めながら話を始めた。

「南野凛音についてだ。今日の彼女の様子を少し見かけてな」
「あぁ、風邪でも引いたみたいな感じでしたね」
「あの様子を見て、少し思い出すようなことがあったんだよ」

 桐崎先輩はそう言うと、永久の方を向いて言葉を放つ。

「南野と北島は中間テストで点数の勝負をしてるんだよな?」
「はい。そうです」

「北島の性格上、あの様子を見て『油断する』という事は無いと思ってる」
「そうですね。むしろ脅威度が上がったとすら思ってます」

 永久のその言葉に桐崎先輩は首を縦に振った。

「その意識なら問題ない。絶対に『手心を加えるな』」
「……先輩。何か心当たりがありそうな言い方ですね」

 俺がそう問いかけると、桐崎先輩は少しだけ苦笑いを浮かべながら言葉を返した。

「去年の中間テストで俺と詩織さんが同じように点数勝負をしたんだよ。その時と状況が似ててな」
「先輩は手心を加えたんですね」
「まぁ、たった一点。されど一点と言うやつだな」

 桐崎先輩はそう言うと、自分の席の方へ帰って行った。

「食事の邪魔をして悪かった。それじゃあ俺は帰るから」
「いえ、為になる話をありがとうございました」

 永久はそう言って先輩に頭を下げた。

「去年の中間テスト。八教科の合計点。おにぃは799点だったんだよね」
「す、すげぇな桐崎先輩……」

 でも俺のその言葉に、桐崎さんは少しだけ笑いながら答える。

「でも詩織ちゃんは800点満点だったんだよね。おにぃと詩織ちゃんはそういう戦いをしてた」
「私と凛音さんの戦いもそうなると思ってます」

 コップの水を飲んでから、永久は力強くそう言った。

「手心を加えるなってのはそういう事だろうね。まぁ永久ちゃんならそういうことはしないと思ってるから心配はしてないよ」
「ふふふ。そうですね。凛音さんを相手にして、手心を加えるなんて真似は出来ませんから」
「そもそも……あの時のおにぃは負けてもいいと思ってたかもしれないし」

 そんな会話をして、俺たちは昼ごはんを食べ終わった。

「それじゃあ中間テストの後半戦、頑張ろうか」
「そうですね。油断せず、ケアレスミスに気をつけて頑張りましょう」

 永久のその言葉に、全員が首を縦に振った。

 そして、俺たちは午後の中間テストもしっかりと解いていくことが出来た。

 一日目の中間テストは自信を持って終えることが出来た。
 そんな手応えを俺は感じていた。
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