十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第2章 後編

第九話 ~石崎からの恋愛相談。彼からの相談内容を聞いた俺は愕然としました~

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 第九話



「ふーん。私は別に構わないわよ。それに、他人の恋愛話には興味があるわ。楽しそうじゃない?」
「俺も構わないよ。石崎くんとは話してみたかったからね。俺にとっても交友関係を広げるチャンスになると思うしね」

 三時間目休み時間に、石崎とご飯を共にして良いか?と聞いたところ、二人からは色の良い返事が貰えた。

 断られることは無い。とは思っていたけど、とりあえずこれで安心出来たな。

 そして、四時間目の国語の授業が終わり、昼休みを告げるチャイムが鳴った。


「それじゃあ食堂に向かおうか」
「そうですね。場所はいつもの長テーブルですかね」
「そうだね。あそこなら一人か二人なら人数が増えても問題ないと思うしね」

 永久の質問に俺が答えると、桐崎さんが少しだけ笑いながらそう言葉を続けた。

「あはは。何だかおにぃたちの丸テーブルみたいに、皆が開けてくれてるような感じも出てきたよね」

「そうだね。ただまぁ座る場所が無いってなるよりは良いよね」

「ほら、さっさと食堂に向かうわよ。私はお腹がすいたわよ」
「そうですね。私もお腹がすきました。それに、石崎くんを待たせるのも可哀想ですからね」

 凛音の言葉に永久が続いた。
 確かにそうだな。相談を受けた立場だけど、待たせるのは違うよな。

「そうだね。じゃあ行こうか」

 そう言って俺たち五人は食堂へと足を運んだ。



『食堂』



 食堂の入り口に到着すると、体格の良い男子生徒か立っていた。石崎だった。

「悪いな、石崎。待たせたか?」
「いや、今来たところだから気にするな。お前たちがいつも使ってる長テーブルに居なかったから、ここで待ってようと決めたばかりだよ」

 俺が軽く謝罪を入れると、石崎は笑いながら手を振っていた。

「そうか、じゃあここに立ってても邪魔になるからな。食券を買いに行くか」
「ははは。それもそうだな」

 そう言って俺たちは食券を買いに券売機へと向かった。

「じゃあ私はお水を持って先に席を確保してるからね!!」
「ありがとう、桐崎さん。いつも助かるよ」

 飲み物と席の確保をしてくれている桐崎さんにお礼を言う。

「外から見てて思ったけど、なかなかすごいメンツで飯食ってるよな、お前ら」
「凄いのは俺以外のメンツだと思うけどな。それに、石崎だって似たようなもんだろ?陸上短距離の期待のエースで全国レベルなんだからな」

 俺が笑いながらそう言うと、石崎も笑いながら答えた。

「桜井だって似たようなもんだろ。次期生徒会長で、体育祭のMVP。野球部の武藤先輩からの信頼も厚い。さらには学園の次期聖女様を彼女……いや、嫁にしてるんだからな」
「俺にはもったいないくらいの嫁さんだよな」

 てか、学園の次期聖女様なんて言われてるんだな永久は。
 本人が聞いたらどう思うんだろうな。

 ……意外と喜びそうだな。

 なんて思いながら、俺はラーメンとチャーハンを買って席へと向かった。

 ちなみに石崎も俺と同じでラーメンとチャーハン。
 永久と流は焼肉セット。
 凛音は日替わり定食を頼んでいた。

「お待たせ桐崎さん。いつもありがとう」
「大丈夫だよ!!それじゃあ食べようか」

「そうね、今日の日替わり定食は私の好きなメンチカツよ。冷めたら台無しになってしまうわ」
「ははは……そうだな」

 俺たちは椅子に座り食べる準備をする。
 俺の隣には当然のように永久と凛音が挟むように座った。
 正面には桐崎さんと流が。石崎は左の端に座った。

「それじゃあ食べようか」

 俺のその声に、皆が首を縦に振った。

 そして『いただきます!!』と声を揃えてから昼ごはんを食べ始めた。

 俺はラーメンに胡椒を軽く振りかけてから麺をすする。

 ピリッとした辛味がアクセントになって、ラーメンの味が引き締まる。

 うん。いつも食べてるけどやっぱり美味しいな。

 そう思いながら麺をすすっていると、俺の正面ではいつものように流と桐崎さんが焼肉と玉子焼きのトレードを行っていた。

 流はこれをするために、焼肉セットを頼んでるような気もするよな。

 なんて思いながら食事を進めていく。

 そして、麺が伸びるといけないのでラーメンから先に食べ進め、それを食べ終わったころに俺は石崎に話を振った。

「それじゃあそろそろ、石崎からの恋愛相談についての話を聞いても平気か?」
「そうだな。昼飯の時間も限られてるしな」

 俺と同じタイミングでラーメンを食べ終わっていた石崎が、軽く水を口にしながら言葉を返す。

「ここに居るメンツには軽く話はしてある。まぁ面白おかしく言いふらすようなことはしない。そのことは約束するよ」
「ははは。そのことに関しては心配してないから大丈夫だよ」

 石崎はそう言うと、俺たちに向かって話を始めた。

「俺は知っての通り、陸上の特待生としてこの学校に入学した。授業料は免除されてるし、学業に関しては『ある程度』融通が効く。そんな立場だな」
「ある程度。と言うのがポイントね。聞くところによると無断欠席や遅刻も無い。別に授業態度も悪くないそうね。立派な事じゃない」

 凛音がそう言葉を放つと、石崎は軽く笑いながら言葉を返す。

「そうだな。部活の朝練があるから。ってのもあるから欠席や遅刻は無い。授業中も寝たい気持ちはあるけど雪菜の目があるからな。しっかりと起きて聞いてるよ」
「白雪雪菜さん。石崎くんが好きな子ですよね。桐崎さんから中学時代で、既にとても仲が良かったと聞きましたよ」
「そうだね。傍から見てたら『秒読み段階』みたいに感じたよ?それがどうしたのかな」

 永久と桐崎さんの言葉に、石崎は少しだけ申し訳なさそうな表情をする。

「まぁ、そうだな。あいつにとって一番仲の良い異性は俺だと思ってるし、俺にとって一番大切な異性はあいつだ。こうして同じ高校に来れたことも運命だと思ってるよ」
「そ、そこまで言うならもう告白すれば良いんじゃないか?」

 俺がそう言うと、石崎は苦笑いをしながら言葉を返す。

「ここから先がお前たちに相談したいことなんだ」
「……え?」

 石崎は軽く水を飲んでから言葉を続けた。

「俺は『バカ』なんだ……その、ある程度の成績なら構わない。という水準すら厳しいレベルのな……」
「ぐ、具体的にはどのくらいの……」

 授業中は寝ないで話を聞いてるんだろ?だったらそこまで酷くは無いと思うけど……

 石崎はそんな俺の前に、この話のために用意していた各教科の『小テスト』の紙を出てきた。

「これが俺の実力だ」

「……う、嘘でしょ」
「こ、これは……」
「なかなか酷いね……」
「こんな点数を見たのは漫画やアニメの中だけだよ……」

 石崎の小テストの点数を見た俺たちは言葉を失った。
 そして、代表して俺が聞くことにした。

「ぜ、全教科……『0点』ってどういう事だよ」

 空欄は一個もない。
 でも、全部間違えてる……

「これが俺の相談だ!!頼む!!俺に『勉強』を教えてくれ!!」

 石崎は笑顔でそう言うと、元気良く俺たちに頭を下げた。
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