十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第2章 後編

第八話 ~友人の石崎が悩み事を抱えて俺の教室にやって来ました~

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 第八話



 体育祭も終わり、時間割も通常のものに戻ってきた。
 根岸先生から求められていた反省文も無事に提出することが出来た。

『桐崎のことは良いところは真似しても構わないが、悪いところは反面教師にしてもらいたいと思ってる。そこはしっかりと見極めてくれ』
『……はい』

 根岸先生からはそう言われてしまった。

 そして、そろそろ教室全体が試験モードに差し掛かってきた頃の事だった。

「一年四組の石崎だ。今ここに生徒会庶務の桜井は居るか?」

 二時間目の授業の終わり。少し長めの休み時間に、石崎が俺のクラスにやってきた。

「居るぞ。どうしたんだよ、石崎」

 ガラリと教室の扉を開けた所に立っている友人の元に、俺は歩いて進む。

「いきなり呼び出して悪いな桜井」
「友達だろ。そんなこと気にするなよ。それで、どうしたんだよ?」

 俺がそう問いかけると、石崎は少しだけ恥ずかしそうに笑いながら言葉を返す。

「ははは。そう言ってくれると助かるよ。ちょっとここだと話しづらいことだから、廊下でも構わないか?」
「良いぞ。確かにここだと注目の的だな」

 俺も石崎も体育祭で名を上げた部分があるからな。
 こうして二人で話していると注目を浴びてしまう部分もある。

 俺は石崎と一緒に外に出ると、教室の扉を閉める。
 これで俺との会話は中には聞こえない。

「それで、相談ってのはなんなんだ?」
「……相談って話はしたか?」
「いや、誰かに聞かれたくない話なら、何かの相談だろうとあたりをつけてたんだよ」

 俺がそう言うと、石崎は笑いながら首を縦に振った。

「確かにそれなら納得だ。ちなみに桜井の言うように、お前に相談したいことがあってな」

 石崎はそう言うと、少しだけ頬を赤くしながら言葉を続ける。

「俺は、同じクラスの白雪雪菜に惚れている。友人関係だとは思っているがもう一歩進んだ関係になりたいと考えている」
「……意外だな。彼女のことを名前で呼び捨てにしてたから、既にそういう仲だと思ってたけど」

 俺がそう言うと、石崎は少しだけ苦笑いを浮かべた。

「同じ陸上部で何度も大会で顔を合わせることがあったからな。話す機会も少なくなかった。かなり親しい間柄だと思ってる」
「そこまで仲が進んでるのに、わざわざ俺に相談してくるってのはどういうことなんだ?あとは告白するだけ。そんな感じにも思えるけど」

 俺がそう言ったところで、三時間目の授業が近いことを知らせる予鈴が鳴った。

「その話を詳しくしたくてな。もし良かったら今日の昼をお前達と一緒にしても構わないか?」
「なるほどな。そういう話なら構わないぞ」

 俺が了承を示すと、石崎は安心したような表情を浮かべた。

「ありがとう、桜井。それじゃあ詳しい話は昼の時間にするな」

 石崎はそう言うと、手を振りながら自分の教室へと戻って行った。

 俺は彼の後ろ姿を見送ったあと、自分の教室へと戻った。

「石崎くんとはどんな話をしていたのか、聞いても平気ですか?」

 席に戻ると、永久が俺にそう問いかけてきた。

 昼を一緒にするって話だからな。
 永久と桐崎さんにも軽く話をしておくか。

「構わないよ。と言うより、詳しい話はまだ何も聞けてないけどね」

 俺はそう言うと、桐崎さんと永久に身体を向ける。

「桐崎さんにも聞いてもらいたいんだよね、ちょっと良いかな?」
「うん。構わないよ、どうしたのかな?」

「石崎から恋愛相談を受けてね。詳しい話を昼の時間にしたいそうなんだ。それで、俺たちとご飯を共にしたいそうなんだけど、構わないかな?」
「恋愛相談ですか??ふふふ……キュンキュンしてしまいますね」
「なるほどなるほど……石崎くんのお好きな相手には何となく予想がつきますなぁ……」

 桐崎さんは中学時代から石崎と白雪さんのことを知ってるから、二人の関係性とかも詳しいのかもしれないな。

「ははは。あまり大きな声で話すことでもないと思うけどね。それでどうかな?昼を一緒にしても構わないかな」
「私は構いませんよ」
「うん。私も構わないよ。多分、星くんも凛音ちゃんも大丈夫だと思うよ」

 二人は俺の問いかけに了承を示してくれた。

「良かった。それじゃあ次の休み時間に凛音と流にも話を通しておくね」

 俺はそう言うと、次の授業の英語の教科書とノートを出した。

「英語は少し苦手だから、頑張って理解しないと」
「ふふふ。私は得意ですからね。でしたら放課後は英語を中心に勉強会をしましょうか」

「ありがとう、助かるよ。どうしても文法が理解出来なくて……」

 そんな話をしていると、英語の先生が教室に入ってきた。
 そして授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。


 石崎の相談。一体どんなものなんだろうな。
 話を聞くとぶっちゃけ両片思いみたいなものに見えてくるけど……

 そんなことを少しだけ考えながら、俺は残りの授業を受けていった。
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