139 / 164
第2章 後編
第八話 ~友人の石崎が悩み事を抱えて俺の教室にやって来ました~
しおりを挟む
第八話
体育祭も終わり、時間割も通常のものに戻ってきた。
根岸先生から求められていた反省文も無事に提出することが出来た。
『桐崎のことは良いところは真似しても構わないが、悪いところは反面教師にしてもらいたいと思ってる。そこはしっかりと見極めてくれ』
『……はい』
根岸先生からはそう言われてしまった。
そして、そろそろ教室全体が試験モードに差し掛かってきた頃の事だった。
「一年四組の石崎だ。今ここに生徒会庶務の桜井は居るか?」
二時間目の授業の終わり。少し長めの休み時間に、石崎が俺のクラスにやってきた。
「居るぞ。どうしたんだよ、石崎」
ガラリと教室の扉を開けた所に立っている友人の元に、俺は歩いて進む。
「いきなり呼び出して悪いな桜井」
「友達だろ。そんなこと気にするなよ。それで、どうしたんだよ?」
俺がそう問いかけると、石崎は少しだけ恥ずかしそうに笑いながら言葉を返す。
「ははは。そう言ってくれると助かるよ。ちょっとここだと話しづらいことだから、廊下でも構わないか?」
「良いぞ。確かにここだと注目の的だな」
俺も石崎も体育祭で名を上げた部分があるからな。
こうして二人で話していると注目を浴びてしまう部分もある。
俺は石崎と一緒に外に出ると、教室の扉を閉める。
これで俺との会話は中には聞こえない。
「それで、相談ってのはなんなんだ?」
「……相談って話はしたか?」
「いや、誰かに聞かれたくない話なら、何かの相談だろうとあたりをつけてたんだよ」
俺がそう言うと、石崎は笑いながら首を縦に振った。
「確かにそれなら納得だ。ちなみに桜井の言うように、お前に相談したいことがあってな」
石崎はそう言うと、少しだけ頬を赤くしながら言葉を続ける。
「俺は、同じクラスの白雪雪菜に惚れている。友人関係だとは思っているがもう一歩進んだ関係になりたいと考えている」
「……意外だな。彼女のことを名前で呼び捨てにしてたから、既にそういう仲だと思ってたけど」
俺がそう言うと、石崎は少しだけ苦笑いを浮かべた。
「同じ陸上部で何度も大会で顔を合わせることがあったからな。話す機会も少なくなかった。かなり親しい間柄だと思ってる」
「そこまで仲が進んでるのに、わざわざ俺に相談してくるってのはどういうことなんだ?あとは告白するだけ。そんな感じにも思えるけど」
俺がそう言ったところで、三時間目の授業が近いことを知らせる予鈴が鳴った。
「その話を詳しくしたくてな。もし良かったら今日の昼をお前達と一緒にしても構わないか?」
「なるほどな。そういう話なら構わないぞ」
俺が了承を示すと、石崎は安心したような表情を浮かべた。
「ありがとう、桜井。それじゃあ詳しい話は昼の時間にするな」
石崎はそう言うと、手を振りながら自分の教室へと戻って行った。
俺は彼の後ろ姿を見送ったあと、自分の教室へと戻った。
「石崎くんとはどんな話をしていたのか、聞いても平気ですか?」
席に戻ると、永久が俺にそう問いかけてきた。
昼を一緒にするって話だからな。
永久と桐崎さんにも軽く話をしておくか。
「構わないよ。と言うより、詳しい話はまだ何も聞けてないけどね」
俺はそう言うと、桐崎さんと永久に身体を向ける。
「桐崎さんにも聞いてもらいたいんだよね、ちょっと良いかな?」
「うん。構わないよ、どうしたのかな?」
「石崎から恋愛相談を受けてね。詳しい話を昼の時間にしたいそうなんだ。それで、俺たちとご飯を共にしたいそうなんだけど、構わないかな?」
「恋愛相談ですか??ふふふ……キュンキュンしてしまいますね」
「なるほどなるほど……石崎くんのお好きな相手には何となく予想がつきますなぁ……」
桐崎さんは中学時代から石崎と白雪さんのことを知ってるから、二人の関係性とかも詳しいのかもしれないな。
「ははは。あまり大きな声で話すことでもないと思うけどね。それでどうかな?昼を一緒にしても構わないかな」
「私は構いませんよ」
「うん。私も構わないよ。多分、星くんも凛音ちゃんも大丈夫だと思うよ」
二人は俺の問いかけに了承を示してくれた。
「良かった。それじゃあ次の休み時間に凛音と流にも話を通しておくね」
俺はそう言うと、次の授業の英語の教科書とノートを出した。
「英語は少し苦手だから、頑張って理解しないと」
「ふふふ。私は得意ですからね。でしたら放課後は英語を中心に勉強会をしましょうか」
「ありがとう、助かるよ。どうしても文法が理解出来なくて……」
そんな話をしていると、英語の先生が教室に入ってきた。
そして授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。
石崎の相談。一体どんなものなんだろうな。
話を聞くとぶっちゃけ両片思いみたいなものに見えてくるけど……
そんなことを少しだけ考えながら、俺は残りの授業を受けていった。
体育祭も終わり、時間割も通常のものに戻ってきた。
根岸先生から求められていた反省文も無事に提出することが出来た。
『桐崎のことは良いところは真似しても構わないが、悪いところは反面教師にしてもらいたいと思ってる。そこはしっかりと見極めてくれ』
『……はい』
根岸先生からはそう言われてしまった。
そして、そろそろ教室全体が試験モードに差し掛かってきた頃の事だった。
「一年四組の石崎だ。今ここに生徒会庶務の桜井は居るか?」
二時間目の授業の終わり。少し長めの休み時間に、石崎が俺のクラスにやってきた。
「居るぞ。どうしたんだよ、石崎」
ガラリと教室の扉を開けた所に立っている友人の元に、俺は歩いて進む。
「いきなり呼び出して悪いな桜井」
「友達だろ。そんなこと気にするなよ。それで、どうしたんだよ?」
俺がそう問いかけると、石崎は少しだけ恥ずかしそうに笑いながら言葉を返す。
「ははは。そう言ってくれると助かるよ。ちょっとここだと話しづらいことだから、廊下でも構わないか?」
「良いぞ。確かにここだと注目の的だな」
俺も石崎も体育祭で名を上げた部分があるからな。
こうして二人で話していると注目を浴びてしまう部分もある。
俺は石崎と一緒に外に出ると、教室の扉を閉める。
これで俺との会話は中には聞こえない。
「それで、相談ってのはなんなんだ?」
「……相談って話はしたか?」
「いや、誰かに聞かれたくない話なら、何かの相談だろうとあたりをつけてたんだよ」
俺がそう言うと、石崎は笑いながら首を縦に振った。
「確かにそれなら納得だ。ちなみに桜井の言うように、お前に相談したいことがあってな」
石崎はそう言うと、少しだけ頬を赤くしながら言葉を続ける。
「俺は、同じクラスの白雪雪菜に惚れている。友人関係だとは思っているがもう一歩進んだ関係になりたいと考えている」
「……意外だな。彼女のことを名前で呼び捨てにしてたから、既にそういう仲だと思ってたけど」
俺がそう言うと、石崎は少しだけ苦笑いを浮かべた。
「同じ陸上部で何度も大会で顔を合わせることがあったからな。話す機会も少なくなかった。かなり親しい間柄だと思ってる」
「そこまで仲が進んでるのに、わざわざ俺に相談してくるってのはどういうことなんだ?あとは告白するだけ。そんな感じにも思えるけど」
俺がそう言ったところで、三時間目の授業が近いことを知らせる予鈴が鳴った。
「その話を詳しくしたくてな。もし良かったら今日の昼をお前達と一緒にしても構わないか?」
「なるほどな。そういう話なら構わないぞ」
俺が了承を示すと、石崎は安心したような表情を浮かべた。
「ありがとう、桜井。それじゃあ詳しい話は昼の時間にするな」
石崎はそう言うと、手を振りながら自分の教室へと戻って行った。
俺は彼の後ろ姿を見送ったあと、自分の教室へと戻った。
「石崎くんとはどんな話をしていたのか、聞いても平気ですか?」
席に戻ると、永久が俺にそう問いかけてきた。
昼を一緒にするって話だからな。
永久と桐崎さんにも軽く話をしておくか。
「構わないよ。と言うより、詳しい話はまだ何も聞けてないけどね」
俺はそう言うと、桐崎さんと永久に身体を向ける。
「桐崎さんにも聞いてもらいたいんだよね、ちょっと良いかな?」
「うん。構わないよ、どうしたのかな?」
「石崎から恋愛相談を受けてね。詳しい話を昼の時間にしたいそうなんだ。それで、俺たちとご飯を共にしたいそうなんだけど、構わないかな?」
「恋愛相談ですか??ふふふ……キュンキュンしてしまいますね」
「なるほどなるほど……石崎くんのお好きな相手には何となく予想がつきますなぁ……」
桐崎さんは中学時代から石崎と白雪さんのことを知ってるから、二人の関係性とかも詳しいのかもしれないな。
「ははは。あまり大きな声で話すことでもないと思うけどね。それでどうかな?昼を一緒にしても構わないかな」
「私は構いませんよ」
「うん。私も構わないよ。多分、星くんも凛音ちゃんも大丈夫だと思うよ」
二人は俺の問いかけに了承を示してくれた。
「良かった。それじゃあ次の休み時間に凛音と流にも話を通しておくね」
俺はそう言うと、次の授業の英語の教科書とノートを出した。
「英語は少し苦手だから、頑張って理解しないと」
「ふふふ。私は得意ですからね。でしたら放課後は英語を中心に勉強会をしましょうか」
「ありがとう、助かるよ。どうしても文法が理解出来なくて……」
そんな話をしていると、英語の先生が教室に入ってきた。
そして授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。
石崎の相談。一体どんなものなんだろうな。
話を聞くとぶっちゃけ両片思いみたいなものに見えてくるけど……
そんなことを少しだけ考えながら、俺は残りの授業を受けていった。
0
お気に入りに追加
186
あなたにおすすめの小説

逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?
すず。
恋愛
体調を崩してしまった私
社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね)
診察室にいた医師は2つ年上の
幼馴染だった!?
診察室に居た医師(鈴音と幼馴染)
内科医 28歳 桐生慶太(けいた)
※お話に出てくるものは全て空想です
現実世界とは何も関係ないです
※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる