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第2章 後編
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑩
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第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑩
『さぁ!!始まりました。午後の部最初の種目は大縄跳びです!!各クラスの精鋭たちが制限時間内に何回飛べるかを競う種目です!!桜井くん。この種目のポイントはどこでしょうか!?』
『そうですね。この大縄跳びは、仮に失敗しても回数はリセットされません。単純に何回飛んだかを競います。失敗したときに、どれだけ素早く縄跳びを再開できるかがポイントになると思います!!』
三郷先輩の振りにそう答えた俺だったが、多分叱責を受けるだろうと思っていた。
きっと、
『馬鹿野郎!!この種目の一番のポイントは、大縄を飛ぶ女子生徒の揺れるおっぱいだろ!!』
って言われると思うからだ。
そう言われたらスムーズにツッコミが入れられるようにしておこう。
なんて思っていた。
『流石は桜井くん!!君の言うように、この種目は一度の失敗が致命傷にはなりません!!失敗を恐れずにどんどん回していって欲しいですね!!』
『…………あ、あれ?三郷先輩。今のコメントで良かったんですか?』
思っていた言葉と違う言葉を言われて、俺は少しだけ戸惑ってしまう。
『……え?どうしたのかな、桜井くん。君らしい真面目で模範的な回答だったよ!!』
『いえ、三郷先輩のことですから。きっと『この種目の見所は女子生徒の揺れるおっぱいだろ!!』って言われ……』
ここまで言ったところで気が付いた。
三郷先輩がニヤニヤと笑いながらこちらを見ていることを!!
し、しまった!!これは俺のセリフを誘導する罠だった!!
『おやおや?桜井くん。やっぱり君も男の子なんだね!!大縄跳びの見所はやはり、女子生徒の揺れるおっぱいだろ!!って言う君の熱い気持ちを受け取ったよ!!』
『ち、違いま……』
男子生徒の歓声と、女子生徒からの冷めた視線。
つ、辛い……
『さぁ!!そろそろ始まる時間になりました!!女子生徒の皆さん!!桜井くんにお楽しみの時間をたくさん与えて上げてください!!』
『もう……そのくらいで勘弁してください……』
こうして、多少のハプニングはあったものの、大縄跳びが開始された。
そして、うちのクラスが順調に勝ち進む中で俺のスマホがメッセージを受信した。と伝えてきた。
「すみません。ちょっとスマホを確認します」
マイクを通さずに、俺は三郷先輩に許可を取る。
「良いよ。なんとなく要件は予想出来るけど」
「……え?」
先輩の言葉に首を傾げながら、俺はメッセージアプリを起動する。
そこには、永久さんからのメッセージが届いていた。
『少し面倒な事態に巻き込まれてしまいました。助けてください。体育館の裏に呼び出されてしまいました。凛音さんも来てくれるそうですが、女子だけだと怖いので貴方と一緒に向かいたいです』
……これが桐崎先輩や三郷先輩が言っていたことか。
「すみません。ちょっと急用が出来たので席を外します」
「構わないよ。新婦のところに行ってあげなよ。こっちは何とかしておくからね」
俺の言葉に、三郷先輩は笑って答えてくれた。
「助かります。それではちょっと行ってきます!!」
俺はそう言い残して、放送席を後にした。
自分のクラスに向かうと、永久が不安そうな表情で俺の事を待っていた。
「ごめんね、待たせちゃったね」
「いえ、こちらこそ呼び出してしまってすみません」
俺の言葉に、彼女は申し訳無さそうに頭を下げる。
「そんなことをする必要は無いわよ、永久。こいつの身体のデカさはこんな時くらいにしか役に立たないんだから」
「り、凛音……」
「桐崎さんと星くんは根岸先生に事情を話しに行ったわ。永久が面倒事に巻き込まれたから私も着いていこうと思ってるけど、流石に女二人じゃ心許ないわ。だからあんたも着いてきなさい」
「意外だな。凛音が永久のことを助けるなんて」
俺がそう言うと、凛音はかなり怒ったような表情をした。
「はぁ!?バカにしないでちょうだい。この女を倒すのはこの私よ。しかもこんな陰険なことをするつもりは微塵も無いわ。正面から叩き潰してやるんだから。だからこんな意味不明な呼び出しでこの女が潰れるのは許せないわ」
「凛音さん……」
「凛音」
凛音はそう言うと、体育館の裏へと先陣を切って歩き始める。
「ほら、さっさと行くわよ!!大縄跳びが終わったら男女混合リレーなんだからね。時間は限られてるわよ!!」
「あはは、そうだな」
「ですね。すぐに終わらせましょう」
こうして俺たち三人は呼び出しを受けた体育館の裏へと向かった。
『体育館の裏』
じめじめした体育館の裏へと辿り着くと、二人の男子生徒が立っていた。
なるほど。こんな状況になるなら女子二人を向かわせなくて正解だったな。
と言うか、向こうとしては男子二人で永久一人を呼び出すつもりだったのかよ。
人間のクズだな。男の風上にも置けない。
そんなことを思いながら、俺は二人の前に立って話を始める。
「こんな所に俺の『嫁』を呼び出して、一体何をするつもりだったんだよ」
体操服の色を見ればわかるが、この男子生徒。同級生だ。
先輩ならともかく、同年代なら敬語なんか必要無いな。
永久のことを敢えて『嫁』と呼んだのは、きっとこの二人は俺たちが挙げた『結婚式』に対して、良い感情を持ってないと確信を持っているから。
つまり、感情的にさせるための挑発みたいなものだ。
「俺たちが呼び出したのは永久さんだ……」
「人の嫁を勝手に名前で呼ぶんじゃねぇよ」
「「ひぃっ!!」」
いけない……こっちが感情的になってしまったな。
落ち着いて話をしないと……
「き、北島さんは俺たちのアイドルだったんだ」
「……はぁ?」
こいつらは何を言ってるんだ?
「中学時代。俺たちは『永久さんファンクラブ』の会長と副会長だった」
「そ、そんなのがあったの?」
俺が永久にそう尋ねると、彼女はため息をついてから首を縦に振った。
「はい。辞めて欲しいと言っても聞いてくれませんでしたが」
「傍迷惑もいい所ね。私も中学時代には似たようなのがあったけど、蹴り飛ばしたら無くなったわよ」
そういやそんなこともあったな。
「お、俺たちの方が先に彼女を推してたのに!!それをぽっと出のお前なんかに奪われた気持ちがわかるのかよ!!」
「北島さんにはみんなのアイドルに戻ってもらおうと『話し合い』をしようと思ってたんだ!!」
「話し合い……ね」
こんな場所に女の子を一人呼び出して、男二人で何を話し合うつもりだったんだよ。
「気持ち悪いわね。こういう男は私嫌いよ」
二人の言い分を聞いた凛音は表情を歪めてそう言っていた。
「私も嫌いです。勝手な事を言わないで欲しいと思ってしまいます」
女子二人から『嫌い』と言われた男二人は、理不尽な言葉を返してきた。
「お、お前さえ居なければ良かったのに!!」
「全部お前が悪いんだ、桜井!!」
「……はぁ。そうなるとは思ってたけど、本当にそうなるとはなぁ」
「モテる男は辛いわね、霧都」
「私の中学時代の同級生が迷惑をかけてすみません……」
「別に永久が謝ることじゃないよ」
俺がそう言って彼女の頭を撫でてあげると、男二人は逆上して殴り掛かってきた。
「お、俺たちのアイドルに触るんじゃねぇよ!!」
「…………はぁ。デッドボールよりは痛くないとは思うから、我慢するかな」
俺は歯を食いしばって、二人の拳を顔で受け止める。
大して鍛えてない男二人の拳なんて、軟球のデッドボールより痛くない。
「霧都!!」
「だ、大丈夫ですか!!??」
心配する女子二人に俺は笑いかける。
「あぁ、心配しなくて平気だよ。こんなのは痛くもなんともないよ」
俺はそう言うと、スマホを取りだして男子生徒二人の写真を撮る。
「な、何写真なんか撮ってるんだよ!!」
「犯罪者の写真を残すのは基本だろ?」
「は、犯罪者だと……」
俺は冷めた口調で男二人にそう言ってやった。
「人を殴ったら傷害罪だよ。証拠も証人も揃ってる。お前達二人にはそれなりの処罰が待ってると思えよ?」
「お、お前が悪いんだろうが!!」
「散々こっちをバカにしやがって!!」
男二人がそう言うので、俺は凛音に視線を向ける。
すると、凛音はジャージの胸ポケットからボイスレコーダーを取り出す。
こいつはいつもこういうことに巻き込まれた時のために、ボイスレコーダーを持ってるんだよな。
「あんたらとの会話は全部このボイスレコーダーで録音してるわ。誰が悪かったのかは、第三者が決めることよ。まぁ、終始暴言を吐いていたのはあんた達だと私は思うけどね」
凛音がそう言うと、男二人は地面に膝を着いた。
「良くて停学。悪くて退学。去年、桐崎先輩に暴力を奮った生徒は停学になった。三年だったけどな。自分たちの行いがどれだけ重いことかを良く考えるんだな」
俺は男二人にそう言い残してその場を去った。
『さぁ!!始まりました。午後の部最初の種目は大縄跳びです!!各クラスの精鋭たちが制限時間内に何回飛べるかを競う種目です!!桜井くん。この種目のポイントはどこでしょうか!?』
『そうですね。この大縄跳びは、仮に失敗しても回数はリセットされません。単純に何回飛んだかを競います。失敗したときに、どれだけ素早く縄跳びを再開できるかがポイントになると思います!!』
三郷先輩の振りにそう答えた俺だったが、多分叱責を受けるだろうと思っていた。
きっと、
『馬鹿野郎!!この種目の一番のポイントは、大縄を飛ぶ女子生徒の揺れるおっぱいだろ!!』
って言われると思うからだ。
そう言われたらスムーズにツッコミが入れられるようにしておこう。
なんて思っていた。
『流石は桜井くん!!君の言うように、この種目は一度の失敗が致命傷にはなりません!!失敗を恐れずにどんどん回していって欲しいですね!!』
『…………あ、あれ?三郷先輩。今のコメントで良かったんですか?』
思っていた言葉と違う言葉を言われて、俺は少しだけ戸惑ってしまう。
『……え?どうしたのかな、桜井くん。君らしい真面目で模範的な回答だったよ!!』
『いえ、三郷先輩のことですから。きっと『この種目の見所は女子生徒の揺れるおっぱいだろ!!』って言われ……』
ここまで言ったところで気が付いた。
三郷先輩がニヤニヤと笑いながらこちらを見ていることを!!
し、しまった!!これは俺のセリフを誘導する罠だった!!
『おやおや?桜井くん。やっぱり君も男の子なんだね!!大縄跳びの見所はやはり、女子生徒の揺れるおっぱいだろ!!って言う君の熱い気持ちを受け取ったよ!!』
『ち、違いま……』
男子生徒の歓声と、女子生徒からの冷めた視線。
つ、辛い……
『さぁ!!そろそろ始まる時間になりました!!女子生徒の皆さん!!桜井くんにお楽しみの時間をたくさん与えて上げてください!!』
『もう……そのくらいで勘弁してください……』
こうして、多少のハプニングはあったものの、大縄跳びが開始された。
そして、うちのクラスが順調に勝ち進む中で俺のスマホがメッセージを受信した。と伝えてきた。
「すみません。ちょっとスマホを確認します」
マイクを通さずに、俺は三郷先輩に許可を取る。
「良いよ。なんとなく要件は予想出来るけど」
「……え?」
先輩の言葉に首を傾げながら、俺はメッセージアプリを起動する。
そこには、永久さんからのメッセージが届いていた。
『少し面倒な事態に巻き込まれてしまいました。助けてください。体育館の裏に呼び出されてしまいました。凛音さんも来てくれるそうですが、女子だけだと怖いので貴方と一緒に向かいたいです』
……これが桐崎先輩や三郷先輩が言っていたことか。
「すみません。ちょっと急用が出来たので席を外します」
「構わないよ。新婦のところに行ってあげなよ。こっちは何とかしておくからね」
俺の言葉に、三郷先輩は笑って答えてくれた。
「助かります。それではちょっと行ってきます!!」
俺はそう言い残して、放送席を後にした。
自分のクラスに向かうと、永久が不安そうな表情で俺の事を待っていた。
「ごめんね、待たせちゃったね」
「いえ、こちらこそ呼び出してしまってすみません」
俺の言葉に、彼女は申し訳無さそうに頭を下げる。
「そんなことをする必要は無いわよ、永久。こいつの身体のデカさはこんな時くらいにしか役に立たないんだから」
「り、凛音……」
「桐崎さんと星くんは根岸先生に事情を話しに行ったわ。永久が面倒事に巻き込まれたから私も着いていこうと思ってるけど、流石に女二人じゃ心許ないわ。だからあんたも着いてきなさい」
「意外だな。凛音が永久のことを助けるなんて」
俺がそう言うと、凛音はかなり怒ったような表情をした。
「はぁ!?バカにしないでちょうだい。この女を倒すのはこの私よ。しかもこんな陰険なことをするつもりは微塵も無いわ。正面から叩き潰してやるんだから。だからこんな意味不明な呼び出しでこの女が潰れるのは許せないわ」
「凛音さん……」
「凛音」
凛音はそう言うと、体育館の裏へと先陣を切って歩き始める。
「ほら、さっさと行くわよ!!大縄跳びが終わったら男女混合リレーなんだからね。時間は限られてるわよ!!」
「あはは、そうだな」
「ですね。すぐに終わらせましょう」
こうして俺たち三人は呼び出しを受けた体育館の裏へと向かった。
『体育館の裏』
じめじめした体育館の裏へと辿り着くと、二人の男子生徒が立っていた。
なるほど。こんな状況になるなら女子二人を向かわせなくて正解だったな。
と言うか、向こうとしては男子二人で永久一人を呼び出すつもりだったのかよ。
人間のクズだな。男の風上にも置けない。
そんなことを思いながら、俺は二人の前に立って話を始める。
「こんな所に俺の『嫁』を呼び出して、一体何をするつもりだったんだよ」
体操服の色を見ればわかるが、この男子生徒。同級生だ。
先輩ならともかく、同年代なら敬語なんか必要無いな。
永久のことを敢えて『嫁』と呼んだのは、きっとこの二人は俺たちが挙げた『結婚式』に対して、良い感情を持ってないと確信を持っているから。
つまり、感情的にさせるための挑発みたいなものだ。
「俺たちが呼び出したのは永久さんだ……」
「人の嫁を勝手に名前で呼ぶんじゃねぇよ」
「「ひぃっ!!」」
いけない……こっちが感情的になってしまったな。
落ち着いて話をしないと……
「き、北島さんは俺たちのアイドルだったんだ」
「……はぁ?」
こいつらは何を言ってるんだ?
「中学時代。俺たちは『永久さんファンクラブ』の会長と副会長だった」
「そ、そんなのがあったの?」
俺が永久にそう尋ねると、彼女はため息をついてから首を縦に振った。
「はい。辞めて欲しいと言っても聞いてくれませんでしたが」
「傍迷惑もいい所ね。私も中学時代には似たようなのがあったけど、蹴り飛ばしたら無くなったわよ」
そういやそんなこともあったな。
「お、俺たちの方が先に彼女を推してたのに!!それをぽっと出のお前なんかに奪われた気持ちがわかるのかよ!!」
「北島さんにはみんなのアイドルに戻ってもらおうと『話し合い』をしようと思ってたんだ!!」
「話し合い……ね」
こんな場所に女の子を一人呼び出して、男二人で何を話し合うつもりだったんだよ。
「気持ち悪いわね。こういう男は私嫌いよ」
二人の言い分を聞いた凛音は表情を歪めてそう言っていた。
「私も嫌いです。勝手な事を言わないで欲しいと思ってしまいます」
女子二人から『嫌い』と言われた男二人は、理不尽な言葉を返してきた。
「お、お前さえ居なければ良かったのに!!」
「全部お前が悪いんだ、桜井!!」
「……はぁ。そうなるとは思ってたけど、本当にそうなるとはなぁ」
「モテる男は辛いわね、霧都」
「私の中学時代の同級生が迷惑をかけてすみません……」
「別に永久が謝ることじゃないよ」
俺がそう言って彼女の頭を撫でてあげると、男二人は逆上して殴り掛かってきた。
「お、俺たちのアイドルに触るんじゃねぇよ!!」
「…………はぁ。デッドボールよりは痛くないとは思うから、我慢するかな」
俺は歯を食いしばって、二人の拳を顔で受け止める。
大して鍛えてない男二人の拳なんて、軟球のデッドボールより痛くない。
「霧都!!」
「だ、大丈夫ですか!!??」
心配する女子二人に俺は笑いかける。
「あぁ、心配しなくて平気だよ。こんなのは痛くもなんともないよ」
俺はそう言うと、スマホを取りだして男子生徒二人の写真を撮る。
「な、何写真なんか撮ってるんだよ!!」
「犯罪者の写真を残すのは基本だろ?」
「は、犯罪者だと……」
俺は冷めた口調で男二人にそう言ってやった。
「人を殴ったら傷害罪だよ。証拠も証人も揃ってる。お前達二人にはそれなりの処罰が待ってると思えよ?」
「お、お前が悪いんだろうが!!」
「散々こっちをバカにしやがって!!」
男二人がそう言うので、俺は凛音に視線を向ける。
すると、凛音はジャージの胸ポケットからボイスレコーダーを取り出す。
こいつはいつもこういうことに巻き込まれた時のために、ボイスレコーダーを持ってるんだよな。
「あんたらとの会話は全部このボイスレコーダーで録音してるわ。誰が悪かったのかは、第三者が決めることよ。まぁ、終始暴言を吐いていたのはあんた達だと私は思うけどね」
凛音がそう言うと、男二人は地面に膝を着いた。
「良くて停学。悪くて退学。去年、桐崎先輩に暴力を奮った生徒は停学になった。三年だったけどな。自分たちの行いがどれだけ重いことかを良く考えるんだな」
俺は男二人にそう言い残してその場を去った。
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