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第2章 後編
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ①
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第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ①
「おはよう、お兄ちゃん!!今日は体育祭だね!!」
「おはよう、美鈴。一年に一度の俺が活躍出来る日だよ」
早朝。洗面所で身だしなみを整えていると、後ろから美鈴がやって来た。
「あはは。お兄ちゃんは、地頭は悪くないから頑張れば勉強でも活躍出来ると思うけどね……」
「まぁ、努力すればそれなりだとは思ってるよ。じゃなきゃ今の高校には入れてないからな」
海皇高校はかなりの進学校だ。
凛音と同じ高校に行きたい。と言う理由だったが、ここに入るためにはかなりの努力をしたからな。
「お兄ちゃんが今の高校に入った理由はアレだけど、それが無かったら永久さんとも再会出来なかったからね。その点では凛音ちゃんは役に立ったと思ってるよ!!」
「あはは……まぁ、あれが無かったら今が無いからな」
なんて話をしながら、俺は身だしなみのチェックを終える。
体育祭の実行委員と生徒会を兼務している俺は、早朝からやることが多い。
昨日の生徒会室で、桐崎先輩から言われたことだ。
『去年の俺もそうだったが、生徒会と実行委員の兼務はなかなか大変だった。ある程度のことはこちらでもフォローはしていくつもりだが、無理はするなよ?』
『ありがとうございます。無理はしませんよ。桐崎先輩みたいに体育祭のクライマックスでぶっ倒れるとかしたくないんで』
『ははは。そんな軽口が叩けるなら安心だ。当日はお前には重要任務があるからそのつもりでいろよ?』
『……はぁ。わかりました。何を言われてもいいようにしておきますよ』
まずは生徒会として、体育祭全体の流れの確認。
何処に何があるかと、役員と生徒の時間ごとの動きを確認していく。
それが終わったら実行委員としての仕事。
マイクはきちんと入るかの確認。
グラウンドにゴミや石が無いかの確認。
白線がきちんと引かれているかの確認。
観覧者席のビニールテープは漏れなく張られているかの確認。
などがある。
基本的には確認業務だな。
始まってしまえばあとは流れに身を任せるだけで良いだろう。
桐崎先輩に何を振られるかはわからないが、当日の宣誓の挨拶とかかも知れないな。
「はい!!お兄ちゃん、お弁当だよ」
「ありがとう、美鈴。嬉しいよ」
俺は美鈴からお弁当を受け取ると、カバンの中にしまう。
「あとは、残ったご飯でおにぎりを握ったから、学校に着いたら食べてね」
そう言って美鈴はおにぎりを二つもくれた。
「中身は梅干しとシャケだよ」
「ありがとう、美味しく食べさせてもらうよ」
俺は美鈴からおにぎりを受け取ると、ポケットの中に入れる。
「じゃあ、そろそろ行ってくるよ」
俺はそう言って、カバンを手にして玄関へと向かう。
美鈴もそれに着いてきてくれる。
「行ってきます、美鈴。いっぱい活躍してくるから期待しててくれ」
「うん!!来年はお兄ちゃんの活躍を生で見られるようにするからね!!」
「あぁ。美鈴と一緒に海皇高校に通えることを、今から楽しみにしてるよ」
俺はそう言って運動靴を履いたあと、玄関の扉を開けて外に出る。
外は快晴。絶好の運動日和と言えた。
「よし、永久さんの待つ駅に行くとするか」
それはそう呟いたあと、自転車の鍵を外してそれに跨る。
凛音は実行委員としての仕事はあるが、生徒会役員では無いのでこの時間はまだ家だろう。
『あの一件』以降。学校では凛音と『幼馴染として』仲良くすることが増えた。
具体的に言えば、週に一回は凛音と『帰宅』することになった。
サドルが盗まれる事件は、結局あの日だけだった。
そうそう何度も起きてたまるか。とは思うけど。
永久さんもそれに関しては何も言ってこない。
あの公園で立てた『誓い』があるからだ。
それと、静流さんから言われたことは、俺の胸の中にしまってある。
あんな事、永久さんに言える訳が無い。
無用な波風は立てたくないからな。
そんなことを考えながら自転車を漕いでいると、永久さんとの待ち合わせの駅に辿り着く。
「おはようございます、霧都くん」
「おはよう、永久さん。ごめんね、待たせちゃったかな」
駅の前には通学用の自転車を準備している永久さんが、既に俺を待っていた。
「いえ、今来たばかりですので霧都くんが気にする程では無いですよ?」
「あはは。そうか、なら良かったよ」
俺はそう言って自転車を邪魔にならないところに停めたあと、彼女に歩み寄る。
永久さんも同じように自転車を停めたあと、俺の方へと歩いて来た。
そして、まだ誰も居ない早朝の駅前で俺と永久さんは抱擁をする。
「今日は……覚悟していてくださいね?」
「……なんか怖いことを言われてるよ。俺は何をされるのかな?」
借り物競争枠を永久さんが持ってる。
きっと、それが何かのトリガーになるのはわかってる。
去年の体育祭では、桐崎先輩が黒瀬先輩と藤崎先輩の二人と、グラウンドのど真ん中でキスをする。
なんて言うとんでもない事件を起こしたそうだけど……
なんて言うか……触発されてそうな気もするんだよな……
グラウンドのど真ん中で、永久さんからキスを求められる。
くらいの覚悟はしておこうかな。
「借り物競争では貴方を指名して連れて行きます。方法は黒瀬先輩から薫陶を受けております」
「そ、そうか……」
「霧都くんはそのつもりでいてくださいね?」
「わ、わかったよ……」
昏い瞳でそう言われた俺。この瞳をしてる永久さんには、逆らえない。
いつでも逆らえないけど……
「霧都くん。キスしてください」
「うん。喜んで」
彼女に求められて、俺は唇を重ね合う。
朝早い時間なので今日は誰も居ない。
だが、登校の前は必ずこうすることを彼女の方から言われている。
目撃者が多くいる中でキスをすることには、多少なりとも慣れてきてるようにも思える。
「大好きです。霧都くん」
「俺も大好きだよ。永久さん」
こうして始まった俺の一日。
今日は彼女の『本気』をたっぷりと味わうことになりました。
「おはよう、お兄ちゃん!!今日は体育祭だね!!」
「おはよう、美鈴。一年に一度の俺が活躍出来る日だよ」
早朝。洗面所で身だしなみを整えていると、後ろから美鈴がやって来た。
「あはは。お兄ちゃんは、地頭は悪くないから頑張れば勉強でも活躍出来ると思うけどね……」
「まぁ、努力すればそれなりだとは思ってるよ。じゃなきゃ今の高校には入れてないからな」
海皇高校はかなりの進学校だ。
凛音と同じ高校に行きたい。と言う理由だったが、ここに入るためにはかなりの努力をしたからな。
「お兄ちゃんが今の高校に入った理由はアレだけど、それが無かったら永久さんとも再会出来なかったからね。その点では凛音ちゃんは役に立ったと思ってるよ!!」
「あはは……まぁ、あれが無かったら今が無いからな」
なんて話をしながら、俺は身だしなみのチェックを終える。
体育祭の実行委員と生徒会を兼務している俺は、早朝からやることが多い。
昨日の生徒会室で、桐崎先輩から言われたことだ。
『去年の俺もそうだったが、生徒会と実行委員の兼務はなかなか大変だった。ある程度のことはこちらでもフォローはしていくつもりだが、無理はするなよ?』
『ありがとうございます。無理はしませんよ。桐崎先輩みたいに体育祭のクライマックスでぶっ倒れるとかしたくないんで』
『ははは。そんな軽口が叩けるなら安心だ。当日はお前には重要任務があるからそのつもりでいろよ?』
『……はぁ。わかりました。何を言われてもいいようにしておきますよ』
まずは生徒会として、体育祭全体の流れの確認。
何処に何があるかと、役員と生徒の時間ごとの動きを確認していく。
それが終わったら実行委員としての仕事。
マイクはきちんと入るかの確認。
グラウンドにゴミや石が無いかの確認。
白線がきちんと引かれているかの確認。
観覧者席のビニールテープは漏れなく張られているかの確認。
などがある。
基本的には確認業務だな。
始まってしまえばあとは流れに身を任せるだけで良いだろう。
桐崎先輩に何を振られるかはわからないが、当日の宣誓の挨拶とかかも知れないな。
「はい!!お兄ちゃん、お弁当だよ」
「ありがとう、美鈴。嬉しいよ」
俺は美鈴からお弁当を受け取ると、カバンの中にしまう。
「あとは、残ったご飯でおにぎりを握ったから、学校に着いたら食べてね」
そう言って美鈴はおにぎりを二つもくれた。
「中身は梅干しとシャケだよ」
「ありがとう、美味しく食べさせてもらうよ」
俺は美鈴からおにぎりを受け取ると、ポケットの中に入れる。
「じゃあ、そろそろ行ってくるよ」
俺はそう言って、カバンを手にして玄関へと向かう。
美鈴もそれに着いてきてくれる。
「行ってきます、美鈴。いっぱい活躍してくるから期待しててくれ」
「うん!!来年はお兄ちゃんの活躍を生で見られるようにするからね!!」
「あぁ。美鈴と一緒に海皇高校に通えることを、今から楽しみにしてるよ」
俺はそう言って運動靴を履いたあと、玄関の扉を開けて外に出る。
外は快晴。絶好の運動日和と言えた。
「よし、永久さんの待つ駅に行くとするか」
それはそう呟いたあと、自転車の鍵を外してそれに跨る。
凛音は実行委員としての仕事はあるが、生徒会役員では無いのでこの時間はまだ家だろう。
『あの一件』以降。学校では凛音と『幼馴染として』仲良くすることが増えた。
具体的に言えば、週に一回は凛音と『帰宅』することになった。
サドルが盗まれる事件は、結局あの日だけだった。
そうそう何度も起きてたまるか。とは思うけど。
永久さんもそれに関しては何も言ってこない。
あの公園で立てた『誓い』があるからだ。
それと、静流さんから言われたことは、俺の胸の中にしまってある。
あんな事、永久さんに言える訳が無い。
無用な波風は立てたくないからな。
そんなことを考えながら自転車を漕いでいると、永久さんとの待ち合わせの駅に辿り着く。
「おはようございます、霧都くん」
「おはよう、永久さん。ごめんね、待たせちゃったかな」
駅の前には通学用の自転車を準備している永久さんが、既に俺を待っていた。
「いえ、今来たばかりですので霧都くんが気にする程では無いですよ?」
「あはは。そうか、なら良かったよ」
俺はそう言って自転車を邪魔にならないところに停めたあと、彼女に歩み寄る。
永久さんも同じように自転車を停めたあと、俺の方へと歩いて来た。
そして、まだ誰も居ない早朝の駅前で俺と永久さんは抱擁をする。
「今日は……覚悟していてくださいね?」
「……なんか怖いことを言われてるよ。俺は何をされるのかな?」
借り物競争枠を永久さんが持ってる。
きっと、それが何かのトリガーになるのはわかってる。
去年の体育祭では、桐崎先輩が黒瀬先輩と藤崎先輩の二人と、グラウンドのど真ん中でキスをする。
なんて言うとんでもない事件を起こしたそうだけど……
なんて言うか……触発されてそうな気もするんだよな……
グラウンドのど真ん中で、永久さんからキスを求められる。
くらいの覚悟はしておこうかな。
「借り物競争では貴方を指名して連れて行きます。方法は黒瀬先輩から薫陶を受けております」
「そ、そうか……」
「霧都くんはそのつもりでいてくださいね?」
「わ、わかったよ……」
昏い瞳でそう言われた俺。この瞳をしてる永久さんには、逆らえない。
いつでも逆らえないけど……
「霧都くん。キスしてください」
「うん。喜んで」
彼女に求められて、俺は唇を重ね合う。
朝早い時間なので今日は誰も居ない。
だが、登校の前は必ずこうすることを彼女の方から言われている。
目撃者が多くいる中でキスをすることには、多少なりとも慣れてきてるようにも思える。
「大好きです。霧都くん」
「俺も大好きだよ。永久さん」
こうして始まった俺の一日。
今日は彼女の『本気』をたっぷりと味わうことになりました。
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