十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

文字の大きさ
上 下
119 / 164
第2章 後編

第三話 ~永久さんと彼女の両親が我が家にやって来ました。~

しおりを挟む
 第三話




 永久さんが来る。という事になり、俺は自室で身だしなみを整えてから居間へと降りる。

 いつも部屋着に使っている、中学時代のジャージでは流石に恥ずかしい。
 それなりに髪型に整え、まともな服装に着替えてから居間へと降りる。

 すると、既に居間では南野家の面々が桜井家に集まっていた。

「こんばんは、霧都くん。美香さんに誘われて来ちゃったわ」
「こんばんは、静流さん。いつもご馳走になってばかりなので、たまにはこうしてこちらからも呼ばせてもらいたいとは思ってましたよ」

「久しぶりですね、雅紀さん。明日は出勤ですか?」
「いえ、実は休みなんですよ」

「ほほぅ?では今日は久しぶりに飲みますか?」
「良いですね。お付き合いしますよ」

 親父二人はそんなことを話していた……

「永久さんの前でベロベロに酔った恥ずかしい姿なんか見せるなよ?」

 俺が呆れたような声でそう言うと、

「安心しろ。俺と雅紀さんが飲むのはお前らが寝たあとだからな」
「子供たちの前で酔った姿を見せるのはちょっと恥ずかしいからね」

 ……キャンプをしてた時は、ベロベロに酔ってましたよね、二人とも。

 なんて言葉は口にしないでおいた。

「こんばんは、霧都。さっきぶりね」
「おぅ、そうだな。悪ぃな、いきなりこんなことになって」

「いつもの事じゃない?別に構わないわよ。それに永久も来るって話じゃない。あっちの方がいきなりだったと思うわよ」
「まぁ、そうだな。てか、この場で喧嘩みたいなことはしないでくれよ?止める人間が居ないんだから」

 桐崎さんが居ないから、やり始めたら止まらなくなりそうだよ……

 そんな俺の気持ちを察してなのか、凛音は笑いながら答えた。

「私から何かを言うつもりは無いわよ。せっかくのお寿司が美味しくなくなっちゃうわ」
「そうか、なら良いけど」

 ピンポーン

 という音が居間に響いた。

「多分、永久さんだと思うんだ」

 俺がそう言って、インターホンの前にあるカメラに映った人物を確認しに行く。

 そこには、ピンク色のカーディガンに、白色のロングスカートを履いた美少女が、両親と一緒に立っていた。

「あら、両親も来てらっしゃるのね」
「車で来るって言ってたからな。挨拶くらいはしていくか?」
「そうだね。せっかく来てもらったんだ。こんな事ならもっと買っておけば良かったな」

 そんな会話をしながら、俺と両親は玄関へと向かう。

「じゃあ私は小皿とか箸とか用意してるね」

 美鈴はそう言って台所の方へと向かって行った。

「ありがとう、美鈴。よろしく頼むよ。南野家の皆さんは座って待っててください」

「ありがとう、霧都くん。では️お言葉に甘えるよ」
「ふふふ。優美さんにはよろしく言っておいてもらえるかしら?」

 静流さんは少しだけ妖艶な笑みを浮かべてそう言った。

 ……何故だろうか。二人の間で何かがあったような雰囲気を感じる。

 そんな会話を経て、俺たち三人は玄関へと辿り着き、扉を開ける。

「こんばんは、永久さん」
「こんばんは、霧都くん。お招きいただいてありがとうございます」

 姿を現した永久さんに、俺は笑顔で挨拶をする。

「こんばんは、北島永久さん。突然呼び立ててごめんなさいね」
 お袋がそう言って永久さんの前に出た。

「いえ、こちらとしてもいずれはご挨拶をと考えておりましたので、良い機会だと思いました」

 永久さんはそう言うと、一歩前に出て一礼した。

「桜井霧都くんと『結婚を前提に』お付き合いをしております。北島永久と申します。どうぞよろしくお願いします」

 結婚を前提に。という言葉を強く言っていたように思える。

「ふふふ。真剣に交際をしてくれて嬉しいわ。私は霧くんの母親の美香です。よろしくね」
「私は父親の大樹と言う。今日は気負わずに楽しんでくれ」
「はい。美香さんに大樹さん。お気遣いありがとうございます」

 永久さんはそう言った後に、後ろに控える両親を紹介した。

「こちらが私の両親です」

「桜井家の皆さんこんばんは。本日は永久をお招きいただいてありがとうございます。永久の母親の優美と申します」
「私は雄平です」

「優美さんに雄平さん。こちらこそ準備が足りずにお二人をお招き出来ずに申し訳ありません。後日。機会を設けたいと思いますので」
「ありがとうございます。それでしたら、是非とも我が家にいらしてください」
「もし良ければ、泊まりでも構いませんよ」

「あら、それは嬉しいです。息子の話ではとても立派なご自宅とお風呂だったと聞いてます」

「手前味噌ではありますが、お風呂には拘ってますので」

 …………あまり話し過ぎてもあれだよな。

 そう思った俺は、お互いの両親の話を止めに入った。

「その辺にしないか?俺は腹が減ってるんだけど」

 俺がそう言うと、お袋と優美さんが謝ってきた。

「あら、霧くんごめんね。話が弾みすぎちゃったわ」
「ふふふ。ごめんなさいね、霧都くん」

 俺はこのタイミングで、静流さんから頼まれていたことを伝えておいた。

「優美さんは静流さんと何かありましたか?静流さんからよろしく伝えておいてくれ。と言葉を預かってます」

 俺のその言葉に、優美さんが嗤った。

 …………なんだろう。最近こう言う嗤いかたをよく目にする気がする。

「そうね。どちらが霧都くんの母親になるかという話し合いをしていたわね」
「そ、そうですか……」

「だ、ダメよ!!霧くんの母親は私ですからね!!」

 お袋はそう言うと、俺の身体を抱きしめてきた。

「……辞めてくれよ。もういい歳なんだからさ」

 もう、そろそろ家に戻ろうぜ。

 腹減ってるのもあるけど、あまり居間で南野家を待たせるのも失礼だろ。

 俺はそう思いながら、いい歳こいて息子に抱きついてくる母親に辟易としていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

処理中です...