十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

文字の大きさ
上 下
107 / 164
第2章 前編

第二十六話 ~雅紀さんに自分の気持ちと覚悟を話しました~

しおりを挟む
 第二十六話




 食事を終えた俺は台所で洗い物の手伝いをした後に雅紀さんの部屋にやって来た。

 話す内容は、永久さんのこと。
 それはきっと雅紀さんもわかってるはずだ。

 静流さんが優美さんを訪ねている。という事は、雅紀さんも一緒に行っている可能性も高い。

 雄平さんとも話してることも頭に入れておこう。

 よし。行くぞ。

 コンコンと俺は部屋の扉をノックする。

 入りなさい。と中から声が聞こえてきた。

 俺は「失礼します」と言いながら扉を開ける。

 ガラスのテーブルを挟んで、椅子に座って雅紀さんが俺を待っていた。

「座りなさい」
「はい」

 俺は雅紀さんの対面の椅子に腰をかける。

「さて。まずは先に祝いの言葉を君に言わせてくれ。おめでとう、霧都くん。とても素敵な女性を彼女にしたようだね」
「はい。俺にはもったいないくらいの彼女です。彼女に釣り合う自分になるための努力が必要だと痛感する毎日です」

「北島永久さん。彼女の自宅に静流さんと一緒に挨拶に行ったよ。突然の来訪にも関わらず、私たちとも打ち解けてくれた。とても良いご両親だと思ったよ」

 やはり雅紀さんも会っていたんだな。
 予想はしてたのでそこまでの驚きは無い。

「はい。大切な一人娘の彼氏。という嫌われてもおかしくない立場ですが、自分のことも快く受け入れてくれました」
「小学生の時に、君がいじめから助けた娘だと聞いたね。私も『父親』として、君の行動を誇らしく思うよ」

『父親』の部分を強く言われたと感じた。

 雅紀さんの意図が掴めないが、とりあえずは祝福はしてくれているのだろうとは思う。

「人として当然の行動をしたまでです。ですが、以前自分も凛音に対して酷いことをしたと思っています。反省するべきだと感じています」
「ふむ。正直な話をすれば、以前の君がした行為よりも『今の現状の方が凛音には辛い状態』だと思うがね?」

 雅紀さんの鋭い視線が俺を突き刺す。

 …………そう来たか。

 きっと雅紀さんは言ってるんだ。

『最愛の娘の凛音を傷つけてでも、北島永久さんと一緒になる覚悟がお前にあるのか?』と。

 答えは……

「そうですね。凛音がもし俺に対して『異性としての好意』を持ってるのでしたら辛い状態かも知れません。ですが、自分はもう北島永久さんと共に歩くと決めた人間です。そこに関してはもう揺れません」
「…………そうか」

 雅紀さんはそう言うと『辞めたと言っていた』タバコを取り出した。

「……タバコは辞めたのでは?」
「吸いたくなる気持ちを理解して欲しいな」

 雅紀さんはそう言うと、タバコに火をつけて吸い込んだ。

 そして、むせることなく煙を吐き出した。

「……静流さんと凛音に隠れて吸ってましたね?」
「ははは……バレたか」

 雅紀さんは携帯灰皿に灰を落としながらそう言って苦笑いを浮かべた。

「君が凛音ではなく北島永久さんを選んだことに対して、私が何かを言うことはもう無い。君の覚悟はきちんと聞かせてもらったからね」
「……はい」

「あちらの両親とも話したよ。その……とても怖かったよ」
「こ、怖かった……?」

 雅紀さんは少しだけ遠くを見ながらその時のことを話してくれた。

「うちの静流さんとあちらのお母さん、優美さんがね。その……表面上は穏やかに話していたけど、水面下ではかなり火花を散らしてるのがわかったからね……」
「……そ、そうですか」

「私と雄平さんは遠巻きに見てることしか出来なかったよ……」

 雅紀さんがここまで言うとは、一体どんなやり取りが静流さんと優美さんの間であったのだろうか……

 興味はあるけど、首を突っ込むのも恐ろしい気はする。

「さて、霧都くん。君はこの後凛音に呼ばれていたね?」
「はい。そうですね。何を話されるのかは見当もつきませんが……」

 俺がそう言うと、雅紀さんが笑いながら言ってきた。

「うちの凛音は諦めの悪い女の子だ。君を北島永久さんに盗られたとかなり荒れて居たからね。覚悟をしておいた方がいいよ」
「まぁ……それはわかってますよ」

「それとは別に、うちの静流さんも君を諦めていない」
「……え?」

「静流さんは君以外の男を『息子』と呼ぶつもりは無い。そう言っていたよ」
「……そうですか」

「君と北島永久さんに対して何かをする。ということは無いと思うよ。でも凛音に何かしらのアドバイスをしたりとかはあるだろうね」
「あはは……凛音よりも静流さんの方が脅威ですね……」

「まぁ、私としても君から『お義父さん』と呼ばれることを諦めて無いからね」
「大変光栄な話ですが、その未来は諦めてください」

 俺はそう言って椅子から立ち上がる。

「では、失礼します」
「あぁ。またいつでも来なさい。お義父さんは諦めるけど、私と君は血の繋がった家族だからね」
「あはは。そうですね。では失礼します『お父さん』」

 俺はそう言って部屋を出た。

「さて、次は凛音の部屋だな」

 俺は二階にある凛音の部屋へ向かうため、階段を上っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

シスター☆クライシス【2】~完全無欠のS級美少女である妹は、実兄の俺のことが好きらしい。~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「妹を愛でてくれないお兄ちゃんはおかしいよ?」「お前が一番おかしいよ」 高校2年生の沢越彩華は、誰もが認める完璧な美少女。容姿端麗で成績優秀。運動神経も抜群。そんな三拍子も揃った上に、人当たりも良くて誰とだって仲良くなれる。そんな彼女にはある秘密がある。それは……。 登場人物 名前:沢越 冬也(さわごえ とうや) 年齢:18歳。高校3年生。 外見:身長185cm。黒髪のショートヘア―。切れ長の目をしたイケメン。 性格:真面目だけどどこかぶっきらぼうな性格。不器用なので想いが伝わりにくい。 趣味:部活でやっているバレーボール。それと昼寝。 名前:沢越 彩華 (さわごえ いろは) 年齢:17歳。高校2年生。 外見:容姿端麗の美少女。身長163cm。髪はセミロングの黒髪。 性格:周りに対しては社交的で明るい性格。誰とでも打ち解けられる完璧人間。 趣味:人間観察、料理

クラスの双子と家族になりました。~俺のタメにハーレム作るとか言ってるんだがどうすればいい?~

いーじーしっくす
恋愛
ハーレムなんて物語の中の事。自分なんかには関係ないと思っていた──。 橋本悠聖は普通のちょっとポジティブな陰キャ。彼女は欲しいけど自ら動くことはなかった。だがある日、一人の美少女からの告白で今まで自分が想定した人生とは大きくかわっていく事になった。 悠聖に告白してきた美少女である【中村雪花】。彼女がした告白は嘘のもので、父親の再婚を止めるために付き合っているフリをしているだけの約束…の、はずだった。だが、だんだん彼に心惹かれて付き合ってるフリだけじゃ我慢できなくなっていく。 互いに近づく二人の心の距離。更には過去に接点のあった雪花の双子の姉である【中村紗雪】の急接近。冷たかったハズの実の妹の【奈々】の危険な誘惑。幼い頃に結婚の約束をした従姉妹でもある【睦月】も強引に迫り、デパートで助けた銀髪の少女【エレナ】までもが好意を示し始める。 そんな彼女達の歪んだ共通点はただ1つ。 手段を問わず彼を幸せにすること。 その為だけに彼女達は周りの事など気にせずに自分の全てをかけてぶつかっていく! 選べなければ全員受け入れちゃえばいいじゃない! 真のハーレムストーリー開幕! この作品はカクヨム等でも公開しております。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。  後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。  しかし、そこに香奈が現れる。  成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……  オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕! ※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。 「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。 【今後の大まかな流れ】 第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。 第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません! 本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに! また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます! ※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。 少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

シスター☆クライシス~完全無欠のS級美少女である妹は、実兄の俺のことが好きらしい。~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「妹を好きにならないお兄ちゃんはおかしいよ?」「お前が一番おかしいよ」 高校2年生の沢越彩華は、誰もが認める完璧な美少女。容姿端麗で成績優秀。運動神経も抜群。そんな三拍子も揃った上に、人当たりも良くて誰とだって仲良くなれる。そんな彼女にはある秘密がある。それは……。 登場人物 名前:沢越 冬也(さわごえ とうや) 年齢:18歳。高校3年生。 外見:身長185cm。黒髪のショートヘア―。切れ長の目をしたイケメン。 性格:真面目だけどどこかぶっきらぼうな性格。不器用なので想いが伝わりにくい。 趣味:部活でやっているバレーボール。それと昼寝。 名前:沢越 彩華 (さわごえ いろは) 年齢:17歳。高校2年生。 外見:容姿端麗の美少女。身長163cm。髪はセミロングの黒髪。 性格:周りに対しては社交的で明るい性格。誰とでも打ち解けられる完璧人間。 趣味:人間観察、料理

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

幼馴染は何故か俺の顔を隠したがる

れおん
恋愛
世間一般に陰キャと呼ばれる主人公、齋藤晴翔こと高校2年生。幼馴染の西城香織とは十数年来の付き合いである。 そんな幼馴染は、昔から俺の顔をやたらと隠したがる。髪の毛は基本伸ばしたままにされ、四六時中一緒に居るせいで、友達もろくに居なかった。 一夫多妻が許されるこの世界で、徐々に晴翔の魅力に気づき始める周囲と、なんとか隠し通そうとする幼馴染の攻防が続いていく。

処理中です...