十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第2章 前編

第十六話 ~桐崎先輩から予算会議の告知放送を依頼されました~

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 第十六話




 早朝の公園で体育祭へ向けたトレーニングを行ったあと、制服へと着替えを済ませてから学校へと向かう。

 トレーニングをしていたので遅刻しました。

 では笑えないので、そこら辺の時間はきちんと考えている。

 SHRより少し早い時間に登校し、教室で少しのんびりとした時間を過ごしている時だった。

 ガラリ

 と教室の扉が開く。

 根岸先生は時間ちょうどに来る先生だ。
 この時間に来るのは珍しいな。

 なんて思いながら扉の方を見ると、

「おはよう、一年生の諸君!!生徒会長の桐崎悠斗だ。桜井霧都くんは出席してるかな?」

 桐崎先輩がうちのクラスにやって来ていた。

「あ、おにぃ。何しに来たの?」
「やぁ、雫。桜井くんに用があってね」

 なかなか辛辣な言い方だと思ったけど、桐崎先輩は妹さんからの言葉を笑って受け流す。

「はい。自分なら居ますよ」

 俺は席から立ち上がり、先輩の元へと向かう。

「おはよう、桜井くん。君に重要なことを依頼しようと思ってここに来たんだ」
「重要なこと……ですか?」

 俺がそう聞き返すと、先輩はニヤリと笑う。

 ……はぁ。この人がこの笑い方をする時は、ろくな事が無いんだ。

 そう思っていると、

「今日の放課後は予算会議がある。だが、それを知らない生徒も少なくない。去年から予算会議の当日は昼の放送を使って告知をするようにしている」
「……はい」

 読めてきたな……

「あはは。多分わかってるとは思うけど、その告知の放送を君にやってもらおうと思っている。桜井霧都が生徒会の庶務として活動している。それを全校生徒に知ってもらう為にも、この放送を君がやることには意義がある」
「それを当日に言うんですか?」

 俺が少しだけ非難の意志を込めて視線を送ると、

「生徒会の仕事は万全の状態で全ての事柄に臨める訳じゃない。高々予算会議の告知放送程度なら、朝言われて昼にやる。これくらいなら君には出来ると踏んでいるが?」

 安い挑発をされた。

「それは俺自身だけの力ではなく、妹さんや永久さんに助力を求めても構わない。そういうことでもありますよね?」
「もちろんだ。一年生全員で力を合わせてやってくれ」

 桐崎先輩はそう言うと背中を向けて手を振った。

「それじゃあ俺はいつもの丸テーブルで雫のお弁当を食いながら君たちの放送を楽しみにしているよ」

 そう言い残して、去っていった。


「……はぁ。という訳だからさ、力を貸して欲しいかな」
「あはは……おにぃも無茶ぶりするよね。まぁ、期待の裏返し。だとも言えるけど」
「それで、どうしますか?まずは放送のコンセプトから決めていこうかと思いますが」

 放送のコンセプト。ウケを狙いに行くか、真面目にやるか。だよな。

「個人的には真面目な放送に終始した方が良いと思ってる。あとは基本的に主体となって話す役割は俺に任せて欲しい」

「ウケ狙いの放送は滑った時が悲惨だからね。そもそも放送室からじゃ外の様子はわからないからね。真面目な放送をするのが無難だと思うよ」

 俺がそう言うと、二人は首を縦に振った。

「去年。おにぃが放送で告知した時も、真面目にやってたみたいだしね。その選択肢で間違ってないと思う」
「告知の内容はどうしますか?とりあえず本日の放課後に予算会議がある。あとは生徒会のホームページから、予算会議のオンライン配信を見れる。この二点は必須だと思います」

「あとは、毎月全校生徒から500円を徴収してるけど、これの運用を決めるのが予算会議だって事も伝えようと思う。部活をやってない生徒にも、収めたお金の使い道がしっかりと決められているかを知る義務はあるよね」
「去年からおにぃが予算決めに採用した『出来高制』と『部活動支援金制度』この二点の触りも説明した方がいいと思う」

 部活動支援金制度には助けられたんだよな。

「俺が生徒会の窓ガラスを割った時に、『桜井くん!!落ち込まずに頑張ってください』って支援金が先輩たちから入ってたんだよね」
「そうそう!!女性の先輩ウケが良いからね、桜井くんは」
「私も会計で計算をしてるので知ってますよ。霧都くんにいーーーーーっぱい。女性の先輩から支援が来てるのは」

 あはは……と、永久さんの目のハイライトが消えてる……

「桐崎さんや永久さんにも支援が来てるんだよね。その……まぁ支援は支援として受け取るけど、それ以上に何かを思ったりとかは無いからさ」
「あはは。そうだよね」
「ふふふ。そうですね。いただけるものはありがたく貰いますけど、私はもう霧都くんの女の子ですので」

 そして、そんな会話をしていると、SHRの時間が来たようだ。

 ガラリと教室の扉が開いて根岸先生が入ってくる。

「皆、おはよう。それではSHRを始める」


 先生のその言葉に、桐崎さんが号令をかける。

 それに従って、クラスの皆が一礼をした。


「さて、今日の連絡事項だが。生徒会が主催となって部活動の予算会議が放課後に行われる。昨年からこれはオンラインで動画の配信がされている。興味がある者は見てみるがいい」

 根岸先生からもその話がされた。もしかしたら、他のクラスでも同様のことがされてるかもしれない。

 となると、もう少し予算会議の中身に踏み込んだ内容で告知をしていった方が良いかもしれない。

「本日の連絡事項は以上だ。それでは一時間目が始まるまでは自由に過ごしなさい」

 根岸先生はそう言うと、教室から出て行った。

 それを見たあとに、俺は永久さんと桐崎さんに話をする。

「今の話を聞いた感じだと、昼の放送では予算会議の中身に少し踏み込んで話をした方が良いかもしれないね」
「そうだね。今日は予算会議がある。オンライン配信される。この二点は朝の段階で先生から話をされてる可能性が高いね」
「そうすると、出来高制と支援金。この二点の制度について詳しく話すということですかね」

「そうだね。じゃあ原稿の作成を桐崎さんにお願いしても良いかな?」
「OK!!」

 俺のお願いを桐崎さんは快諾してくれた。

「永久さんと俺は一時間目の休み時間に放送部の部長に挨拶に行こう」
「はい。放送の許可は降りてるとは思いますが、挨拶は必要ですよね」

「そう思ったんだ。以前、予算会議の告知の時に話をしたけど、人柄の良さそうな人だった。すんなり挨拶が出来ると思うんだ」

 そして、俺は二人に頭を下げる。

「協力してくれてありがとう。二人の力を無駄にしないように、しっかりと放送を頑張るよ」
「あはは。まぁ、支え合いってやつだよね!!」
「はい!!みんなで力を合わせて成功させましょう」

 俺たちはそう言うと、手を合わせて放送の成功を誓いあった。
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