十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

文字の大きさ
上 下
86 / 164
第2章 前編

第七話 ~流から恋愛相談を受けました~

しおりを挟む
 第七話




 夜。夕飯と風呂を終えた俺は自室へと戻って来ていた。

 父親と母親はまだ戻ってきていない。

 多分来週くらいになるだろう。ってメッセージが来ていた。まぁ、特に問題なく生活は出来るので、しっかりとした作品を世に出して欲しいとは思う。

 美鈴は自室に戻って勉強をしている。

 出来の悪い俺と違って、かなり優秀な美鈴。

 来年は海皇高校を受験する。と公言している。

『お兄ちゃんと同じ高校に行くのは当然だよ!!』

 と言っていた。美鈴の学力なら問題無く受験は成功すると思っている。

『待たせたな、流。いつでも電話して平気だぜ』

 俺はそうメッセージを送った。

 彼からの相談はいつもライジンのチャットで行っていた。
 こうしてリアルを通して友人……いや親友になれたので、電話でやり取りをすることになった。

『ありがとう、霧都。じゃあ今から電話するよ』

 と返信が来た。

 そして、すぐに俺のスマホが流からの着信を伝える。

 俺はすぐにそれに応えた。

『こんばんは。夜分にごめんね、霧都』
「気にすんなよ、流。親友だろ?」

 申し訳なさそうな声の流に、俺は笑いながらそう話した。

『あはは。そう言ってくれると助かるよ』
「それで、俺に相談したいことってなんだよ?」

 俺がそう話を切り出すと、流は少しだけ言いにくそうに話を始めた。

『そ、その……恋愛相談をしたいんだ』
「なるほどね。桐崎さんとどうしたら仲良くなれるか?って所かな」
『な、なんで相手がわかるのかな!?』

 動揺する流。もう答えを言ってるようなものじゃないか。

「いや、あの様子を見てわからないほど、俺はバカじゃないし……」
『そ、そんなにわかり易かったかな?』

「うん。俺も永久さんも見て一発でわかったよ」
『あはは……』

「それで?休日にショッピングモールで仲よくご飯を食べるくらいに仲良しの二人に、俺は何を助言すれば良いんだ?」
『そ、そこまで見ていたのかよ!?』

 驚く流に俺は笑いながら言う。

「その日にさ、俺も永久さんとショッピングモールでデートをしてたんだよ。たまたまご飯の時間が合ってたんだろうな。お前と桐崎さんの一幕は見てたよ」
『あはは……てことはさ、わかるだろ……』

 情けないところを見せてしまった。俺はもっと強くなりたい。力が欲しいんだ。

「厨二病はまだ卒業出来てない感じか?」
『あまりからかわないでくれないかな!!』

「あはは。ごめんごめん。どうしてもチャットの時の感覚が抜けなくてさ」
『その気持ちはわかるけどさ。俺も本気なんだ』

「内気な性格を治すために、体育祭の実行委員になったりもしてたな」
『そうなんだ。あとはさ、筋肉を付けて、舐められないようにしたい』

「なるほどね。確かに流はひょろっちいよな」
『返す言葉も無いよ……』

「恋愛相談の前にトレーニング方法とか聞きたい感じ?」
『そうだね。とりあえず君を目標に身体を鍛えたいと思ってるんだ』

「俺を目標に!?」
『うん。君は背も高いし、身体もしっかりしてる。俺の理想なんだよね』

「それは照れるな。でも……そうだな。俺を目指すって言うなら……一緒にトレーニングするか?」
『良いのかい!?』

「うん。俺もちょっと鍛え直そうかなって思ってたからね」

 武藤先輩にホームランを叩き込まれたのは悔しい。
 次は勝ちたいからな。

 もう少し自主トレの強度を上げていこうと思ってた。

「体育祭もあるからな。そうだ、永久さんや桐崎さんも誘って皆でトレーニングするか」

 凛音はバスケ部の朝練があるだろうからな。

『親睦を深めることも出来て、身体も鍛えられる。一石二鳥だね!!』
「あはは、だろう?」

 俺はちょっといい気分になりながらそう話した。

「あとはさ、流はもう少し飯を多く食べた方がいいぞ」
『ご飯を?それはなにか理由があるのか』

「筋肉をつけるにはまずは元になる『肉』が無いとつかないんだよ。しっかりと食べて身体に肉をつけていかないと、俺みたいにがっしりとした身体にはならない。『細マッチョ』を目指してるなら話は別だけどさ」
『体質的に肉が付きにくい部分はあるけど、そうだね。もっと沢山食べることにするよ』

「あとはさ、お兄さんから話を聞いた方が良いよ」
『明兄さんから?』

「そうそう。サッカー部のエースストライカーだろ?絶対自主トレはしてるはずだよ。自宅で出来るトレーニングは詳しいと思う。それに、兄弟仲は悪くないだろ?」
『あぁ。兄さんは俺が尊敬している人の筆頭だ』

「俺は妹が居るけど、下から頼られるとやっぱり嬉しいものだよ。コミュニケーションの一つとして話をするといいよ」
『わかった。ありがとう、霧都。参考になったよ』

「あはは。流の助けになれたのなら良かったよ」

 俺はそう言うと、時計を見た。

 時間は二十一時だった。

 うん。悪くない時間だな。

「よし、『スター』!!」
『OK『ブラザー』!!』

「『ライジンやろうぜ!!』」

 俺と流は電話を切ると、それから二時間ほどオンラインゲームをして遊んだ。


 永久さんに話をして、明日から早朝トレーニングをしないか?と聞いてみよう。

 場所は……あの公園にしようかな。

 四人が身体を動かすにはちょうど良いスペースだと思うし。

 そんなことを考えながらライジンをプレイしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

処理中です...