十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

文字の大きさ
上 下
76 / 164
第1章 後編

エピローグ ~凛音side~

しおりを挟む
 エピローグ ~凛音side~




 日曜日の夕方。私は散歩をしようと思ったわ。

 筋肉痛もかなり和らいできたし、少しは身体を動かした方が治りが早い。という話も聞いている。

 私は部屋着に着替えて、髪型を整えて、部屋を出る。

 居間にはお母さんが居たので、

「少し外を歩いてくるわ。そんなに遅くならないと思うわ」

 と言っておいた。

「変な人にあったら直ぐに逃げるのよ」
「ふん。返り討ちにしてやるわよ」

 なんてやり取りをして、私は外に出た。


 何処か行こうなんて、決めていなかった。
 ただ何となく歩いていると、ふと昔のことを思い出した。

 霧都と遊んだ公園。
 はしゃいだあいつが砂場でずっこけて、砂まみれになったのを覚えてる。
 そうね、とても間抜けな顔に、バカバカしくて……笑ってしまったのよ……

 その時思ったわ。
 この男の子と『家族』になりたいと。
 笑うことが出来なくなっていた私を、笑わせてくれた、この男の子と。

 そんなことを考えていると、自然とその公園へと足が向かっていた。

「……あれ?誰か居るのかしら」

 公園のベンチに、誰かが座っているのが見えたわ。
 それも二人……

「……え?霧都と……北島永久」

 段々とその姿が私の目にもはっきりと映る。
 あれは霧都と北島永久だわ!!

 あの二人、私と霧都の思い出の場所で一体何をしてるのよ!!??

 そう思い、私は公園の入り口へと走る。

 すると、

「……え、な、な、な、」

 何してるのよ!!!!!!!!!!

 霧都と北島永久は、私の目の前でキスをしていた!!!!

 ふ、ふざけんじゃないわよ!!
 私たちの思い出の場所を穢すんじゃないわよ!!

 驚きと憤怒の気持ちで二人を睨みつけると、北島永久が私の存在に気が付いたわ。

 そして、北島永久のその様子から霧都が私の方を振り向こうとしたわ。

 そうよ!!あいつが私の存在を知ればあんな行為は今すぐにでも辞めさせられる!!

 そう思う私の目の前で、あの女は、霧都に無理矢理キスをしたわ!!!!

 あ、あんの女!!舌を入れてる!!!!

 悔しい!!悔しい!!悔しい!!悔しい!!


 絶対に許さない!!

 私の目の前で霧都を相手にそんなことをするあの女が!!

 そして、いちばん許せないのは!!そんなことをさせてしまっている自分自身が!!

 そんな私を嘲笑うかのように、北島永久の目が嗤う。

『貴女に彼は渡さない』
『ここはもう貴女の場所じゃない』
『もう勝負は着きました。諦めてくださいね?』


 そんなあいつの声が聞こえてきた。

 まだよ!!まだ勝負はついてない!!
 私はまだ負けてない!!

 仮にあの二人が恋人同士になったとしても、結婚していないのなら『他人』よ!!

 そう思う私の頬を……涙が伝った……

「う、嘘でしょ……」

 私の目の前では、霧都と北島永久が……舌を絡めながら、キスをしてる。その音が私の頭に響く……


 やだ……やだ……やだ……やだやだやだぁ!!!!


 聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない!!!!!

 私はその場から逃げるように走り出した。

 私は頬に流れた涙を拭う。

 まだ終わってない!!まだチャンスは残ってる!!
 私は絶対に諦めない!!

 でも、どうしたらいい。
 ……わからない。
 どうしたらあの二人の間に割り込める!!??

 誰に助言を求めればいい!!??
 藤崎朱里?
 ダメよ!!あいつは『恋人』の立場の人間。
 私とは立場が違う。適切なことなんか言えないわ。

 だとしたら……


「黒瀬……詩織……」


 桐崎悠斗と藤崎朱里が恋人同士という状況下で『とても大切な女性』という唯一無二の立場を得た女。

 私よりスタートラインが後ろの中で、その立場を得た手腕は……役に立つんじゃないかしら……


『まぁあとは私よりも『横恋慕の達人』に心構えとか聞いてみたらどう?』

『詩織ちゃんには話をしておくわ』

『ばいばーい』

 藤崎朱里は、あの女に話をしておくと言っていたわ。


 私は直ぐにスマホで藤崎朱里に電話をしたわ。




 無限にも感じるような長さの呼び出し音を聞いていると、

『もしもし。藤崎朱里です。南野さんどうし……』
「藤崎先輩!!」

 私はようやく電話に出た藤崎朱里に叫ぶ。

「黒瀬詩織にアポイトメントを取ってちょうだい!!その人が指定する時間と場所に私が向かうわ!!」


 北島永久!!まだ戦い終わってない!!
 私はまだ諦めない!!

 勝ち誇ってるのは今のうちよ!!

 最後に勝つのはこの私!!南野凛音なんだから!!



 十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。


 第一章 後編


 ~完~


 第二章へ続く

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

シスター☆クライシス【2】~完全無欠のS級美少女である妹は、実兄の俺のことが好きらしい。~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「妹を愛でてくれないお兄ちゃんはおかしいよ?」「お前が一番おかしいよ」 高校2年生の沢越彩華は、誰もが認める完璧な美少女。容姿端麗で成績優秀。運動神経も抜群。そんな三拍子も揃った上に、人当たりも良くて誰とだって仲良くなれる。そんな彼女にはある秘密がある。それは……。 登場人物 名前:沢越 冬也(さわごえ とうや) 年齢:18歳。高校3年生。 外見:身長185cm。黒髪のショートヘア―。切れ長の目をしたイケメン。 性格:真面目だけどどこかぶっきらぼうな性格。不器用なので想いが伝わりにくい。 趣味:部活でやっているバレーボール。それと昼寝。 名前:沢越 彩華 (さわごえ いろは) 年齢:17歳。高校2年生。 外見:容姿端麗の美少女。身長163cm。髪はセミロングの黒髪。 性格:周りに対しては社交的で明るい性格。誰とでも打ち解けられる完璧人間。 趣味:人間観察、料理

不攻不落の凪紗先輩はクールドジかわいい

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
恋愛
 全国大会三連覇を成し遂げ、今は引退した女子テニス部のトップエース、速水凪紗(はやみなぎさ)は学園では孤高でクール、他者を寄せ付けない人として、『不攻不落の速水城塞』と呼ばれていた。  そんな大人物と自分が関わるはずもないと思っていた椥辻誠(なぎつじまこと)。  ある時友人の頼みで、隠れた穴場の喫茶店でアルバイトをすることになった誠だが、そこが凪紗が頻繁に通っている場所であったことから、不思議な交流が始まる。  しかし、孤高でクールな凪紗は、学園の外ではとんでもないドジっぷりで、色んな意味で目が離せない!?  これは女子力フルスペック男子と、クールドジ可愛い先輩との、奇跡的に焦れったいラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスの双子と家族になりました。~俺のタメにハーレム作るとか言ってるんだがどうすればいい?~

いーじーしっくす
恋愛
ハーレムなんて物語の中の事。自分なんかには関係ないと思っていた──。 橋本悠聖は普通のちょっとポジティブな陰キャ。彼女は欲しいけど自ら動くことはなかった。だがある日、一人の美少女からの告白で今まで自分が想定した人生とは大きくかわっていく事になった。 悠聖に告白してきた美少女である【中村雪花】。彼女がした告白は嘘のもので、父親の再婚を止めるために付き合っているフリをしているだけの約束…の、はずだった。だが、だんだん彼に心惹かれて付き合ってるフリだけじゃ我慢できなくなっていく。 互いに近づく二人の心の距離。更には過去に接点のあった雪花の双子の姉である【中村紗雪】の急接近。冷たかったハズの実の妹の【奈々】の危険な誘惑。幼い頃に結婚の約束をした従姉妹でもある【睦月】も強引に迫り、デパートで助けた銀髪の少女【エレナ】までもが好意を示し始める。 そんな彼女達の歪んだ共通点はただ1つ。 手段を問わず彼を幸せにすること。 その為だけに彼女達は周りの事など気にせずに自分の全てをかけてぶつかっていく! 選べなければ全員受け入れちゃえばいいじゃない! 真のハーレムストーリー開幕! この作品はカクヨム等でも公開しております。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。  後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。  しかし、そこに香奈が現れる。  成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……  オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕! ※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。 「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。 【今後の大まかな流れ】 第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。 第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません! 本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに! また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます! ※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。 少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※特別編8が完結しました!(2024.7.19)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

シスター☆クライシス~完全無欠のS級美少女である妹は、実兄の俺のことが好きらしい。~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「妹を好きにならないお兄ちゃんはおかしいよ?」「お前が一番おかしいよ」 高校2年生の沢越彩華は、誰もが認める完璧な美少女。容姿端麗で成績優秀。運動神経も抜群。そんな三拍子も揃った上に、人当たりも良くて誰とだって仲良くなれる。そんな彼女にはある秘密がある。それは……。 登場人物 名前:沢越 冬也(さわごえ とうや) 年齢:18歳。高校3年生。 外見:身長185cm。黒髪のショートヘア―。切れ長の目をしたイケメン。 性格:真面目だけどどこかぶっきらぼうな性格。不器用なので想いが伝わりにくい。 趣味:部活でやっているバレーボール。それと昼寝。 名前:沢越 彩華 (さわごえ いろは) 年齢:17歳。高校2年生。 外見:容姿端麗の美少女。身長163cm。髪はセミロングの黒髪。 性格:周りに対しては社交的で明るい性格。誰とでも打ち解けられる完璧人間。 趣味:人間観察、料理

処理中です...