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第1章 後編
第十話 ~彼女と過ごす一日目・彼女の両親からお泊まりの許可を貰えました~
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第十話
「永久さんのもう一日の宿泊を認めていただきたいと思います!!よろしくお願いします!!」
俺のその言葉に、雄平さんは少しだけ困ったように笑って言った。
「なるほどね、霧都くん。うん。君の気持ちは良く分かったよ。ただね……僕は少し困って……いや戸惑っているよ」
俺が顔を上げると、雄平さんは優美さんにも同意を求めていた。
「お母さんもそう思うよね?」
「そうね。私も少し驚いているわね。でも、霧都くんがここに来た理由を考えるなら……まぁね。永久はどう思ってるの?」
優美さんの言葉を受けて、永久さんが微笑みながら言う。
「私も少し驚きましたが、その時にはこれ以上の言葉をくれるという事なので、今からとても楽しみです」
な、何を話してるんだこの三人は……
「あ、あの……先程から会話の内容が理解出来ないのですが……俺が……あぁ、すみません。自分が何かしてしまいましたか?」
俺の言葉に、雄平さんは笑う。
「あはは。俺、で構わないよ。あとね、霧都くん。僕らは君のセリフの流れから『永久と結婚させてください』と言われるのかなと思っていたんだよ」
「うえええええ!!??」
い、いや!!結婚を前提に付き合う予定だけど、この場でその了承を貰いに来たのでは無い。
「あはは、いや、あのセリフの流れから『泊まりの許可』は少し予想外だったね」
「そうね。ただ、霧都くんはうちに永久がもう一日泊まる為の許可を貰いに来たのだから、確かにそうだと思ったわよね」
二人のその言葉に俺は少しだけ苦笑いを浮かべる。
「ふふふ。ですが、霧都くんが本当に『結婚の了承』を貰いに来た時は、今以上に心に響く言葉をくれると思うので、今から私は楽しみです」
隣の永久さんは俺を見て微笑んでいた。
俺は少しだけ気まずさを感じながらも話を進める。
「そ、その。永久さんがもう一日我が家に泊まる許可はいただけるのでしょうか?御二方を裏切るような行為はしないと約束するのは当然ですが」
俺のその言葉に、雄平さんが笑って答える。
「ダメだね」
「…………………………え?」
お、俺はなにか聞き間違えたか!?
この流れでダメ!?
嘘だろ!!
俺なんかやらかした!?
雄平さんの言葉に、隣の永久さんも目を見開いている。
優美さんを見ると、
「ふふふ。そう……そういう事なのね」
訳知り顔で微笑んでいた。
「え、えと……すみません。ダメということは、永久さんを我が家に泊めることは許さない。との事ですか?」
「そうだよ。霧都くん。そして君は今すぐ家に帰るんだ」
ええええええ!!!!???
ニコニコ笑いながら、雄平さんから家から出て行けと言われた!!??
「もう、お父さん。あまり意地悪をすると、霧都くんが可哀想よ」
と、優美さんが雄平さんを窘める。
「あはは。ごめんごめん。霧都くんの反応が面白くてね」
そう言って雄平さんは笑いながら謝る。
そして、俺に顔を向けて雄平さんが言う。
「霧都くん。今夜は君が我が家に泊まりなさい」
「はい!?」
「お父さん!?」
雄平さんの言葉に俺と永久さんが驚きの声を上げる。
「妹さんが心配なら一緒に連れて来ても構わない。永久を君の家に泊める許可は出来ないが、君を我が家に泊める許可は出してあげるよ?」
「あはは……そうですか……」
やられた。そうか、そういうことだったのか。
今すぐ家に帰れと言うのも『泊まりの準備をするため』に帰れって意味だったのか。
「雄平さん。意地悪過ぎます」
俺はそう言って、雄平さんを半眼で睨む。
この位は許されるだろう。
「あはは。ごめんごめん。君にしてやられた部分があったからね、少し意地悪しようと思ったんだ。それで、どうかな?」
「はい。両親は今夜も不在なので、家に美鈴を一人残すのは不安です。その点も配慮してもらえるのでしたら、断る理由がありません」
俺はそこまで言うと、雄平さんに頭を下げる。
「今晩はよろしくお願いします」
「うん。じゃあこれから永久を連れて行きたい所もあるんだろ?色々と支度をしてまたここに来なさい」
「美味しい夕飯も用意しておくわよ。今夜は永久が大好きな肉々しいハンバーグの予定よ」
「お、お母さん!!余計なことは言わないで!!」
マジか!!!!!
すげぇたのしみだ!!!!
「それじゃあ永久さん。ちょっと一緒に来て貰っても良いかな?」
「はい。お供します」
俺は椅子から立つと、二人に一礼する。
「美味しいお昼ご飯をご馳走様でした。また来ます」
「うん。待ってるよ、霧都くん」
「永久も気を付けてね」
「はーい」
俺たちはそんなやり取りをして、北島家を一旦後にした。
「それで、どこに行く予定ですか?」
家の外に出た永久さんが俺に問い掛けてくる。
「まずは俺の自宅の方に行く感じかな。そのあとはちょっとスーパーで買い物をしたいんだ」
「スーパーで買い物ですか?」
「うん。コンビニで買うより安いからね。飲み物とお菓子……チョコレートバー辺りを二十個くらい買おうと思ってる」
「に、二十個もですか!!??」
「うん。結構な金額だけど、お世話になってた所だし、お金を使う機会なんかあまり無いからね」
そんな話をして歩いていると、バス停へと辿り着く。
うん。この時間なら予約を入れてある時間に間に合うな。
「そ、その……そんなに沢山の買い物をして、何処に行くんですか?」
全然予想が出来ません……
そう言う永久さんに、俺は笑いながら言う。
「俺が一番お世話になった監督が居る、少年野球のチームが練習してるグラウンドだよ」
「永久さんのもう一日の宿泊を認めていただきたいと思います!!よろしくお願いします!!」
俺のその言葉に、雄平さんは少しだけ困ったように笑って言った。
「なるほどね、霧都くん。うん。君の気持ちは良く分かったよ。ただね……僕は少し困って……いや戸惑っているよ」
俺が顔を上げると、雄平さんは優美さんにも同意を求めていた。
「お母さんもそう思うよね?」
「そうね。私も少し驚いているわね。でも、霧都くんがここに来た理由を考えるなら……まぁね。永久はどう思ってるの?」
優美さんの言葉を受けて、永久さんが微笑みながら言う。
「私も少し驚きましたが、その時にはこれ以上の言葉をくれるという事なので、今からとても楽しみです」
な、何を話してるんだこの三人は……
「あ、あの……先程から会話の内容が理解出来ないのですが……俺が……あぁ、すみません。自分が何かしてしまいましたか?」
俺の言葉に、雄平さんは笑う。
「あはは。俺、で構わないよ。あとね、霧都くん。僕らは君のセリフの流れから『永久と結婚させてください』と言われるのかなと思っていたんだよ」
「うえええええ!!??」
い、いや!!結婚を前提に付き合う予定だけど、この場でその了承を貰いに来たのでは無い。
「あはは、いや、あのセリフの流れから『泊まりの許可』は少し予想外だったね」
「そうね。ただ、霧都くんはうちに永久がもう一日泊まる為の許可を貰いに来たのだから、確かにそうだと思ったわよね」
二人のその言葉に俺は少しだけ苦笑いを浮かべる。
「ふふふ。ですが、霧都くんが本当に『結婚の了承』を貰いに来た時は、今以上に心に響く言葉をくれると思うので、今から私は楽しみです」
隣の永久さんは俺を見て微笑んでいた。
俺は少しだけ気まずさを感じながらも話を進める。
「そ、その。永久さんがもう一日我が家に泊まる許可はいただけるのでしょうか?御二方を裏切るような行為はしないと約束するのは当然ですが」
俺のその言葉に、雄平さんが笑って答える。
「ダメだね」
「…………………………え?」
お、俺はなにか聞き間違えたか!?
この流れでダメ!?
嘘だろ!!
俺なんかやらかした!?
雄平さんの言葉に、隣の永久さんも目を見開いている。
優美さんを見ると、
「ふふふ。そう……そういう事なのね」
訳知り顔で微笑んでいた。
「え、えと……すみません。ダメということは、永久さんを我が家に泊めることは許さない。との事ですか?」
「そうだよ。霧都くん。そして君は今すぐ家に帰るんだ」
ええええええ!!!!???
ニコニコ笑いながら、雄平さんから家から出て行けと言われた!!??
「もう、お父さん。あまり意地悪をすると、霧都くんが可哀想よ」
と、優美さんが雄平さんを窘める。
「あはは。ごめんごめん。霧都くんの反応が面白くてね」
そう言って雄平さんは笑いながら謝る。
そして、俺に顔を向けて雄平さんが言う。
「霧都くん。今夜は君が我が家に泊まりなさい」
「はい!?」
「お父さん!?」
雄平さんの言葉に俺と永久さんが驚きの声を上げる。
「妹さんが心配なら一緒に連れて来ても構わない。永久を君の家に泊める許可は出来ないが、君を我が家に泊める許可は出してあげるよ?」
「あはは……そうですか……」
やられた。そうか、そういうことだったのか。
今すぐ家に帰れと言うのも『泊まりの準備をするため』に帰れって意味だったのか。
「雄平さん。意地悪過ぎます」
俺はそう言って、雄平さんを半眼で睨む。
この位は許されるだろう。
「あはは。ごめんごめん。君にしてやられた部分があったからね、少し意地悪しようと思ったんだ。それで、どうかな?」
「はい。両親は今夜も不在なので、家に美鈴を一人残すのは不安です。その点も配慮してもらえるのでしたら、断る理由がありません」
俺はそこまで言うと、雄平さんに頭を下げる。
「今晩はよろしくお願いします」
「うん。じゃあこれから永久を連れて行きたい所もあるんだろ?色々と支度をしてまたここに来なさい」
「美味しい夕飯も用意しておくわよ。今夜は永久が大好きな肉々しいハンバーグの予定よ」
「お、お母さん!!余計なことは言わないで!!」
マジか!!!!!
すげぇたのしみだ!!!!
「それじゃあ永久さん。ちょっと一緒に来て貰っても良いかな?」
「はい。お供します」
俺は椅子から立つと、二人に一礼する。
「美味しいお昼ご飯をご馳走様でした。また来ます」
「うん。待ってるよ、霧都くん」
「永久も気を付けてね」
「はーい」
俺たちはそんなやり取りをして、北島家を一旦後にした。
「それで、どこに行く予定ですか?」
家の外に出た永久さんが俺に問い掛けてくる。
「まずは俺の自宅の方に行く感じかな。そのあとはちょっとスーパーで買い物をしたいんだ」
「スーパーで買い物ですか?」
「うん。コンビニで買うより安いからね。飲み物とお菓子……チョコレートバー辺りを二十個くらい買おうと思ってる」
「に、二十個もですか!!??」
「うん。結構な金額だけど、お世話になってた所だし、お金を使う機会なんかあまり無いからね」
そんな話をして歩いていると、バス停へと辿り着く。
うん。この時間なら予約を入れてある時間に間に合うな。
「そ、その……そんなに沢山の買い物をして、何処に行くんですか?」
全然予想が出来ません……
そう言う永久さんに、俺は笑いながら言う。
「俺が一番お世話になった監督が居る、少年野球のチームが練習してるグラウンドだよ」
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