十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第1章 前編

~エピローグ~

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 エピローグ




「はぁ……なんか疲れちゃったわ。私、寝るわね」
「はぁ!?学校はどうするんだよ!!」

 布団を被り、寝ようと横になった凛音に俺は叫んだ。

「休むに決まってるじゃない」
「せ、成績に影響……」
「バカね。学年でもトップクラスのこの私が、高々一日程度休んだくらいで、成績に影響なんかないわ。それよりも大切なものがあるのよ」
「た、大切なもの?」

 俺が首を傾げると、凛音は深刻そうな声で言った。

「睡眠時間よ。アンタのせいで二日も削られてしまったわ。まだまだ成長期の私よ。そのためには寝ないといけないわ」

 これ以上、北島永久との差を広げられる訳には行かないわ。

「ま、まさかとは思うけど、お前はまだ『希望』を捨ててないのか?」

 俺のその言葉に、凛音は言う。

「当たり前じゃない!!藤崎朱里はあんなことを言っていたけど、私は絶対に認めないわ!!」
「諦めろよ!!もうお前の『おっぱい』はこれ以上育たねぇよ!!」

 布団を跳ね除けた凛音は俺を睨みつけてくる。

「し、失礼ね!!まだ私は高校一年生よ!!この三年は私にとっては成長期なのよ!!」
「中学の三年間でほとんど変わらなかったのに、高校の三年間で変わるわけないだろ!!諦めろよ!!」
「嫌よ!!せめて北島永久位は欲しいわね」
「高望みが過ぎるぞ……いや、でもあれは本当に良かったなぁ……」

 二回抱きしめられた時の、あの柔らかい感触が思い出される。

「……アンタ、まさか『感触』を思い出してるんじゃないでしょうね?」

「いやぁ、お前を何回も自転車の後ろに乗せたりしたこともあったけど、何も感じなかったんだよな。あれは……初めての感触だった」

「は、はぁ!?そんな事ないわよ!!しっかりとあるわよ!!『少しだけ』今は物足りないだけよ!!」
「ははは」

「笑うんじゃないわよ!!いいわ!!そこに立ちなさい!!」
「……何だよ?」

 俺は凛音に言われたように立ち上がると、彼女はベッドから起きて俺の前に立つ。

「さぁ、とくと味わいなさい!!」

 そう言って凛音は俺を抱きしめた。

 柔らか……くない!!
 痛い!!なんか骨っぽい!!
 お前もっと肉食えよ!!

「全然柔らかくない!!痛いくらいだよ!!お前に必要なのは睡眠時間じゃなくて、肉だよ!!」
「はぁ!?この美少女の抱擁をなんだと思ってるのよ!!」
「美少女?ははは」
「笑うんじゃないわよ!!」

 お前の顔なんか十年見てきたんだぞ?
 今更顔なんかでドキドキなんかしないよ。

「……はぁ、もういいわ」

 凛音はそう言うと、ベッドの中へと戻っていった。
 そして、布団を被り、

「寝るわ」

 そう言われると、なんだか俺も眠くなってきたな。

 欠伸が出てしまった。

「何よ、アンタも眠そうね」
「まぁな。寝てないのは俺も一緒だ」

 そんなことを言うと、凛音が被っていた布団を持ち上げて言ってきた。

「ほら、こっちに来れば?」
「はぁ!?何バカなこと言ってんだよ!!」

 その言葉に、凛音は呆れたように言う。

「何言ってんのよ。小学生の時はこのベッドで並んで寝てたこともあったじゃない?」
「小学生の時は!!今は俺たち高校生!!」

 かなり焦っている俺を見て、凛音がニタリと笑みを浮かべる。

「あら?霧都。私のことを『他人』だと言ったのに、この期に及んで『女』だと思ってくれてるのかしら?」
「はぁ!?」

 そんな俺の反応を楽しむかのように、凛音は言う。

「私は『アンタを男として見た事なんか一度も無い』わよ?」
「なぁ!!??」

 そ、そのセリフを今言うのか!!

「ほら、さっさと来なさいよ。寒いわ」
「……はぁ、わかったよ。北島永久さんならともかく、貧乳のお前と添い寝した所で俺の煩悩はピクリとも動かねぇよ」

 俺はそう言って、凛音の布団の中に入る。

 ………………。

 無理だろ!!なんかいい匂いするよ!!

 何かがガリガリ削られてる気がする!!

「あら?こんな所に抱き枕があるわね?」
「はぁ!?……っ!!」

 後ろから俺を抱きしめてくる凛音。
 さっきとは違い。なんかちょっと柔らかさを感じる。
 あ、こいつ足まで搦めてきてやがる!!

「おやすみなさい」

 そう言うと、凛音すぐにスヤスヤと寝息を起て始めた。

「……マジかよ……」

 そうだよ、こいつは添い寝をすると、めちゃくちゃ寝付きが良いんだよな……

「はぁ……俺も寝るか……」

 起きてるよりは、理性へのダメージが少ないだろ。

 俺はそう考えて、目を閉じた。





「霧都くんと凛音ちゃん……仲直り出来たかしら」


 アレだけ憔悴した凛音ちゃんを見たのは初めてだったわ。

 でも、やっぱりすぐに霧都くんは来てくれたわね。

 あの表情を見たら、安心したわ。

 でも、さっきまでは上でなにか言い争いをしてるような感じがしたわね……

「ちょっと様子を見てみましょうか……」

 私は凛音ちゃんの部屋の前に行って扉をノックする。

 コンコン

「凛音ちゃん?霧都くん?」

 中から反応が無かったわ。
 どうしたのかしら?

 さっきまではあんなに騒がしかったのに……

 私は興味本位で扉を開けてみた。

 すると中には……


「あらあら……」

 ベッドの上で身を寄せあって寝ている二人の姿があったわ。

 もう、まるで小学生に戻ったみたい。

 そうね、この様子を見たら『恋人』よりも『姉弟』よね。





「おやすみなさい。凛音ちゃん、霧都くん」




 私はそう言って、部屋の扉をパタリと閉めた。






 十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。


 第一章  前編  ~完~
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