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第1章 前編
凛音side ③ 後編
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凛音side ③ 後編
霧都と『恋人』になれば、法的に家族になれると、私は自信満々に霧都にその提案をしたわ。
アイツは泣いて喜ぶと思っていたわ!!
で、でも……アイツから言われた言葉はあまりにも予想外の言葉だったわ……
「もう俺には話しかけないでくれないか?」
「……え?」
『もう俺には話しかけないでくれないか?』
ど、どういう意味よ!!
もう一緒に登校しない。とか言うことと良い、ちょっと最近意味のわからない発言が多すぎよ!!
「お前が自分の間違いに気が付くまで話しかけんな」
は!?私の間違い!?私が何を間違えているって言うのよ!!
そんな私の感情を無視して、霧都は家へと帰ろうとしたわ!!に、逃がさないわよ!!
「ちょ……ちょっと待ちなさいよ!!」
だけど霧都はそんな私の声を無視して
バタン
と玄関の扉を閉めたわ……
な、何があったって言うのよ……
困惑する私を本気で拒絶するように、
ガチャリ
と玄関の扉の鍵まで閉まったわ……
少しの間、私は呆然としていたけど、スマホを握りしめてアイツに電話をしたわ!!
理由!!理由を話しなさい!!
でも、アイツの言葉はかなり『本気』だったみたいね……
『おかけになった電話番号への通話は、お繋ぎできません』
プツ……
ツーツーツー
「……は?」
ちゃ、着信拒否!!!???
な、なんてことしてくれてんのよ!!
私はすぐさまメッセージアプリを起動して、アイツにメッセージを送ったわ!!
『何着拒なんかしてくれてんのよ!!今すぐ解除しなさい!!』
でも、いつまで経っても既読がつかない。
メッセージアプリの通話機能を使ってみたけど……出ない。
まさか、ブロックされてる!?
な、なんで!!なんでこんなことになってるのよ!!
私は困惑する気持ちの中、こんな事態を巻き起こした張本人に電話をした。
連絡先聞いておいて正解だったわね!!
『はいもしもし。藤崎です。南野さんどうし……』
「ふ、藤崎朱里!!アンタのせいよ!!」
私は元凶の藤崎朱里に電話したわ。
先輩なんか付ける必要ないわ!!
『まったく。先輩をつけろー。てか、こうして電話してきたってことは、まさかとは思うけど、桜井くんに『恋人になれ』とか言ったりしたんでしょ?』
「い、言ったわ……だってアンタが言ったんじゃない!!家族になる為には恋人になればいいって!!せ、責任取りなさいよ!!」
『えぇ……てか普通に謝れば良いじゃん。ごめん。さっきのは無かったことにして。ってさ』
呑気にそんなことを言ってくる女に私は言い返したわ。
「そ、それが出来ないから責任取りなさいよって言ったのよ!!電話は着信拒否にされてるし、メッセージアプリはコレだとブロックされてるわよ!!連絡を取れないのよ!!家の前に居るけど鍵まで掛けられたわ!!なんなのよコレ!!どうしてこんなことになってるのよ!!」
『うわマジで?桜井くん激おこじゃん……あーあ。これはちょっと無理かもなぁ……』
「…………え」
む、無理って……どういうことよ……
『南野さん。今日はもうご飯食べてお風呂に入って寝なさい。寝れないかもしれないけどベッドには入りなさい』
諭すような言い方をする藤崎朱里。
『明日。朝一で桜井くんにごめんなさいしなさい。家は隣なんでしょ?強引にでも会う方法ならあるでしょ?』
「そ、そうね……」
今日みたいに頑張って早起きして家の前で待ってれば良いだけの話だわ。早起きは本当に辛いけど、仕方ないわね……
「で、でも……藤崎朱里」
『はぁ、先輩をつけろー。で、なに?』
ため息混じりの女に私は聞いたわ。
「……そもそも私は悪くないわ。一体何を謝ればいいかわからないわ」
『ねぇ、南野さん?』
とても穏やかな声で話しかけられ、逆に恐怖を覚えたわ……
「な、なによ……」
『相手が怒ってたら、自分の非がわからなかったとしても謝りなさい。そしたら『どうして怒ってるのか』を教えてくれるわよ』
そ、そうなのね……
「わ、わかったわ。とりあえず朝一で霧都に謝っておくわ」
『南野さん?くれぐれも『普通に』謝ってね?『不服だけど謝罪することにするわね!!』とか言ったらダメだからね?』
い、言うところだったわ!!
「わ、わかったわよ……」
『よし。なら仲直り出来るように頑張ってねー』
プツ
藤崎朱里との電話が終わったわ。
と、とりあえず。家に入りましょうか。
私は合鍵で玄関の扉を開けると、自分の家へと入る。
「おかえりー凛音ちゃん。今日は遅かったわねー。お母さん、心配しちゃったわよ」
と、私の『お母さん』が出迎えてくれた。
「ただいま。今日はちょっといろいろあって疲れたわ」
私はそう言うと、革靴を脱いで家に上がる。
「そうなのね。それと、昨日はごめんね。私もお父さんもお仕事が忙しくて帰るのが遅くなっちゃった」
「ふん。良いわよ、もう子供じゃないんだから。親の帰りで一喜一憂しないわ」
私がそう言うと、お母さんは笑いながら言った。
「そうよね。凛音ちゃんが一喜一憂するのはいつも霧都くんのことだけよね」
「……なっ!!??」
タイムリーな名前が出てきて私は言葉に詰まる。
「霧都くん用の麦茶が減ってたからね。昨日は来てくれてたんでしょ?うふふ。高校生になっても仲が良いみたいで安心したわ」
そんなことを言ってくるお母さんに、私は顔を歪めた。
「……え。凛音ちゃん。どうしたの?」
少しだけ訝しげな表情のお母さんに、
「いや、なんでもないわよ。お母さん、今日の夕飯はなに?私はお腹がすいたわ」
と隠すように言葉を返した。
「話しなさい」
「……え?」
気せずして、厳しい口調のお母さんに、私は少しだけ驚く、
「隠しきれると思ってるの?凛音ちゃんと暮らして、もう十年になるわね。そのくらいのことは見抜けるわよ」
「……お、お母さん」
「居間に来て、椅子に座って話しなさい」
私はそう言うお母さんの後を着いていく。
お父さんはまだ帰って来てはいなかった。
夕飯の準備はもう済んでいるんだろう。台所からカレーのいい匂いがしてきた。
そして、私は諦めたようにため息を吐いてお母さんに言ったわ。
「霧都と……喧嘩したわ」
「そう。でも、喧嘩なんていつもの事じゃない?」
私はその言葉に首を振る。
「理由がわからないのよ。私は悪くないわ」
私の言葉にお母さんは苦笑いを浮かべる。
「何言ってるのよ、凛音ちゃん。いつだってあなたたちの喧嘩は悪いのは凛音ちゃん。それでも霧都くんがごめんなさいってしてくれてたから上手くいってたのよ?」
「そ、そんなことを ……」
「あるの。それで、何で喧嘩したの?」
私はお母さんにその言葉に、心当たりを答えたわ。
「霧都に告白されたわ」
「……え?」
「恋人になってくれって言われたわ」
「まぁ!!やっぱりキチンと言葉にしてくれるのは霧都くんだと思ってたわ!!もちろん凛音ちゃんは、それを……」
「もちろん、突っぱねたわ」
「…………え?」
私のその言葉に、お母さんが呆然とした表情をしたわ。
何故かしら?
「り、凛音ちゃん。お母さん……良く聞こえなかったわ。その霧都くんに、恋人になってくれって告白されたのよね?」
「そうよ。そして私はそれを突っぱねたわ」
「な、なんでぇ!!!???」
お母さんは机を叩いて立ち上がって私を問いつめる。
「だ、だって、あなたたちは……」
「そう、家族よ」
「……え?」
なによ。お母さんまで変なことを言うつもり?
「幼稚園からずっと一緒に育ってきたわ。何をするのも一緒。お風呂だって一緒に入ったし、そんな霧都は私の血の繋がった家族よ。いまさら恋人なんて出来るわけないじゃない」
「り、凛音ちゃん。霧都くんは家族同然には育って来たけど『血は繋がってない』わよ」
…………。
お母さん……
お母さんにだけは……言われたくなかったわ……
「……なんで、なんで皆そう言うの……」
「……え?」
「なんで『血が繋がってない』なんて言うのよ!!私はお母さんにだけは言われたくなかった!!」
「り、凛音ちゃん!?」
驚くお母さんに私は続ける。
「あんな、私を産んだだけの女とは違う!!お母さんは私を大切に育ててくれた!!愛してくれた!!その過ごした時間は私にとって!!とてもとても大切な時間だった!!幸せな時間だった!!だから私は、お母さんのことを『血の繋がったお母さん』だと思ってる!!」
「……っ!!!!」
「そうして同じように育って来た霧都や美鈴は私にとっては、同じように『血の繋がった家族』よ!!私にとっては!!『血縁』なんかより!!何よりも大切なものなのよ!!」
「それをみんなして他人だなんだとか!!血が繋がってないから家族じゃないとか!!なんでそんな事言うのよ!!」
「ふざけんじゃないわよ!!私の『家族』を否定するなああああああああぁぁぁ!!!!!!」
「凛音ちゃん!!」
私は居間を飛び出して自室へと駆け込む。
バタン!!
と扉を締めると、ベッドに潜り込んで布団を被る。
もうヤダ!!なんでなの!!私は悪くない!!私は悪くない!!私は悪くない!!!!!!
悪いのはみんなだ!!私の『家族』を否定する全員だ!!
婚姻届?あんな紙切れが家族の証のはずがあるか!!
ふざけんじゃないわよ!!家族になる為に必要なのは時間よ!!大切な思い出よ!!愛してくれていると感じさせてくれる行為よ!!全部!!全部!!全部!!私の『お母さん』やお父さん。霧都や美鈴と育んできたものよ!!
私を産んだだけの女は『血の繋がった母親』や間違っても『家族』なんかじゃない!!
なんで!!なんで!!なんで!!みんなして私の『家族』を否定するんだ!!
許さない!!許さない!!許さない!!!!
私は!!私の『家族』を否定する奴を許さない!!!!!
……明日。朝一番で霧都に会いに行こう。
きっとアイツなら私の気持ちを理解してくれるはずよ。
今日はちょっとだけ、機嫌が悪そうだったからあぁなっただけよ……
だって……だって……アイツはいつだって私の隣に居てくれた……『大切な家族』なんだから……
霧都と『恋人』になれば、法的に家族になれると、私は自信満々に霧都にその提案をしたわ。
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で、でも……アイツから言われた言葉はあまりにも予想外の言葉だったわ……
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「……え?」
『もう俺には話しかけないでくれないか?』
ど、どういう意味よ!!
もう一緒に登校しない。とか言うことと良い、ちょっと最近意味のわからない発言が多すぎよ!!
「お前が自分の間違いに気が付くまで話しかけんな」
は!?私の間違い!?私が何を間違えているって言うのよ!!
そんな私の感情を無視して、霧都は家へと帰ろうとしたわ!!に、逃がさないわよ!!
「ちょ……ちょっと待ちなさいよ!!」
だけど霧都はそんな私の声を無視して
バタン
と玄関の扉を閉めたわ……
な、何があったって言うのよ……
困惑する私を本気で拒絶するように、
ガチャリ
と玄関の扉の鍵まで閉まったわ……
少しの間、私は呆然としていたけど、スマホを握りしめてアイツに電話をしたわ!!
理由!!理由を話しなさい!!
でも、アイツの言葉はかなり『本気』だったみたいね……
『おかけになった電話番号への通話は、お繋ぎできません』
プツ……
ツーツーツー
「……は?」
ちゃ、着信拒否!!!???
な、なんてことしてくれてんのよ!!
私はすぐさまメッセージアプリを起動して、アイツにメッセージを送ったわ!!
『何着拒なんかしてくれてんのよ!!今すぐ解除しなさい!!』
でも、いつまで経っても既読がつかない。
メッセージアプリの通話機能を使ってみたけど……出ない。
まさか、ブロックされてる!?
な、なんで!!なんでこんなことになってるのよ!!
私は困惑する気持ちの中、こんな事態を巻き起こした張本人に電話をした。
連絡先聞いておいて正解だったわね!!
『はいもしもし。藤崎です。南野さんどうし……』
「ふ、藤崎朱里!!アンタのせいよ!!」
私は元凶の藤崎朱里に電話したわ。
先輩なんか付ける必要ないわ!!
『まったく。先輩をつけろー。てか、こうして電話してきたってことは、まさかとは思うけど、桜井くんに『恋人になれ』とか言ったりしたんでしょ?』
「い、言ったわ……だってアンタが言ったんじゃない!!家族になる為には恋人になればいいって!!せ、責任取りなさいよ!!」
『えぇ……てか普通に謝れば良いじゃん。ごめん。さっきのは無かったことにして。ってさ』
呑気にそんなことを言ってくる女に私は言い返したわ。
「そ、それが出来ないから責任取りなさいよって言ったのよ!!電話は着信拒否にされてるし、メッセージアプリはコレだとブロックされてるわよ!!連絡を取れないのよ!!家の前に居るけど鍵まで掛けられたわ!!なんなのよコレ!!どうしてこんなことになってるのよ!!」
『うわマジで?桜井くん激おこじゃん……あーあ。これはちょっと無理かもなぁ……』
「…………え」
む、無理って……どういうことよ……
『南野さん。今日はもうご飯食べてお風呂に入って寝なさい。寝れないかもしれないけどベッドには入りなさい』
諭すような言い方をする藤崎朱里。
『明日。朝一で桜井くんにごめんなさいしなさい。家は隣なんでしょ?強引にでも会う方法ならあるでしょ?』
「そ、そうね……」
今日みたいに頑張って早起きして家の前で待ってれば良いだけの話だわ。早起きは本当に辛いけど、仕方ないわね……
「で、でも……藤崎朱里」
『はぁ、先輩をつけろー。で、なに?』
ため息混じりの女に私は聞いたわ。
「……そもそも私は悪くないわ。一体何を謝ればいいかわからないわ」
『ねぇ、南野さん?』
とても穏やかな声で話しかけられ、逆に恐怖を覚えたわ……
「な、なによ……」
『相手が怒ってたら、自分の非がわからなかったとしても謝りなさい。そしたら『どうして怒ってるのか』を教えてくれるわよ』
そ、そうなのね……
「わ、わかったわ。とりあえず朝一で霧都に謝っておくわ」
『南野さん?くれぐれも『普通に』謝ってね?『不服だけど謝罪することにするわね!!』とか言ったらダメだからね?』
い、言うところだったわ!!
「わ、わかったわよ……」
『よし。なら仲直り出来るように頑張ってねー』
プツ
藤崎朱里との電話が終わったわ。
と、とりあえず。家に入りましょうか。
私は合鍵で玄関の扉を開けると、自分の家へと入る。
「おかえりー凛音ちゃん。今日は遅かったわねー。お母さん、心配しちゃったわよ」
と、私の『お母さん』が出迎えてくれた。
「ただいま。今日はちょっといろいろあって疲れたわ」
私はそう言うと、革靴を脱いで家に上がる。
「そうなのね。それと、昨日はごめんね。私もお父さんもお仕事が忙しくて帰るのが遅くなっちゃった」
「ふん。良いわよ、もう子供じゃないんだから。親の帰りで一喜一憂しないわ」
私がそう言うと、お母さんは笑いながら言った。
「そうよね。凛音ちゃんが一喜一憂するのはいつも霧都くんのことだけよね」
「……なっ!!??」
タイムリーな名前が出てきて私は言葉に詰まる。
「霧都くん用の麦茶が減ってたからね。昨日は来てくれてたんでしょ?うふふ。高校生になっても仲が良いみたいで安心したわ」
そんなことを言ってくるお母さんに、私は顔を歪めた。
「……え。凛音ちゃん。どうしたの?」
少しだけ訝しげな表情のお母さんに、
「いや、なんでもないわよ。お母さん、今日の夕飯はなに?私はお腹がすいたわ」
と隠すように言葉を返した。
「話しなさい」
「……え?」
気せずして、厳しい口調のお母さんに、私は少しだけ驚く、
「隠しきれると思ってるの?凛音ちゃんと暮らして、もう十年になるわね。そのくらいのことは見抜けるわよ」
「……お、お母さん」
「居間に来て、椅子に座って話しなさい」
私はそう言うお母さんの後を着いていく。
お父さんはまだ帰って来てはいなかった。
夕飯の準備はもう済んでいるんだろう。台所からカレーのいい匂いがしてきた。
そして、私は諦めたようにため息を吐いてお母さんに言ったわ。
「霧都と……喧嘩したわ」
「そう。でも、喧嘩なんていつもの事じゃない?」
私はその言葉に首を振る。
「理由がわからないのよ。私は悪くないわ」
私の言葉にお母さんは苦笑いを浮かべる。
「何言ってるのよ、凛音ちゃん。いつだってあなたたちの喧嘩は悪いのは凛音ちゃん。それでも霧都くんがごめんなさいってしてくれてたから上手くいってたのよ?」
「そ、そんなことを ……」
「あるの。それで、何で喧嘩したの?」
私はお母さんにその言葉に、心当たりを答えたわ。
「霧都に告白されたわ」
「……え?」
「恋人になってくれって言われたわ」
「まぁ!!やっぱりキチンと言葉にしてくれるのは霧都くんだと思ってたわ!!もちろん凛音ちゃんは、それを……」
「もちろん、突っぱねたわ」
「…………え?」
私のその言葉に、お母さんが呆然とした表情をしたわ。
何故かしら?
「り、凛音ちゃん。お母さん……良く聞こえなかったわ。その霧都くんに、恋人になってくれって告白されたのよね?」
「そうよ。そして私はそれを突っぱねたわ」
「な、なんでぇ!!!???」
お母さんは机を叩いて立ち上がって私を問いつめる。
「だ、だって、あなたたちは……」
「そう、家族よ」
「……え?」
なによ。お母さんまで変なことを言うつもり?
「幼稚園からずっと一緒に育ってきたわ。何をするのも一緒。お風呂だって一緒に入ったし、そんな霧都は私の血の繋がった家族よ。いまさら恋人なんて出来るわけないじゃない」
「り、凛音ちゃん。霧都くんは家族同然には育って来たけど『血は繋がってない』わよ」
…………。
お母さん……
お母さんにだけは……言われたくなかったわ……
「……なんで、なんで皆そう言うの……」
「……え?」
「なんで『血が繋がってない』なんて言うのよ!!私はお母さんにだけは言われたくなかった!!」
「り、凛音ちゃん!?」
驚くお母さんに私は続ける。
「あんな、私を産んだだけの女とは違う!!お母さんは私を大切に育ててくれた!!愛してくれた!!その過ごした時間は私にとって!!とてもとても大切な時間だった!!幸せな時間だった!!だから私は、お母さんのことを『血の繋がったお母さん』だと思ってる!!」
「……っ!!!!」
「そうして同じように育って来た霧都や美鈴は私にとっては、同じように『血の繋がった家族』よ!!私にとっては!!『血縁』なんかより!!何よりも大切なものなのよ!!」
「それをみんなして他人だなんだとか!!血が繋がってないから家族じゃないとか!!なんでそんな事言うのよ!!」
「ふざけんじゃないわよ!!私の『家族』を否定するなああああああああぁぁぁ!!!!!!」
「凛音ちゃん!!」
私は居間を飛び出して自室へと駆け込む。
バタン!!
と扉を締めると、ベッドに潜り込んで布団を被る。
もうヤダ!!なんでなの!!私は悪くない!!私は悪くない!!私は悪くない!!!!!!
悪いのはみんなだ!!私の『家族』を否定する全員だ!!
婚姻届?あんな紙切れが家族の証のはずがあるか!!
ふざけんじゃないわよ!!家族になる為に必要なのは時間よ!!大切な思い出よ!!愛してくれていると感じさせてくれる行為よ!!全部!!全部!!全部!!私の『お母さん』やお父さん。霧都や美鈴と育んできたものよ!!
私を産んだだけの女は『血の繋がった母親』や間違っても『家族』なんかじゃない!!
なんで!!なんで!!なんで!!みんなして私の『家族』を否定するんだ!!
許さない!!許さない!!許さない!!!!
私は!!私の『家族』を否定する奴を許さない!!!!!
……明日。朝一番で霧都に会いに行こう。
きっとアイツなら私の気持ちを理解してくれるはずよ。
今日はちょっとだけ、機嫌が悪そうだったからあぁなっただけよ……
だって……だって……アイツはいつだって私の隣に居てくれた……『大切な家族』なんだから……
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