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第1章 前編
第七話 ~親睦を深める為に皆で食事をしに行きました~
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第七話
「それでは本日のLHRはここまでだ」
全員の自己紹介が終わると、根岸先生はそう言ってLHRを締めた。
「明日から授業が始まるが、春休みに出した課題の回収をその時にする。忘れないように。そして、最初の授業ではその課題の中から『ある程度』選別した問題を使用したテストを行う」
根岸先生はそう言うと、ニヤリと笑う。
「そのテストの点数は前期の成績に影響するものだから、真剣に取り組むように。また、私の出す数学のテストでは、基本的には『答え』だけを書いてもバツとする。課題の答えだけを写す人間が毎年少なからずいるからな。キチンと途中式を書くように」
ぐへぇ……マジか……
ぶっちゃけ、先生の言うように凛音に頭を下げて答えを写してたからなぁ……
「だだし、北島永久、桐崎雫、南野凛音。この三名は答えだけでも可。とする。君たちはしっかりと自力で課題をこなしたとわかっているからな」
依怙贔屓(えこひいき)だ!!と言う声は出なかった。
学年の一位から三位までの人にそんなことを言う奴は居ないだろ……
「では、今日はここまでだ。寄り道をするな。とは言わない。親睦を深めるのも構わない。だが、今日から君たちは海皇高校生だ。節度を持った行動をするように」
先生の言葉に皆は首を縦に振った。
「それでは解散。気を付けて帰宅しなさい」
根岸先生はそう言うと教室を後にした。
そして、その後を追うように、素早く星くんが教室から出て行った。
……え、早っ!!
「あはは……まさかあそこまでとは思わなかったね」
と、桐崎さんが少しだけ苦笑いをしていた。
そして、彼女は俺と北島さんに向けて提案をする。
「ねぇねぇ、二人はこの後暇?」
良かったらご飯でも食べ行かない?
その提案に俺は、
「うん。俺は特に予定も無いし大丈夫だよ」
と了承する。
「はい。私も特に予定も無いので大丈夫です」
北島さんもそれに続いた。
「私もそこに混ざらせて貰おうかしら?」
後ろから凛音がそう言って会話に入ってくる。
その言葉に、桐崎さんは笑顔を浮かべる。
「凛音ちゃんも誘おうと思ってたから、そう言ってくれるなら嬉しいな!!」
しれっと凛音を名前とちゃん付けで呼んでる桐崎さん。
本当に彼女は人と仲良くなるのが上手いというかなんと言うか……
て、ていうか……お、女の子三人に男一人か……
なんて言うかハーレムラノベの主人公みたいだなと思ってしまう。……まぁ、物語の初っ端からメインヒロインに振られるとかハーレムのはの字も無いだろうけど。
「で、どこで食べる?定番ならサイセリアだと思うけど」
俺はそう言って三人に提案する。
「霧都にしては悪くない提案だと思うわ。スタバでも良いかなと思ったけど、そこだとお腹が膨らまないもの。私はお腹がすいたわ」
「そうだね、それに値段的にも悪くないよね。まぁ、他の人も集まりそうだから早めに行った方が良いかも?ってのはあるね」
「はい。ではサイセリアに向かいましょう。自転車でみんな来ていると思うので、駅前なら二十分くらいで行けると思います」
食事処を決めた俺たちは、自転車で庶民の味方、サイセリアへと向かった。
自転車を走らせること二十分。
駅前に立つイタリアンレストラン サイセリアに到着した。
俺はいち早く自転車から降りると、店の扉の前に立つ。
そして、三人が来た時に扉を開ける。
「おおー桜井くん。君は出来る男だね?」
なんて言う桐崎さん。
「いや、これくらい普通だろ」
「そうね、私が仕込んだもの」
と、凛音が薄い胸を張る。
そして、桐崎さんと凛音が入店し、最後に北島さんが店に入る。その時に、
「……二人でどこかに行ったりとかあるんですか?」
北島さんが少しだけ表情を曇らせながら耳元でこっそりと聞いてきたので、
「まぁ、幼稚園からの『幼馴染』だからね。文房具を買いに行ったりとかはあったよ。その時に外で飯食ったりとかは普通にあったかな」
と答えた。
デートと呼べるようなものでは残念ながら無かったよな……
少しすると、店員さんが来たので
「四名です。禁煙席で空いてるところはありますか?」
と聞くと
「はい。大丈夫ですよ。すぐにご案内します」
店員さんはそう言って席へと案内してくれた。
「待たなくて済んで良かったね。行こうか」
俺はそうみんなに声を掛ける。
「桜井くんて凄いんですね」
「それもこれも凛音ちゃんの教育なのかなー」
「まあ、このくらい出来ないと男としては不合格でしょ」
……まぁ、貶されるよりは褒められる方が良いとは思うけど。
そんな話をしながら、案内された席に座る。
俺の隣には『当然のような顔をして』凛音が座った。
……なんで?
疑問には思ったが、俺はメニューを取り出して、開いて見せる。
備え付けられた紙とペンを取って注文を書く準備をする。
「長居する?」
と俺は先に聞いておく。
「そうだねー親睦を深めようと思うからね。食べたらさっさと帰る。とかないかな?」
「はい。私も多少なら遅くなっても平気です」
「私も平気よ」
俺はそれを聞いて、
「じゃあドリンクバーを四つと大盛りのポテトフライは二つ。これは先に書いておくね」
紙にドリンクバーの番号とポテトフライの番号と数を記入する。
「決まったら教えてくれれば俺の方で書いていくよ。俺が食べるのはもう決まってるから、のんびり決めてくれればいいよ」
俺はそう言うと、席から立つ。
「その間に水持ってくるね」
凛音が軽く席から離れて俺が通る道を開ける。
俺は人数分の水を取りにドリンクバーの横に向かう。
四人のコップとそれを載せる皿を用意した所で凛音が隣に居た。
「アンタは鈍臭い所があるから零さないように半分持つわよ」
「あはは。ありがとう、凛音」
そんなやり取りをして、二人で二個づつ水を注いだコップを持って帰った。
「お待たせ」
俺は自分が持っていた二つを桐崎さんと北島さんに渡す。
「ありがとうね」
「ありがとうございます」
俺は椅子の奥へと移動して、凛音のスペースを作る。
「はい。アンタはあまり冷たいのが得意じゃないでしょ。氷は無しにしてるわよ」
「ごめんね、助かるよ凛音」
と、俺は氷無しの水を飲む。
少しだけ知覚過敏な所があるから、冷たい飲み物とかアイスとかちょっとだけ苦手なのを、幼馴染だから知っている。
「……幼稚園からの幼馴染はやはり強敵です」
北島さんが何かを呟いたような気がしたけど……聞こえなかった。ほんと、最近女の子の言葉の聞き漏らしが増えて来たんじゃないか?と思ってる……
そして、少しすると全員の注文が確定したので、俺は店員さんを呼ぶことにする。
リーン
とベルが鳴ると、店員さんがやってくる。
「お願いします」
と俺は注文の紙を渡すと、店員さんは注文の内容を確認する。
俺はそれに間違いがないことを確認し、
「はい。大丈夫です」
その後で一つだけ店員さんにお願いをした。
「あと、すみません。大盛りのポテトフライは食事が終わったタイミングでお願いします」
「はい。かしこまりました。必要な時はお声掛け頂ければ出来たてでお持ちします」
「ありがとうございます」
俺はお礼をして、去っていく店員さんを見ていたら、桐崎さんが言う。
「100点だね」
「はい?」
首を傾げる俺に桐崎さんが笑う。
「桜井くんのここまでの対応は100点です。いやーこれほどまで出来る男だとは思わなかったよ」
「あはは……お褒めいただいて光栄だよ」
「いや、でも本当に桜井くんの対応は紳士的でした」
「まぁ、私の教育の賜物ね。中学の最初の頃なんか酷いもんだったわよ」
……教育?あれは折檻の間違いでは?
なんてことを思いながら、俺は昔のことを思い出して少しだけため息を吐いた。
「それでは本日のLHRはここまでだ」
全員の自己紹介が終わると、根岸先生はそう言ってLHRを締めた。
「明日から授業が始まるが、春休みに出した課題の回収をその時にする。忘れないように。そして、最初の授業ではその課題の中から『ある程度』選別した問題を使用したテストを行う」
根岸先生はそう言うと、ニヤリと笑う。
「そのテストの点数は前期の成績に影響するものだから、真剣に取り組むように。また、私の出す数学のテストでは、基本的には『答え』だけを書いてもバツとする。課題の答えだけを写す人間が毎年少なからずいるからな。キチンと途中式を書くように」
ぐへぇ……マジか……
ぶっちゃけ、先生の言うように凛音に頭を下げて答えを写してたからなぁ……
「だだし、北島永久、桐崎雫、南野凛音。この三名は答えだけでも可。とする。君たちはしっかりと自力で課題をこなしたとわかっているからな」
依怙贔屓(えこひいき)だ!!と言う声は出なかった。
学年の一位から三位までの人にそんなことを言う奴は居ないだろ……
「では、今日はここまでだ。寄り道をするな。とは言わない。親睦を深めるのも構わない。だが、今日から君たちは海皇高校生だ。節度を持った行動をするように」
先生の言葉に皆は首を縦に振った。
「それでは解散。気を付けて帰宅しなさい」
根岸先生はそう言うと教室を後にした。
そして、その後を追うように、素早く星くんが教室から出て行った。
……え、早っ!!
「あはは……まさかあそこまでとは思わなかったね」
と、桐崎さんが少しだけ苦笑いをしていた。
そして、彼女は俺と北島さんに向けて提案をする。
「ねぇねぇ、二人はこの後暇?」
良かったらご飯でも食べ行かない?
その提案に俺は、
「うん。俺は特に予定も無いし大丈夫だよ」
と了承する。
「はい。私も特に予定も無いので大丈夫です」
北島さんもそれに続いた。
「私もそこに混ざらせて貰おうかしら?」
後ろから凛音がそう言って会話に入ってくる。
その言葉に、桐崎さんは笑顔を浮かべる。
「凛音ちゃんも誘おうと思ってたから、そう言ってくれるなら嬉しいな!!」
しれっと凛音を名前とちゃん付けで呼んでる桐崎さん。
本当に彼女は人と仲良くなるのが上手いというかなんと言うか……
て、ていうか……お、女の子三人に男一人か……
なんて言うかハーレムラノベの主人公みたいだなと思ってしまう。……まぁ、物語の初っ端からメインヒロインに振られるとかハーレムのはの字も無いだろうけど。
「で、どこで食べる?定番ならサイセリアだと思うけど」
俺はそう言って三人に提案する。
「霧都にしては悪くない提案だと思うわ。スタバでも良いかなと思ったけど、そこだとお腹が膨らまないもの。私はお腹がすいたわ」
「そうだね、それに値段的にも悪くないよね。まぁ、他の人も集まりそうだから早めに行った方が良いかも?ってのはあるね」
「はい。ではサイセリアに向かいましょう。自転車でみんな来ていると思うので、駅前なら二十分くらいで行けると思います」
食事処を決めた俺たちは、自転車で庶民の味方、サイセリアへと向かった。
自転車を走らせること二十分。
駅前に立つイタリアンレストラン サイセリアに到着した。
俺はいち早く自転車から降りると、店の扉の前に立つ。
そして、三人が来た時に扉を開ける。
「おおー桜井くん。君は出来る男だね?」
なんて言う桐崎さん。
「いや、これくらい普通だろ」
「そうね、私が仕込んだもの」
と、凛音が薄い胸を張る。
そして、桐崎さんと凛音が入店し、最後に北島さんが店に入る。その時に、
「……二人でどこかに行ったりとかあるんですか?」
北島さんが少しだけ表情を曇らせながら耳元でこっそりと聞いてきたので、
「まぁ、幼稚園からの『幼馴染』だからね。文房具を買いに行ったりとかはあったよ。その時に外で飯食ったりとかは普通にあったかな」
と答えた。
デートと呼べるようなものでは残念ながら無かったよな……
少しすると、店員さんが来たので
「四名です。禁煙席で空いてるところはありますか?」
と聞くと
「はい。大丈夫ですよ。すぐにご案内します」
店員さんはそう言って席へと案内してくれた。
「待たなくて済んで良かったね。行こうか」
俺はそうみんなに声を掛ける。
「桜井くんて凄いんですね」
「それもこれも凛音ちゃんの教育なのかなー」
「まあ、このくらい出来ないと男としては不合格でしょ」
……まぁ、貶されるよりは褒められる方が良いとは思うけど。
そんな話をしながら、案内された席に座る。
俺の隣には『当然のような顔をして』凛音が座った。
……なんで?
疑問には思ったが、俺はメニューを取り出して、開いて見せる。
備え付けられた紙とペンを取って注文を書く準備をする。
「長居する?」
と俺は先に聞いておく。
「そうだねー親睦を深めようと思うからね。食べたらさっさと帰る。とかないかな?」
「はい。私も多少なら遅くなっても平気です」
「私も平気よ」
俺はそれを聞いて、
「じゃあドリンクバーを四つと大盛りのポテトフライは二つ。これは先に書いておくね」
紙にドリンクバーの番号とポテトフライの番号と数を記入する。
「決まったら教えてくれれば俺の方で書いていくよ。俺が食べるのはもう決まってるから、のんびり決めてくれればいいよ」
俺はそう言うと、席から立つ。
「その間に水持ってくるね」
凛音が軽く席から離れて俺が通る道を開ける。
俺は人数分の水を取りにドリンクバーの横に向かう。
四人のコップとそれを載せる皿を用意した所で凛音が隣に居た。
「アンタは鈍臭い所があるから零さないように半分持つわよ」
「あはは。ありがとう、凛音」
そんなやり取りをして、二人で二個づつ水を注いだコップを持って帰った。
「お待たせ」
俺は自分が持っていた二つを桐崎さんと北島さんに渡す。
「ありがとうね」
「ありがとうございます」
俺は椅子の奥へと移動して、凛音のスペースを作る。
「はい。アンタはあまり冷たいのが得意じゃないでしょ。氷は無しにしてるわよ」
「ごめんね、助かるよ凛音」
と、俺は氷無しの水を飲む。
少しだけ知覚過敏な所があるから、冷たい飲み物とかアイスとかちょっとだけ苦手なのを、幼馴染だから知っている。
「……幼稚園からの幼馴染はやはり強敵です」
北島さんが何かを呟いたような気がしたけど……聞こえなかった。ほんと、最近女の子の言葉の聞き漏らしが増えて来たんじゃないか?と思ってる……
そして、少しすると全員の注文が確定したので、俺は店員さんを呼ぶことにする。
リーン
とベルが鳴ると、店員さんがやってくる。
「お願いします」
と俺は注文の紙を渡すと、店員さんは注文の内容を確認する。
俺はそれに間違いがないことを確認し、
「はい。大丈夫です」
その後で一つだけ店員さんにお願いをした。
「あと、すみません。大盛りのポテトフライは食事が終わったタイミングでお願いします」
「はい。かしこまりました。必要な時はお声掛け頂ければ出来たてでお持ちします」
「ありがとうございます」
俺はお礼をして、去っていく店員さんを見ていたら、桐崎さんが言う。
「100点だね」
「はい?」
首を傾げる俺に桐崎さんが笑う。
「桜井くんのここまでの対応は100点です。いやーこれほどまで出来る男だとは思わなかったよ」
「あはは……お褒めいただいて光栄だよ」
「いや、でも本当に桜井くんの対応は紳士的でした」
「まぁ、私の教育の賜物ね。中学の最初の頃なんか酷いもんだったわよ」
……教育?あれは折檻の間違いでは?
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