傍観していたい受付嬢

湖里

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始まり

出張へ行こう!

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あの月例会で勇者召喚から、一週間が過ぎた。着々と準備は出来ているようで、もう7割程は魔法陣もできているそうだ。

「コチラの依頼で宜しかったですか?」
Aランクのギルド員に依頼の確認をすれば、笑顔で頷いてくれた。
この人、愛想がいいんだよね。色々噂を教えてくれるし。

「そう言えば、ミッシェルさん。この前、終わりの森の鳥が騒いでましたよ。」
ホラ、教えてくれた。ちょっとこの後レオディオに許可をもらって、行ってみるか。
「へぇ!初めて聞きました。やっぱり、物知りなんですね!」

笑顔で煽てればもっと教えてくれた。
「いやいや、そんなことありませんよ!…あ、後、終わりの森の魔力の質が少し良くなった気がするんですよね。」

うん、なかなかの情報だった。これは、活用できそうだ。
ニンマリと心の中で笑って、ギルド員さんを笑顔で見送った。これは、いい情報をくれた感謝料である。


「___さて。」
レオディオにも許可をもらい(無理やり奪ってきた)、受付嬢の仕事も使い魔のケット・シーにお願いしたし。

行くとしますか。
「【転移】」
フワリと体が浮くと、目の前は終わりの森の入り口だった。
確かに前と比べると森の空気が澄んでいる。でも、なんとなく。何となくだけれども、魔族の魔力を感じる。

「特殊能力【会話】」
【会話】とは、どんな生物とでも話す事のできる特殊な能力である。使い方によっては……。

[ミッシェルだ!ミッシェルが久しぶりにキタヨ!]
目を開ければ、手のひら位の大きさである生き物が目の前にいた。

「お久しぶりね、小人さん。」
この生き物は、普段人には見る事ができない小人と言われる者。故に知る人は少ないが、人々の魔法を食べてキレイな魔法にしているのだ。

魔力の質がいいというのは、その人に小人が懐いていると言うことである。魔族の魔力の質が悪いのは、昔小人を大量に捕まえて、売り捌いたからである。

小人の寿命は、ない。不老不死のような物なので売り捌かれたことはまだ根に持っているのである。

[あー!ミッシェル。]
[ホントだ。]
[ねえねえ、聞いてヨ。]
私は小人に懐かれているし、話を聞けるため、国内最大の情報量と魔力の質が世界一なのである。
小人の恩恵万歳だよね。

「いつもより、騒がしいね。どうかしたの?」
ギルド員が言っていたことにも何か関わりがあるのかもしれない。
[聞いておくれ。等々、魔族の四天王の一人が蘇ったのだ。今は、この森の洞窟で力を蓄えておる。]

[私達が出てって、と言っても聞こえないフリ。触ることはできないから追い出せないの。]

[魔力がまだ無いらしいから、ミッシェルが追い出してよ。]

小人はそうだそうだ、と言っているがこのまま野放しにすればその魔族が危険分子になるかもしれない。
かと言って、終わりの森にいると小人が嫌がる。

仕方がないから、ギルドに連れて帰ってギルド員になってもらおう。そしてそのまま、魔族との中継になってもらおう。
あ、勇者に教育を施して貰うのもいい。

よし、会いに行こう。
「うん、小人さん。魔族と交渉するから、連れてってくれる?」

聞いてみれば、それぞれいろんな声が聞こえたけど、みんな了承してくれたようだ。


[コッチだよ!……ホラ、あそこの中。]
ここからは、ついて行きたくないのか私だけが中に入っていった。

え?魔力の質が悪くなるって?
大丈夫です。説明は面倒だけれども。

この世界には、魔力の質を良くする小人がいますが、これはあくまで力が強いもの。力が弱いものは、生物ではありません。そのため、小人がいなくなった今でも、私の質は悪くならないのです。

あくまで交渉。攻撃の気持ちがないことを表すために、武器は持っていません。

「誰か、いらっしゃいますか?」
真っ暗な穴は私の侵入を拒まなかった。
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